2004年 11月 29日
スギヒラタケ中毒事件その後
今朝の朝日新聞に、スギヒラタケの毒性がマウスのを使った実験で確かめられたと出ていました。朝日コムにもスギヒラタケに毒性 静岡大教授らマウスで確認 とあります。
google newsでも、現時点で7件の同様のニュースが出ています。産経新聞、毎日新聞、朝日新聞、熊本日々新聞、静岡新聞、TBSなどです。
ところが、googleに載っていない読売オンラインでは、「スギヒラタケ、毒性ない動物実験結果も…研究班初会合」と興味深い記事になっています。
他の新聞社で無視されたのは「脳症患者の発生地域で採れたキノコは毒性があったが、患者報告がない地域で採れたキノコは毒性が認められないという結果」の報告についてです。
読売の記事によると「高崎健康福祉大の江口文陽教授(健康栄養学科)は、群馬県や長野県などから採取したスギヒラタケからエキスを抽出し、健康なマウスに投与したが、変化はなかった。また、腎機能を低下させたラットにエキスを投与したり、キノコそのものを食べさせたが、発症しなかった。群馬、長野両県は、これまで患者の発生が報告されていない」となっています。
読売のサイトを良く見てみると、この記事は午後9時21分のもので、1時50分の記事では他社とおなじ内容のものも発信されていました。スギヒラタケに毒性、静岡大教授らがマウス実験で確認がそれです。
ということは、今後他社の記事もこれを追いかけることになるのでしょうか。もしそうなら良いのですが、これが例によってセンセーションだけを追い求めるジャーナリズムの悪い側面を示しているもので、あとは野となれとほったらかされるのだとしたら、とても残念なことだと思います。
だいたい、このネット時代に横並びに同じ記事を出すこと自体が意味を失いつつあるというのに、googleの画面でずらずらと同じ記事が並んでいるだけではなく、それが読売に抜かれているとしたらこんなに間抜けな話はありません。
だいたいが、毒性を「証明した」とされる実験そのものがかなり初歩的なレベルにとどまっているものであり、それに対する批判的な記事が書かれても不思議はないはずなのに、記者会見の発表をそのまま記事にしてしまったような雁首を並べた今回の記事に関しては、読売以外の新聞社は総懺悔してしかるべきだと思います。
心配なのは、各新聞社にサイエンス研究の訓練を受けた専門の記者がいないのではないかと思われることです。
新聞が生き残りたいのなら、科学部の記者としてしっかりとした科学の教育を受けた大学院出の博士や修士をどんどん採用してください。今や、たくさんの優秀な人材が巷にあふれているのですから。
(今わかったのですが、前回のスギヒラタケの記事は10月29日で、ちょうど一ヶ月ぶりでした。)
google newsでも、現時点で7件の同様のニュースが出ています。産経新聞、毎日新聞、朝日新聞、熊本日々新聞、静岡新聞、TBSなどです。
ところが、googleに載っていない読売オンラインでは、「スギヒラタケ、毒性ない動物実験結果も…研究班初会合」と興味深い記事になっています。
他の新聞社で無視されたのは「脳症患者の発生地域で採れたキノコは毒性があったが、患者報告がない地域で採れたキノコは毒性が認められないという結果」の報告についてです。
読売の記事によると「高崎健康福祉大の江口文陽教授(健康栄養学科)は、群馬県や長野県などから採取したスギヒラタケからエキスを抽出し、健康なマウスに投与したが、変化はなかった。また、腎機能を低下させたラットにエキスを投与したり、キノコそのものを食べさせたが、発症しなかった。群馬、長野両県は、これまで患者の発生が報告されていない」となっています。
読売のサイトを良く見てみると、この記事は午後9時21分のもので、1時50分の記事では他社とおなじ内容のものも発信されていました。スギヒラタケに毒性、静岡大教授らがマウス実験で確認がそれです。
ということは、今後他社の記事もこれを追いかけることになるのでしょうか。もしそうなら良いのですが、これが例によってセンセーションだけを追い求めるジャーナリズムの悪い側面を示しているもので、あとは野となれとほったらかされるのだとしたら、とても残念なことだと思います。
だいたい、このネット時代に横並びに同じ記事を出すこと自体が意味を失いつつあるというのに、googleの画面でずらずらと同じ記事が並んでいるだけではなく、それが読売に抜かれているとしたらこんなに間抜けな話はありません。
だいたいが、毒性を「証明した」とされる実験そのものがかなり初歩的なレベルにとどまっているものであり、それに対する批判的な記事が書かれても不思議はないはずなのに、記者会見の発表をそのまま記事にしてしまったような雁首を並べた今回の記事に関しては、読売以外の新聞社は総懺悔してしかるべきだと思います。
心配なのは、各新聞社にサイエンス研究の訓練を受けた専門の記者がいないのではないかと思われることです。
新聞が生き残りたいのなら、科学部の記者としてしっかりとした科学の教育を受けた大学院出の博士や修士をどんどん採用してください。今や、たくさんの優秀な人材が巷にあふれているのですから。
(今わかったのですが、前回のスギヒラタケの記事は10月29日で、ちょうど一ヶ月ぶりでした。)
by stochinai
| 2004-11-29 17:18
| 生物学
|
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