5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

トラックバックのできないブログなんて

 今日はネットが重いので、簡単な記事にしておきます。

 このところ、結構ハードな議論をしていただけることが多く、感謝しております。ブログというものの力を過大評価してはいけないと思いますが、さりとて過小評価することも間違っていると思います。ネットがなければ、決して得ることがないであろう貴重なディスカッションから見えてきたものも、たくさんあります。

 もともと私がブログをやってみようと思ったきっかけは、大学や研究者というものが社会から相手にされていないことを身にしみて感じるということをなんどか経験したからです。世の中のほとんどの人は、自分が大学生であるか、あるいは自分の家族に大学生がいるときくらいしか大学のことを意識していないと思います。

 もっとも寂しい思いをしたのが、国立大学の法人化の時です。あの時は、大学教員のおそらく8割くらいは法人化に反対の意見を持っていたと思います。ところが、大学の中でそうした反対の意思表示をしたり、行動したりする教員はだいたい1%くらいのものでした。多くの人は反対だとしても、投票行動くらいはしても反対の意見すら公開しません。

 その時に、法学部のある先生が「大学の法人化を止めることができるのは、国民の声だけだ」とおっしゃったことが今でも耳に残っています。

 大学の中でさえそんな状況でしたから、いきなり国民の皆さんに「大学の法人化に反対してください」と言ったところで、ほとんどの人が大学が法人化されることすら知りません。あるいは知っていても、大学なんてあってもなくても同じだから、税金の節約になるのなら法人化でも民営化でもすればいいんじゃないの、と言われるのがオチでした。

 大学の必要性が国民に認識されていないのは、我々大学にいる人間の責任がもっとも大きいと思いました。

 大学が必要か必要でないかということを判断する情報がないまま、税金を大量に使っている国立大学をどうしましょう、などという設問があったら答は自ずから明らかです。情報が提供された上で、人々が大学というものを理解した上で、不要であるという結論が出たのならば、素直に廃止を受け入れるべきだと思いますが、まずは自分が愛する学問と研究と学生と大学のことを一人でも多くの人に知ってもらうための活動をしなければならないと思いました。

 知ってもらうためには、日常的におつきあいをするのが一番ですが、生身の自分が実際におつきあいできる人の数などたかがしれています。せいぜい数人から、多くても数十人でしょう。大学で教壇に立ったとしても、事情はそれほど変わりません。

 その頃に出てきたおつきあいのツールとして、私はブログに注目しました。最初から、毎日何十人の人とおしゃべりができるような気がしました。やがて、それが何百人になり、今はPVで2000の日も珍しくありません。もちろん生身のおつきあいとは直接比べものにはなりませんが、毎日書き続けることで自分という人間の表も裏も成功も失敗も正も邪もいろいろなことが思わず漏れ出てしまうことで、かなり普通のおつきあいに近い状況が創出されているような「気」がしております。

 もちろん、すべての皆さんが味方というわけではないでしょうが、もしも私が現実社会(大学?)で理不尽な状況に追い込まれたら、かなりの方が(少なくとも言論では)声を上げてくれるような信頼感が私にはできつつあります。

 つまり、このブログにある種のコミュニティができあがってきているような気がするのです。これはかなり、私が求めていたものに近いのかもしれないと感じられます。

 というわけで、私はなんだか新しい世界を見つけたような気がしているのです。

 それは、さておき今のエキサイトブログのサーバーの状態はとても困ったものです。エキサイトの外からのトラックバックを受け付けてくれないのです。ブログ・コミュニティは投稿された記事とそれに対するコメント、トラックバックを介して行われます。そのトラックバックが使えないということは、郵便局が小包の扱いをしないというようなもので、その機能が片肺マヒの状態です。この状態が続くと、このコミュニティを維持することすら困難になると思いますので、真剣に引っ越しを考えざるを得なくなります。

 エキサイトの社長さん、メンテナンス・チームの皆さん、サーバー外からのトラックバック機能を1日も早く修復してください。

 トラックバックのできないブログなんて、クリープを入れないコーヒーのようなものです。(何歳くらいまでの人が、これわかりますかね?)
Commented by スワ at 2007-07-11 01:24 x
ちょうど似たようなことを考えていまして,驚きました。

私は現在院生なのですが,teaching assistantやゼミなどにおいて,後輩や学部生の研究を指導する機会が少なからずあります。

これについて少し議論が起きています。つまり,院生は研究が本分なので,あまり他人のために時間を割くべきではないし,また,あまり手伝うのは本人のためにならないというような議論です。

私は漠然とこの意見に反発し,できるだけ面倒を見るようにしてきました。単純に,彼らは困っていたし,指導することによって「あー,そうかあ」と気付いたときの彼らの笑顔を見るのが好きだったからです。

今日,先生の記事を読んで,やはり積極的に指導するべきではないかという思いを新たに持ちました。彼らの多くは企業に入っていくわけですが,そのとき,彼らの中に「研究は楽しいもの」という意識が存在していれば,徐々に企業と研究者の関係は好転していくのではないかという考えからです。
Commented by Jun Seita at 2007-07-11 07:19 x
無料のブログを利用している以上、このような事態は想定範囲内ではないでしょうか。
TrackBackの仕組みを利用したスパムの量・巧妙さは日々増加しており、それに対処するために、エキサイト社も多大なコストを投じているはずです。
私はサーバーをレンタルして、自前でブログを運営していますが、TrackBackスパムに対抗するために、常に一定の時間を勉強およびプログラムの更新に割いています。
stochinaiさんは、ご自身の生み出したコンテンツ、そして形成されたコミュニティーに、月に幾らならコストを負担してもいいと、お考えですか?
Commented by stochinai at 2007-07-11 07:50
 確かに便利なサービスを無料で享受していること(それ以上に現場でメンテにあたっている人に)はありがたいと感じていますが、提供する側にもメリットがあって成り立っているのがWeb2.0だと思っておりますので、必要以上に低姿勢になる必要はないと思っています。
 確かに、できあがったコミュニティと、それを維持するための現状のサービスならばお金を払っても惜しくないくらいの価値はあると思っていますが、値段をつけるのは正直言って難しいです。
 そうですね。今はゼロですが、このサイトを通じてアフィリエイトなどでかせげるくらいが妥当なところなのでしょうが、強いて言えば月に数千円、年間で10万円を越えないくらいなら負担してでも続けることができそうな気がします。
Commented by Salsa at 2007-07-11 12:45 x
 大学の法人化の時に、はずかしながら無関係だった人間です。ですので、その議論も記憶にありません。最近になって大学周辺をうろちょろするようになり、関心を持つようになりました。
 一度、法人化がめざしたことと、そのギャップについて整理してお聞かせ願えないかと思っています。当時はなぜ法人化に反対されていたんですか?
Commented by ヨシダヒロコ at 2007-07-11 13:10 x
うちの負担は年に3000円です。
Commented by stochinai at 2007-07-11 13:21
 Salsaさん、最近新聞に大学関係の問題がいろいろと出るようになりましたけれども、すべてとは言いませんが法人化と関係しているものが多いと思います(地方大学が立ちゆかなくなるとか、、、)。基本的には、大学がかなりの自主性を持っている(逆に言うと政府・文科省のいうことを聞かない「大学の自治」)という状態から、政府・文科省がお金や評価を通じて大学を完全な支配下に置いたということだと思っています。法人化というシステムが悪いというよりは、例によってそれを上手く使いこなせていない、日本というシステムが悪いのかもしれませんが。
Commented by stochinai at 2007-07-11 13:21
 ヨシダヒロコさん、おひさしぶりです。年間3000円でトラックバックが戻るのならば、すぐにでも払いたい気分です。
by stochinai | 2007-07-10 15:19 | コンピューター・ネット | Comments(7)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai