5号館を出て

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20%ルールって 【追記:関連記事】

 物理学会(会長が女性のようで、それは素晴らしいと思いますが)では、「若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を」という提言をするそうです。研究者の多くはその持てる時間のできるだけ多くを「好きな研究」にあてているはずなので、すぐにはこの提言が意味するところがわからなかったのですが、次のセンテンスを読んでちょっとわかりました。
 これまでの若手指導は、一つのテーマに集中することが良いとされる傾向があった。ただ、専門性の高さを「視野が狭い」「社会性がない」と企業側はみなし、博士の採用を敬遠。博士も企業と接点がなく、就職に積極的ではなかった。
 要するに、いろんなことができる博士になっていろんなところに就職するために、専門の研究以外のことをして自分をスキルアップしましょうということのようです。しかし、それにしてはそのまた次に書いてあるセンテンスはなんだかおかしなことが書いてあります。
 同学会では、若手が異分野の研究も行うことで人材としての魅力がアップすると考えた。たとえば、素粒子や宇宙論の研究者が経済を研究して金融に進んだり、渋滞の仕組みを研究して交通関係に進んだりすることをイメージしている。
 なんじゃそりゃという感じです。専門を突きつめた深いところで、経済のしくみや交通流量を支配する原理を発見するというのならわかりますが、そもそも、専門の深さからみるとあまりにも浅くなるしかないにわか経済の研究をしたり、付け焼き刃交通渋滞のしくみを研究したりしても、それは全然使えるものにはならないと思います。
 坂東会長は「若手に新しいことに挑戦する時間を与え、学問の幅を広げることで就職先を増やしたい。若手を雇用、指導する側の意識改革が必要」と訴える。同学会では、他の学会などにも呼びかけ、「20%ルール」を広めていく。
 もしも、本気で若手博士の就職先を増やしたいというのならば、怪しげな「研究」を勧めるよりも、もっともっと実際に社会で働くに際して役に立つことを身につけるために時間を使うことを勧めてはどうでしょう。

 20%ということは、もしも週5日勤務(研究)を博士に課しているところならば、1日を研究室で過ごしても良いけれども、日常の研究から100%離れることを許可するだけですむはずです。

 しかし、物理の世界では研究者になるに際して、研究業績による競争というものはないのでしょうか。それを放置したまま週に1日は研究しなくてもいいよ、と言うことは研究業績競争において20%のエフォートを削減して戦えということになりますので、ある意味でそれは研究競争からの離脱の勧めともなってしまわないでしょうか。

 そこいら辺の状況に手を付けることなく、20%ルールなどと言ってみても所詮は絵に描いた餅という気がします。そう言えば、大学院進学の30%ルールはどうなったのでしょう。

 数値目標を出して、成功した政策ってありましたでしょうか。どうも、数値を見るだけでうさんくさく思えるのは、私の精神がねじれているからなのでしょうね、きっと。

【追記】
 ボストンの島岡さんが、的確なコメント記事を書かれています。ご参照下さい。

  Googleの戦略をまねするのは簡単ではない
Commented by 物理屋A at 2007-07-17 22:34 x
反語表現というか,わかっていて書かれているものと思いますが,もちろん業績による競争はあります。
Commented by stochinai at 2007-07-17 23:33
 その状況で、研究者を目指す人に20%は研究から離れろと言っても、空しいですね。学会は、若手研究者の置かれた立場をわかっていないということでしょうか。それとも、どこか別のところに視線があるリップサービス?
Commented by kshojima at 2007-07-17 23:40
数値や科学用語を出されると、いかにもそれらしく感じてしまいがちですね。僕も疑いますが。アメリカの大学院みたいに副専攻を科して、幅を持たせる程度でいいと思います。2割を専門外に当てるのは、その道を極める人には不要です。
Commented by qsat at 2007-07-17 23:55 x
経済のほうは分かりませんが、物性理論をやっている人で交通流のシミュレーションで博士を取った人を知っています。詳しくは分かりませんが、粉体流とか混相流によく似ているんだそうです。噴火の火砕流も身近な例の一つです。そんなことが頭にあったのかもしれません。もっとも、その人は民間ではなく研究者のポストを得ていたと思います。
Commented by Motomu Shimaoka at 2007-07-18 07:36 x
いつもタイムリーな話題とコメント楽しく拝見しています。「Googleの戦略をまねするのは簡単ではない」でトラックバックさせていただきました。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-18 08:47 x
 専門性が高い事=視野が狭い、社会性がない

 とはいいません。

 「自分はぬるま湯の大学で生きて生きたい。社会性、一般常識を身につけていかなくても生きていけるのは大学しかない。そのためには、専門性を身につけなくてはいけない。」
 そう思って博士課程に進む学生、博士が元凶だと思いますが。

 研究者の就職状況を改善したいなら、小中学校で教えるような当たり前の事をもう一度教育すればいい。人間性の部分。
 少なくとも、私の身の回りの博士は、そのレベルから矯正しないと社会では使い物になりません(科学者としての彼らの能力は否定しません)。

 一般社会で生きていくためには、専門性以外の能力が必須です。論文書ければ良し、予算獲得できてなんぼ。言い換えれば、それができれば、人間的にはどんなクソでも許される大学世界。

 言いすぎかもしれませんが、多かれ少なかれ「論文・予算」さえなんとかできれば、人間性は一切問われない、そういう風潮ってないでしょうか?これを改善する事から始めなければ企業は博士を取りたがらない。私の勝手な印象です。

Commented by at 2007-07-18 10:16 x
デモ鳥さんに一言
就職できないのは博士の社会性のなさだという議論はたくさんありますが、果たしてそうでしょうか?私としてはそれを口実に企業側が採用を見合わせているようにしか思えません。必要のないものは身につかないというのが常で、社会性があれば就職できるという事実が本当にあるのなら問題はすぐに解決すると思います。企業側が採用しようとしない本質的な部分をもっと考察する必要性を私は感じます。
Commented by M at 2007-07-18 10:55 x
日本の博士って歳取り過ぎ。外国なら19で大卒、23で博士って人もいる。ゆとり教育もいいけど、飛び級もさせて欲しい。だいたい博士号取れる様な人なら、高校までの教育内容は2年くらいは軽く先取りできるし、大学の教育内容だって3年で済ませられると思う。それなら30まで2回ポスドクして、自分がアカデミックで生き残れるかどうか考えたらいい。
個人的には大学入試も、大学教養レベルにした方がいいと思う。昨今では長期間受験準備した凡才と、短期間しか準備しなかった秀才の区別がついてないから。
Commented by A at 2007-07-18 11:45 x
20%と言うなら、20%早く博士課程が終わるようにすればいいのではないのでしょうか。大体の人は22才から研究を始めると思いますが、その20%引き、18才、つまり大学1年生のときから研究室に配属、そして27才の20%引き、22才前後で博士を取得すると。そうしたら新卒としてもそのまま就職できますし、望むなら2、3年くらいポスドクをやっても良い。それでもまだ24、5才なので、今の修士と同じくらいの年齢で就職活動が出来ます。そうやってやり直しがきくうちに業績を積んで、研究職と、一般の企業への就職、はたまた起業と言うのを天秤にかけられるようにすると言うのが、結局は適所適材がなされるようになる為に重要な気がします。今の博士やポスドクのように、もう後戻りできないところまで来てしまってから、業績を競い合わせると言うのはとても不健全です。ある意味、負けたら社会とのつながりが全て失われるという、いわば人生を賭けた潰し合いをしている訳で、20%の自由など要らない、職の為なら捏造すら辞さないと言う、サイエンスを忘れた地獄絵図になっていると言う方が実情でしょう。
Commented by alchemist at 2007-07-18 13:05 x
米国で就職していた人間としてのコメントですが、日本の社会は年令を問題にし過ぎではないでしょうか?早く学位を取るのも結構ですが、そちらに専念するともっと社会性の低い人材になりませんか?
ウチのラボに他学部を卒業して医学部に入り直した院生が居ました。厚生省の研究所のポストドックのポジションに来ないかという話があったので、そのつもりで手続きしていたら、ポストドックの年令ではない(厚生省の官吏の年令構成があって、そこから外れているのでダメ)ということで、頑として許可されませんでした。研究所ですから官吏とは違うハズ、能力次第のハズなのですが、そういう理屈は通りませんでした。今どうなっているのかは知りませんが。
役所が年令で差別するので、企業も年令でしっかり差別していますね。就職氷河期でフリーターを余儀なくされたヒト達には景気が良くなっても正規採用の門戸がほとんど閉ざされているという、変な制度も日本の社会が年齢差別に鈍感という一面の現れでしょう。ポストドックの就職が難しい理由の一つに年齢差別に平気な日本社会というあり方が重要な役割を果たしているのではないでしょうか?年齢差別など平気な会社は米国では生き残れないハズです。
Commented by inoue0 at 2007-07-18 15:29
>日本の博士って歳取り過ぎ。
医師も年取りすぎてます。どうしてこの教育内容で6年かかるのか理解に苦しむし、そもそも学校で教えるべき内容なんてそんなにないです。
Commented by ラッコ at 2007-07-18 16:12 x
年齢差別の禁止は以前から民主党が主張してたけどねー。
Commented by stochinai at 2007-07-18 16:22
 日本でも、採用時の年齢差別を禁止する改正雇用対策法が10月に施行予定ですが、施行前から厚労省は例外規定を設ける方向で検討を始めているようです。業種は「団塊の世代」の大量退職に備え技術の継承ができるよう、技術職などに限定する方針だといいますから研究職もあぶないかもしれません。(ソースはググってみて下さい。)
Commented by デモ鳥 at 2007-07-18 17:02 x
>鼎様
 レスありがとうございます。
 私は、企業が博士を取りたがらないのは
1.一般社会で生きていくのに必要な社会性、適応力に欠ける
2.そもそも、学位取得のため培ったスキルが社会で活きない(必要とされていない)
 以上2点が原因だと考えています。

 人間性、社会性に欠けるヒトは一般社会では生きていけません。アカデミア社会ではそういう能力はなくてもいいんです。先にも書きましたが、アカデミア社会では論文書く能力、競争的研究費獲得能力が全てですから。


 あと、年齢も確かにその通りかも。
 
 博士が就職活動する年代を20代後半から30代としましょう。この年代、学卒、修士了なら既に後輩や部下を従えてバリバリ仕事してる頃ですよね。博士号取得者、ポスドク経験者が、同じ事できるでしょうか。

