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クローズアップ現代「にっぽんの“頭脳”はいかせるか~苦悩する博士たち~」 【7月7日追記】

 クローズアップ現代でも、ポスドク残酷物語を放送していました。内容は、例によって例のごとしで、博士号を取得しても大学の研究者になれずに不安定なポスドクを続けているとか、子供が生まれたのでポスドク生活をやめて企業の営業職に就職したとか、いう話です。

 ちょっと面白かったのは、味の素がポスドクを採用しようとして40人の選考をしたけれども、適格者がみつからなかったという話でした。その時の採用担当者の話としては、すでに企業にいる35歳とポスドクで応募してきた35歳の能力を比較してみるととても採用できないというような内容だったと思うのですが、そもそも大学を出て10年以上も違う生活をしてきた両者を同じ尺度で比べても、なんだか意味がなさそうに思えました。あれは、本音では採用するなどまったくないのに、ポスドクを採用しようという気持ちだけはあることを示すためのスタンドプレーだったのかもしれません。

 一方で、ULVACでしたか、かなり上手にポスドクを生かして使っている企業も出てきていました。こちらは、ポスドクとはどういう能力と資質を持った人間で、どう使うのが正しいかと言うことを良く知っているというふうに見えました。ポスドクの持っているバックグラウンドを生かそうとおもったら、たとえ企業でも「研究」をさせるのが正しい使い方だということが良くわかる場面でした。

 基本的には、何年もポスドクを続けさせるということは、研究者として育てているということです。それなのに、その後で研究職はないよというのは、裏切り行為以外のなにものでもないということが再確認できました。その裏切り行為の総元締めをしているのは、日本の科学および教育政策担当者であると思うのですが、責任者は誰も出てきませんでしたし、それを強く追求する番組にもなっていなかったと思います。

 とりあえず、生まれてしまった大量のポスドクと水ぶくれしてしまった博士後期課程をどうするのかという政策担当者の声は是非とも聞きたかったのですが、出てこなかったということは、自分たちは何もしないという答なのかもしれません。

 私は、国も民間も含めて博士がどのくらい必要なのか、ポスドクを経験した研究者がどれくらい必要なのか、そうしたことをはっきりと把握した上で、大学院および博士研究員をどうしていくべきなのかという議論が必要だと思っていますが、そういう議論は中央教育審議会や「教育再生会議(笑)」で行われているでしょうか。

 そういう議論はしないけれども実はもう答は出ていて、それがグローバルCOEだということなのでしょうか。

 このまま、ずるずると「ポスドクは悲惨だ」という社会常識が形成されていくと、理系離れがますます加速することは確実でしょう。この国は、どうして若者を虐待するのでしょうか。

 予告して教えてくれた仙台通信さんにトラックバックします。

【7月4日追記】
 ハコフグマンさんが、同じ番組を見た感想のエントリーを書かれています。是非とも、ご覧下さい。現在、こちらに送るのは無理だと思いますので、こちらからトラックバックしておきます。
 クローズアップ現代「にっぽんの“頭脳”はいかせるか~苦悩する博士~」

【追記2】
 m_um_uさんが、コメント欄に予告したとおりにエントリされています。トラックバックを送られたはずですが、エキサイトのサーバーが機能低下中なので、こちらからトラックバックしておきます。
 クローズアップ現代を見て、「大学の知と企業を繋ぐために必要なもの」について考えてみた

【追記3】
 当然のことながら、まだ博士やポスドクになっていない大学生や大学院生はどうしたら良いのかという問いかけが出てくるだろうと思います。例えば、This is my learningさんのエントリーを読んでください。
 じゃあ具体的に院生はどうしたらいいのか
 これに関しては、100人の方には100通りの答があるのだと思いますが、とりあえず現実を客観的に分析し、自分の将来に関して第1から第3くらいまでの希望をリストアップし、それに到達するためには今自分が何をすべきかしっかりと見定めて、ひび努力するということくらいは言えると思います。いろいろな人の意見を聞くことも大事だと思います。不必要に悲観的になることはないと思いますが、根拠のない楽観性は危険だと思います。

【追記4】
 この件に関しては、つい最近まで渦中の人でもあったvikingさんが、沈黙を破って力強いエントリーを書いてくださいました。一般論にはできないとはいえ、生々しい実例も紹介されております。この議論の中では必読ですので、お読み下さい。
 ドクター・ポスドク残酷物語ふたたび:君、博士に進み給ふこと勿れ

【追記5】
 またまた、常連である地獄のハイウェイ katsuya_440さんの登場です。上のvikingさんの記事を受けて、就職浪人のためにオーバードクター対策のための研究生制度を提案しています。
 就職浪人のための制度を設計してみないか
 この制度、実は本学理学部では数年前に全学に先駆けて作りました。今年からは全学に拡大しているはずです。理学研究員といって、授業料なしの研究生という位置づけです。

【7月5日追記】
 ハーバード大学医学部留学・独立日記の島岡さんから、日本のポスドクに励ましのエントリーがポストされています。
 ポスドクの本来の強みとは
 島岡さんのおっしゃるように、ただ相手を非難するのではなく「『私たちは社会に価値あるものを創るので投資してくれ』というメッセージを発信する戦略的二枚舌」を駆使し、「有利な世論を形成」しなければならないというのは、まったくそのとおりだと思います。
 私には、世の中には「お買い得」なポスドクがたくさんいるのも見えます(もちろん、買ってはいけないポスドクもいるのですが)。彼らを「買わない」ことが損であることをは、説得だけではなく、なんらかの方法で「証明」するために、とりあえず「お試し採用」をしてもらいたいところですが、そこのところだけでも国が乗り出してくれないものでしょうか。たとえば、企業にとって無償の研究員でも給料は国から出るとか・・・・・。

【7月6日追記】
 inoue0さんのところでも関連エントリーが書かれました。
 クローズアップ現代:博士処遇問題
 まずは、大学院博士課程の定員を削減すべきだろうというご意見が書かれています。私のこの点については同感なのですが、現実的にはなぜか大学も文科省もそれには触れないのです。おそらく、今の大学・大学院の予算が学生定員を基準に決まるので、学生定員の削減は運営交付金の削減につながり、ただでさえ予算がなくなっている大学は怖くて言い出せないのだと思います。文科省も、学生を育てないのなら金をやらないぞと財務省から言われているのかもしれません。私は、まず自分の身を削っても定員削減をすべきだと思います。(こういう意見を言うと、必ず「まず、お前から辞めろ」という声が出てくるのですが、これに乗ると私だけが辞めて定員は削減されないということになるので、そう簡単には受け入れられません(-_-))。

【6日追記2】
 ネットで弁理士さんが、専門家の立場からこの番組の解説を書いておられます。とても参考になります。
 Distress of Post-Doctor, NHKTV Reports 「ポスドクの苦悩」をNHKが放映
 IP National Plan Doubles IP Experts 米国パテントアト―ニ―との対比

SANARI PATENT所見。これら大学院学生の進路統計ないし考察が、文部科学省学校統計に付帯ないし付記されていないことは、わが国行政の弱点である。
【6日追記3】
 numazu72さんが、ポスドクが増えていることで、日本の科学の国際的アウトプットが増えているという「良いこと」があったということが指摘されています。
 ポスドク問題再燃

【7月7日追記】
 この分野の議論では欠かせない sivad さんが、食傷気味といいながらも「マンネリズムこそブログの醍醐味」との言葉を枕に、非常に的確な現状分析をしてくだっています。
 ポスドク問題は博士のビジネス参入を阻害する
 
この「負のスクリーニング」を脱却するには、博士に進学しても「少なくとも経済的に損をしない」状況を作らねばなりません。
 学生に贈る言葉
* 一つは、安易に卒業しないこと。
* そしてもう一つは、専門知識に固執しないことです。

Commented by 蜘蛛の巣人 at 2007-07-03 21:21 x
 NHKの番組を視てstochinaiさんと同感です。で、これ以上のコメントはないのですが、8時に終わった番組について、もう感想がブログにアップされているその速さには舌を巻きます。
Commented by black at 2007-07-03 21:44 x
見ました。案の定の展開です。そもそもドクターは研究者コースで企業家育成ではない。日本のプロ野球でお払い箱になった選手が大リーグで再び成功しています。つまり使う側の問題が大きいのです。ポストドクを使いこなせない企業ばかりの日本は本当に駄目になりそうです。
Commented by enoki at 2007-07-04 00:40 x
私もみてないので、とんちんかんだったらすみません。企業がとらないということだけ批判しても始まらないと思います。

No.92 基本計画の達成効果の評価のための調査
科学技術人材の活動実態に関する日米比較分析
- 博士号取得者のキャリアパス -
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/rep092j/idx092j.html

大学・公的研究機関等における
ポストドクター等の雇用状況調査
- 平成17年度調査 -
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat128j/idx128j.html

博士号取得者の就業構造に関する日米比較の試み
- キャリアパスの多様化を促進するために -
http://www.nistep.go.jp/achiev/abs/jpn/mat103j/mat103aj.html

といった資料に出ていますが、企業が必要としている能力は

高度な専門能力
課題設定能力、テーマへの対応能力
コミュニケーション力
マネジメント力

研究リーダーとして必要な能力

です。そこをなんとか身につけるようなカリキュラムが必要のように感じます。
Commented by enoki at 2007-07-04 00:41 x
逆に言えばそこがなんとかなれば

「産業界においても、技術開発においては暗黙知や擦りあわせに加えて、高度な科学的知識の重要性が増大しており、潜在的にはそのような知識を身につけた人材への需要は増えているはずである。
理工系の高度な人材の需要調整には、博士号を取得する過程での環境、教育が重要であるように思われる。博士課程において、米国でいわれるような能力を身につけることができれば、本人にとっても、雇用する側にとっても大きなプラスとなるであろう。」
後藤晃 「理工系人材のキャリアパスと日本のイノベーション・システム」 科学06年6月号

という希望もあるように思います。
Commented by m_um_u at 2007-07-04 07:05 x
ぼくも見ました。それで似たような感想というか、企業側の論理が先行した番組構成のように思いました。特に、ゲストで呼ばれた東大の先端技術研究のところの人は本来なら分かりにくい研究職の実情について解説すべきなのに企業の論理が先行しすぎているきらいを感じました。

彼らの言うことももっともな部分はあるのですが、丁稚制のような現状や、優れた研究成果を発表したくて企業からも関心が集まっているのにジム方が機能しない、などといった実情をどれだけ分かっているのか、と思いました。(ぼくもエントリアップするかもしれません)
Commented by いい大人が at 2007-07-04 09:35 x
日本の「ポスドク」と言う概念が、単に大学研究室にとって都合がいい労働力であり、次世代の研究リーダとしての育成を受けていないと言うことが最大の問題でしょう。労働力の導入によって、日本のサイエンスにおける業績面では向上が見られました。しかし、当のポスドクたちはその経験によりステップアップできたと言えるのでしょうか。彼らが実際やってることは、ボスのプロジェクトを手伝い、推進することで、実のところ学部や博士課程学生と変わりありません。ボスのために、20代後半から30代を捧げているわけです。しかし、40歳にもなって学部学生と変わらない訓練しか受けてないカタワ者(失礼)を、誰が欲しがるのでしょうか。30〜40代のいい大人の研究者が、ボスの手伝いをやっていると言う時点でとても不健全です。早く独立させてやった方が全てに取ってメリットがあると思います(今のボス、教授陣は労働力が減るので大反対でしょうが)。
Commented by alchemist at 2007-07-04 09:49 x
post docがボスの手伝いであるのは米国も日本も変わりません。ボスの手伝いにも様々なレベルがあります。ボスの仕事をボスの発想以上に引っ張ってゆくのも手伝いです。ですから、ボスの仕事の手伝いが悪いという論調には非常に疑問を持ちました。
米国の制度でpost doc = jounior facultyというのは大学院を終わった博士がfacultyになるトレーニングをする期間で、その間に学生から教員に切り替えるために必要なことを学ぶ、というコースの存在意義はハッキリしていますし、個々人もハッキリ意識しています。そういう意義の定義もなく、米国にあるからというだけで助手の代わりになる制度みたいな軽い気持ちで導入したのが間違いなのではないでしょうか?
Commented by alchemist at 2007-07-04 09:58 x
同じことが任期制の導入でも起きているのではないでしょうか?
基本的に米国のpost docは人気が終わった後、再契約が原則でした。再契約が原則であり、社会も流動的で企業でも受け入れてくれるから、1年なら1年のフルタイムを頑張れるワケです。日本の任期制は契約終了とともにクビが原則です。
どうして、こんな風に被雇用者に不利な形で米国の制度(もどき)が導入されたのか、制度を導入した側にだってpost docの経験のあるヒトがいたハズなのに、肝腎のことがどうして無視されたか、そのあたりの筋道が非常に興味あります。

なお、米国の制度に詳しい知人(研究者ではありません)の言ですが、大学院を出ていない経営者に大学院修了者を使える訳がない、でした。一面の真理かもしれません。
Commented by いい大人が at 2007-07-04 10:21 x
あえてアメリカと日本という対比は避けていましたが、両者の決定的な違いは、ポスドクの将来に関する考え方でしょう。ボスにお金が下りてポスドクを雇い、ポスドクはボスに頼まれて仕事をする。これはアメリカでも同じです。しかし、それと同時にボスはポスドクの将来にも責任を持ちます。グラントで雇ったポスドクがドロップアウトしたら、次のグラント獲得はかなり不利になります。このため、たいていのボスは、自分の頼んだことさえこなしていれば、ポスドクが独自の研究を始めたいと申し出れば、快く受け入れ、バックアップし、論文投稿時にはポスドクが責任著者になります。日本では、そもそもそのような自由は無く、なにをしても自動的に全ての責任著者(受益者)はボスです。そしてプロジェクトが終わったら、その功績のあったポスドクを解雇するかどうかもボスの自由です。日本では次世代の育成は評価の対象では無いからです。30代の最も脂がのった時代に、思い切り自分のサイエンスに挑戦しているか、人の手伝いだけをしているか、これがノーベル賞を総なめにする国と日本の格の違いではないでしょうか。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-04 10:40 x
>black様
>つまり使う側の問題が大きいのです。ポストドクを使いこなせない企業ばかりの日本は本当に駄目になりそうです

 うーん。使えるポスドクは多数いるけれども、使う側がなっていない、というお話もどうかと思うのですけれど…。現在、就職戦線は売り手市場と言われていますが、企業の側は「人手が欲しいんじゃなくて人材が欲しいんです」といいます。現にポスドクでいる人々が「人材」としてみられないのはどうしてなのでしょう?確かに、企業で育ってきたヒトと大学で育ってきたヒトを同じ物差しではかるのはどうかと思いますが。
 要するに、「大学で育てているのは社会で必要とされない人間」という話になってしまうような気がします(実際、それが正しいのでしょうが)。

 大学は「高度な専門性」を高める場であって、「社会人」を育てる場ではありませんからね…。

 ちなみに、「社会人」であっても、もちろん駆け出しの頃はボスの手伝いですよ。置かれる立場はポスドクでも新人社会人でも代わらないと思います。
Commented by OKEAT at 2007-07-04 10:54 x
議論の争点が違う様に思います。博士号はあくまで学歴でああり、資格
では無いという事を忘れtいるように思います。昔の話ですが、PCでソフト
ウェアを作れないという大学教授(一応世間的には物理学者)と知り合いになった事があります。とても優秀な人でしたが、企業では少なくとも技術者としては不必要な人材ということになりましょう。研究職はなんだかんだ言っても楽園です。楽園への道が遠いのは当然としても、オレは博士なんだから別の楽園を企業に用意しろというのも虫が良すぎる話です。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-04 10:55 x
>alchemist様
>日米ポスドクの話…
 確かに米国のポスドクの方が待遇の上でも将来のキャリアの面でも上だという話は随所で聞きます。
 話は他所にそれますが、中国では国費で留学させた人材が、米国留学後に帰国しない事が問題になっているようです(ここ一ヶ月くらいの間にYahooニュースで見ました)。言いたくないですが、結局、

 日本ではポスドクは安く使われ、使い捨てられるポストでしかないから、それが気にいらないんなら米国に行け

 という事になるのですよね…。
 実際、そういう趣旨のコメントを言われているヒトを面前で見た事があります。結局、国家レベルで「頭脳流出が止まらない」と問題視されるほど、国内から優秀なドクターが出て行く傾向がなくならない限り、現状は変わらないと思います。

Commented by デモ鳥 at 2007-07-04 10:55 x
 京大の柳田充弘先生は著書の中で(生命科学者になるための十か条)、学者になるためには母国で職を得られない覚悟をするのはある程度仕方が無い、そしてそれは日本に限られた事ではないという趣旨の事を書いておられたと記憶しています。日本も、中国のように「せっかく育てた頭脳が流出してしまう」と、国家が危機感を感じるほどにならないと現状は変わらないのかもしれません。

 他方、博士の側もポスドクとしての自分の労働対価が安い、将来が不安と感じるのであれば、他のキャリアを選択しうる自分を作り上げる努力をしなければならないとも思いますが。
 私は全ての博士号取得者を知っているわけではありませんが、博士といわれる人々は一般的に社会で生きていけません。「社会人である、高度な専門性を持った人材」が大学で育つようになれば状況は異なってくるのかもしれませんが。
Commented by alchemist at 2007-07-04 11:17 x
<いい大人が>様
日本では基本的にpost docを支える制度が整備されていません。米国のgrantは年間10万ドルで5年が基本ですから、grantをとればpost docを一人雇用することはできます。しかも、5年の期間が過ぎてrenewalする時に、前の5年で業績が上がっていれば新規の応募より確率が高くなりますから、安定的に雇用することができるように制度設計されています。そういう中でpost docが育ってきてfacultyへプロモートされれば、独立してgrantを申請できて組織全体としてプラスに動きます。
日本の場合、まず1000万で5年という適正なサイズのグラントがありません。数百万単位の消耗品、備品で手一杯になるグラントか数千万から億単位の巨大グラントかの両極端です。
つぶやきさんが言っておられたように記憶していますが、億単位のグラントを1人に出すより、1000万単位に小分けして出す方が業績は上がることが多いでしょうし、一人一人のpost docを吟味しながら採用することもできます。
その辺の制度が全く未整備のママ、post docや任期制が表面的な仕掛けだけ導入されたことが今日を招いていると私は考えています。

米国の大学にpost docとして就職して1年ほど過ぎた頃、ある研究室のボスが若くして亡くなりました。ある程度覚悟していたらしくボスのパソコンにはラボのメンバー(20〜30人くらい)全員の推薦状が残っていたそうです。随分昔のことになりましたが、その話を聞いて非常に感動した記憶があります。
Commented by alchemist at 2007-07-04 12:10 x
<デモ鳥>様
実は日本は同じような壮大な実験を70年かけて膨大な予算を投入して行って失敗しています。旧軍隊がそうです。お金がないということで、正面装備だけの軍隊を作り上げました。正面装備以外の後方支援も、あるいは交代要員もお粗末なままで数百万だったかの犠牲を出して壮大な実験は失敗に終わりました。正面装備だけの軍隊で辛うじてロシア陸軍を支えることができたという体験が、余計に悪しき学習になったようです。海の方も、正面装備は揃えましたが、国の存続に必要なシーレーンの確保など全く考慮していませんでした。
ポストドックは導入したけれども、その後方支援が全く考慮されていない、一点豪華主義という点では全く同じです。ポストドックを導入するのであれば研究費の制度を含めて総合的に考えなければいけなかったハズなのです。学習しない国家だなあ、というのが私の感想ですが、他人事じゃありません。で、二年程度行って業績を上げて凱旋するお留学ではなくて、目の前の実験だけでなくそれを支える制度まで体験して帰ってくるヒトが増えるしかない、という印象を持っています。そういう期待を込めて、国外に行け、と言っています。

企業の話は、実際に働いたことがないので(誘われたことは何度かありますが)良く判りません。企業で働いている仲間はたくさんいて、話は良く聞いています。共同研究をやっていて切実に感じるのは、研究室は企業も大学も同じ速度で動いていますが、組織(会社とか大学)としての対応が必要になった場合、大学の対応は感度が悪いということですね。一般にそうだ、と言い切る自信はありませんけども。
Commented by でも at 2007-07-04 18:59 x
番組で紹介されていた分野のひとつは農学の、遺伝子組換えで役に立つ作物を作る研究でしたよね?これって今の日本では絶望的に未来が無い分野であることは誰でもわかりますよね?北海道は遺伝子組換え作物は絶対作らせないという決議をしてるんでしたよね?それに対して先生方や大学の研究者は何故反対しなかったのですか?みみざわりの良い「サイエンスカフェ」とかなら格好いいからやるけど、市民団体との泥仕合なんかやりたくない、むしろ「予防原則」とか言っちゃって反対運動煽ってる大学人が目だっているのではないですか?
企業が悪いわけではないでしょう。産業自体が無いのですから。それをこんなふうに書いちゃう社会的感覚の無さが大学に長くいた人を採りたくない理由の一つでしょう。
Commented by kk at 2007-07-05 04:00 x
よくポストポスドク問題などで、企業で働く人の、どちらかと言えば、アカデミアに批判的な意見を読むたびにおもう。
日本企業って社員を大事にしてないんじゃないかと。
アメリカでポスドクやってもう3年以上、会社で働く人やアカデミア以外の人と話して感じたんだけど、こっちでは、ポスドクやってますっていって、ただそれだけの理由で、使えない、社会常識のない人間だって言われたことはないです。外国人で見た目が学生みたいからかもしれないけど。 で、さらに思ったことは、こっちで会社で働く人たちって、色々いるけど、けっこうみんなそこそこの給料もらってそれなりの生活してるようにみえる。 日本も、もっと会社で働く人たちが大事にされたら、アカデミアたたきや、公務員たたきはへるだろうな。両者は税金で運営されている面から、たたかれても仕方ないこともあるけど、なんか世の中、ぎすぎすしてるように思う。やはり、政治が変わらないといけないのか?
Commented by inoue0 at 2007-07-05 06:59
農学系については存じませんが、応用研究の一般論を書きます。
・研究している人自身が、実用化の可能性を信じていない。単に研究費を取るための口実にしている
・実用化は他の誰かがやればいいことであり、自分は論文書ければ仕事を果たしたことになると考えている
・目の前の仕事(論文、学会発表)で手一杯になっていて、そのような将来を見据えた活動をしている暇がない。政治活動は、すでに第一線を引退した大先生がやるべきことだと考えている
Commented by 結論は出ている at 2007-07-05 08:39 x
いまポスドクでいる学生はそのほとんどがバブル後の「失われた10年」で就職先を決められず(モラトリアム含む)、博士に残った人たちです。一方で、10年間、リストラ・転職の波の中を生き延びた社会人もいるわけです。企業としてどちらが有益かは、この1点を見るだけでもあきらかです。しかるに大学はこの10年間、なにをやってきたのでしょうか?学生にどのような付加価値を与えてきたのでしょうか? 国の政策を批判する前に自らを省みることが重要と思います。
いま付け焼き刃でポスドクを社会に押しつけたとしても、数年後にリストラされるだけです。残念ながらいまのポスドクの人たちは自分の手で未来を勝ち取るしかない。それよりもこれまでを反省し、次の世代をどうするかを考えるべきではないでしょうか?
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 09:51 x
>kk様
>日本企業って社員を大事にしてないんじゃないかと
 私はそうは思いません。社員を採用するにはコストも労力もかかります。また、例えば年収400万の社員を雇うには、3倍以上の負担が会社にかかると聞きます(ソースは企業家向けの成書。独立するなら今の年収の3倍以上稼げ、という話)。

 そこまでして雇うスタッフを大事にしない会社ってありますでしょうか?

 私はマスター卒後企業入り、辞めて今博士学生ですが。企業でいかに自分が大切にされていたか、実感しています。

 ちなみに、アメリカでは、大学生、大学院生と、自分で学費を稼いで学位をとって、その延長でポスドクやっているという方が一定以上いますので、ポスドクだからと色眼鏡で見られる事はないと思います。
 何故なら、「社会人として稼いで学位をとっている」人間は既に社会性、一定のキャリアをもっているからです(例えTAやRAとして、でも)。

 他方、日本の学位取得者、ポスドクはどうでしょう。私は全ての学位取得者と面談したわけではありませんが。日米のポスドクをイコールでは考えられないと、私見ですが思います。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 09:52 x
 結論は出ている様も仰っていますが。就職先を決められず(というか、決めたくなくてズルズル)博士に残った人たち、が今ポスドクです。

 「自分は自分が興味を持った事を徹底的に明らかにしたいんだ!それは残念ながら直接利益に結びつかないから、自分には基礎研究をさせてくれる大学しか行き場が無い!」

 とアカポス志望のポスドクの人らはいいますが。それは詭弁です。
 そんなにやりたければ、就職して、空いている時間に自分で予算をとってやればいい。そもそも彼らが志向する大学のポストは、アカデミックポストであって、彼らが好き勝手にテーマを設定して研究に没頭できる、研究ポストではない。彼らは、それを誤解しています。

 朝時間通りに出勤しなくてもいい。学生の教育も「彼はやる気が無いから」と放棄するのも勝手(決して、その学生のために何が最良かを考えるのではなく、自分と同じく研究を志向しているかどうかが全て)。そんな実情を望んでいる人々に、PD、アカポスにはついて欲しくないし、企業への就職は…。

 変わらなければならないのは。大学でも企業でもなく。大学院生、取得後のポスドク、若手研究者じゃないのかな?
Commented by M at 2007-07-05 10:33 x
国に金が無いんだから、ワークシェアリングするしか無いと思う。教授、准教授の給料を300万円下げる。その金で1人研究員(任期は10年、更新可、副業可)を雇用する。10年任期の人なら雇う方も良く人材を吟味する。副業可なら高校の非常勤講師などで少しは収入の上乗せもできるし、科学の先端的研究を紹介してもらえる高校生もハッピーであろう。これだけ博士が増えたなら、高校理科、数学教諭は博士号持ちを必要要件にしても良いかもしれない。
Commented by いい大人が at 2007-07-05 10:43 x
ポスドクが怠け者で、自分の目的を実現する能力に乏しいから今の現状になっている、だから彼らをを顧みる必要はない、本気でそう思っているのでしょうか。仮にも大学院で6年〜10年のキャリアを積んで来た人間が、無能なでくの坊であるならば、このような無能者を大学院に入学させ、放置して来た、大学院の教員も含めた存在のすべてが疑問視されます。職員たちは恥を知るべきです。巨額の税金を使いながら、人を育てることが出来ない、ただ成功者と言う形の上澄みを吸い上げるだけの選抜機関なら、教育機関の看板は降ろすべきです。もはやCOEなどはたちの悪い冗談にしか見えません。
 このような議論の流れを見ていると、就職氷河期と言う言葉が思い浮かびます。この世代のうち、就職できなかったものは、元々能力の無い弱者だから、放っておいても無職になった。だから、救う必用はない。これと同じ考え方ですね。このまま彼らは日本に存在しなかったことになるのでしょうか。最近防衛相が辞任しましたが、氷河期世代やポスドク問題を「しょうがない」で片付けるつもりなら、発言者は職分の全てを懸けてそういってもらいたいですね。
Commented by stochinai at 2007-07-05 11:33
 ポスドクにも大学教員にも企業の方々にもいろいろな方がいらっしゃるので、自分の経験に基づいた場合、それがポスドクや大学教員や企業の方々の代表であるかのごとくに思いがちになるのはわかるのですが、それを前面に出すと話が錯綜してしまいます。
 自戒を込めて言いますが、一般的な議論をする際には気をつけたいところです。
Commented by 結論は出ている at 2007-07-05 11:35 x
誤解がないように先に書きますが、ポスドクや大学院生が悪いとはいってません。ぜひがんばってください。あなたたちのがんばりが社会に「ポスドクって必要だ」と思わせる有効な手だてです。

私が言いたいのは、大学側の責任です。上記記事で、
>基本的には、何年もポスドクを続けさせるということは、研究者として育
>てているということです。
とかかれていますが、

>味の素がポスドクを採用しようとして40人の選考をしたけれども、
>適格者がみつからなかった
という結果について、教育に誤りがあったとは考えずに「本音では採用する木などまったくない(誤字は原文のまま)」という結論にすり替える大学の意識レベルの低さです。ポスドク採用のポーズをして、その企業に何のメリットがあるのか私には分かりません。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 11:48 x
>M様
 うーん。国に金が無くても、無駄な道路、ダム工事は行われるわけです。適正配分が必要というか…。うーん…。

 高校生に教えるに際し、教員にPh.Dが必要かというと、私はそうは思いません。Ph.Dをもっていることと、他人に物事をうまく教えられるという事は残念ながらイコールではないので。例えばインドネシアなどでは中学、高校レベルから、PCRなど遺伝子工学を教えるコースがあるのだそうで。PCR=先端の教育とは思いませんが、教員を教育するコース、手段があれば済む話で、教員にPh.Dを必須にするかどうかは別問題な気がします。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 11:57 x
>いい大人が様
 多分、日本のポスドク(PD)が怠け者だという人は多くないんじゃないでしょうか?彼らは高度な専門知識、技術をもって研究をしているはずです。「業績」稼がないと次が無い事は周知の事実ですから。

 私はPDの側の問題とは「社会人として振舞えない」事にあると思っています。社会に適応できないということ。

「自分は好きな研究をやるために今のポストに居るんだ」→「だから、世間の常識なんか知らない。」→「とにかく、自分は好きな仕事については能力がある。なのに待遇が悪い。なんとかすべきだ」

 これが問題なのだと思います。

 大学の教員、アカポス志望の博士が自覚すべきなのは。大学は彼らが好きな研究に没頭するためにのみ存在する趣味のスペースではなく。後進を育てる教育の場であるという事です。
 必然、アカポスに関連する人間には、社会人としての振る舞い、学生への指導が必要。

 「大学は社会不適合者の吹き溜まり」「社会に出て行けない連中の椅子取りゲームの場」だと揶揄した先生を知っています(彼は企業から請われて大学にきた人です)。
Commented by stochinai at 2007-07-05 12:02
>結論は出ているさん
 私の書いたことに対するコメントでしたか。失礼しました。私が言いたかったのは、「ポスドクというのは研究をするという能力を磨くための最後の教育期間である」ということで、全員とはいいませんがポスドクを経験した中のかなりの人は研究者としての能力が高まっていると確信しています。
Commented by stochinai at 2007-07-05 12:02
(続き)
 味の素は番組に出てきたので書いたのですが、正式にポスドクを募集して40人もの人がその募集内容に自分がフィットしていると思って応募してきたにもかかわらず、1人も採用しなかったというところに不信感を持ちました。ポスドクから募集したと言うことは、私は研究者を採ろうとしたということだと理解しました。いろいろなポスドクを見た経験から言って、40人ものポスドクがいれば、不適格な人もいるでしょうが、研究者としてはかなり高い能力を持った人もいたはずだと確信しています。それを、1人も採用しなかったということに驚いた感想を書いたものです。
 「教育」という言葉を使ったのはまずかったかもしれませんが、ポスドクくらいになると、教育によってそれほど変えることができるわけではありません。研究者として自立するための最後の仕上げをするための場と時間(それも「教育」だと思います)を与えられるのがポスドクだと思います。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 12:04 x
>結論は出ている様

 味の素様の試みに、仰る意図があるかどうかは別にして。現在進行形で、かの企業は人材募集をかなり継続して、積極的に続けておられます。求人サイト、転職サイトに登録すれば、随所で募集を行われている事を目にされるでしょう。

 味の素様に限らず。今、就職戦線はバブル以来の売り手市場といわれております。それにも関わらず、就職できない人がいる。これは何故でしょうか?私はそこに、味の素様が「募集したが該当者無し」とする理由があると思っています。
 最近、私は就職説明会によく参加しますが「人材は欲しいが人手は要らない」という言葉を随所で聞きます。コレじゃないですか?

 企業や大学に問題がないとは言い切りませんが、ポスドク、学生の側に問題はありませんでしょうか?
Commented by alchemist at 2007-07-05 12:06 x
>大学はこの10年間、なにをやってきたのでしょうか?
大学の管理中枢が何をやってきたのかは存じませんが、末端の現場でしたら、普通に教育して、負けないように研究して、研究できるように研究費稼ぎをして(水光熱費等のrunning cost以外は競争ですから)、実験が進み易いようにヒト集めして、死なないようにjob huntingを繰り返して、幸運にもjob huntingに成功したらラボの立ち上げに頭を抱えて、廻りのヒトの就職の援助して、大学運営に必要な日常作業のお手伝いして、本省からの制度嬲りのたびに末端業務を手伝って、頼まれれば教科書作って、お役所の何やらかんやらの審査業務のお手伝いして、学会運営のお手伝いして、自治体から関係ありそうな領域のことで手伝い頼まれて・・・と、完全に日常業務に振り回されているのが、大半の教員ではないでしょうか。
末端の実務担当者なんて組織をとわずそんなモンじゃないですか?
Commented by いい大人が at 2007-07-05 12:47 x
デモ鳥さんが言う、ポスドク(博士課程の大学院生も含む)の問題は、「業績主義」「狭い視野」「自己中心的」「社会人としての常識」と言ったところでしょうか。
 プロジェクトを遂行し、ボスに論文を出していただいて業績として認定してもらう。この業績がたまると職を得ることができる。これが「業績」信仰であると思います。また、一つのプロジェクトを論文(「業績」)にするためには2、3年程度の時間はかかります。分野を変えて論文を出すにはそれ以上の時間がかるでしょう。「広い視野」は「業績」を効率よく量産する言う面では不利に働きます。職を得るまでは今のボスに尽くし、論文をたくさん出して、新しいことはそれから考えよう、というのがポスドクの考え方でしょうか。業績信仰を利用した、ボスによる方向誘導と、ポスドクが自ら落ち込む視野狭窄が問題の要因になっているのではないでしょうか。
>alchemistさん 最後のときまで部下のことを考えられるのは並大抵の心構えではないでしょう。感じ入ります。私の知るアメリカのボスも部下の面倒はきちんと最後まで見る人でした。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 13:04 x
>alchemist様
 独法化直前、ボスは光熱費もラボの予算から出る事になったといっておりましたが…大学によって扱いが違うのでしょうか。

 以後、「大半の教員ではないでしょうか」のくだりはその通りだと思います。それも仕事のうちだ、と言い放ってしまえばそれまでですけどね…。

>いい大人が様
 業績主義。問題の本質ですね。
 とはいえ、業績の無い人間を評価しようもないのは事実です。

 人間性、教育能力、研究能力は持っているという前提で、ポスドク、博士の就職を論じる社会にできれば最高だと私は思います。

 私的な事ですが昨日、教授に言われました。就職活動する時間があれば実験しろ。今後も就職活動するなら、お前の試薬購入は一切認めない。と。

 これが大学の現実です。アカポスの頂点にいる人間の言葉、人間性です。本日より、研究職を諦め、学位取得を諦め、かつて在籍した職種、業界の就職活動をやります。

 これがアカデミック世界の現実です。
 上は教授、下は博士課程院生に至るまで、ね。
 PIの視野狭窄の結果の一例をご承知頂けますれば幸いです。
Commented by saiyou at 2007-07-05 13:06 x
企業人としては、畑違いのポスドクとやらに何の意味も見出せません。
明日からでも開発研究に従事できるような人でなければ、年齢も高く学位も持っている方は正直扱いに困るだけです。
ポスドクは中途扱いですからね。業務にジャストミートな方以外は新卒の元気なのを取ったほうがましなんですよ。
Commented by M at 2007-07-05 13:20 x
>saiyou様
そりゃそうでしょうね。大学院の時にいたラボは、会社と共同研究していて、会社から派遣されて来た研究員(その時点では学位無し)の方にいろいろ実験を教わりました。会社の研究所はかなりレベル高いな、と思いました。
農学系の方達は、外国の会社なら採用されるんでないかと思いますね。みんな日本に見切りをつけて、早めに外国に行きましょうよ。
Commented by いい大人が at 2007-07-05 13:25 x
saiyouさん 畑違いは即座に研究開発に参加できないから要らないとは冗談ですよね。思わず苦笑してしまいました。関連分野の原著論文がある、などと言うことがその分野での研究能力を示す唯一の指標ではないはずです。どうして研究分野をもう少し勉強してから来てくれとか、研究分野に関する試験をしてみるとか、歩み寄りを見せようとしないのですか。もう少しその個人の持つものを見極めようとする努力も必用じゃないでしょうか。これではコミュニケーション能力の欠如もいいところですね。逆に、関連研究室に在籍していた、というだけでは全く能力は保証されないと言っていいでしょうから、瞬発的な使い勝手は良くても、数ヶ月の時間単位で見ると能力の低い人材を掴まされることになると思います。広い視野を持って、学部卒の学生と博士卒の学生を見比べてみると、新しい発見があるかも知れませんよ。
Commented by saiyou at 2007-07-05 14:02 x
いい大人さん
苦笑なさろうと結構ですが、こちらは変わりませんよ。今は中途応募者も沢山いますので、ポスドクに歩み寄る必要なんかありませんし。
Commented by alchemist at 2007-07-05 14:05 x
>デモ鳥様
〆切り直前のお仕事がようやく終わったところです。ウチの場合は光熱費とかコピーのレンタル料、学生さんに配布する資料くらいは研究室への配分経費で賄えます。ラボへの配分経費の額については国立大学の時代から大学によってずいぶん格差がありました。
大変なセンセに付かれましたね。でも、アカデミック世界の一部の現実・・・くらいにしておいて戴けると有難いのですが。2年間の修士課程なのに1年以上就職活動で学生さんが出てこないとぼやいている友だちもおりますので。
Commented by M at 2007-07-05 14:17 x
日本の博士号は、能力が学部卒よりも格段に高いことを担保しません。博士課程修了に研究アイデアを出す能力があるかどうかは問題にされず、ボスのアイデアの元、いかにデータを出せるかだけですから。これでは学部卒を会社の研究所で鍛えても変わりません。学部卒や修士卒で使えないと分かれば、即営業行きです。本当に卓越したアイデアや研究能力があるならば、日本でも外国でもどこにでも行って職を探しましょう。ダメならば研究補助員の職があるかもしれません。Y 先生が仰る様に、科学に貢献しているという自己満足のもと、年収300万円で暮らそうではありませんか。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 15:29 x
>alchemist様
 大変なセンセの一人についたのかもしれませんね。
 学部、修士、博士とそれぞれ別のセンセについて、多かれ少なかれ
「就職活動なんかしてる時間があったら」という台詞は頂戴した事を付記しますです。

 学部のときは
「君が就職活動用の書類をチラ着かせるとラボ全員の士気が乱れる」
 というコメントもありましたね。

 一般化するのはどうか、という意図はおありかと思いますが。このあたり、全PI、全教員の意識調査をしてみたいところです。

 ところで、「就職活動で出てこない学生」というのは逆に論外だと思います。会社説明会、面接があったとしても、それはせいぜい数時間の事で。地方の方が首都圏に出て行くとしても、毎日毎日活動があるとは思えません。(むしろ、そんなに活動しても決まらないのであれば、その学生さんは就職以前の問題を抱えているのではないかと思います)。

 私は、月に数回、午前のみ、あるいは午後数時間抜けてラボに帰る、という程度の活動でしたYo。今後、増えるかと思いますが(えぇ、お陰さまで今日はパソコンの前に居る時間たっぷりです)。
 
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 15:36 x
>M様
 おおっと。仰る事は確かにその通りなのですが、極論ですね。

>学部卒や修士卒で使えないと分かれば、即営業行きです。
 研究と営業では要求される資質が違いますから、営業行きというよりも配置転換の結果として「自主退職行き」が正しい行き先では。もちろん、配置転換の末にいい意味でブレイクする営業マンもいるかもしれませんけどね。営業職も一種の専門職だと思いますので、営業も馬鹿にできたもんではないと思います。

 結局、本当に腕と脳に自信のある人は海外に出て行くか、使い捨てかもしれんPDの現状を受け入れるかしかないのでしょうね。わかっていながら日本でPDに甘んじる人が多いから現状が維持されていますが。いずれ、中国のように「優秀な頭脳の流出」などという見出しの記事が出るのかもしれません。問題になってから対応しても遅いんでしょうけどね。

Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 17:46 x
>saiyou様
 仰る事は一面正しいかと思います。
 中途採用とは課程途中の博士学生やら、研究職の会社員転職組の方々の事でしょうか。恐らくは現状をご存知かと思いますが、ポスドクには社会で生きていけない事を自覚した上で博士課程、PDと過ごしてきた方々が居ます。
 重ねて、仰るように企業の側が歩み寄る必要もないと思います。社会人たりえない人間が安定雇用を求めて群がってきたところで、企業の側が受け入れられるわけがありませんからねぇ。

 でも、そこでシャットアウトしてしまうのは寂しい気がします。なんとかならないもんでしょうかねぇ…。

 とはいえ、これは企業の側の問題ではなく、大学スタッフ、PD、学生の側の問題なのですが…。
Commented by alchemist at 2007-07-05 17:55 x
>デモ鳥様
壁一枚隔てたら、隣のラボは判らないのが大学ですから、自分の言ってることが一般的かどうかの自信はありません。
見聞きした話を含めて記憶を辿れば理学系の方が厳しかったような印象はありますが・・・ラボによります。田舎の大学の方が面倒見が良いような印象もありますが・・・ラボによります。流行の先端で黙っていてもヒトが集まってくるラボの方がヒト使いが荒かったような気もしますが・・・ラボヘッドによります。それに夜中土日休日丸でなしで有名だった某研究室(の割と近所でいました)出身者見てると、良い研究者に育っているヒトが結構多かったりしますから、長い目で見るか近い将来を見るかで評価も変わりますね。まあ、あの研究室は厳しさも定評ありましたが(あの教授なら「就職?君は何をネゴト言ってるのですか」と言ったでしょう)、業績も凄かったですが。それに、いくら人材が出た研究室だって、その分潰れたヒトもいたはずで、そちらの立場からは評価は変わるでしょうし・・・。
上にも書きましたけど、海外に行くのは賛成です。何年か過ぎて見違えるように逞しくなって帰ってきたりします。学位を出した後は本人次第で、ガッコのセンセには何もできません。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-05 18:58 x
>alchemist様
 良い研究をするためには、ついてこられない中途半端な人間はある段階でスクリーニングにかける事も必要かもしれませんね。
 でも…うーん。甘えでしょうか?学生をわざわざ潰す事を考えるよりも、むしろ出て行きたいという学生には積極的に出て行かせる方向で考えてもよいと思うのですが。中には「自分の門下生でそういう落伍者は許さねぇ」という先生もおられるかもしれませんけどね。
 ちなみに、うちのラボは医学系でして、ラボに出てこないで教授に直接お金を積んで学位をとっていくMDさんらは山ほどおられますです。一流かというと、IFの高い論文が何年に何報でてるかな。

 ガッコのセンセが卒業したあとの人間にまで責任を持つ必要はまったくないと思います。卒後、推薦状書いてくれと頼まれた場合、中身をどう書くかはボスの自由だと思います。
 でも、研究する生活以外を否定し、従わない人間をわざわざ叩き潰す人間ってどうなのでしょうね。

 うちは極端な例なのでしょうけれど。

 さてさて。明日も就職活動頑張ろうっと。
Commented by katsuya at 2007-07-05 20:19 x
トラックバックどうもありがとうございます。授業料なしの研究生というか無給研究員について言えば、医学系等では古くから伝統があるようですし、現時点では足掛かりになると思います。

ところで北大の場合はどうなのか教えていただきたいのですが、企業・業界研究のセミナーとか模擬面接とかそういう就職支援関係のプログラムで理学研究員向けのものは実施されていますでしょうか。企業へのドクターの売込みを本気で考えておられるなら、研究と就活の両立を応援してあげて下さい。

キャリアパス多様化促進事業関連などは本来そういった就職支援事業であるべきと思われるのですが、タンパク3000終了後に大量のポスドク・テクニシャンの首切りをやっているらしい理研が、一方でキャリアパス多様化促進事業の実施機関としてキャリアサポート事業をやっているんですが、上手く行ってるんだろうかと疑問を持ったりしています。
Commented by stochinai at 2007-07-05 20:33
 まさにそのキャリアパス多様化促進事業により、昨年度からS-cubicというキャリアパス支援事業が立ち上がっており、そのなかで、企業との交流を試みられています。
http://www.sci.hokudai.ac.jp/s-cubic/
 しかし、まだ双方手探り状態ではないかと思われます。キャリアパス関連の教育も、学部・大学院時代からやっておかないと、いきなりポスドクに提示しても疑心暗鬼になるのかもしれません。
Commented by 結論は出ている at 2007-07-06 06:48 x
頻繁に書き込みができず議論にはついていけません。簡単に返信のみでお許し下さい。

stochinaiさま
>研究者としてはかなり高い能力を持った人もいたはずだと確信しています。
「うちの商品はいいものだから、お客さんは必ず買うはずだ!」
人間を商品にたとえるのはよくないかもしれませんが、こうおっしゃっているように聞こえます。だから学生が「売れない」のです。理系の大学の先生も、マーケティングのことを少しは勉強された方がよいようにおもいます。
いくら産学でアタマを寄せ集めても、問題の本質がわからないようでは無駄です。
Commented by 結論は出ている at 2007-07-06 06:49 x
alchemistさま
>完全に日常業務に振り回されているのが、大半の教員ではないでしょうか。
同様のお話はあちこちで聞きますし、理解できます。ということは、いまの大学院生やポスドクを社会に送り出すための秘策は、大学には全くない、だから国になんとかしてほしい、という理解でよろしいのでしょうか? 大学の予算や研究時間を削ってまで、大学院生を社会に送り出す努力をすることは現状では難しい、ということですね。
Commented by ポスドク at 2007-07-06 08:41 x
私の周りにも多くのポスドクがいますが、できる人はちゃんとステップアップした次のキャリアを見つけてきます。大抵の場合、それが自分の研究を発展出来る、もしくは将来に繋がるようなポストな訳です。ただ、ポスドクのキャリアに関して、ポスドクが研究を継続したと願うのって自然な流れだと思うのです。なぜなら自分はその研究をするために自分の刀を磨いて来た訳ですし、今度はその刀で自分の身一つで未知の領域に切り込んで行きたいじゃないですか。自分のやりたい事があって、それをまだ誰もやっていないことは分かっている訳ですから。

ポストを手に入れると言う事は、たとえそこに政治的バイアスが働くにしても、椅子取りゲームなのだから、椅子に座れない人はまた別の椅子を探すか、卑屈にならず前向きに別の生き方を探したらいいのだと思います。少なくとも私は血の小便を出して研究の方法論を学び実践した結果としてPh.D.をもらい今こうしてポスドクをしています。でもその看板が吹けば飛ぶよに軽いものであるのなら、自分が納得した上で看板を降ろす覚悟を持って研究しています。
Commented by alchemist at 2007-07-06 09:31 x
>結論は出ている様
大学本部が何を考えているのか、私には判りません。
ただ、1970年代にオーバードクター(給料もでないワケですからポストドックより異常ですね)が1000人をこえた大学がとった措置は入学者を少なくすることだけで、出してしまったオーバードクターは放置のままでした。なぜ、その時の苦い経験の記憶が続かないのか理解に苦しみますが、大規模に同じ轍を踏んでいます。個別のラボヘッドの努力に期待する以上の対策は大学にはないように見えます(大学本部では考えているのかも知れませんが、何も聞こえてきません)。予算的には構造的に赤字になる病院の経費が毎年4億くらい削減されることの手当てに追われているように見えます。

対策として考えられることは、日本の政府支出のグラントの総枠はそのままでいいですから、やたらに大きいのも小さいのもなくして1000万×5年を基本サイズにして業績に応じて配分すること、さらに、業績に従って延長を可能とすること、そしてsoft moneyでの准教授(場合によっては教授)の雇用を可能にすること・・・といった米国のシステムに準拠することくらいしか私には考えつきません。でも、どこでこういう提案をしても賛同は少ないです。
Commented by alchemist at 2007-07-06 09:40 x
(続きです)大学は政策の立案機関ではなく執行機関ですから(言ってしまえば通産省の出先の地方通産局の更に出先みたいなもの)独自の政策を打ち出す余地は余りないようですし、問題は現場に丸なげしているだけのように見えます。法人化に伴って増えた業務もほとんど現場のボランテイア活動(みたいなもの)で乗り切っているようですし。・・・繰り返しますけど、あくまで末端の現場から見た話です。
まあ、ウチは場末の研究室で院生もそんなに来ないので、就職に余り困っていないので・・・ということもあって情報に疎い可能性もありますが。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-06 11:06 x
>alchemist様
 そういえば、当時オーバードクターだった方々ってどこに行かれたのでしょうね。ご存知でしたらご教示頂きたいのですが…(ネット検索でひっかかりませんでしたし、ラボの同僚、ボス連に聞いても「さぁ?」と)。

 今でこそ、ポスドク雇用は供給に対して概ね需要が上回っているので(勝手な印象です。根拠無し)浪人博士が餓死するとかいう状況にはなっていませんが。年々上積みされるPh.D、減少傾向にあるポスト、を考えると、いずれポスドクという受け皿も足りなくなり、かつてのオーバードクター以上の規模で問題が舞い戻ってくるように思います。

 そうなったとき、現ポスドク、将来のポスドクの中であぶれた人たちがどこにいくのか…。社会経験のない30歳オーバーの人材がゴロゴロ出る事を考えるとそら恐ろしいものがある気がします。

Commented by デモ鳥 at 2007-07-06 11:07 x
続き)
 ポスドク様が仰っているように、博士の就職は椅子取りゲームですから、あぶれた中も別の椅子を探しうる人々が大量にいるのであれば救いもありますけれど…。味の素事例でみたように、ポスドクが社会でそれほど必要とされていない様子を考えると……。

 過去のオーバードクター問題がどうなっているのか。それがもしかしたら将来のポスドク、Ph.Dのキャリアについて、ヒントになるかもしれないのではないでしょうか?(オーバードクター→ポスドクと単純に遷移しただけかもしれませんが)
Commented by M at 2007-07-06 11:23 x
まあ、みんな人事や研究費の配分に不公平感があるから、余計にポスドクの人々の苦悩があるんでしょうね。生物系なんて頭悪くても、結構運だけでいい雑誌に論文出せて職が転がり込んだりするからねえ。研究職を増やす代わりに今いる人も給料半分、兼業可にしたらどうかな。
学生同様、安アパートに住んで自転車通勤、生協で飯喰ってボロい服着て過ごせば大して金かからないよ。子供は公立、塾無しで親が教える。昭和30年代くらいの生活水準ね。
Commented by M at 2007-07-06 13:17 x
>デモ鳥様
1970年代のオーバードクターの末路ですか。私の知っているのは阪大医学部学士入学、予備校教師、医大の教養部教員、地方公務員などですね。
Commented by alchemist at 2007-07-06 14:44 x
>デモ鳥様
朝からの会議をちょっと抜け出してきました。
ODの行き先で、上でMさんがおっしゃっておられる他に存じているのは企業の研究所、米国のポストドック(割と良く会いました。ちなみに上記の1000人のODには国外のポストドックはカウントされていません)が多かったような気がします。米国のポストドックの後、そのまま定住したヒトもいれば、日本の大学に舞い戻ったヒトもいます。企業の研究所に入った友だちもかなりいます。
他には塾を経営しているヒトとか高校の教員になったヒトもいました。確か、あの頃、地元の公立高校の理科の教員試験の合格者は最低でも修士だったような気がします。
他には医学部進学もいました。私たちの下の学年ですら工学部1年中退、2年中退、3年中退、卒のほかに工学修士や工学博士までいましたから。割と近いところにある医学部の合格者トップはウチの大学を止めたり、卒業したり、学位とったりしたヒト達だ(毎年10人くらい?)という話も聞いたことがあります。
私に判るのはそのくらいです。
Commented at 2007-07-06 17:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-06 20:54 x
>M様、alchemist様
 ありがとうございました。みなさま研究以外でも生きていく術を身につけられたということですね。企業に入られた方もやはりおられるのですね。
Commented by 黒影 at 2007-07-07 00:42 x
>彼らを「買わない」ことが損であることをは、説得だけではなく、なんらかの方法で「証明」するために、とりあえず「お試し採用」をしてもらいたいところですが、そこのところだけでも国が乗り出してくれないものでしょうか。たとえば、企業にとって無償の研究員でも給料は国から出るとか・・・・・。
派遣の研究職なんかがおっしゃっている事に近い役割を果たしているのではないかと。
派遣→正規採用という話もたまに聞きますし。
まあ一部の優秀な人の話なので、残りはどうすんだという話になりますが。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-07 03:20 x
>黒影様

 派遣→正規雇用のクチについては、専門学校卒で大学にパートできている女の子の方が多いかもしれません。少なくとも、私の身の回りではそうです。大学でパート→パート先を企業に鞍替え→正規雇用。

 私の身の回りでそういう進路をとった女の子が2名いますが、ポスドク以上の厚待遇にびっくりしております。死ぬ思いで学位とった博士よりも、専門学校でてパートしてた子の方がいい待遇を受けられるのが現実ですね。

 ようは、企業は博士が持っているブレインは過剰にはいらないということですね。むしろ、与えられた仕事を正確、迅速にこなせる人間であれば、と。私の身の回りの話限定ですけれど。

 しょうじき、「博士はタダでもいらない」と思う企業もあるんじゃないでしょうか。残念な事ですけれど。

 ちなみに、研究遂行能力については、博士号取得者と専門学校卒業者では比べ物にならないことはいうまでもないですよね。博士として優秀かどうかと企業に入れるかどうかは別次元の話だというのが私の持論です。
Commented by 結論は出ている at 2007-07-07 10:27 x
alchemistさま、大学の正直な現状をお教えいただきありがとうございます。大学執行部と教官個々人を切り離して弁明されているようですが、大学の外から見れば一体です。おうべき責任も一体です。
Commented by alchemist at 2007-07-09 12:57 x
結論は出ている様
院生やポストドックを社会に送り出せるかどうかを含めて、私は研究室に任されていると理解していますし、責任も研究室にあると考えています。大学と研究室の関係はデパートと各売り場の関係というよりは、デパートと食料品売り場のテナントとの関係に近いでしょう。デパートと各売り場の関係に近いのは学部教育までではないでしょうか?当然、研究室によって院生が企業に行き易いところもあるでしょうし、行き難いところもあるでしょう。その辺の判断は一面では研究室に任されているし、方針の違いを考慮しながら研究室を選ぶ院生にも任されているという牧歌的理解ではダメなのでしょうか?
よほどのことがない限り壁一枚隔てた隣の研究室でも何が起きているのか判りません。就職口があったとして、lab headが気にしない方なら、話を廻すことはできますが、ヒトによっては余計な介入を嫌う場合もありますので・・・。
Commented by alchemist at 2007-07-09 13:10 x
デモ鳥様
土日出張の月曜日はしんどいですね・・・。
企業に入っているヒト、少なくないです。国外で勤めていた時の友だちに多いような気もしますが。そういうヒトを介して誘われたこともありますし、時々、ヒト集めのついで・・・といって、研究室に遊びに来るヒトもいます。先週末のように、こちらが出張した時に飲みに行くこともありますし、今週、仕事の打ち合わせで来る友だちとは、終わった後でどこかに飲みに行くでしょう。
・・・という感じで、個人的には企業だ大学だ・・・という落差は余り感じていません。
Commented by ポスドクやってます at 2007-07-12 17:32 x
日本学術振興会の特別研究員の採用状況(http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_saiyo.htm)を見ると、博士はどんどん量産される傾向にあるのではないかという印象を持ちました。申請数に対してPDは10%前後の採用であるのに対して、DCでは20-30%の採用になっています。このような近年の、DC1, DC2を合わせた採用数がPDの採用数の3倍以上あるような状況はさすがにまずいのでは、と思います。ポスドクは学生と違って溜まっていくので、DCの採用を増やすならば、それに少なくとも比例する形でPDの採用も増やさないと、修士で就職するつもりだったけど、DCに通っちゃったから博士に進み、博士号取得後は椅子の数は少なくて路頭に迷う、というポスドク問題が加速するだけではないでしょうか。
ただし、学生が研究に専念できるよう経済的補助を受けられる制度は重要と思っていて、少なくとも博士課程の学生に関しては、学費は無料にし、できれば安くても生活できるくらいは給料を払って「研究者」としての待遇をするべきでしょう。
Commented by stochinai at 2007-07-12 20:03
 学術振興会のPDは研究費が付きますので、自分の研究が続けられる可能性がもっとも高い良いPD制度だと思います。その分、競争率が高くなるのもわかる気はします。ただ、そうやって自分の研究をさせることによってキャリアアップを考えているのならば、学振PDは文科省お墨付きの優秀若手研究員ということで、文科省は率先して学振PDの研究職への就職を後押ししても良いのではないかとも思います。

 同じように、DC1・DC2も研究費が付きますので、文科省が選抜して将来の研究者へとエリートとして育てるという位置づけになっているのだとしたら、履歴としてもっと尊重されてもいいような気がするのですが、大学院時代にDC1やDC2をとっていたことで、後々のキャリア選択で優遇されているというようなことはあるのでしょうか。
 なんか、選抜するわりには、その評価が社会的意味を持っていないのは科研費などでも感じることです。評価して選抜するのですから、もっと権威がないとダメではないでしょうか。ばらまきになっているのかもしれませんね。

 また、最後の博士課程の学生支援については、私も大賛成です。
Commented by katsuya at 2007-07-12 20:37 x
alchemistさんの話にケチをつけるわけではないですが、企業というのはどこも基本的には営利組織ですから、その組織の看板で仕事をすることを望んでいる気がします。 だからそこに採用されようとする場合は、組織の看板を担うような意志を見せ掛けでも見せた方が良いように思うのです。
ところが、PDを含め大学人は個人事業主ぽい感覚(テナントと仰いましたが)があるので、それが面接の時には不利に働く可能性があるのではないかなとも思いました。
Commented by enoki at 2007-07-14 10:36 x
だれも触れていないのですが、次のような資料が今週公開されていました。

大学・公的研究機関等における
ポストドクター等の雇用状況調査
― 平成18年度調査 ―
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/mat137j/idx137j.html

この資料によると、2005年現在、ポストドクター等ののべ人数は、15,496人であり、2004年度の14,854人より642人増加しています。理系が31%、工学系が30%であり、女性は21%、外国人は24%、30~34歳が45.8%と過半数近くを占めますが、40歳以上が10.3%います。競争的資金および外部資金から雇用されているものは47.2%です。
その他社会保障等のデータもあります。
Commented by stochinai at 2007-07-14 11:24
 情報をありがとうございます。最近、あちこちの新聞で報道されているもののソースのようですね。おおむね実感に近いものと思われますが、さてこの資料をどう生かしていったものでしょう。
Commented by at 2007-07-23 03:39 x
今さらではありますが、やっとNHKのビデオが手に入り、見ることができました。今後の議論のお役に立てればと、見ながらトランスクリプトを作成してmixiの私が管理しているコミュ、「ポスドクが100人いる村(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=20331134&comment_count=10&comm_id=2194599)にアップしておきましたので、ご興味のある方はご覧下さい。
by stochinai | 2007-07-03 20:53 | 科学一般 | Comments(69)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai