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サメの単為発生が証明された

 脊椎動物にも、意外とたくさんメスだけで繁殖する単為発生の例が見られます。ところが、現在までのところ、脊椎動物のうちヒトを含む哺乳類となぜかエイやサメを含む軟骨魚類で単為発生が報告されていませんでした。

 昨年の暮れに、動物園で飼われていたコモドオオトカゲの生んだ卵が、受精することなしに単為発生したことが話題になりましたが、今度はサメです。正式に、論文が発表されました。
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 フロリダで捕獲された3匹の未成熟なメスのシュモクザメ(hammerhead shark)が、ネブラスカ州の動物園で3年ほど飼育されているうちに、卵を産み、それが発生して1匹のメスのサメが育ったのが2001年のことです。残念ながらそのサメは他のサカナに襲われて死んでしまったということですが、死んでも遺伝子は調べられますので、マイクロサテライトという遺伝子を調べることで3匹の親のメスを調べたところ、この子と同じ遺伝子を持ったメスが1匹見つかりました。

 おまけに、サメは我々と同じように遺伝子(ゲノム)を2セット持っているので、普通の有性生殖をして生まれたと思われる3匹のメスでは、調べた4つの遺伝子の多くが、それぞれのオス親とメス親からもらった異なる遺伝子のペア(ヘテロ)になっていたのですが、驚いたことにその子の遺伝子は、すべてが同じ遺伝子がペア(ホモ)になっていたのです。
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 この結果から、この子の母親は124,187,107,304という遺伝子をすべて持っているCM2であることと、そのメスが生んだ卵が成熟する時に遺伝子(染色体)のペアが二つに分かれる2回の細胞分裂(減数分裂)を行うのですが、この子はその減数分裂が終わった後で同じ染色体のペア同士が元に戻って、遺伝子(染色体)のペアを作り直してから発生したということがわかります。さらに、この子がメスだったことから、このサメの性決定方式がヒトなどと同じメスがXX、オスがXYであるということもわかりました。

 哺乳類では、この減数分裂が起こる時にメスの染色体(遺伝子)に変化(インプリンティング)が起こるので、オスの染色体(遺伝子)が精子によって持ち込まれないと発生できないために単為発生はできないと考えられています。というわけで、可能性はかなり低いのですが、この研究はマウスで行われたものなので、マウス以外の哺乳類でも可能性が完全にないと証明されたわけではありません。(マウスだって、系統によってはあり得ると思います。)

 というわけで、この調子でいったら、いずれ哺乳類の単為発生も発見されそうな気がしています。(ヒトはXY型の性決定方式なので、処女マリアの子だと言われているキリストはオスなので、この例は生物学的には・・・・・・・)
Commented by Guja at 2007-05-25 09:58 x
つぶやき様
この子がメスだっただけではオスXYの性決定方式とはいえません。
性決定様式が不明だったということはXY染色体の区別が顕微鏡的にできなかったはずで、そのような種の場合はYYでも正常に発生する可能性が十分あります。
別の決め手があったはずなので、ぜひ教えてください。
Commented by stochinai at 2007-05-25 10:18
 すみません、ちょっと筆(キー?)がすべりました。この論文でXX,XY方式が証明されたということではなく、その前に染色体分析がされており(Maddock & Schwartz 1996)、今回の結果はその説をサポートすると書いてありました。
by stochinai | 2007-05-24 23:33 | 生物学 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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