5号館を出て

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水の富栄養化がカエルの奇形を引き起こす

 北アメリカの湖で足がたくさんあるカエルが1995年頃からたくさん見つかり始め、化学物質による水の汚染などが疑われていましたが、その原因が吸虫という寄生虫の感染によるものであるということが1999年に報告されてから、今はそれがほぼ通説になっています。

 ところが、その寄生虫が少しくらい感染しても、カエルは奇形になることはないということもわかり、寄生虫が大量に増えていることこそがカエルの奇形の原因になっているということがわかりました。

 この寄生虫はカエルに寄生する前に、中間宿主として巻き貝に寄生します。巻き貝は水中に繁殖した藻類を食べて育ちます。藻類が増えると、巻き貝も増えて大型化し、そういう状況では寄生虫が中間宿主を見つけやすくなるため、やはりどんどん増えるのだそうです。

 風が吹くと桶屋が儲かるみたいな話ですが、結局湖で藻類が大繁殖したことがカエルの奇形の原因ということになります。なぜ藻類が大繁殖するのかということが、この度実験的に証明され論文で発表されました。

 それは、農業用の肥料に含まれるリン酸やチッソが湖に流れ込み富栄養化したことが藻類大繁殖の原因であり、それはもちろん人間が引き起こしたことであることがはっきりしたというものです。
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 奇形のカエルがたくさん見つかった時、最初は化学物質汚染ではないかという恐怖がニュースになり、その後寄生虫が原因なので化学物質のせいではないと安心していたのですが、やはり肥料という人間が作った化学物質がカエルの奇形を引き起こしていたというところに落ち着いたということになります。

 上の写真は、それを報告した論文の中にあった実験水槽、寄生虫、中間宿主の巻き貝、奇形カエルなどの写真です。

 原典はこちらです。

Aquatic eutrophication promotes pathogenic infection in amphibians
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 10.1073/pnas.0707763104
Published online before print September 24, 2007


 原著論文はちょっとという方には、New Scientist の解説があります。

Frog deformities linked to farm pollution
* 11:31 25 September 2007
* NewScientist.com news service


 ちょっと前に、ツボカビがカエルを殺すということが大きなニュースになっていました。しかし、よく調べてみるとツボカビはカエルの大量死が報告されるよりもずっと昔からいたようですし、意外とたくさんのカエルがツボカビに感染してもそう簡単には死なないということもわかってきたようです。今回の動物学会でも、広島大学の両生類研究所の方がツボカビを日本のカエルに感染させる実験を発表していましたが、ツボカビに感染したからといって実験室では特にカエルの死亡率が上がるというような結果は得られなかったということです。(対照群もいっぱい死んでいたので、あまりきれいな実験結果ではありませんでしたが、、、、。)

 とういわけで私は、個人的にはツボカビに関しても、意外と人間が原因の死亡率増大要因が発見されるような気がしてならないのですが、さてどうなりますか。
Commented by さなえ at 2007-09-27 06:39 x
数ヶ月前に聴いた農業関係の講演では、土に肥料をやりすぎることから人体に被害が出ていること、農協が農家に過剰に肥料をセットで販売することが原因であることを主張されていました。歪められた情報を科学的であると信じ込まされ、自分たちは多額の肥料代で採算が採れず、体もこわすという話でした。どこかが過剰になると巡り巡って戻ってきますね。
by stochinai | 2007-09-26 23:13 | 生物学 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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