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自衛隊内強姦未遂および隠蔽事件 【追記】訴状全文

 昨日、北海道当別町にある北部航空警戒管制団の「第四五警戒群」に勤務する21歳の女子自衛官が、国を相手取って約1115万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こしたことでようやく明るみに出た事件があります。

 実際に起こった事件の内容は、おそらく極めて簡単な隊員による隊員の強姦未遂事件だったのだろうと思いますが、昨年の9月に起こったこの事件を、警察組織を持つ自衛隊の内部で解決することができなかったということが、自衛隊という組織の問題をあぶり出していると思います。

 昨日はテレビなどの報道もありましたが、今ひとつ事件の内容がはっきりとしません。もっとも詳しく書かれていると思われる北海道新聞でも、このくらいしか書かれていません。
 訴えによると、この女性は昨年九月、勤務中に泥酔していた同僚男性(32)から基地内で押し倒され、無理やり体を触られるなどした。女性は上司数人に相談したが「退職願に(印鑑を)押せよ」「ここまでこじれたら、自衛隊ではやっていけないんだよ」などと、逆に約半年間にわたって嫌がらせを受け続けた。女性は上司に男性の退職か転勤を求めたが、基地側が適切な措置を取らず、長期にわたり精神的苦痛を受けたとしている。
 女子自衛官が訴訟を起こした理由は、つぎのような基地責任者のコメントでも明らかです。
 女性が勤務する基地は、警務隊が今年二月から強制わいせつの疑いで捜査していることを認めたが、退職の強要については「あったかどうかも含め、部内で調査中」と説明。訴状については「正式に受け取っていないので、コメントできない」としている。
 昨夜のテレビニュースでも、被害女性自衛官の父親が苦渋に満ちた表情で、被害者の声明を読み上げていました。全文がここにあります。一字一句が重く、省略することができませんので、全文を転載させてもらいます。

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本日、私は、自衛隊を相手とする国家賠償請求訴訟を起こしました。

最初に申し上げたいのですが、加害者には家族があります。今回の事件で、ご家族には何も非はありません。マスコミ関係者の皆様にお願いしたいのは、加害者の家族に迷惑をかけるような報道やインタビューは決して行なわないでほしいということです。私には、加害者のお子さんと同じ年の弟がおります。私はご家族のことを大変心配しております。ですから、ご家族に対する報道は控えるよう重ねてお願い申し上げます。

私の事件は、民主主義の国において、決して許されないことです。加害者、そして部隊の上司が私に行なった数々の行為は、私の人権や女性としての尊厳を著しく踏みにじるものでした。

私は、現在21歳です。現職のまま裁判でたたかうことを決意しました。現職で裁判を行なうことがどれだけ難しく、又、どれだけ大変かは理解しているつもりです。私は加害者や上司を許すことができませんでした。被害者に対する陰湿な嫌がらせや、退職に追い込み、被害者が泣き寝入りする現状があってはなりません。

私は現職のままたたかい、そして勝ちたいと思います。裁判所には、公平な裁判をお願いします。自衛隊には、事実を確認して、一刻も早く私の働く環境を整備することを強く要望します。

今回、国家賠償請求という裁判を起こすまで大変な苦労をしました。父や北海道合同法律事務所の佐藤弁護士のサポートがあり、裁判を起こすことができました。大変感謝しております。

私は、通信制大学に通っています。事件後約8ヶ月の間、上司に陰湿な嫌がらせを受け、通信制大学に通わせないと脅されたり、一人孤立させられたりしましたが、つらくなったりした時には勉学に励みました。

「働きながら学ぶという尊さ 働きながら通教生としての奮闘 働きながら大学生としての勉学 これほど美しく これほどすばらしき人生はない」

これは、大学の月刊誌の表紙に書いてあった言葉ですが、この言葉に励まされました。

私は、私の人権と女性としての尊厳を取り戻すため、国とたたかいたいと思います。

3年前、自衛隊に入隊したころ、私は自衛隊に対する大きな期待と夢を持っていました。

今でも私は自衛隊に期待をしております。それは、今後自衛隊が社会常識が通用する普通の組織となり、女性が安心して働ける職場になれるかどうかにかかっていると思います。

最後に、私が立ち上がることで、同じ体験をされた方に勇気と希望を与えることができればと思います。

本日は、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございました。

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 同じサイトに訴状の抜き書きがありますので、是非とも読んでいただきたいのですが、おそらくほとんど事実だと思われる訴状に書かれた犯罪の内容を信じる限りにおいては、犯人の3曹は死刑か終身刑にすべきようなやつですし、被害者の訴えを受けたにもかかわらず事件を握りつぶしたばかりか、被害者を退職させようと画策した上司(3尉、曹長ら)もほとんど共犯として、懲戒免職が相当だと思われるくらいのひどい話です。
 上司は、原告に対して「Aは男だ。お前は女だ。自衛隊がどっちを残すかと言ったら男だ」「A3曹には家庭がある」、「このまま2年間任用を継続しても、1回も外に退出させないぞ」等と言い、退職を強要した。
 もしも、自衛隊をこのような前近代的な組織として維持しなければ、憲法を改正した後も他国と戦争をできないというのであれば、戦前の慰安婦問題が現代のものとして甦ってくるような嫌悪感をおぼえる事件です。また、そんな事件が北海道で起こっているということに、深い悲しみと怒りを覚えます。

 もちろん、被害者の悲しみと怒りは、想像もつかないくらい大きなものだと思います。この訴えに応えられないのだとしたら、裁判の存在価値もありません。

【追記】
 はなゆーさんのサイトで、訴状全文のpdfファイルへのポインタが紹介されています。訴状に、ここまで詳細を記述するということは、強姦や婦女暴行罪を訴えるのはかなりつらいことであることが良くわかります。裁判しなければならないという時点で、すでにひどい人権侵害になっています。こんな国は、文明国とはとても言えません。
Commented by Tea at 2007-05-11 20:19 x
この訴えがきちんと認められないとしたら、日本は美しい国とは程遠いとても野蛮な国です。このようなことが起こったにもかかわらず、外傷を負った被害者に病院にも行かせず、証拠を隠滅し、すべてをなかったことにする態度は呆れてしまいます。訴えを起こすだけでも相当な勇気と忍耐が必要だったでしょう。これからこのような女性への人権侵害が起こらないよう、この女性自衛官には勇気を持ち続けてがんばってほしいと思います。
by stochinai | 2007-05-09 21:06 | 札幌・北海道 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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