2007年 05月 21日
バイオ系の大型予算の決まり方 【追記あり 補足を読んでください】
先週17日の朝日新聞の朝刊で、中村桂子さんが昨年終了した「タンパク3000」という大型プロジェクトに対してかなり激しい批判的意見を寄せておられてびっくりしたのですが、Science Communication BlogでK_Tachibana さんが「中村桂子さんの「私の視点」は何を目的にして書かれたのか」というエントリーで引用されていた「WEB2.0(っていうんですか?)ITベンチャーの社長のブログ」というブログに、日本におけるバイオ系の大型プロジェクト予算の決まり方のついて、衝撃的かつ克明な「内部情報」が書かれています。
「今日の朝日新聞朝刊の中村桂子さんの「私の視点」について」というエントリーの中味は、文科省や経済産業省などがスポンサーになるバイオ系の大型プロジェクト予算が、どのように決まるかということについての目撃者による貴重な証言になっています。
著者の方は、なんと「実際に理研(文科省ライフ課所掌)でタンパク3000を指揮したY山さんと仕事をし、それのカウンターパートである経産省バイオ課でも働いてきた立場」の方だということで、びっくりです。今は、そうしたところから離れて(どうやら、そうした世界を見捨てたようで)ITベンチャーの社長さんということなので、しがらみは切れているということなのでしょうが、いわば内部告発とも言えるこのエントリーは、大学・研究所の関係者必読の書です。噂や「情報」として断片的に聞くこともあるこの手の話ですが、これほどまでにまとまっていて、かつ生々しく書かれているものに接したのは初めてです。
最初に、ネットで手はいらない朝日新聞に載った中村桂子さんのオピニオンを要約しておられますが、これもまたバイオ系の大学・研究所関係者必読のものですから、このエントリーは2度おいしいものになっています。中村さんの要約記事にも重要な指摘がたくさんあります。(ただ、要約の引用ですので、ご注意下さい。)
まあ、多少の誇張があるにしても、上のようなプロセスで予算が決まるのは確かなようです。そして、「今のバイオ研究はどれもこれも大規模プロジェクト化しているので、研究者の評価も政治力に密接に関係している。そして、このフローの中に「中立な専門化が俯瞰的に判断するフェイズが存在しない」という点に問題はある」と書かれているように、科学者がかかわっているのは、どうやら役人への説明のところだけというのが実態のようなのです。まとめの直前に書かれていることは、まさに判断する専門家として存在するはずの総合科学技術会議が機能していないという、衝撃の事実です。
なぜ、この著者の方がこのような「内部告発記事」を書いたのかというと、それは中村桂子さんが勇気を出して書かれたことに対する援護射撃なのだと思います。
小さな声でも、少しずつ広がっていけばいつかは政治を動かすことができるかもしれません。中村さん、M木さんの勇気を、ウェブ・口コミ・文字などなど使える媒体を通じて伝えていきたいと思います。
【追記】特に強く関連しているわけではないのですが、muse-A-muse 2ndさんにTBいただいたので、これをお返しにTBしておきます。また、あの「まったりとした」文体で、いろんなことをまとめてくださるのを楽しみにしています。
【追記2】この記事の元になったエントリーを書いた元木一朗さんが、私の「想像」に間違いが多いと指摘してくださり、さらに補足記事を書いてくださいました(トラックバック参照)。自分の意図を読み間違われるというのは、不快なことだと思いますので、お詫びさせてください。また、新しい補足記事「補足しておきます」は、ちゃんと前の記事の続編になっていて、とても興味深いものですので、是非とも前のエントリーとともにお読み頂きたいと思います。今後、また同様の情報記事を書いていただけそうなので、とても楽しみです。よろしくお願いいたします。m(__)m
「今日の朝日新聞朝刊の中村桂子さんの「私の視点」について」というエントリーの中味は、文科省や経済産業省などがスポンサーになるバイオ系の大型プロジェクト予算が、どのように決まるかということについての目撃者による貴重な証言になっています。
著者の方は、なんと「実際に理研(文科省ライフ課所掌)でタンパク3000を指揮したY山さんと仕事をし、それのカウンターパートである経産省バイオ課でも働いてきた立場」の方だということで、びっくりです。今は、そうしたところから離れて(どうやら、そうした世界を見捨てたようで)ITベンチャーの社長さんということなので、しがらみは切れているということなのでしょうが、いわば内部告発とも言えるこのエントリーは、大学・研究所の関係者必読の書です。噂や「情報」として断片的に聞くこともあるこの手の話ですが、これほどまでにまとまっていて、かつ生々しく書かれているものに接したのは初めてです。
最初に、ネットで手はいらない朝日新聞に載った中村桂子さんのオピニオンを要約しておられますが、これもまたバイオ系の大学・研究所関係者必読のものですから、このエントリーは2度おいしいものになっています。中村さんの要約記事にも重要な指摘がたくさんあります。(ただ、要約の引用ですので、ご注意下さい。)
日本では3千種類のたんぱく質の構造と機能を研究する「タンパク3000」が2002年に始まった。これを受けて、魔人ブウことM木I朗さん(by nqの日記)が、なぜこのような問題だらけのプロジェクトが立ち上がったのかについて、説明してくれています。いろいろと詳しく書かれているので、原文をお読みいただきたいのですが、まとめを転載します。
具体的な目的、なぜ3000種なのか、どんなたんぱく質を調べるのかについての科学的検討のないまま始められ、5年間で578億円という巨額の費用を使って昨年度終了した。
高価な機械を大量設置し、3000という数はこなしたが、薬品産業や医療に結びつく成果は出ていない。「明らかにされた基本構造は全体の5%だった」「重要な膜タンパクがほとんど扱われていない」などの評価がプロジェクト後に発表されたが、これは開始前や中途に検討すべきだ。
税金の投入や成果も問題だが、そこに大勢の若者が投入されることも気になる。これでは科学の本質を深く考える科学者が育たない。
プロジェクトの必要性は認めるが、本来研究は個人的なものであることを忘れてはならない。このままでは10年先が怖い。
以上の流れを物凄く乱暴にまとめると、
1.政治力のある科学者が「この研究が必要です」と役所に陳情に行く
2.それをもとに、役人が勉強して、資料をつくる(場合によっては研究者がつくる)
3.財務省に説明する
4.財務省がオッケーと言ったら予算化され、プロジェクトが実施できる
まあ、多少の誇張があるにしても、上のようなプロセスで予算が決まるのは確かなようです。そして、「今のバイオ研究はどれもこれも大規模プロジェクト化しているので、研究者の評価も政治力に密接に関係している。そして、このフローの中に「中立な専門化が俯瞰的に判断するフェイズが存在しない」という点に問題はある」と書かれているように、科学者がかかわっているのは、どうやら役人への説明のところだけというのが実態のようなのです。まとめの直前に書かれていることは、まさに判断する専門家として存在するはずの総合科学技術会議が機能していないという、衝撃の事実です。
ここまでの説明の中で何度か「専門家が検討しているわけではないと思う」と書いたが、「専門家がきちんと検討する」という部分をしっかりとさせるために設置されたのが総合科学技術会議だったはずである。しかし、どうも見ている限りではワークしている感じではない。それは中村桂子さんが「今の日本のプロジェクトは駄目だ」と指摘していることからも窺い知ることができる。また、良く言われていることですが、予算配分の後の問題も書いてあります。
また、日本においては予算を取ってくる段階ではそこそこにきちんとした検討を行っていると思うのだが、それを執行する段階以降については検討が非常に甘い。そもそも一度取ってきた予算は全て使い切るのが研究者の役割なので、途中で駄目だとわかろうが何しようが、とにかく全部使い切る。これは年度末に一所懸命必要のない道路工事をやるのとなんら変わりがない。文科省や経産省の役人からすれば「予算は取ってきたんだから、それを全部使い切るのが研究者の役目だ」ということになる。
これは日本のシステムの構造的な欠陥であり、これまでもこれを指摘した人は山ほどいるはずなのだが、なぜか全く改善されない。予算を立てるのは良いが、それを執行する段階においては「いかに節約するか」が重要で、節約することによって評価があがるという評価システムが必要である。そして、この著者の方がもっとも言いたかったことはこれだと思われる文章が続きます。
とはいえ、今はそういうシステムがないので仕方がない。もらったお金は全て使う、これが日本の常識である。
かく言う僕自身も元々バイオの研究者を目指した人間だった。80年代の生命科学の世界は多くの発明や発見が行われ、非常に刺激的だった。しかし、それが労働力やお金の大量投入大量消費の世界に変わってしまい、評価されるのは予算を取ってくる先生だけ、という状況になってしまい、僕にとってのアカデミックな生命科学の世界は途端に色あせてしまった。悲しいことですが、こうして去っていった優秀な人材は数え切れないのが現状でしょう。
なぜ、この著者の方がこのような「内部告発記事」を書いたのかというと、それは中村桂子さんが勇気を出して書かれたことに対する援護射撃なのだと思います。
さて、中村桂子さんがなぜ新聞にこのオピニオンを載せたのか。これまで書いてきたように、この問題は普通の生活者が考え方を変えることによって改善されることではない。変えることができるのは政治家と役人である。中村桂子さんは新聞にオピニオンを載せることによって国民の意識を変え、その代表である政治家に問題提起したいのだろう私も、中村桂子さんそして今はITベンチャー社長のM木さんが、せっかく上げてくれた声を、少しでも伝搬できたら良いと思ってこのエントリーを書きました。
小さな声でも、少しずつ広がっていけばいつかは政治を動かすことができるかもしれません。中村さん、M木さんの勇気を、ウェブ・口コミ・文字などなど使える媒体を通じて伝えていきたいと思います。
【追記】特に強く関連しているわけではないのですが、muse-A-muse 2ndさんにTBいただいたので、これをお返しにTBしておきます。また、あの「まったりとした」文体で、いろんなことをまとめてくださるのを楽しみにしています。
【追記2】この記事の元になったエントリーを書いた元木一朗さんが、私の「想像」に間違いが多いと指摘してくださり、さらに補足記事を書いてくださいました(トラックバック参照)。自分の意図を読み間違われるというのは、不快なことだと思いますので、お詫びさせてください。また、新しい補足記事「補足しておきます」は、ちゃんと前の記事の続編になっていて、とても興味深いものですので、是非とも前のエントリーとともにお読み頂きたいと思います。今後、また同様の情報記事を書いていただけそうなので、とても楽しみです。よろしくお願いいたします。m(__)m
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あるまかん
at 2007-05-21 22:44
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衝撃の事実っていうのは、ちょっとおトボケがすぎませんか?ITとバイオに大金が流れ始めて、使い方が額が大きいほど出鱈目なのは、みんな知ってた事ですよね。まあいずれにしても、ここらですこし整理するのは良い事ですね。ただ整理の過程でしわ寄せ受けるのは、行き場がなくなるポスドク、院生ですよね。いい加減にやってこの事態をまねいたエラいお年寄りたちは責任を取らない。きっとこれをこの国の品格というんでしょう。
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あるまかん
at 2007-05-21 22:55
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誤解を招くと行けないので補足すると、今まではとにかく予算規模の拡大を重視して、束になって尤もらしい旗を打ち立てて、ってやりかたでしたよね。「タンパク3000」にしても、その名の下に、実は割と多彩な研究がいろいろやられた事と思います。ですからこれを性急に失敗した研究とラベリングするのは慎みたいです。しかし、中村先生にしても、柳田先生にしても、勝ち組の偉いさんの中ではじき出されて内輪もめが起きるってのは、ちょっと末期症状ですね。
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stochinai at 2007-05-22 00:19
中味の情報というよりは、目撃者が実名で語っているというのが衝撃だと思いました。こういう「内部告発」がきちんと認められたら、お偉いさんの年寄りの責任を問うこともできるかもしれません。問いましょうよ。
>その名の下に、実は割と多彩な研究がいろいろやられた
これは、その通りだと思います。日本的ではありますが、現実的な対処法だと思います。
勝ち組の内部でもめ事が起こるということは、その他大勢にとっては改革が起こる可能性が感じられるという意味で、とりあえず歓迎しておきたいところです。
>その名の下に、実は割と多彩な研究がいろいろやられた
これは、その通りだと思います。日本的ではありますが、現実的な対処法だと思います。
勝ち組の内部でもめ事が起こるということは、その他大勢にとっては改革が起こる可能性が感じられるという意味で、とりあえず歓迎しておきたいところです。
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あるまかん
at 2007-05-22 02:28
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>勝ち組の内部でもめ事が ... とりあえず歓迎
あはは、そんなに楽観的になれたら良いのですが。。この場合、もめ事の原因は2つでしょう。
1)バイオの予算がもう頭打ちで、分配を廻る争いが表面化した
2)あの世代特有のメンタリティで現役世代へ引き継ぎちゃんとしない
このような混乱から、予算が増えたり、より公平な分配法になったり、ってのは期待薄とおもいます。1)は仕方ないとして、エラい老人たちには「引き際の美しさ」という言葉を思い出してもらいたいです。そして我々現場にいる「負け組」が「死に組」になって、ポスドク院生が放り出されて結局実害を被る、ッてな事にならない事を祈るばかりです。
あはは、そんなに楽観的になれたら良いのですが。。この場合、もめ事の原因は2つでしょう。
1)バイオの予算がもう頭打ちで、分配を廻る争いが表面化した
2)あの世代特有のメンタリティで現役世代へ引き継ぎちゃんとしない
このような混乱から、予算が増えたり、より公平な分配法になったり、ってのは期待薄とおもいます。1)は仕方ないとして、エラい老人たちには「引き際の美しさ」という言葉を思い出してもらいたいです。そして我々現場にいる「負け組」が「死に組」になって、ポスドク院生が放り出されて結局実害を被る、ッてな事にならない事を祈るばかりです。
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buu*
at 2007-05-22 12:49
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>不快なことだと思います
ん?別にそんなこと、全然ないですよ。ネットで発信している文字情報なんていうのは思い通りに相手に伝わらなくても全然不思議じゃありません。そういうことがあっても大丈夫なようにトラックバックというシステムがあるわけで、「あら、これはちょっと違うかな」と思えばその旨また書けば良いだけの事です。
ブログはピッチング練習だけではなくキャッチボールもできるシステムです。TBスパムとかの影響でそれがあまりできなくなっているのは残念なことですが、それをうまく使えばより円滑なコミュニケーションが図れるはずです。
ん?別にそんなこと、全然ないですよ。ネットで発信している文字情報なんていうのは思い通りに相手に伝わらなくても全然不思議じゃありません。そういうことがあっても大丈夫なようにトラックバックというシステムがあるわけで、「あら、これはちょっと違うかな」と思えばその旨また書けば良いだけの事です。
ブログはピッチング練習だけではなくキャッチボールもできるシステムです。TBスパムとかの影響でそれがあまりできなくなっているのは残念なことですが、それをうまく使えばより円滑なコミュニケーションが図れるはずです。
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たんぱくん
at 2007-05-23 19:38
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中村桂子さんも、もういい歳なのですが、まだ現役なんですね。
彼女も企業のカネ(JT)や税金を頂いている人の一人なので、たんぱく3000に対する評価は、割り引いて受け取る必要がありますよ。つまり、大型プロジェクトに資金が投入されると、他の分野の人が割を食うので、批判的になります。
5年でクスリができたら、どの製薬会社も苦労しませんて。
彼女も企業のカネ(JT)や税金を頂いている人の一人なので、たんぱく3000に対する評価は、割り引いて受け取る必要がありますよ。つまり、大型プロジェクトに資金が投入されると、他の分野の人が割を食うので、批判的になります。
5年でクスリができたら、どの製薬会社も苦労しませんて。
私の日記引用してくださってありがとうございます。ですが、私の日記では、「M木I朗]」なんて変な伏字してません。
「Y山」ていうのも元木さんのもとでは、「横山」ときちんと実名で出ています。500億円を超える「タンパク3000」プロジェクトの研究代表者名を伏字にする意図が理解できません。きちんと実名で論評すべきと思います。
あるまかんさん、stochinaiさんのコメントは、中村桂子氏の批判を、「内輪もめ」に矮小化していますが、タンパク3000が深刻な失敗であることは、Nature誌の報道記事(Nature 443, 382; 2006)から窺い知れます。科学技術政策に関わる重要な問題として真面目に批判なり擁護するなりすべきと思います。
「Y山」ていうのも元木さんのもとでは、「横山」ときちんと実名で出ています。500億円を超える「タンパク3000」プロジェクトの研究代表者名を伏字にする意図が理解できません。きちんと実名で論評すべきと思います。
あるまかんさん、stochinaiさんのコメントは、中村桂子氏の批判を、「内輪もめ」に矮小化していますが、タンパク3000が深刻な失敗であることは、Nature誌の報道記事(Nature 443, 382; 2006)から窺い知れます。科学技術政策に関わる重要な問題として真面目に批判なり擁護するなりすべきと思います。
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あるまかん
at 2007-05-24 00:52
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大型研究費の配分について何も知らない駆け出しの方なのかしらないけど、「内輪もめに矮小化」というのは悪いけど曲解ですよ。人の言っている事はちゃんと理解してからお願いね。
日本の大型研究費のパイの分け方が、「前近代的」で「アバウト」だというのは誰でも知っている事だけど、それだから成果が出ないかというとそうでもない。きっちり計画してつまらない結果しかない場合も多いです。最先端はそんなもの。
その意味で、小型の科研費などはわりとまともなピアレヴューがあって、一方で大型は、それを通過したある高い水準に達した人の間で、さいころ振るようにデタラメに決めるのは、実は大きな意味で合理性のあるシステムのようでもあります。
Natureの記事はNatureの記者とそのコンタクトの意見。「たんぱく3000」の大きな文脈での成功失敗の評価はずっと先にならないとわからないし、立場によっても異なります。私自身は専門家でないので、「わからない、でもいい研究も部分的にはあるんじゃない?」としか言えない。別な内輪もめの大先生についていえば、老人のごね得は見苦しいけど、彼の研究は立派なものです。物事を単線的に考えるとうまくいかないですよ。
日本の大型研究費のパイの分け方が、「前近代的」で「アバウト」だというのは誰でも知っている事だけど、それだから成果が出ないかというとそうでもない。きっちり計画してつまらない結果しかない場合も多いです。最先端はそんなもの。
その意味で、小型の科研費などはわりとまともなピアレヴューがあって、一方で大型は、それを通過したある高い水準に達した人の間で、さいころ振るようにデタラメに決めるのは、実は大きな意味で合理性のあるシステムのようでもあります。
Natureの記事はNatureの記者とそのコンタクトの意見。「たんぱく3000」の大きな文脈での成功失敗の評価はずっと先にならないとわからないし、立場によっても異なります。私自身は専門家でないので、「わからない、でもいい研究も部分的にはあるんじゃない?」としか言えない。別な内輪もめの大先生についていえば、老人のごね得は見苦しいけど、彼の研究は立派なものです。物事を単線的に考えるとうまくいかないですよ。
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nq
at 2007-05-24 03:08
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あるまかん氏のコメントにはまったく同意できません。
まず、「駆け出し」呼ばわりで相手を卑小化することから始めることで、あるまかん氏の議論の態度がどのようなものかわかります。そのような態度の方にまともに反論しても真摯な対応が期待できないことを承知の上で申し上げます。
「きっちり計画してつまらない結果がしか出ない場合が多い」ということと、「よい結果がいい加減な計画から出る」ということが同値でないことは論理学の初歩です。「さいころ振るようにでたらめに決めるのが合理性のあるシステム」という主張の支えにまったくなっていません。
タンパク3000の成功失敗の評価はずっと先にならないとわからない、って居直って600億近い税金の使途を正当化できますか?巨費が投入されたのは、明らかに実利的なリターンが期待されたからでしょう。この理屈では、いい加減な大プロジェクト選定方式と事後評価不在を正当化できません。これだけの巨額の税金が投入されたプロジェクトに対するNatureや中村氏の批判を、「記者とコンタクトの意見」とか「内輪もめ」と受け流して対応しないのは許されないと考えます。
まず、「駆け出し」呼ばわりで相手を卑小化することから始めることで、あるまかん氏の議論の態度がどのようなものかわかります。そのような態度の方にまともに反論しても真摯な対応が期待できないことを承知の上で申し上げます。
「きっちり計画してつまらない結果がしか出ない場合が多い」ということと、「よい結果がいい加減な計画から出る」ということが同値でないことは論理学の初歩です。「さいころ振るようにでたらめに決めるのが合理性のあるシステム」という主張の支えにまったくなっていません。
タンパク3000の成功失敗の評価はずっと先にならないとわからない、って居直って600億近い税金の使途を正当化できますか?巨費が投入されたのは、明らかに実利的なリターンが期待されたからでしょう。この理屈では、いい加減な大プロジェクト選定方式と事後評価不在を正当化できません。これだけの巨額の税金が投入されたプロジェクトに対するNatureや中村氏の批判を、「記者とコンタクトの意見」とか「内輪もめ」と受け流して対応しないのは許されないと考えます。
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あるまか
at 2007-05-24 08:11
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とても実際に研究をやっている人間の発言とは思えないですね。「巨費が投入されたのは、明らかに実利的なリターンが期待された」などとだれがきめたのでしょうか?
それともオンブズマンかなんかにでもなったつもりの発言でしょうか?科学のファンディングそのもの、もしくはファンディングの様式に異議があるという話でしたら、それに対してここで現場の研究者として何も言うことはないです。わたしはその手の話には興味ない。幸いここで私が「科学への税金投入」の弁護をする立場にあるわけでもないです。
なにか根本的に思い違いされてるようですが、予算の「内輪話」にしても、研究の現場が実際にどうなっているかについて書いている訳で、その善悪を判断している話ではありません。しかるべき場で「納税者」として発言なり批判なりされたらよいのでは?
それともオンブズマンかなんかにでもなったつもりの発言でしょうか?科学のファンディングそのもの、もしくはファンディングの様式に異議があるという話でしたら、それに対してここで現場の研究者として何も言うことはないです。わたしはその手の話には興味ない。幸いここで私が「科学への税金投入」の弁護をする立場にあるわけでもないです。
なにか根本的に思い違いされてるようですが、予算の「内輪話」にしても、研究の現場が実際にどうなっているかについて書いている訳で、その善悪を判断している話ではありません。しかるべき場で「納税者」として発言なり批判なりされたらよいのでは?
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これはもう読みましたか?
at 2007-05-24 12:55
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stochinai at 2007-05-24 13:23
「2010年のバイオ市場規模の持つ意味(2年前に書いて忘れてた)」ですね。せっかく警告があったのに、反応できていなかった我々にも問題があると思いました(というか、書かれていたということを知りませんでした。)
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50013604.html
社長さんブログはRSS購読しているので(笑)、チェックしてあります。社長さんが書いた「バイオねたは全部読め」というのは冗談抜きで有益なことで、いろいろなことがわかりますので、じっくりと読ませていたいております。ただ、なんらかのきっかけがないと話題にしにくいということもありますので、今後の貴重な情報倉庫として活用させていただきたいと思っています。
http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50013604.html
社長さんブログはRSS購読しているので(笑)、チェックしてあります。社長さんが書いた「バイオねたは全部読め」というのは冗談抜きで有益なことで、いろいろなことがわかりますので、じっくりと読ませていたいております。ただ、なんらかのきっかけがないと話題にしにくいということもありますので、今後の貴重な情報倉庫として活用させていただきたいと思っています。
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たんぱくん
at 2007-05-24 20:18
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Natureには、横山先生たちからの反論記事も後日掲載されております。Natureを錦の御旗にするのなら、両方を引用すべきでしょう。
生物学も大型プロジェクト化の時代が到来し、昔ながらの(個人の立案、実験による)生物学を懐かしむ人(たぶん本当の研究者です。)は批判的だ、ということではないでしょうか。
#成功失敗は簡単にいえないのでは?当初目標の3000個以上の解析はしたんですよ。科学的な質や、波及効果が思ったほどではなかった、という面はあるのでしょうけど。
生物学も大型プロジェクト化の時代が到来し、昔ながらの(個人の立案、実験による)生物学を懐かしむ人(たぶん本当の研究者です。)は批判的だ、ということではないでしょうか。
#成功失敗は簡単にいえないのでは?当初目標の3000個以上の解析はしたんですよ。科学的な質や、波及効果が思ったほどではなかった、という面はあるのでしょうけど。
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劣品館のためいき
at 2007-05-26 09:42
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蛋白3000の予算を大学中心で使えていればもう少し良かったのではないかと思います。それで院生やポスドクが育てば両方が満足できたのでは?我が国のポスドクは非常勤職員や任期付き職員の代わりをしているようで気になります。もうすこし大学でのポスドクを増やしてもよろしいのでは?教育職につなげられるポスドクもあってよいともおもうのですが?省庁の予算獲得、消化だけを考えて「良し」としてしいまうのはソロソロやめても良い時期では?教育にもう少しお金と人と時間を投入しないと国力は衰退するばかりですね。
たんぱくんさん、横山氏の反論を教えてくださってありがとうございました。一読しましたが、数値やの解析手法など具体的専門的成果物を挙げて記事に反論していることはわかりました。しかし、専門外の人を納得させることを目的としたものではないようです。専門的知識をもった第3者による判定が知りたいところです。
科学研究の成功失敗がすぐにはいえない、というのはそのとおりだと思います。しかし本件に関しては、社会的有用性を掲げていた経緯と、その予算規模とからして、それに見合った評価・審査手続きが必要と思います。しかし、そのような評価の仕組みがない、あるいは機能していない、というのが元木buu氏のblog記事の論旨の一つでした。
そのような状況でも、関連分野の研究者には、研究費や雇用の獲得といった利害を離れ、学問的良心にもとづく批判と評価を期待したいです。
科学研究の成功失敗がすぐにはいえない、というのはそのとおりだと思います。しかし本件に関しては、社会的有用性を掲げていた経緯と、その予算規模とからして、それに見合った評価・審査手続きが必要と思います。しかし、そのような評価の仕組みがない、あるいは機能していない、というのが元木buu氏のblog記事の論旨の一つでした。
そのような状況でも、関連分野の研究者には、研究費や雇用の獲得といった利害を離れ、学問的良心にもとづく批判と評価を期待したいです。
by stochinai
| 2007-05-21 21:36
| 生物学
|
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