 無理に企業にお荷物を背負わせようとするよりも、大学、公的研究機関の雇用を拡充するとか、公的組織として、人材派遣会社みたいな「業務請負」型の組織を作って博士の専門性のみを活用する道を切り開くとか。そういうのがいいと思うんですけどねぇ。
Commented by at 2007-07-18 17:35 x
> デモ鳥様
ご丁寧なご返事ありがとうございます。私は海外でポスドク経験(ライフサイエンス系)をしましたが、私の多くの仲間は企業に就職し、企業の一線で活躍しています。多くのポスドクが在籍中に様々なスキル(主にマネージメント能力)を身につけ、多くの企業にとってもポスドクは重要な人材と評価しています。何故日本は環境が異なるのか、それが大きな疑問です。
Commented by alchemist at 2007-07-18 18:16 x
>鼎様
文部省のわりと上まで行ったヒトの話ですが日本は大卒(特に文系)の社長が多いので、大卒では院修了者を上手くつかう能力がないのでは?と言うことでした。確かに米国の経営者にはPhD持ちが多いですね。
もう一つは上に書いたように企業も役所も年令差別に極めて鈍感です。確かに、年令とともに地位が上がることが多い組織はある意味安定しているのでしょうけど、その安定に頼りすぎているような印象があります。とすれば、年令と地位を切り離して能力を評価する機能が日本の会社は低いのかも知れません。
本当かどうか判りませんが齋藤貴男氏のカルト資本主義などを読むと、議論を尽くして組織を運営することよりも、マインドコントロールをして議論なく言うことを聞かせる組織運営に片寄っているようです。もしそうだとすると、議論好きの学位持ちは使い難いでしょうね。
どちらかというと、私は議論を始めると止まらない米国風が好きですが、日本の場合、地位が上の人間は議論に負けること=人格を否定されたように受け取る、みたいな雰囲気を感じることがあります。あくまで、大学の中の話で、企業のことは知りませんが・・・。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-19 10:06 x
>鼎様
 再度のレスありがとうございました。
 私は米での経験がありませんのでわからない点が多分にあるのですが。
 日本での企業経験はあるので、日本の博士(含む候補)について気付いた問題点をば。

 所詮、学生上がり

 「社会人っぽさ」がまったくない。具体的に例を挙げるのは難しいのですが、例えば朝、電車が遅れて遅刻するとします。一般社会では
「電車が遅れる事は充分考えられるので、次からはそれを鑑みた上で時間管理をするように」と指導されます。当然ですよね。
 日本の大学社会ではそういう概念はありません。「理由があったら仕方ない」。で、一般社会ではこうなっている、と指摘して叱ったら

 ここは大学だから

 だそうで。
 私の目が点になった瞬間でした。

 下らない事ですが。これはあくまでも一例。一事が万事こういう感じなので、博士という大学で生きている連中は社会では使い物にならないな、というのが私の感想です。

 能力の活用等と高尚な議論の前に、社会人として最低限身につけなければならない物を身に着けなければ博士の社会での活用などというものは絵空事でしかありません。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-19 10:06 x

 米国はその辺どうなのかしら?ポスドク、研究スタッフに「社会人意識」というか、仕事して給料貰って生きているという自覚はあると思いますか?
Commented by 山師 at 2007-07-19 10:41 x
米国の知識産業では出退勤の時間、自由度高いですよ。早く来て早く帰るのがトレンド。
Commented by at 2007-07-19 11:20 x
> alchemist さん、
ご意見ありがとうございます。ちょっと自分なりの考えを書くと、日本の社会というのは年功序列的な考え方のもと、人を使いこなすという点において、上に立つ人のトレーニングがきちっとできていないのではないかと思います。知識を中心とした経済活動が主流になる世の中でこのままでは日本だけが取り残されてしまいそうな気がします。これまでの成果、実績が妙な自信につながっていて、社会は情勢によって変わって行かなくてはならないという点を日本は見失っているように思えます。これって日露戦争から太平洋戦争に突入した日本人の心の動きと同じかもしれません。その現象の一つとしてポスドク問題が起きているのでしょうね。
Commented by at 2007-07-19 11:25 x
> デモ鳥 さん、
日本もアメリカもアカデミアの人の就業風景はそう変わりません。何故か医学系は早朝から研究をしているし、理学系になると10時頃からなんとなしに人が集まってという感じのところもたくさん。違うのはこういった人たちをどう社会が受け入れ、産業界の動きに活用するかだと思います。その点日本の企業の方こそ考え方を改めるべきかもしれません。別に社会常識がないのではなくて、必要のない習慣は取り入れないだけの話だと思います。楽観的すぎるとおしかりを受けそうですが、優秀な頭脳をもつ若者に期待ができないなんて考え方はそれこそ大きな問題に思えます。
Commented by at 2007-07-19 11:28 x
どんどん出発点の議論から外れてしまい申し訳ありません。しかし皆さんの貴重なご意見を拝聴することができるサイトとして、いつも更新を楽しみにしています。どうか今後ともよろしくお願いします。
Commented by stochinai at 2007-07-19 11:33
 鼎さん、皆さん。活発な議論をしていただき、感謝しております。

 私の書くことなどたかが知れておりますが、それがきっかけとなってこのようにめったに見聞きすることのない貴重な情報や意見が飛び交うことこそ、私が期待していたものです。ご遠慮なさらずに、どんどんご自由に発信なさってください。力不足ですが、混乱した時に整理するのは私の責任だと思っています。

 今後とも、よろしくお願いします。
Commented by alchemist at 2007-07-19 11:35 x
>デモ鳥さん
米国の研究室では随分前からフレックスタイムです。その点では遅れましたが、日本の研究室も法人化の頃からフレックスタイムになっています。ようやく勤務時間だけは国際化した訳ですね。
院生がフレックスタイムかどうかは議論があるのでしょうけど、基本的に目標に向かって自分で時間管理をする(目標が達成できなければ当然論文にもなりませんし、学位もでません)ということで良いのではないかと私は考えています。研究計画を自分でたてることができる、それを遂行することができる、論文としてまとめることができる、必要な経費を自分で獲得できる、そういう能力はデモ鳥さんが考えているほど簡単に身に付くモノではないというのが私の実感です。そして、それらの基本的能力を獲得するという日本の大学院のトレーニングは少なくとも米国の大学でも企業でも通用していました。まあ、私があちらの大学で勤めていたのは15年以上昔の話で・・・ここ5年くらいのことは判りませんが。
それと、米国での意識は仕事をして給料を貰っているというよりは成果を出して給料を貰っているではないでしょうか。
もちろんセミナーとか講義とかに遅れるのは問題外です。
Commented by 山師 at 2007-07-19 11:48 x
米国では「変わるべき」なんていっても通用しない。「変える」力があるかどうかですよ。それが日本との違い。
Commented by alchemist at 2007-07-19 11:57 x
>鼎さん
情報バリアーがあるんじゃないだろうか、というのがアメリカで暮らしていた頃に強く感じていたことです。アメリカの情報で日本の官庁や企業に都合の悪いことは日本国内には伝わらないし、逆に日本の官庁や企業に都合の悪いことは米国に伝えないという風な情報鎖国状態があるのではないでしょうか?
結果として、さかんに米国に追随したと言う規制緩和などが進んでいますが、規制緩和と抱き合わせだった弱者保護の方は意図的にかどうかは知りませんが無視されています。国際スタンダードということで任期制へ動いていますが、米国の研究室ではふつうにやっていれば原則再任なのですが、その手の情報はミゴトに切り捨てられて任期が来たら自動的にクビ・・・という風な制度になっています。米国で過す日本人研究者は多いのに、そういうことに対する疑問がほとんど出てこないのが、私には不思議です。まあ、ラボヘッドの立場で言えば、制度に強制されて再任なし、と切り捨てることができる日本はお気楽ではありますが、ヒトを育てる制度ではありません。
Commented by Inoue at 2007-07-19 12:12 x
>博士という大学で生きている連中は社会では使い物にならないな、
 それは違うと思うのです。大学にいままでいたから、大学におけるマナーを引きずっているわけで、それは学部卒や高卒だって、最初は同じだったでしょう。時間とともに、会社におけるマナーを憶えていくわけですよ。
 きちんと教えていけばいいのではありませんか?
Commented by saiyou at 2007-07-19 14:27 x
>きちんと教えていけばいいのではありませんか?
教える手間が違うんですよ。ここの話をみても分かるように、博士は会社にあわせることを嫌がります。学部や高卒は速やかに染まってくれますよ。
Commented by stochinai at 2007-07-19 16:08
 なんだか、違う文化で育った帰国子女問題論争と似ているような気もします。確かに年齢が上がっているとなかなか難しいことがあるかもしれませんが、相互の「文化」を理解し合いながら、お互いが利用しあえる関係になればいいのですが。
Commented by その辺にいる社会人 at 2007-07-19 17:30 x
>きちんと教えていけばいいのではありませんか?

ちょっと、厳しい言い方ですが、「教えてもらって、当たり前」という感覚が、そもそも「学生の感覚」なんだと思います。教える人の手間というのが、わかってないですよね?

年齢に関係なく、学生のうちは、「授業料」を払っているのだから「教えてもらって当たり前」なのかもしれませんが、会社は違います。

ブログの本題と、ちょっと、ずれてしまいましたが。
Commented by at 2007-07-19 17:42 x
> その辺にいる社会人 さん、
私は「教えてもらって、当たり前」という評価を博士号取得研究者に対してしています。新卒から会社の中で育成するのとは違った素晴らしい能力を持っていることに気がつけば、そのくらいの労力を会社側は厭わないはずです。問題点は彼らを評価できない日本の会社にもあると思っています。なにしろこの問題、アメリカでは真面目に語られることはないように思うのです。
Commented by alchemist at 2007-07-19 17:53 x
>なんだか、違う文化
そうですね。研究室ではいったん育てると決まったらトレーニングの手間ひまを厭いません。院生なんてうるさくて当たり前、言われた実験について議論もせずに(できずに)黙々と従っていたら、コイツ大丈夫か?と言われかねません。日本の企業ではあまり好まれないんでしょうか。
でも、共同研究相手の企業の研究者はやっぱり議論好きだし、ああだ、こうだとゴチャゴチャ言ってますから、あまり違和感ないのですけどね。まあ、彼等も会社では違う顔をしているのかも知れませんが。
Commented by saiyou at 2007-07-19 18:30 x
あのですね、こちらは別段博士が必要わけじゃないんでね。
営業努力すべきなのは皆さんの方ですよ。そういう感覚が分からない人はビジネスできないよ。
Commented by katsuya at 2007-07-19 18:46 x
博士の就職問題だと分野間の差が大きいのに一緒くたにされて議論されてしまう傾向がありますが、応用物理を含む工学系に限って言えば、企業への就職はアカデミックポストの3倍以上という統計もあり、それなりに採用されていると思います。
http://hakasenoikikata.com/posdoc_report13.html

企業側に立ってみれば工学系と理学系の博士を比べれば、工学系を優先して採用するのは自然でしょう。物理でも物性などの応用に近い分野であればいいのですが、畑違いの素粒子とか宇宙の人になると採用する企業が減ってくるのは仕方ないでしょう。
大元の20%の話に戻って言えば、物性とかではなく素粒子や宇宙の分野では、専門を活かした就職は難しいから他の分野にも手を伸ばしておけ、という話のように見えますね。
Commented by at 2007-07-19 23:56 x
> saiyou さん、
もちろんsaiyouさんがおっしゃるように博士を必要としない会社もたくさんあるでしょうが、採用した方が業績が伸びる日本の会社も多くあります。実際そのことに気がついて積極的に採用している会社もあります。私としてはそのような博士を採用した方が業績が伸びる日本の会社に対して早くそのことに気がついて欲しいと思っています。現状は博士が営業努力しても門戸を閉ざしているというのが多くの企業の態度です。saiyouさんがおっしゃるように営業努力をすることは大切でしょう。そして実際に多くの人が努力していると思います。今必要なのは企業が博士を採用するメリットというものをもっと考えることではないかと思います。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-20 08:01 x
>inoue様
>大学におけるマナーを引きずっているわけで
 引きずってこられても会社の方は困ると思うのですが…。
 いい年こいた大人が「学生気質を引きずっていて当然」という感覚が問題なのではないでしょうか。高卒、大卒とは年齢が違うんですから。その点、saiyou様と同意見です。

>alchemist様
 フレックスタイム制度を勘違いしている博士(含む候補)がいるのをご存知でしょうか?「好きな時間に来て好きな時間に帰ってよい」のではなくて、ある程度仕事の時間に裁量をもってよい、という制度であって。時間管理にルーズになってよい制度ではないはずです。コアタイムに遅刻してくる、外部のヒトとのアポにも堂々と遅刻してきて「昨日徹夜で実験だったので…」などと言い放つ、私はそういう博士を何人も見てきています。別に9時に出勤する事が社会人に必須といっているわけではありませんので。私は博士の時間管理、勤務(?)態度の甘さを問題にしています(そりゃ、私の身の回りがたまたまそういう人らで占められているだけかもしれませんけれど)。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-20 08:12 x
>鼎様
>新卒から会社の中で育成するのとは違った素晴らしい能力を持っていることに気がつけば、そのくらいの労力を会社側は厭わないはずです。
 博士が確かに会社にとって必要な能力をもっているとすればその通りでしょう。専門分野の基礎知識、研究上の問題解決能力、プレゼン能力、論文を書く能力、確かに修士以下と比べ物にならない力を、博士は持っているかもしれません。
 でもね、学位をとる能力と企業の利益に貢献できる能力って別物だと私は思うんですよねぇ…。


>現状は博士が営業努力しても門戸を閉ざしているというのが多くの企業の態度
 ですかね?別に門戸を閉ざしているわけではなくて。博士の側が敬遠しているだけでは?あるいは博士の側に会社に入りたいという情熱が足らんというか、情報収集能力、コミュニケーション能力が足らんというか。
 博士歓迎といっていなくても、問い合わせすれば、博士卒を特別枠で採用はしないけれども、修士と同じ条件、あるいは修士の条件プラスアルファで採用しますといってくれる会社って結構ありますよ。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-20 08:18 x
続き
 仮に入社のときの待遇が同じでも、本当に博士が会社でも有能であるのなら、修士の同期より頭一つ分上の能力を発揮し、トータルでみたら早く出世し、よい会社員人生を送れるかもしれませんよ。

 博士が就職試験で差別を受けている例を私は知らないのですが、ご存知でしたらご教示下さい(入社試験を拒否される、という意味での「差別」です)。
Commented by at 2007-07-20 09:46 x
> デモ鳥 様
ライフサイエンス系の例しか知りませんが、2年前の調査ではほとんどの大手企業がポスドクの就職に対して門戸を閉ざしているをしているというのが実態です。

私は現在の仕事の関係上、かなりの数の企業の人事部と連絡を取りましたが、その多くがポスドクの存在すら知らない状況で、ポスドクの説明から必要でした。そして多くの企業が、ポスドク側からすればトレーニングを終了して初めて就職するという気持ちでありながら、中途採用としての枠でしか採用できない立場であること、中途採用は経験者採用が中心であり、就職した経験のない人は対象外であることから、ポスドクを採用する予定はないとはっきりとした方針を述べています。これは実質的に門前払いの現状です。

デモ鳥様のお話は博士課程修了者が新卒として就職する場合をお話しされているのではないかと思われます。2年前から状況が幾ばくか改善されたかも知れませんが、大きな違いはないように思われます。ポスドクの方々が努力しても就職の機会そのものが非常に狭い現実を知っていただけますと幸いです。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-20 10:10 x
>鼎様
 「理系の研究部門を抱えている企業でポスドクを知らない人事の人間」がどれほどいるのかはわかりませんが。少なくとも、昨年度、今年度に関して言えば「自分は新卒ではないが貴社の採用試験を受けても良いか」という問いにNoという会社はほとんどありませんでした(合格するかどうかは別問題ですが)。
 知らない人にポスドク制度について説明する必要性は感じません。「学位取得後研究機関に任期付採用されており、進路に貴社を含めた会社就職も視野に入れている」と言えば済むことだと思いますが…。素人に物事をどうすればわかりやすく伝えられるかも社会人に必須のコミュニケーション能力の一つです。

 私はポスドク経験者ではありませんので(年齢的にはストレート博士卒、ポスドク経験者と同程度)よくわかりませんが、博士新卒でもポスドク経験者でも、それほど違いがあると思えないのですが…。これは学部卒でも修士卒でも変わりないですが、ようは「貴社に就職したいのですが、なんとかお願いできないでしょうか?」という最初のコンタクトをうまくできなかった結果、門前払いを食っているように思います。
 
Commented by デモ鳥 at 2007-07-20 10:11 x
続き
 ちなみに、私は現在も就職活動中ですが、年齢条件をオーバーしていたり、修士新卒限定であったりしても、門前払いを食ったケースは今のところ少ないです(重ねて、採用されるかどうかは別問題ですが…)。
 私は、多少イレギュラーな人間であってもとりあえずは面談して確認してやろうという意図を、多くの会社が持っていると感じています。
Commented by at 2007-07-20 11:00 x
> デモ鳥 様
以前企業の方々(主に製薬会社)とお話ししたときは、博士卒の新卒とポスドクとでは採用枠が基本的に違うと言われました。博士新卒の立場で活動されていると気づきにくい点なのではないでしょうか。

門前払いとはちょっと言い過ぎかもしれませんが、もちろん会社の信用になりますので、お送りした応募書類は受理され、何らかの審査がされた形で必ず返事があるはずです。しかし多くは書類審査で丁重に断られているように思われます。
Commented by alchemist at 2007-07-20 12:25 x
> デモ鳥 様
悪いですが、その院生たち普通じゃないです。
ウチはラボに出てくるのも帰るのも任意ですがみんな良く仕事しています。当たり前ですが会議は開始時間厳守(万が一私が何らかの事情で遅れても、待ってくれません)。事務的な会議は普通で5分、長くて10分。この20年間、いくつかのラボを移動しましたが、全てこのスタイルです。ヒトを待たせるのも、だらだら会議してヒトの時間を浪費させるのも犯罪です。
Commented by とあるポスドク at 2007-07-21 00:16 x
就職活動真っ最中の当事者が言うのもなんですが、社会性なんてのはあまり関係ないと思います。ま、あまりにひどいのもいますけど。問題はやっぱりスキルのミスマッチではないですかね。ずいぶん前から存在意義を叩かれている天然物合成の研究者だと就職も比較的スムーズですよ。数多の合成に習熟しているという点を買われているわけですね。だから分野ごとに就職状況を調査して、個別に対策するのが必要です。バイオ系でも細かく見ていけば、実学に直結しているようなところは就職状況も良かったりしませんか?十把一絡に議論しても話はまとまらないように感じました。あと文系の博士とは区別しいるのだろうか?文部省のなかの人は。
Commented by stochinai at 2007-07-21 01:02
>十把一絡に議論しても話はまとまらない

 あらゆることにそうだと思います。ここでは、「博士は」とか、「ポスドクは」とか、「企業は」とか、「文科省は」とかは、あまり一般性を持たない言い方だと、私も思います。博士のうちで、「こういう人は就職できるし、こういう人は就職できない」とか、きめの細かい議論が必要になってきたと思います。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-21 09:12 x
>鼎様
 「ポスドク経験者であっても、博士新卒、修士新卒の立場で受けてよいか?」
 と企業側に聞いた事はありますか?
 ポスドク用のポスト以外では就職できない、という思い込みはあまり意味がないと思います(もちろん、自分は安売りしないという信念もあっていいと思いますが。その場合は就職<信念ですので就職できなくても仕方ないですね)。結局、会社勤務経験がない人間は新卒と同じですから。プライドが高い分、新卒よりも扱いづらくてマイナスかも。

>alchemist様
>悪いですが、その院生たち普通じゃないです。
 頼もしい限りです。大学社会でも、普通じゃない博士が肩身が狭くなるような状況になる事を切に願っております。
 ただし
>ラボに出てくるのも帰るのも任意ですがみんな良く仕事しています。
 この危険な部分。大学では「夕方来て夜中仕事してても、結果さえ出せば(いい仕事すれば)一切お咎めなし」ですよね。最低限の約束は守っている前提でこそ、いい仕事をする人間は許される、という風になって欲しいと思います。
Commented by at 2007-07-21 10:23 x
> デモ鳥 様
残念ながら、毎回聞いております。新卒ではなく中途採用だそうです。そのことにショックを受けるポスドクもいますね。
Commented by 元ポスドク at 2007-07-21 13:07 x
私はポスドクを2回経験して、現在は民間企業の研究職に就いていますが、ポスドク経験者はやはり中途採用でした。社長や人事部長を含む取締役達から直接聞いたので間違いありません。一般的な日本の企業はみんなそうだろうと言っていました。
景気が回復してきたとはいえ、30代後半からの中途採用は、ポスドク経験者か否かによらず、一般的に厳しいと思います。しかし、いったん中途採用されれば、初めからそれなりの給料をもらえます。30代後半になって、20代後半と同じ額の給与しかもらえないということも問題でしょう。

