5号館を出て

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講義の準備にはまる

 今日もまた、自転車操業で講義の準備をして、はまっておりました。

 例え1週間に1回の講義といえども、ここのところは、コンスタントに週4回ですから、綱渡りとも言える状況でヨタヨタと自転車を走らせております。

 その合間を縫って、会議やらゼミやら雑談やらが入りますので、それなりに余裕のない生活になっており、さまざまな方にご迷惑をおかけしておりますが、一息つけるまでお許し願えると幸いです。(やっぱり、許してはもらえないですよね。スミマセン。)

 大学での研究も教育も、長年使い続けることのできる教科書や参考書などというものがないところがつらいところでもあり、おもしろいところでもあります。

 学問は毎年進歩しており、研究はもちろんのこと教育に関しても、学問の最前線についていこうとすれば、去年の講義(およびその資料)は今年はもう使えないのが基本です。

 昔、私が学生の頃に、「大学の先生というのものは、一回講義の準備をすればそのノートを20年でも30年でも使い続けることができるので、こんなに楽な商売はないのだ」という、伝説を聞かされたことがあります。

 確かに、大学に入った最初の年に、ひとりだけ茶色になったノートを読み上げていた先生に出会いましたが、それ以外の先生の多くはやはり「新しい」学問について教えてくれた印象があります。つまり、伝説はやはりただのお話でしかなかったのです。

 新しい学問を教育し続けるのが、大学教育であるとするならば講義ノートは毎年新しくならなければなりません。大学で教えるということは、決して楽な商売ではありません。

 というわけで、私はずっと前から講義ノートという存在すら忘れておりました。

 もしも講義の中に、昨日・今日、先週・今週に起こった出来事、発見された事象、発表された論文を盛り込むことができるならば、やる方もおもしろく、聞く方の心もつかみやすいのです。おまけに、昨今はインターネットを含めてさまざまな情報や技術が手に入りやすくなっており、あれもこれもと使いたくなるものです。

 かくして、自転車操業の夜は更けていくのでありました。
by stochinai | 2004-11-09 17:51 | 大学・高等教育 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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