5号館を出て

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1000組織突破と「なかのひと」の精神状態

 「なかのひと」の累計で、このブログへのアクセス元のドメイン数が1000を突破しました。11日午後9時現在で1005ドメインが記録されています。このブログを見に来る方が所属する最大組織は、もちろん「国立北海道大学」で、全体の約29%です。

 たまたまハコフグマンさんのところで、「なかのひとの精神状態」というエントリーがあって、ハコフグマンさんのところにアクセスしているひとが所属する最大の組織は「日本放送協会」なのだそうです。

 ハコフクマンさんは、最近NHKの職員が「続々と痴漢で逮捕」されていることを知り、「組織の好調とはうらはらに、なかのひとの精神状態はどうやら悪化の一途をたどっているようなのだ」と書いていらっしゃいます。氷山の一角として出てきた犯罪の事例から、組織全体の状況を推察するという姿勢は非常に正しいと思います。

 実は大学もまったく同じような状況にあるのではないかと思うことがあります。外に出てくるのはセクハラ・痴漢・アカハラ・パワハラ・論文ねつ造・研究費不正使用などの事例ですが、事件として外に出てくるものだけでももはやニュースバリューを失っているほどで、新聞にもあまり載らなくなってきています。増えているかどうかはわかりませんが、減っているという話も聞きません。

 しかし、ねつ造はさておき、研究費の不正使用に関しては、NHKと同じように不必要と思われるくらい、「厳密」な対応が求められています。「経理処理や出張などの様々な申請は、あまりにも杓子定規で煩雑である。組織全体が性悪説で動いていて、中にいると精神が病むのも無理はない。まだ役所の方が風通しが良いのではないかと思うくらいだ」ということは、まさにそのまま大学にもあてはまり、教員・事務職員の仕事とともにストレスを増大させています。

 その上、グローバリゼイションとやらで業績評価で競争させられていますので、NHKも国立大学も職場環境は精神衛生上、戦後最悪のところにきているのかもしれません。そのことが、セクハラ・痴漢・アカハラ・パワハラ・論文ねつ造へのベクトルを増大させる要因になっていることは十分にあり得ることだと思います。ここへきて、学生だけではなく教職員に対するメンタルケア講習会が行われていることが、その状況を認識した大学当局の危機感を表しているのではないでしょうか。

 もちろん、メンタルヘルス講習会なども大切なことですが、ハコフクマンさんがおっしゃるように「これ以上の自殺者、犯罪者を出す前に、職員(特に20~30代の若手)のストレスを減らす抜本的な改革を始めないと、NHK」だけではなく、日本の大学も「早晩、内部崩壊するだろう」と、私も思います。

 もはや、対症療法ではなく、根治療法をしなければ対処不能というところまできていることを認識すべきではないでしょうか。
Commented by hakohugu at 2007-06-12 00:16 x
TBありがとうございます。
大学の世界もそうなのですか。NHKも一流大学を出た人が多いので、官僚的な空気やアカデミズムとは共通点が多いのかもしれませんね。

不遜な言い方ですが、私のような外部の出入り業者からは、透明な狭い水槽に閉じこめられたネズミが互いにストレスをかけあい、かみつきあっているように見えます。

そして今、水槽はこれまでにないほど、揺さぶられている。外に飛び出しても生きていける強いネズミから、逃げ出しています。外が見えない者は、振動にすら気づかず、もがいているのではないでしょうか。
Commented by osumi1128 at 2007-06-12 23:16
stochinaiさん、こんばんは。
先日のSTS学会シンポジウムの際にも思いましたが、こちらから見て「本当に聴いて欲しい」人はあのようなシンポジウムには来られない。ジェンダーハラスメントがあっても、その加害者側にはなかなかメッセージが届かない、ということがありますね。
Commented by stochinai at 2007-06-13 01:01
 ハコフグマンさんがおっしゃるとおり、我々はまさに「透明な狭い水槽に閉じこめられたネズミが互いにストレスをかけあい、かみつきあっている」状態におかれているのかもしれないと思います。強いネズミが逃げ出した後の水槽は騒ぎだけは大きくなっていますが、弱いくせに権力を振りかざすネズミばかりになってしまい、さらにハラスメント事例が増えてきているのかもしれません。ひょっとすると、水槽の外も同じく混沌とした世界なのかもしれませんが、ガラス破ることで少なくとも呼吸は楽になるかもしれません。それも選択肢のひとつですね。
Commented by stochinai at 2007-06-13 01:07
 osumiさん、まったくおっしゃるとおりだと思います。加害者は自分が加害者だとは思ってすらいないケースが多いようで、同じことが繰り返されているようです。一方、たとえ後進のためにと思っても、自分の人生を捨ててまでも加害者と闘おうという気になる被害者が少ないこともまた認めざるを得ません。東大にある完全に第3者からなる相談室がどのように機能しているか、是非とも知りたいところです。
by stochinai | 2007-06-11 22:09 | コンピューター・ネット | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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