もし企業での研究も視野に入れているのであれば、まずは年齢制限のゆるい外資系企業で働いてみるのも手かもしれません。いろいろな職場を見てきましたが、派遣でスキルアップというのはやめた方がいいと思います。
Commented by stochinai at 2007-07-21 21:17
 就職活動中や就職活動経験者の皆さまのコメントは極めて貴重だと思います。心から感謝するとともに、同じような境遇にいるあるいはこれからそうした境遇に入る可能性のある1人でも多くの方に読んでいただきたいと思っています。

 これをご覧になったかたは、あちこちでここに貴重なコメントがあることを広めるお手伝いをしていただけると幸いです。よろしく、お願いします。
Commented by apj at 2007-07-21 22:03 x
 随分昔の経験なので、今でも同じかどうかわかりませんが……。
 学位取得した翌年秋に、大手電機メーカーの面接を受けに行ったときは、「修了後の就職は全て中途採用扱いである。3月に学位取得し修了し、4月から就職するスケジュールで、最終学年に就職活動した場合は新卒扱いである」とのことでした。
 中途採用と新卒の違いは何かというと、中途の場合は企業側でたまたま何か事業等を立ち上げようとしていて、ピンポイントでマッチする人を採用するのだそうです。新卒はそこまで厳しくはないようでした。ですから、中途扱いだと、いかに本人に能力があってコミュニケーションその他がよくできていても、マッチしない限り採用はしない、ということになります。
 今はまた変わってきているかもしれませんが……。
Commented by saiyou at 2007-07-22 14:06 x
ポスドクが中途なんて当たり前じゃないですか。そんなことも大学じゃ教えてないの?3年以内なら第二新卒でもいいですけど、どっちにしろ業務経験は問われますよ。
そんな時に一人で研究してました、じゃ駄目。チームでどういう役割を果たして、どう貢献したかをちゃんと言えないと論文がいくらあろうが企業じゃ働けないよ。
Commented by saiyou at 2007-07-22 22:59 x
そういえば某有名大学出でサイエンスにも書いたとかいうポスドクが来たことありますが、トラブル起こしてすぐ辞めてしまいましたよ。少なくとも企業で使えるかどうかは論文じゃ全然判断できない。
Commented by stochinai at 2007-07-23 00:18
 saiyoさんの経験されたことはすべてが事実だと思いますが、それが一般的なことかどうかは慎重に検証されなければならないと思います。

 営利を追求しなければならない企業が、論文だけで研究者の能力を判断するなどということはないと思いますが、企業ではポスドクの「品質」も大学の責任だと思っていらっしゃるのでしょうか。

 また昔、企業は大学生は企業で鍛え直すので大学では自由に遊ばせておいてくださいと言っていたものですが、最近は完成した「製品」として大学生や大学院生、博士やポスドクを考えていらっしゃるのでしょうか。

 ルールが変わったのなら、どこかで公表されるべきだと思います。
Commented by saiyou at 2007-07-23 02:00 x
ルールが変わったことを見抜くのがビジネスというものです。そうやっていつまでもお上頼りだから駄目なんですよ。
Commented by ポスドク at 2007-07-23 03:41 x
就職活動って論文投稿に似てません?自分が投稿する「論文のレベル」と「雑誌のレベル」をクリティカルに見極める。ちょっと釣り合わんなと客観的に思えるなら、投稿する雑誌のレベルを下げる。もしくはそれ以外の方法をいろいろと考え、実現可能な選択肢を見つけ出す。投稿した結果、レフェリーがこの論文はリジェクトですと言っているのであればまた別の雑誌を探しゃあいいんじゃないのかなと思うのです。雑誌は他にもいくらでもあるのですから。僕がラボヘッドだとして、いろいろな状況を鑑みてその論文がもう待ったなしだったら、最適な方策をいろいろと考えるでしょ。いつまでもnatureとかscienceにこだわってだらだらとお金と時間の無駄遣いはしない。そこに論文を載せたい思うのは痛い程分かりますが。

自分の働く場所がないのならそれなりの場所を自分で見つけてくる、もしくは自分で作ってしまうくらいの意欲と能力がないのであれば出来るだけ早いうちに退場するのが得策だと個人的には思います。一度しかない人生なんだし、無駄に時間使いたくないやん。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-23 08:26 x
>鼎様
>(ポスドク経験者は)新卒ではなく中途採用だそうです
 それでは、諦めて他を探すほかないですね。企業は山ほどありますし、それぞれ価値判断の基準も違います。100個まわって100個駄目だといわれたら101個目を探せばいいだけの話で。
 私の印象は「別に年食ってても新卒と同じ待遇でいいのなら検討するよ、というスタンスは多くの企業で持っておられる」。ちなみに30歳バイオ系です。

Commented by デモ鳥 at 2007-07-23 08:28 x
>元ポスドク様
>30代後半になって、20代後半と同じ額の給与しかもらえないということも問題でしょう
 私はこれが「博士が就職できない」理由に大きく貢献していると考えています。
「博士号を持っているのに修士と同じ待遇しか受けられないというのは問題でしょう」
 にも繋がりませんか?
 企業の側は博士、ポスドク経験者に期待していないわけです。修士卒、3年、5年かけて、会社で鍛えた人間と、大学で何をやってきたのかわからない人間と。どっちが企業に役立つでしょう?(科学への貢献とは別問題)。
 実務経験無しであれば、即戦力にはなりえません。立場としては新卒とそんなに変わらないんですよ。
 採用さえしてもらえれば新卒と同じ待遇でいいじゃないですか。博士、ポスドク経験が会社に利益をもたらす事ができるなら、最終的には新卒よりも出世し、良い待遇も受けられる。実務経験を経て使える人間になっても待遇に不満なら、経験を武器に転職すればよいのです。
 最初から特別扱いを求めているのなら、求職側にも特別な何かがなければならないわけで。博士号はその特別な何かにはなり得ないという事は博士の側で認識せねばならないのでは。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-23 08:35 x
>ポスドク様
>自分の働く場所がないのならそれなりの場所を自分で見つけてくる、もしくは自分で作ってしまうくらいの意欲と能力がないのであれば出来るだけ早いうちに退場するのが得策
 まさに仰るとおりで。
 あるいは、退場というよりも「論文の実績(とコネ)だけで就職できる」アカデミアで生きていくしかないんじゃない?と。
 私は博士号取得者、ポスドク経験者の「科学者」としての能力を否定はしないのですが、それと会社で通用する人間であるかは全然別問題なんですよねぇ。


Commented by alchemist at 2007-07-23 12:12 x
>デモ鳥様
大学では「夕方来て夜中仕事してても、結果さえ出せば(いい仕事すれば)一切お咎めなし」ですよね。
一つ抜けています。他人に迷惑をかけない限り、です。例え、一日数時間しかラボに居なくても、普通に業績を上げて、かつ周囲に迷惑をかけなければ、私は構いません。もっとも、我々の業界で一日数時間で普通に業績上げるにはよっぽどの能力が必要でしょうけども。
帰国して15年ほどになりますが、未だに馴染めないコトバがあります。ヒトを「使える」「使えない」という基準で評価する風潮です。米国に就職する前にいたこの国ではヒトを優れているか、優れていないかで評価していたような記憶があります。「使える」か「使えない」かが使う側の能力を棚に上げて平気で基準にされているように見える現在のこの国(あるいはそういう発言を口にするヒト)に、おごりに似たモノを感じてしまいます。
大学の研究室は、どんなヒトでも能力さえあれば使ってしまうのです。まあ、ラボヘッドによりますから、一般化できるかどうかは知りませんが。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-23 12:24 x
>alchemist様
>一つ抜けています。他人に迷惑をかけない限り、です。
 そう!まさにそこです!
 しかし残念な事に大学では「業績さえ稼げば」他人に迷惑をかけても「あぁ、ごめんごめん。気をつけます」で許されてしまう風潮が確かにあります。あるいは「自分は実績を出すのにこんなにいそがしいのだから…」と言い訳しておしまい。
 alchemist様のラボでは「誰かが他人に迷惑をかけた」場合、どうされていますか?
Commented by デモ鳥 at 2007-07-23 12:24 x
 続き
 社会では業務上明らかに本人の故意、重過失で他人に迷惑をかけた場合には何らかの処分が下されます。しかし、大学という社会は、そのような気風はありません。「あぁ、ごめんごめん」。以上。

 結局、真面目にやっている人間が負担を被る事で大学は運営されています(一般化できるかどうかアレですが)。

>ヒトを「使える」「使えない」という基準で評価する風潮です。米国に就職する前にいたこの国ではヒトを優れているか、優れていないかで評価していたような記憶があります。
 これは言葉の認識の違いだと思うのですが。
 優れている=使える、優れていない=使えないだと思ってください。ただ、「実績を稼げる」のと「使える」は必ずしもイコールではない事を知っていただければ幸いです。

 いくら実績を稼げても、他人に迷惑をかけたり、部下の教育をできない人は「使えません」。

 大学では単純ですよね。
「実績を出せる」=「使える」
Commented by alchemist at 2007-07-23 13:10 x
>デモ鳥様
ウチで一番迷惑をかける可能性の高いのは私ですが、それはさておき。
立場が上の人間が迷惑をかけられるのは無視。立場が下の人間が迷惑をかけられた場合は、状況を判断して改善処置をします。小さな研究室ですから大体の状況は把握できますし、私は話しかけ難い存在でもなさそうです。客観的に見て、ウチのラボで一番心身共に負担がかかっているのはサブ(准教授)でしょうね。そういう職種と理解していると見ています。
院生は物理的には負担がかかっていますが、それは院をおわった後、自分が生きてゆくスキルを身につける為ですので納得しているかと。人気のない分野ですので、院生は余り来ませんが、修了者は何かと顔を出して色んな話をしてゆきますので、彼等の了解範囲内で納っているのではないでしょうか。

私には、優秀でも上司が使い難い人間がこの国では敬遠される傾向にあると見えます。優秀な人間は現状と認識がずれているのですね。そのズレが未来に繋がるワケですが、そういうことを割合に寛容に受け入れるのが米国の組織、寛容ではないのが日本の組織、というふうに見えます。使える、使えないという表現を好むことが、その象徴のように見えて仕方ないのです。
Commented by saiyou at 2007-07-23 13:28 x
うん、それなら日本を出て行けばいいんじゃない? 日本でビジネスするなら日本の流儀に従わないと。アメリカに行ったらアメリカの流儀に従うでしょ?
先の見える優秀な人材ならそんなことくらい分かるでしょう。
Commented by とまと at 2007-07-23 15:07 x
部外者ですが、これまでの議論、興味深く読ませて頂きました。企業側の方の考えは理解出来るのですが、一つとても気になります。

>うん、それなら日本を出て行けばいいんじゃない? 日本でビジネスするなら日本の流儀に従わないと。アメリカに行ったらアメリカの流儀に従うでしょ?

これは非常に残念なことではないでしょうか。利益を追求しなければならない一企業として「博士、ポスドクは欲しくない」と考えるのは仕方のないことかもしれませんが、日本という国全体として考えると、研究能力を持ち合わせている大量の優秀な人間が、「企業でやっていくための能力がそれほど高くない」ことを理由に社会からあぶれてしまうというのは、大きな損失で大問題だと思うのです。

Commented by とまと at 2007-07-23 15:07 x
学部卒でも「企業人として問題」な人はたくさんいるでしょうが、そのような人が「へたに研究能力など身につけなかった」おかげで企業にいることができ、研究能力を身につけた人は失業者になるか、企業でも能力を認めてもらえる外国に行けというのは、社会のあり方としてどうなのでしょうね。

いろいろな能力や特性を持った人がそれを活かせるような社会の仕組みに少しづつ変えて行かなければ、頭脳の流出が起きてしまうのではないでしょうか。
Commented by 会社でも at 2007-07-23 15:34 x
50歳くらいで出向とか配置換えとかで、不本意な職場に変わる人多いですよね。ポスドクは30−35でそれを味わうってことじゃないですか?中企業なら、ポスドク崩れでも結構厚遇してくれそうな気がします。
Commented by alchemist at 2007-07-23 18:48 x
>とまと様
私は外国で研究をやること、job huntingの機会を持つことは良いことだと考えています。異なるシステムの中で働きながら、異なるシステムの動き方を理解することなくしては、この国のシステムに欠けるものは判らないし、この国のシステムに欠けるものが判らなければ、国どうしの競争の中で何が問題になっているかのヒントも掴めないのではないでしょうか。
そう言って、ヒトを送り出していますし、帰ってきた連中は出かけた時に比べてずいぶんたくましくなっています。国際化というものが必要であるとすれば、そういうことから始めるしかないような気がしています。同時にそれは、私たちが外国に出かけた研究者が帰ってきたくなるようなシステム作りをやらなければいけない、ということなのでしょう。賛否ありますが、沖縄に設置予定の大学院大学も、遅ればせながらですが、そうした試みの一環ではないでしょうか。日本の大学院生もポストドックも恵まれてはいません。それを当然のこととしていては、日本の大学は生き残れません。私に判るのは、ここまでです。
Commented by saiyou at 2007-07-23 19:25 x
社会のあり方がどうとかいうのは政治の問題です。企業にいうのはお門違い。自分達で何とかしてください。
Commented by とまと at 2007-07-23 20:19 x
akchemist様

私はヨーロッパ留学し、帰国せずにそのまま留まってしまった組です。ヨーロッパの場合、博士号取得やポスドク経験が就職活動のさい不利になるということは、周囲を見た限り、ありません。もっとも、「新卒一斉採用」の制度そのものがありませんから、同列で語ることはできないと思いますが。

ヨーロッパには大学生や院生が夏休み、春休みなどに企業で研修をする制度があり、研究という狭い世界にどっぷりと浸からずに一般社会での経験を多少なりとも積むことができるという意味で有効ですし、また企業にとっても安い労働力が得られ、さらには将来的に会社で役立ってくれそうな人材を見つけるチャンスとなりますね。

なんでも外国のやり方を真似すればよいというつもりでは決してありませんが、日本では、少なくとも研究ができるだけの能力を持った人達が活動の場を見つけることが極めて困難であり、経済的逼迫に至る場合があるという状況は、遺憾としか言いようがありません。
Commented by とまと at 2007-07-23 20:21 x
すみません。alchemist様。お名前を打ち間違えてしまいました。失礼いたしました。
Commented by 元ポスドク at 2007-07-23 20:28 x
私は以前外国で研究をしていたことがありますが、欧米に比べると日本の組織は末端が優秀な代わりに、中間管理職に責任感やマネージメント能力が低い人達が多いように感じます。
自分たちのマネージメント能力の低さを、「使えない」という言葉にすり替えてはいけないと思います。また、確かに企業は営利集団ですが、自分たちの社会的貢献のあり方を考えていない企業など、今時ありえないでしょう。

こういう程度の低い企業家達に足下を見られて、極悪な待遇で働く博士達が多くなると、博士の市場価値が暴落するので、そういうことはハッキリ言ってやめて欲しい思います。博士は、あくまで博士なりのプライドを持って欲しいと思います。
Commented by saiyou at 2007-07-23 20:40 x
企業の社会貢献は自分のビジネスの土俵でやればいいんでね。大体学者さんこそ社会貢献まじめに考えてるのか疑問ですよ。
>こういう程度の低い企業家達
こういう態度が透けて見える人は絶対に採りません。
Commented by anon at 2007-07-23 21:32 x
>社会のあり方がどうとかいうのは政治の問題です。企業にいうのはお門違い。自分達で何とかしてください。

 その政治に、企業が少なからぬ影響力を及ぼしているはずですが何か?むしろ企業の利害に政治の側が振り回されているように見えますが(経済財政諮問会議など)
Commented by 元ポスドク at 2007-07-23 21:47 x
saiyouとは、ずいぶんとふざけたHNですね。

採る側と採られる側という二分法的な舞台設定をして、
自分は意識的に採る側にまわることで、
最初から優位性を誇示するという卑劣さが透けて見えます。

しかし、まあ書き込みの時間を見ると、とてもまともな社会人ではないですね。一日中ここに粘着している閑人なんでしょう。

労働組合が経営陣に対して、あれだけの交渉力を持つ理由がわかりますか?会社なんて、我々がアイデアや労働力を提供しなれば、すぐに潰れてしまうんですよ。

まあ百万歩譲って、もしあんたが人事担当だとしたら、そんな会社すぐに潰れちゃうでしょうね。
Commented by stochinai at 2007-07-23 22:12
 とんでもないポスドクを採用して、あるいは採用しようとしてあきれかえった経験をもつ企業関係者がいても不思議はありません。saiyoさんは、そんな経験からもうポスドクは採用しないことに決めたようです。それが、saiyoさんの働く企業の損になるか得になるかは、その企業の問題ですのでまわりがとやかくいう必要はないと思います。ただし、saiyoさんの少ない経験で日本中のポスドクを誹謗中傷するのはフェアじゃないと思います。
Commented by stochinai at 2007-07-23 22:19
 また、企業に対して就職活動をして、理不尽な扱いを受けたポスドクの方もまたたくさんおられるようです。そんなことはないだろうと、理不尽な扱いを受けたわけではない方が言っても説得力がありません。また、そういう経験をしたポスドクの方々は、特定の企業がはっきりしているのならば匿名でも2チャンネルでもかまいませんから、その経験を告発してもよろしいかと思います。企業の方では、そうした匿名の告発に対して釈明をする社会的責任があるように思います。もちろん、その告発が虚偽だったり誤解だったりした場合は、そのように公表すればすむことではないでしょうか。
 また、ひどい目にあったポスドクの方々も、特定の企業ではなくすべての日本企業が同じようにダメなのだとおっしゃるのはやはり誤解にもとづく偏見と言わざるを得ません。
 この件に関しては、お互いがどのように利用しあって利益を与えられるかという観点から冷静に話し合う場が必要だという気がします。もちろん、この場でも結構なのですが、なかなか難しいようですね。

 私は企業とポスドクのハッピーなwin-winの関係が不可能だとは思っておりません。なんとかしましょうよ。>>皆さん
Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 06:10 x
>alchemist様
>私には、優秀でも上司が使い難い人間がこの国では敬遠される傾向にあると見えます
 うーん…仰る「優秀な」人間って何について優秀な、という意味でしょうか?上司に使いやすい人間であると思わしめるのも下級スタッフの能力の一つかと思いますが。実際、実績さえ稼げれば人間性はどうでもいいのが大学の現状のように思いますので、そういう意味、
「私は大学人として研究できる、論文かける、予算獲得できる。だから上司との関係なぞどうでもいい。社会ではこういう考え方を許す上司が少ないので敬遠されていると感じる。」
 という事でしょうか。(もちろん、そういう意図はお持ちでないと思いますが、皮肉です)。

 私は優秀、そうではない、の定義づけが大学と会社では違うと思うのですが。まぁ、そういう所に認識の差があるからこそ博士、ポスドクは企業で敬遠されるのでしょうけれど。

Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 06:11 x
続き
>そういうことを割合に寛容に受け入れるのが米国の組織、寛容ではないのが日本の組織、というふうに見えます。

 私は米で働いた経験がないのでなんともいえませんが。米ではPh.Dもちの会社社長、経営陣が日本に比べて多いと聞いた事があります(ソース失念)。論文書いて競争的研究資金を獲得するしか頭にない日本の研究者と、自分の研究、スキルをどうビジネスに活かそうか考えている(かもしれない)向こうの研究者では、センスが違うからじゃないでしょうか?
Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 06:44 x
>saiyou様
>とまと様
>日本から出て行けばいい…話

 saiyou様の仰る事は確かに正しいと思います。また、企業に限らず、大学などにおいても、結局日本で薄給、悪条件のポスドクが嫌なら海外に行け、という話は以前から聞いている話で。
 確かにとまと様のいうように、国としてもったいないとは思いますが。でも、国は現状をそれほど問題に感じていないのではないでしょうか?ここ数ヶ月のうちに、ヤフーニュースで中国では留学した「頭脳」が帰国しなくて問題になっている、という話を読みました。日本でも本当に博士が国益に貢献すると思われる存在であるのなら、いずれ中国と同じようなニュースが報道されるかもしれませんね。

>学部卒でも「企業人として問題」な人はたくさんいるでしょうが、
 これはまさに仰るとおりで。ただ、最初からまっさらな新人として広い間口で一括採用される学部卒と違って、博士はそれなりに期待されるから門戸も狭くなる。博士の側には企業に期待されるに足る人間になるという意識はない。


Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 06:44 x
 結局、企業は博士はいらんというし、博士は企業なんて…というスタンスを取る。今のところ博士号取得者を積極的に採用しない事で日本に問題は出ていないように思います。過剰になった博士をどうするか、という意味では問題になっていますけれど。

 もし、本当に博士が埋もれているのがもったいないと思われるなら、自然と博士の待遇もよくなりますって。「いなくなると困るから」です。ポストやそこでの待遇は「労働市場でのその人の価値」です。価値が高ければ優遇されます。厚遇しないと、その人が逃げてしまうからです。ポスドクなどが悪条件で苦境に耐えているのは、「嫌なら辞めな。君と同じ待遇で働きたい人なんていくらでもいるんだから」という事をあらわしているに他なりません。

 現状を改善したいのなら、国や企業から「うちにいてくれなければ困る」と思わしめるような付加価値を身につけるしかないのではないでしょうか。
それは、ただ実験ができる、知識がある、論文が書ける、研究のプレゼンができる、外部予算を獲得できるという能力が生み出す価値ではありません。ビジネスマンとして会社にも顧客にも同僚にも必要とされる人間としての価値、です。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 07:00 x
>元ポスドク様
>博士は、あくまで博士なりのプライドを持って欲しいと思います。
 多分、これが博士が企業に歓迎されない理由の一つでしょうね。企業にとってそこの社員のプライドなんてどうでもいいことなのです。ようは会社のミッションにその社員達がどう貢献してくれるか、という事なので。金が儲かればあとはどうでもいい、というような企業が健全だとは思いませんが、社員のそのプライドが果たして必要かどうか?

 正直、会社に入ればその企業のやり方などイチから学ばなければならないわけですから、学部、修士と巨大な開きがあるわけではなく。学ぶ立場からスタートという意味で、会社では博士は特別じゃないんですよ。但し、英語、実験については経験が深いので早く成長する事が期待され、初任給は高めのところが多いでしょうが。

 企業においても自分は博士だから、と修士以下より高いところにおられるなら会社員は勤まらないのではないでしょうか。

Commented by 続き at 2007-07-24 07:00 x
 ちなみに、saiyou様に対してですが
>まあ書き込みの時間を見ると、とてもまともな社会人ではないですね。一日中ここに粘着している閑人なんでしょう
 うーん。ご自分の意見を批判されたからといってこういう切り口はどうかと。会社員でも研究者と同じですよ。日中好きな時間に休憩してもいい(ひともいる)し、深夜早朝まで残業する人もいるわけです。

 企業の入社試験では「圧迫面接」といってわざと受験者を不快にさせるような話し方をされる場合があります。そこで社会に出てから不快な思いをした時の対処法を見極めようとされるわけです。saiyou様はそういう意図で投稿されているのではないでしょうけれど、もう少し大人の対応の仕方というものがあるのではないでしょうか?
 ま…研究者の業界に限っては学会発表の質疑応答などであからさまに「カチン」ときた様子を表にだす人もいますから…しかもそれで生きていける社会ですから……。研究者には必要のない能力なのかもしれませんけれど。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 07:09 x
>stochinai様
>ひどい目にあったポスドクの方々も、特定の企業ではなくすべての日本企業が同じようにダメなのだとおっしゃるのはやはり誤解にもとづく偏見と言わざるを得ません。
 私は自分の就活を通じ、またここを拝見していて、特段にポスドク、博士が不当な扱いを受けているとはどうしても思えません。
 「私は博士(PD経験者)だから、企業は当然良い待遇のポストを用意して然るべきである。修士以下と一緒などというのは博士の価値を下げる事であり、自分一人の問題でなく、到底許容し得ない。何故なら博士は優秀だからである」
 就職の面で企業は博士を不当に扱っているという方の、あちこちの話をつなぎ合わせるとこういうスタンスに見えてしまいます。 

 中途採用でピンポイントでポストとマッチした博士は厚遇されて然るべきでしょう。すぐに戦力になるでしょうからね。でも、そうでなければスタートラインは非博士と一緒です。会社の業務に活かせるかも知れない潜在的な能力が若干高い程度です。
 無駄なプライドはうち棄てて自分の目指すポストに要求されているものをしっかり見極めて、社会に対して謙虚な姿勢を持つ事が大事なのではないでしょうか?
Commented by デモ鳥 at 2007-07-24 08:41 x
>stochinai様
>ただし、saiyoさんの少ない経験で日本中のポスドクを誹謗中傷するのはフェアじゃないと思います
 あんまり一方に偏った考えはしたくないのですが。saiyo様の仰りようは、恐らくはある程度以上の数の企業、そしてその採用担当者の意見を代表している部分もあるのではないでしょうか?
 もし、saiyo様の周辺のみ、かの人の経験のみに偏った考えであるのなら、現在のように博士が会社にいけないという状況は産まれてこないのではないかと。

 私は修士卒で企業に勤めていたし(非研究)、博士に戻ってきてやっぱり企業に研究職で入りたいと思っている人間ですから。どうしてもsaiyo様よりの考え方をしてしまうのですが。

 企業に進みたいけど不当な扱いを受けてそれが叶わないという博士の皆様にお伺いしたいのですが。結局、企業に入って何がしたいのですか?

 私は企業に入って、そこの方針に従い、その会社の利益、顧客に貢献する研究をし、また後輩を育てたい。会社に都合のいい存在になり、また会社を都合のいい存在にし、仕事を充実させつつ、家庭をきちんと維持したい。

 博士の皆様のご意見を伺いたく思います。
Commented by ポスドク at 2007-07-24 09:20 x
>デモ鳥様
私自身は海外でのベンチャー経営に興味を持っておりますので、直接の答えにはなりませんが、梅田望夫さんのブログ(07年4月2日)に 「好きを貫く」ことと大企業への就職というタイトルの記事があります。博士課程学生もしくはポスドクに向けて書かれた内容ではありませんが、そこから私が理解した限りでは、私の理解する「ポスドク像」と企業の求める「雇用者像」には水と油の関係にも似たお互い相見えない関係が浮かび上がってくるように思います。もっともここベイエリアでは、ポスドク後にベンチャーに移籍する人も私の周りにも結構な確率でありますので、両者の関係は日本でのものよりもずっと深刻度は軽いのかもしれません。なので、stochinaiさんが言われるようなwin-win situation というのはこの地では実際に起こりうると個人的には思っています。
Commented by saiyou at 2007-07-24 09:42 x
一点。会社は好きなことをするところではなく、顧客に必要とされる仕事をするところです。利益を出すところです。ベンチャーならなおのことシビアです。それを好きになるかどうかは自由ですが。
梅田望夫氏の著書は面白いですが、そういう点は罪作りですね。
Commented by M at 2007-07-24 10:29 x
自分のことを棚に上げて言えば、ポスドクは歳取ってる分、学部・修士卒で企業で育って来た人にはないスキル・知識(会社の業務に役立つもの)があるのか?ということですね。潜在能力を買ってくれ、というのであれば中・小企業で、そこの研究員の人をはるかに凌駕する能力を期待できると思わせないと。大企業だと博士持ち研究員なんて新卒、もしくは出向・論博で沢山いますから。
Commented by alchemist at 2007-07-24 11:32 x
>とまと様
>デモ鳥様
大学を含めて日本と欧米の組織の差は、若手の能力を認めるかどうか、というあたりにあるのではないでしょうか?恐らくは、中世以来の文化形成史に理由があるのでしょう。
能力を認められたらヒトは伸びます。能力を押しつぶされたらヒトは屈折します。多分、デモ鳥さんの現状もその辺にあるのだと推測しています。
こういう業界を転々としていますから、能力のあるヤツを見ること、こいつはかなわないなと考え込んでしまうことはしょっちゅうあります。欧米では能力は神の与えたものという雰囲気があるのではないでしょうか。だから才能を大事にする。
若手の時期を振り返れば、無視されるか認められるかが一番の大きな問題だったような気がします。認められれば、研究の方針が変わっても頑張るだろうし、叩かれたら嫌になりますよね。日本の組織は(あるいは日本人は)その辺が下手なことが多いように見えます。折角、能力のある人間を一定の型にはめ込むなんて、もったいないことをする、と零細ラボの経営者には見えてしまいます。
Commented by とまと at 2007-07-24 16:56 x
Alchemist様

仰るように、欧米は個性を尊重するので、適材適所、各人の個性がうまく発揮出来るような人材配置を理想としているようですね(完全に上手くいっているかどうかはさておき)

「この人はここがダメ、あれがダメ」と能力の欠けている部分に注目する減点方式ではなく、能力の優れた部分に着目してそれを活かすような人事であれば良いのですが。学部卒であれ、院出であれ、「人間を一定の型にはめこむ」のは、本当にもったいないです。型からはみ出した能力は切り落とされてしまうということでしょうか。

型に収まることができた人間だけで充分会社は機能するから、と言われてしまえばそれまでかもしれませんが、個人の生き甲斐という観点からすると、なんだかなあという気がします。
Commented by M at 2007-07-24 17:36 x
さらにまた自分の事を棚に上げて言えば、アカデミックジョブを諦めて会社に就職をしようというポスドクは、「運がなかった」とも言えますが、「読みが甘い」か「大した能力がなかった」とも言えます。新卒で会社に行った人はなるべく自分に合った会社を選ぼうとした筈ですし、自分の好きな事だけして飯を食って行こうという夢を見なかった訳です。ポスドクは夢を追いかけた分苦労するわけですが、転身で成功しようと思ったら、自分の専門を活かせる会社にアイデアを売り込むとか、溜め込んだ知識が生きる特許事務所などを目指すのが良いのではないかと思います。まあ、能力や業績とアカデミックポジションの相関が?なところが日本のポスドクの苦悩の一端であるのは認めます。会社でもそうでしょうけど。
Commented by にゃも at 2007-07-24 21:48 x
少し前のトピックのようで、いまさらですが、私は別の意見をもっています。
(1)大学のポスト(=アカデミア?)は研究だけして業績をあげればいいというポストではありません。私は現在のポストが3つ目の大学ポストですが、私の経験では、いまの教員は、いわゆる研究室での仕事以外に様々な事務仕事と講義と地域貢献と国際貢献と高校訪問等などが課せられて、どちらかといえば、これらの業務の合間に研究活動をおこなっています。さらに、職場の同僚は、どちらかが自主的に異動・退職しない限り、ずっと関係が続きます。そのため、当然のことながら、採用時には人間性が強く問われます。企業の常識とは若干違うかもしれませんが、やはり「とても優秀な(?)困ったヒト」よりも「そこそこ優秀な良いヒト」にご近所さんになってもらいたいですから、最終選考の場面では、人事委員は各所から人間性に関する情報を集めることが多いです。
Commented by つづき at 2007-07-24 21:49 x
(2)大学院に進学する学生が優秀というわけでもありません。私の浅い経験ですが、とくに就職難だった年に就職を決める学生と進学する学生を比べると、前者が採用されることに深く納得することが多かったです。相対的に、大学院進学よりも企業から内定を受けることの方が難しいわけですから、当然、大学院には就職活動に失敗した学生も多数進学しました。院生は「お金を払って進学している成人」、つまりお客ですから、「社会常識に欠けている」と感じられても、そのことをあまり強く指摘するわけにはいきません。やんわりと、にこやかに、指摘する程度です。
Commented by つづき at 2007-07-24 21:53 x
現状の問題解決には全く役に立ちませんが、私は、大学院進学へのハードルが低すぎること(院生定員の大幅増)が、この問題の発端であり、また「社会常識」は、家庭で習得させるべきことだと思っています。
Commented by ぶんこ at 2007-07-25 01:37 x
まあ大学にもいろいろありまして、そういった二流三流の人材を、常識人に仕上げて会社に売るためのものが、このご時世主流なのは当然でしょう。

そういうとこの問題は、教員の資質も二流三流なので、むしろそういった常識的な事さえきちんと教えられない。出戻りさんとか言う方の繰り返しおっしゃっているような状況ですね。

しかしまあ、そんな世界は研究の最前線からすればどうでもよくて、だいたい院生自体だらだらしているだけなので、、20%でも50%でも使ってキャリアプランやればいいんじゃないでしょうか。
Commented by ぶんこ at 2007-07-25 02:02 x
本題についていえば、坂東おばさんの発言は、何の意図かは知りませんが、内容みる限りただの思いつきでしょう。そこに並んでる「交通流」だの「経済物理」だのって項目は、彼女自身の趣味の仕事を並べてあるだけですから。成功した物理屋の本音は今も昔も同じで次の通り。才能の膨大な無駄使いの中からしか本当のサイエンスは生まれない、死屍累々のなかで100人に1人が残れば良い、です。そういう競争の前線にある院生ポスドクにとって、20%他事やってるのは、間違いなく負けを意味します。トップミュージシャンを目指す世界と同様、こういうのはアメリカ日本ヨーロッパどこでもおなじです。

彼女の言っている事の現実的な適用を考えると、修士の段階くらいで自分の可能性を見極めて、きちんと見切りつけろ、という事でしょう。

つまり、大学院重点化、ポスドク1万人計画は完全にボタンの掛け違いだったと認めた事ですね。
Commented by saiyou at 2007-07-25 11:05 x
そういうわけで、企業に文句を言うのはお門違いなんですね。学生さんは自分の教授に文句言ってください。
Commented by uoyias at 2007-07-25 22:34 x
大学教授の仕事の主要部は雑用、人を選ぶときは有能さよりも人柄、とか上でいっている人がいますが、こういう情けない視線の低い人が人事をやるようになった組織では、プロフェッショナリズムは消えて、とりあえず既得権のある自分たちに都合の良い、ぬるま湯のような雰囲気が広がります。こうなったら大学であれ、企業であれ、衰退は早いものです。学生が常識もなくやる気もない腐った駄目研究室というのはたいていこういうとこです。
Commented by inoue0 at 2007-07-26 06:58
saiyouさんへ
 博士といっても色々ありますが、抽象度の高い学問だと、学のない人には(失礼)使い道がわからないので、供給側からのアプローチが必要だと思います。需要側が理解できないような研究でも、企業に役立つことはいくらでもありますから。
 ただ、それは、求職者個人の努力ではどうにもならなくて、大学による採用支援活動が必要なんですが、それを整備せぬままで、博士の数だけを増やした政府の責任は、追求されるべきでしょう。
 たとえば、日本の金融各社は、資金量だけ膨大で、利益率が非常に低いことが、常に経済学者の批判の的になってますが、それは運用担当者がマトモな金融工学を知らないからです。米国債を買って、安全パイを取って満足している。
 しかし、実務を知らない金融工学の研究者が、銀行に対して「私はこれだけのことができる」とは中々言えないでしょう。
 大学側からのアプローチが必要とはそういうことです。指導教授のコネだけでも不足ですね。
Commented by ピペド at 2007-07-26 11:13 x
若輩で失礼いたします。「政府の責任は、追求されるべき」といったとき、誰がどのようにすれば追求できるのかが分かりません。よければご教授いただければ幸いです。
Commented by alchemist at 2007-07-26 13:44 x
>大学教授の仕事の主要部は雑用、人を選ぶときは有能さよりも人柄、とか上でいっている人がいます

誰もそのようなことは書いていないと存じますが?
Commented by inoue0 at 2007-07-26 13:48
 それは、年金記録散逸問題をいまさら追及しようがないように、具体的な責任追及の方法はないとしか言えません。
 ただ、博士で就職に困っている方は、その責任の大部分は自分のせいではないという程度のなぐさめのつもりです。
 現実を見据えて、就職には対処せねばなりませんけど、20代で職がないなんてことはないのですから、なんとかなります。単に科学者になろうという夢をあきらめるだけのことです。
Commented by 元ポスドク at 2007-07-26 20:38 x
>デモ鳥さん
せっかくカンフル剤を与えておいたのに残念です。
そんな使用人根性では、博士を取っても企業の研究職には就かない方がいいと思います。
イエスマンの博士なんて、それこそクリープを入れないコーヒーであり、研究職として採る価値はありません。
企業経営を維持するためには確かに協調性も大事ですが、
発展させるためには自分の職務に対する積極性が大事なのです。
そして、研究職の役職に求められることは、まさしく企業経営の発展、
つまりは積極性なのです。
だから、教授にこき使われて使用人(奴隷)根性の染みついた博士や、科学者をあきらめて負け犬根性の染みついた博士なんて、ダメダメなのです。
Commented by にゃもとかいう at 2007-07-26 21:11 x
人が確かにそのように書かれてますね。>>alchemistさん。

わたしも自分の大学院での不適応の逆恨みを、こんなとこでまぎらす負け犬根性はダメダメだと思いますよ。
Commented by stochinai at 2007-07-26 21:35
 はははは、「こんなとこ」だからこそ、他では決して言えないことを言ってもいいのだと思います。

 他では言いにくいことや、そういうことを言い合う機会がない人などが、ここで本音をぶつけ合うことは決して無駄だとは思いません。愚痴なども、実際に吐きだしてみて初めてやっぱりダメだと自覚できるということもあるのだと思います。明らかに不毛な領域に入らない限り、とりあえずどんどん本音トークを続けていただきたいと思います。

  コメントが100を越えました。新記録です。
Commented by uoyias at 2007-07-26 22:44 x
ポスドク問題院生問題の話になると、底辺大の個別例とおぼしきものを根拠に「日本の大学院は腐ってる」という主張を掲げた変な人が、私怨まるだしでなぜか複数参入するんですね(笑
Commented by iaysou at 2007-07-27 09:46 x
そして低レベルな教員が人格攻撃を始めると(笑
Commented by デモ鳥 at 2007-07-27 10:03 x
>元ポスドク様
 すみません。カンフル剤の内容が理解できませんでした。私も自分にコミュニケーション能力が足りないのを残念に思います。


 さて
>そんな使用人根性では、博士を取っても企業の研究職には就かない方がいいと思います
 あのー…結局被雇用者は使用人であって。使用人根性というのがどの部分を指すのかわからないのですが、結局、会社の方針に従って研究するのは当然です。研究費は会社の利益から出ますし、研究成果を売り込んでくれるのは会社の別部署の人間だったりしますから。

 だからといってそれは必ずしもイエスマンであると同義ではないと思います。企業にいようが大学にいようが、イエスマンはイエスマンであって。まさか学卒や修士卒はイエスマンばかりだとも思っていませんよね?
 どうしても自分のやりたい事だけを貫きたければ、大学、公的研究機関で、自分で予算をとってきてやるか、自分で出資者を募って会社を起こすしかないですよね。
 まさか、会社は「博士である」自分を理解して、給料も研究費も出すべきだ、何故なら自分はこんなに優秀なのだから、と考えているわけではないですよね?
Commented by デモ鳥 at 2007-07-27 10:04 x
続き
>発展させるためには自分の職務に対する積極性が大事なのです。
 私は職務に対して消極的であれとは一言も申しておりません。

>教授にこき使われて使用人(奴隷)根性の染みついた博士や、科学者をあきらめて負け犬根性の染みついた博士なんて、ダメダメなのです
 まさにその通りですね。
 ただ、大人として申し上げておきたいのは、科学者を諦めた人がいるとして、その人達をもひとくくりにして負け犬呼ばわりするのはやめたほうがいいですよ。科学者はそんなに高尚な存在でもないですから。また、ご自身は恐らく今、科学者としての仕事をしておられると思いますが、それをまさか自分の力だけで勝ち取ったと思っておられませんよね?色々な面で恵まれている人もいればそうでない人もいる。それを理解しておかなければならないと思いますがいかがでしょうか?saiyou様に対するコメント付けなども含め、元ポスドク様には少々大人げがないように感じます。
Commented by デモ鳥 at 2007-07-27 10:04 x
続き
 まぁ、企業への就職について、結局採用を決めるのは「学会の重鎮」や「実績がたくさんある博士」ではなく、企業の採用担当者なので。企業がイエスマンが欲しいといえば、そういう人が採用されますし、とにもかくにも科学について能力が高い人が欲しければそういう人が採用されるでしょう。企業にとって魅力的に見えない人が「博士を冷遇するのはけしからん」といったところで、自分で鏡を見て「自分はこんなに二枚目なのに異性が寄ってこないのはけしからん」といっているのと同じです。

 自分の信念と科学の能力、探究心、プライド。私は、これらをとことん満足させるのは企業に雇われる立場では無理だと思います。会社では自分は興味がない内容の仕事でも、しなければなりません。業務命令にイエスマンもなにもないからです。仕事ですから。
Commented by ST's frog at 2007-07-28 03:40 x
いろいろな意見がありますけど、このような意見が社会的なというよりもポストドクターたちの意見集約組織の設立や団体ができればいいのですが。
実際の博士の方々の生活を考えれば、自分の時間を割いて身を投じる事がためらわれるでしょうが、学会は何もしてくれないのでしょうか?
学会費の20%をそれこそ組織を設立する人件費に使っていただければよかったのですが・・・文科省はそんなうるさい組織を作る事に金は出さないでしょうが。
いまや20%の時間は履歴書書きでつぶれる方々も多いのではないでしょうか(本来これは仕事時間外でやるべきなのかもしれませんが)?
Commented by 通りすがり at 2007-07-28 10:16 x
>コメントが100を越えました。新記録です。

そんなことを喜ぶよりもやることがあるんじゃないのか?
Commented by stochinai at 2007-07-28 10:44
 いや、喜んでいるというわけではなく、驚いているというところです。

 ところで「やること」について、何かアイディアないですか?現状では、個々人がいろいろと工夫する以外には何も出てきていないような気がします。文科省も大学も企業も、基本的にそのスタンスだと思います。

 ここで頑張れば1万票くらいは動く気もするのですが、政党はそのくらいの票数でも反応してくれるものでしょうか?それとも、やはり・・・・。
Commented by Motomu Shimaoka at 2007-07-28 13:41 x
stochinaiさん、
議論を興味深く拝見させていただきました。
「ポスドク問題:5号館のつぶやきでの議論」でトラックバックさせていただきました。
Commented by カエル at 2007-07-28 14:32 x
デモとかやればいいんじゃないですか? フリーターですらそれくらいの自己主張はしてますよ。
Commented by alchemist at 2007-07-28 14:55 x
表面的なオーバードクターが1000人を越えた某大学で教授とオーバードクターがお手手繋いでデモやったことはあったけど、反響はなかったような・・・。
ポストドックは日々の実権に追われているから、纏まってデモに参加って難しそうですね。
Commented by カエル at 2007-07-28 17:43 x
大学内でやってもねぇ。東京の路上で派手にやんないとこういうのは無意味ですよ。
Commented by 通りすがり at 2007-07-28 18:28 x
>ここで頑張れば1万票くらいは動く
どんな根拠で1万票なのかわかりません。このブログのPVからでしょうか?あまり過信はされないことです。

「やれること」ですか? いますぐ大学院生の入学定員を減らして、不幸な学生をこれ以上増やさないで下さい。たぶん大学にはできません。学生が減れば教員定員も減りますから。その証拠に、全国の大学や先生方が所属されているあまたある学会が、こぞって嘆願書を出したり陳情しているという話は聞いたことがありません。
それが無理ならば、日本の社会をドライブできるような優秀な人材を、大学院から企業に提供して下さい。これは大学にはできますが教員の研究時間は大幅に減ります。大学教員自身が社会でいま何が必要かというアンテナがなく、自分のアンテナも育てないといけないからです。
以上のいずれかを教授会や学会へ提案することはできますか?
Commented by 通りすがり at 2007-07-28 18:28 x
つづき: この問題を取り上げておられる大学教員の方は、まだ意識の高い方だと思います。だけれどそんな方々でも、国や企業の援助でポスドク問題をなんとかしてほしいという意見です。部会者から見れば所詮「これからも大学院生をばんばん世に送り出して、自身の研究時間も削らずにすみますように」という大学教員のエゴの裏返しに見えますよ。
Commented by 元ポスドクB at 2007-07-28 21:24 x
話が大げさになってきましたが、ポスドクの就職問題で「大学が危機にある」訳ではないのを、もう一度思い返しましょう。仮にそのまま「自由主義経済学」に従って、誰も何もしないでおいても、進学者が減っていずれバランスします。大学の終わりでも日本の産業の終わりでもありません。

バランスのあるものの見方が必要とされますね。
Commented by 通りすがり at 2007-07-29 00:06 x
大学の信頼と日本の産業の優位性は危機にあると思いますけどね。
Commented by ななし at 2007-07-29 08:14 x
博士課程の院生+ポスドクで政治団体みたいなものを作るのはどうでしょう。この集まりは利害の一致する集団と思います。規模は数万ですか?(あまり大きくは無いですが、小さくもないです)
この集団の意見集約をネット上の委員会で行い、選挙投票などに反映させます。知的な方が多いし、これは実際に実行可能なことと思います。
汚いやり方・面倒くさいとの意見があると思いますが、ネットで愚痴を垂れるだけでは実際の影響力は無いに等しいと思います。
Commented by abc at 2007-07-29 11:01 x
元ポスドクBさんに近いですが、院生はようやく減りつつあり、そのうち良いバランスになるでしょう。今いるポスドクは自助努力でなんとかしなさい。好きで進んだのでしょう?騒ぎすぎです。
Commented by 通りすがり2 at 2007-07-29 22:19 x
まあ上司が部下を守らない業界に未来はないよね。
Commented by 通りすがり at 2007-07-30 09:35 x
>話が大げさになってきましたが
大げさでもなんでもない。原因を特定し、対処する。それだけです。

>「ポスドク問題で大学は危機にある訳ではない」
大学が生み出すものは新たな知識と人材です。後者が社会において「問題」だといわれているのですよ?
Commented by M at 2007-07-30 09:35 x
今の教員にすぐできること。博士課程に学力不足院生を入れない。助教・准教授には、その上の職でもすぐ通用しそうな人しか採用しない。院生を技術員代わりに使わない。半年くらいはローテーションで複数ラボで研究させ、視野・適応基礎力の充実を図る。会社など外部からの人材による集中講義により、実社会における研究の実情を教える。
Commented by alchemist at 2007-07-30 15:41 x
>大学内でやってもねぇ
学外のどこかの大通りでやってたかと。まあ、私は実験で忙しいので参加するゆとりはありませんでしたが。
Commented by 部外者 at 2007-07-31 16:35 x
>今の教員にすぐできること。博士課程に学力不足院生を入れない。
傍目から見るかぎり、コレが出来ないのが日本の文教バブルの最大の原因と思えるけれども。それ以外の項目も実現可能な大学はきわめて少数のように思う。
Commented by alchemist at 2007-07-31 17:42 x
>学会へ提案する
学会で何をやっているのか知りませんが、秋から大きめの学会の理事会に出席することになりますので、現在何をやっているかを確かめた上で提案してみます。
但し、ゆとり教育の理科教育に対するマイナス効果で学会がかなり動いても、あまり社会的には効果なかったような記憶がありますが。
Commented by 年金問題と似てる? at 2007-08-01 07:03 x
現在博士課程在籍者ですが、
この問題って年金問題と似てる気がします。
①社保庁(大学)の失態
②国策レベルでの問題点(少子高齢化等)
①は言わずもがな、質の悪い博士を送り込んだ大学の責任は
当然あるでしょう。
②に関しては
例えば年金問題は若い人たちが構造的にもらえるわけがない
のと同じく、
大学院生増やしたらポストを増やさなきゃどうしようもない点
少子化が進むとわかっていて大学院を拡大することの矛盾
(いまから大問題になると思いますが)だと思う。

年金問題とそっくりなのは今の社会保険庁が悪いのでなく
今までの社会保険庁が悪いと言うこと。
大学院重点化時の教授等の権力者たちの悪いつけが
今になっておそらくわかってきたのを目をつぶってきて
いまになって、現れてきたのだろうと思う。
あきらかにたたかれるとわかっていて、これらのことを述べている
alchemistさんはえらいと思う。

Commented by A at 2007-08-01 11:45 x
実のところ、ポストポスドク問題で、その数を増やしたことは大きな問題ではありません。むしろ彼らが科学の全体的なレベルの底上げをしていることは事実で、正しい選択だったとも言えます。問題は、院生はタダだったがポスドクは金がかかるので、上澄みの1%程度だけを残し、あとは消えてもらおうという流れになっていることです。どんなに世知辛い世の中と言っても、新入社員の99%が解雇される会社はないでしょう。これをやってしまうと、新人教育の意味が無くなりますし、現場のモラルも低下し、新規の参入者も減っていくという負のスパイラル、まさに倒産寸前の会社です。ひとつの解決策は、ポスドクの最低賃金と雇用を保証することで、業界内のモラルと労働力を保つことではないでしょうか。ポスドクがまず勝ち取るべきものはセーフティーネットだと思います。これはこの業界の誰にとってもメリットになり、先につながるものだと思います。
Commented by AA at 2007-08-01 12:51 x
>科学の全体的なレベルの底上げ
官僚が期待したのは論文ではなくベンチャーと産業振興なので、実質的には失敗でしょう。
Commented by A at 2007-08-01 12:52 x
具体的にどうやってこのセーフティーネットを獲得するか、と言うことが課題ですが、第一に必要なのは労働基本権の行使でしょう。実のところ、賃金労働者であるポスドクは、既に団結し交渉する権利を持っています。この権利を行使するとして、「使用者」に当たるのは誰かと言うことですが、これは実際のボスではなく、財源の出所、文科省やJSTなどの団体に、セーフティーネットの敷設を申し入れると言うのが具体的だと思います(むろん、場合によってはストライキも覚悟しなくてはなりません)。これを実現するにはある程度まとまった数の人間が必要であり、この団体を組織するところが最初のゴールだと思います。この組織は、行動資金を獲得しやすい、NPO法人などにすると、主要メンバーの給料なども捻出できると言うメリットがあります。このための骨組みを作るのは並大抵のことではありませんが、これに協力することは容易いと思います。今はインターネットも普及しているので、日本全国と言う規模でもかなり簡単に情報のやり取りが出来る筈です。これはポスドクがポスドクのためにやると言うのではなく、研究者全体がより良い研究のためにやると言う方向性で進めることが重要だと思います。
Commented by Aさんへ at 2007-09-13 05:52 x
セーフティネットは必要だと思います。自身は海外にいますので、なかなか帰れませんが、かえったらいろいろな方と相談してどうにかしたいと考えている一人です。
ポスドクのストライキは現実可能だと思われますか?いろいろな考え方の人がいて、みんな賛同するとは思えませんが・・・。ストライキなんぞ誰かに任せて上からにらまれたくないから実験する方が多いのではと思っています。
本当は日本のポスドク全員かストしたら日本の科学は麻痺するので、非常に効果が高いはずなんですが・・・。実験機材の維持やメンテナンスもしているかたもいらっしゃるので、本当に意味でいい効果があるのですが。
一時雇用かつ一方的な成果主義(論文至上主義)はポスドクのこうした運動を妨げているように思います。
とはいえ、誰かが動かねばと思いますが、私もチキンの端くれなので、安定した状態で動きたく思ってしまいマス。
by stochinai | 2007-07-17 21:54 | 科学一般 | Comments(133)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai