5号館を出て

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地球シミュレーター運用停止へ

 5年前に世界最速のコンピューターとしてデビューした、海洋科学技術センターの地球シミュレーターが運用を停止することになったそうです。

 500億円をかけて作ったコンピューターですが、年間の運用経費が50億円もかかる上に、世界に続々ともっと早いコンピューターが出現してしまい、今や世界30位にまで落ちてしまっては、運用を続ける意味がなくなったということなのだと思います。国内でも、東工大のGSICセンターに世界16位のコンピューターがあるそうなので、仕方がないような気がします。

 原理も意味も良くわからないのですが、この記事「地球シミュレータ vs 30000台のPS3」によると、PS3を使って分散コンピューティング処理を行うことで、地球シミュレーターと同じ処理速度(35.86TFLOPS)を出すのには20GBモデル(4万9980円)のPS3が2259台、約1.1億円で済むのだそうです。もちろん、それを動かす電気代は年間50億円もかかるはずはありません。

 ちなみにスタンフォード大学では30272台のPS3で481TFLOPS(地球シミュレータの13倍以上)をたたき出しているのそうで、コンピューターの戦艦大和時代はやはり終わったのではないかという気もします。

 それにもかかわらず、先ほどのNHKニュースでは野依さんが出てきて、日本が世界最速のコンピューターを持つことは大切なのだとおっしゃっていたような気がします(ちらっと見ただけなので確信がなく、すみません)が、この金欠時代にその判断は正しいのでしょうか。

 いずれにしても、オリジナルな科学をめざすのであれば、選択と集中の巨艦巨砲主義ではなく、小回りの利く小さな装甲車をたくさん用意するとか、スタンフォード大学みたいなお金よりは頭を使ったコンピューティングを考えるべきではないかと思えてなりません。

 コンピューターの国際的処理速度競争って、小学生の国際学力競争と同じように、幻想との戦いのような気がします。勝ったところで、どうといこともないし、時間とともにすぐに順位は落ちていきます。逆に、負けたからといってもどうということもないのではないですか。

 何事にももっと自信を持って、国民の幸せを第一に考える国「日本」になって欲しいものです。
Commented by hnagoya at 2007-11-14 08:27 x
はじめまして。旧来のソフトウェア資産を生かすためあえて費用対効果の悪いアーキテクチャを選択している、という観点もあるようです。
http://grape.mtk.nao.ac.jp/~makino/articles/future_sc/face.html
上記の記事はそういう方向性には批判的なようですが。

一般論としては、あまりケチくさいこと言わないでよい意味で資金をばらまいた方がよいとは思うのですが、分野によってコスト感がピンキリなので難しい部分もあるような気がします。
バイオ系ですとミニマムで1000万円単位でしたっけ、人によってはそれくらいでも戦艦大和並に見えちゃう人もいるかもしれませんし(だからポスドク問題系で、それくらいのコストが別途必要なポストで年収300万円でもよい、と言われても納得できない人達もいるでしょう)、逆に年間50億円なんか屁でもない、という分野もあるでしょうし。
アカデミック全体での資源投入の最適化を考える部分を強化しないといけないような気もするのですが、ヘタすると旧ソ連みたいな悪しき計画経済体制になっちゃいそうな。
Commented by ナオサン at 2007-11-14 10:26 x
人のフンドシなのですが、、、

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/fd6f41ee4f521ae5adf73b7980c8a26d
の論調も、やはりムダではないかという具合でした。ただ、私にはここのコメント欄の「とおりすがり」さんとp「あかみ」さんのコメントにも考えさせられるものがあります。
Commented by KU at 2007-11-14 22:02 x
電気代はともかく,PS3に使われている Cell チップの開発費は,500億円じゃ済まないのですが...
それだけ高性能のチップが消費者向けにはあれだけ安価で売られていることが驚きであって,実際そのためにソニーは Cell 生産工場を手放しています.
比較の仕方がフェアではないように思います.マスコミとはそんなものですが.
Commented by stochinai at 2007-11-14 22:23
 結果的には、PS3は研究開発費を回収できているのではないでしょうか。それならそれで、研究者もどんどん利用すべきでしょう。研究機関で使われている機器などを見てみると、民生機を使えば10万円ですむものを30万円くらいの値段で購入しているものがしばしば見受けられます。今回の話には、そういうお金に対する「感性」が非難されているという面もあるような気がします。防衛庁の装備品の購入などの話を聞いていると、3倍はらって汚職をしているというようなものがたくさん出てきています。

 もちろん、本当に重要なものには税金をつぎ込だとは思いますが、それはあくまでも公開の場で透明な審査を受けての上での話だと思います。地球シミュレーターの後継機がすでに決まっているなどという話はやはりまずいのではないでしょうか。
Commented by papersearcher at 2007-11-14 22:28 x
ええと、停止ではないようですが?
http://www.asahi.com/science/update/1114/TKY200711140192.html
Commented by stochinai at 2007-11-14 22:33
 すみません。朝日の記事へのリンクが切れていました。誤報?
Commented by stochinai at 2007-11-14 22:35
 またまた、すみません。見つかりました。
http://www.asahi.com/science/update/
1114/TKY200711140192.html
 改造のようですね。
Commented by stochinai at 2007-11-14 22:36
 なんででしょう。あまりの反響の大きさに廃棄できなくなったということでしょうか。
Commented by スパコンの寿命と革新 at 2007-11-15 11:34 x
 来年早々にもshut-downする予定の地球シミュレータはもう5年も運転しています。通常この手のスパコンの寿命はせいぜい3年であり、物理的に壊れて寿命を迎えるのではなく性能の陳腐化と消費電力その他の維持費とが釣り合わなくなって寿命を迎えるのが通例ですが、地球シミュレータは最初の3年間がぶっちぎりの世界一でしたので、5年もちました。
 2005年以降は、IBMのblue-geneが100TFLOPSの性能で40TFLOPSの地球シミュレータから世界タイトルを奪い、その後、PS3を並列化した計算サーバなども現れています。とはいえ、こうしたスパコンは、実際の計算では必ずしも世界一ともいえず、依然地球シミュレータは大活躍でした。
 つい先月、地球シミュレータと同様のアーキテクチャのSX9という第3世代の最新型が発表され、最大構成では大きさ・消費電力は圧倒的に小さく、価格もおそらく同程度以下です。性能比で20倍あり、かつソフトウェアもほぼ同じでよいことを考えれば、地球シミュレータをこれ以上運転することは無駄であることが明白です。
 SX9でも840TFLOPSですが、さらに次世代のモ京速モ計算機の計画も進行中で、2011年に10PFLOPSの計算を始めることを目指しています。
Commented by hiroichi at 2007-11-28 00:56 x
25日に以下のエントリーをTBしたのですが、機能していないようですので、お知らせします。

「地球シミュレータ運用停止」騒動
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/6497454.html
Commented by なかのひと at 2007-11-30 10:35 x
>なんででしょう。あまりの反響の大きさに廃棄できなくなったということでしょうか。

はじめから改造する予定です。新聞の報道が誤っているのです。
by stochinai | 2007-11-13 22:12 | 科学一般 | Comments(11)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai