2007年 07月 19日
柏崎刈羽原発敷地内の地割れ
今朝の朝日新聞一面には、柏崎刈羽原発敷地内の道路(?)のアスファルトが割れている写真が載っていました。原子力資料情報室には「地震 : 写真レポート:7月17日の柏崎刈羽原発」があり、敷地内のあちこちで道路が歪んだり、割れたりしている写真が載っています。
こうしたものを見る限り、今回の地震で柏崎刈羽原発で報告された50を越える「事故」が、それだけで済んだのは本当にラッキー以外の何物でもなかったのではないかと、背筋が寒くなります。(今後、重大な事故の報告が出てこないことを祈ります。)
地震によって稼働中の原発4基が自動停止したことは、原発の「安全性」を示すエピソードでだとは思いますが、もしも停止していなかったとしたら考えたくもない事態もあり得たのかもしれません。変圧器が火災を起こしていたにもかかわらず、緊急停止と冷却が継続されていたのだとしたら、それも「安全性」の証明になると思いますが、どうも我々にまで届く情報は少ないように思われます。
原子炉の炉心本体は地震で破壊されるようなものではないでしょうから、緊急停止さえ保証されていれば炉心溶融などということにはならないのでしょうが、使用済み核燃料を保存しているプールはとても心配です。敷地内の道路があれだけ派手に破壊されているのですから、コンクリートでできているとおもわれるプールにも問題が起こっていると考えるのが普通だと思います。
地震およびその影響による事故を受けて、柏崎市長が消防法に基づき、同原発の安全が確認されるまで運転しないよう緊急停止命令を出したということですが、命令されるまでもなく、この状態では運転再開は絶対にあり得ないでしょう。
海外のメディアでも、かなり大きく扱われているようです。
とりあえず刈羽原発だけでなく、日本中で今動いている原発をどうするのか、今後の原発運用をどうするのかということについて、専門家を中心に緊急に対策を立て、広く情報を公開し、専門家・非専門家を交えたコンセンサス会議のようなものを開催していってはどうでしょう。
これだけ連続して地震の起こる国です。もはや今までのように、推進派と反対派がお互いの意見を言うだけ言っているだけではダメだと思います。ここでこそ、科学者・行政・市民・地元住民による徹底したコミュニケーションが求められます。
科学・技術コミュニケーターの、本当の出番の時が来たのではないでしょうか。
こうしたものを見る限り、今回の地震で柏崎刈羽原発で報告された50を越える「事故」が、それだけで済んだのは本当にラッキー以外の何物でもなかったのではないかと、背筋が寒くなります。(今後、重大な事故の報告が出てこないことを祈ります。)
地震によって稼働中の原発4基が自動停止したことは、原発の「安全性」を示すエピソードでだとは思いますが、もしも停止していなかったとしたら考えたくもない事態もあり得たのかもしれません。変圧器が火災を起こしていたにもかかわらず、緊急停止と冷却が継続されていたのだとしたら、それも「安全性」の証明になると思いますが、どうも我々にまで届く情報は少ないように思われます。
原子炉の炉心本体は地震で破壊されるようなものではないでしょうから、緊急停止さえ保証されていれば炉心溶融などということにはならないのでしょうが、使用済み核燃料を保存しているプールはとても心配です。敷地内の道路があれだけ派手に破壊されているのですから、コンクリートでできているとおもわれるプールにも問題が起こっていると考えるのが普通だと思います。
地震およびその影響による事故を受けて、柏崎市長が消防法に基づき、同原発の安全が確認されるまで運転しないよう緊急停止命令を出したということですが、命令されるまでもなく、この状態では運転再開は絶対にあり得ないでしょう。
海外のメディアでも、かなり大きく扱われているようです。
とりあえず刈羽原発だけでなく、日本中で今動いている原発をどうするのか、今後の原発運用をどうするのかということについて、専門家を中心に緊急に対策を立て、広く情報を公開し、専門家・非専門家を交えたコンセンサス会議のようなものを開催していってはどうでしょう。
これだけ連続して地震の起こる国です。もはや今までのように、推進派と反対派がお互いの意見を言うだけ言っているだけではダメだと思います。ここでこそ、科学者・行政・市民・地元住民による徹底したコミュニケーションが求められます。
科学・技術コミュニケーターの、本当の出番の時が来たのではないでしょうか。

久しぶりにコメントいたします。
土木屋の立場からひとこと言わせて頂くと、敷地内の道路の被害状況と原発の施設そのものの被害を同列に考えるのは早計だと思いますよ。当然の事ながら、原子炉などの施設そのものは頑強な杭基礎の上に乗っかっており、浅い地盤の液状化や地面が多少波打った程度の変動はほとんど影響しません。原子炉やその付帯施設を載せる基礎は原発そのものの要でもあります。ですから、基礎に関しては十分な強度を有していると判断されて然るべきです。そうでなければ、今頃は原子炉そのものが破壊され、チェルノブイリの二の舞になっていたことでしょう。
道路があまりにも酷い状況だったので、素人目には「大丈夫なのか?」という不安を与えるに十分なインパクトを与えますが、道路の部分は通常大規模な地盤改良は行わず、そのまま砂利を敷いて締め固め、アスファルトで舗装してしまうだけなので、地表面の液状化などの変動をもろに受けてしまったのだと考えられます。隆起か陥没か?と書かれていましたが、液状化を起こした地面は通常陥没します。施設の建物はしっかりとした基礎があるので沈下も隆起もしません。あくまでも変位したのは道路のほうです。(続く)
土木屋の立場からひとこと言わせて頂くと、敷地内の道路の被害状況と原発の施設そのものの被害を同列に考えるのは早計だと思いますよ。当然の事ながら、原子炉などの施設そのものは頑強な杭基礎の上に乗っかっており、浅い地盤の液状化や地面が多少波打った程度の変動はほとんど影響しません。原子炉やその付帯施設を載せる基礎は原発そのものの要でもあります。ですから、基礎に関しては十分な強度を有していると判断されて然るべきです。そうでなければ、今頃は原子炉そのものが破壊され、チェルノブイリの二の舞になっていたことでしょう。
道路があまりにも酷い状況だったので、素人目には「大丈夫なのか?」という不安を与えるに十分なインパクトを与えますが、道路の部分は通常大規模な地盤改良は行わず、そのまま砂利を敷いて締め固め、アスファルトで舗装してしまうだけなので、地表面の液状化などの変動をもろに受けてしまったのだと考えられます。隆起か陥没か?と書かれていましたが、液状化を起こした地面は通常陥没します。施設の建物はしっかりとした基礎があるので沈下も隆起もしません。あくまでも変位したのは道路のほうです。(続く)
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(続き)
なお、これは私の推測ですが、変圧器が火災を起こしたのは、変圧器と、それに隣接する大きな建物とで、基礎の設計が異なっていたからではないかと思います。基礎の設計は上裁荷重の大きさで変わってくるので、当然ながら軽い変圧器と重い建物とでは違う基礎設計になっていたと考えられます。結論から言えば、変圧器も原子炉と同じ基礎の上に載せるべきだったのに、実際はそうではなかったので、建物とそれに繋がる変圧器との間に変位が生じ、破壊、火災へと繋がったのだろうと推測します。
まあ、原発の施設内で車が走れなくなるほど道路が損傷してしまうようでは困りますが、少なくとも、道路の惨状と原発本体の損傷度には全く因果関係はない、ということはハッキリと断言できると思います。
なお、これは私の推測ですが、変圧器が火災を起こしたのは、変圧器と、それに隣接する大きな建物とで、基礎の設計が異なっていたからではないかと思います。基礎の設計は上裁荷重の大きさで変わってくるので、当然ながら軽い変圧器と重い建物とでは違う基礎設計になっていたと考えられます。結論から言えば、変圧器も原子炉と同じ基礎の上に載せるべきだったのに、実際はそうではなかったので、建物とそれに繋がる変圧器との間に変位が生じ、破壊、火災へと繋がったのだろうと推測します。
まあ、原発の施設内で車が走れなくなるほど道路が損傷してしまうようでは困りますが、少なくとも、道路の惨状と原発本体の損傷度には全く因果関係はない、ということはハッキリと断言できると思います。

すみません、訂正です。
誤:上裁荷重 正:上載荷重
誤:上裁荷重 正:上載荷重
明快なご説明を、ありがとうございました。新聞やテレビの報道(ワイドショーを含めて)では、私程度のレベルのコメントが飛び交っているのですから、原発側では聞かれなくてもその程度の説明を公表すべきだと思います。特に、今回は世界的に注目されているので、国際問題でもありますから、それは是非ともお願いしたいところです。

GOROさんのコメントは、本当にその通りだと思います。
原子炉建屋は頑丈な基礎の上に建っています。また建物も、相当な揺れが来ても壊れません。
ただ私の考えでは、それで良いとは思えないのです。原発の関連施設でも、原子炉などの重要施設以外の施設は、頑丈な基礎ではないところに建っており、建物の耐震性も一段落ちます。
また建物の中にある配管は、長周期の振動に弱く、下手すると建物が大丈夫でも中の配管だけが壊れます。応力腐食割れなどが進んでいるとそこから配管が壊れることもあります。今回も配管が壊れたようです。
さらに、原発の安全装置や測定装置はすべて電気で動きますから、外からの電源供給が絶たれると安全システムに欠陥が生じます。自家発電装置も十分な耐震性(680ガルの揺れが来てもひびも入らないなんて大変だと思いますが)を持たせなければならないのです。
原発は、原子炉の建物だけが大丈夫ならいいということがいえない、とてもやっかいな巨大システムです。
今回は真剣に防災対策を検討した方がいいと、神様が教えてくれた地震ではないでしょうか?
原子炉建屋は頑丈な基礎の上に建っています。また建物も、相当な揺れが来ても壊れません。
ただ私の考えでは、それで良いとは思えないのです。原発の関連施設でも、原子炉などの重要施設以外の施設は、頑丈な基礎ではないところに建っており、建物の耐震性も一段落ちます。
また建物の中にある配管は、長周期の振動に弱く、下手すると建物が大丈夫でも中の配管だけが壊れます。応力腐食割れなどが進んでいるとそこから配管が壊れることもあります。今回も配管が壊れたようです。
さらに、原発の安全装置や測定装置はすべて電気で動きますから、外からの電源供給が絶たれると安全システムに欠陥が生じます。自家発電装置も十分な耐震性(680ガルの揺れが来てもひびも入らないなんて大変だと思いますが)を持たせなければならないのです。
原発は、原子炉の建物だけが大丈夫ならいいということがいえない、とてもやっかいな巨大システムです。
今回は真剣に防災対策を検討した方がいいと、神様が教えてくれた地震ではないでしょうか?

原発は、原子炉の建物だけが大丈夫ならいいということがいえない、と
7/22の日本経済新聞朝刊の引用です。『東電の担当者は「地震と火災が
同時に来ることを想定していなかった」とショックを隠さない。』
"非想定"は、装置やシステムへの絶対の信頼からだったのでしょうか。
7/22の日本経済新聞朝刊の引用です。『東電の担当者は「地震と火災が
同時に来ることを想定していなかった」とショックを隠さない。』
"非想定"は、装置やシステムへの絶対の信頼からだったのでしょうか。
by stochinai
| 2007-07-19 23:43
| CoSTEP
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