5号館を出て

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出前授業

 先週は、私の母校の札幌K成高校へ「出前授業」に行ったのですが、今日はその姉妹校である札幌A丘高校へ出かけて行きました。こちらは「学問研究会」という名前ですが、中味は同じです。

 先週は1時間1コマだけの講義でした。A丘高校は去年もそうでしたが、休み時間を20分ほどとって1時間の講義を2コマやりました。大学では、同じ講義を2回するということはほとんどないので、2回目の講義で同じテンションを維持するのがなかなか大変です。それを考えると高校の先生はほんとうに偉いと思います。

 と、ここまで書いて気が付いたのですが、昔まだ北大に教養部があって私が教養部の教員だった頃を思い出しました。そう言えば、あの頃は週に3-4回別のクラスに同じ生物学の講義をしていたことを思い出しました。助手の頃も、週に4-5回は実習をやっていましたので、まさに教養部時代は高校の先生と同じ生活をしていたのでした。その上、研究もやっていたのですから、今から考えるとすごい時代だったと思います。

 その頃は、教養部の教員の多くは学部生の教育からはずされていたのですが、私たちはなぜか理学部の動物学科の学生に発生学の講義と実習をすることを「許されて」いました。教養部でたっぷり教育をさせられた上に、学部生の教育もさせられるのはひどいと思われる方がいるかもしれませんが、学部生の講義をして卒業研究の指導もすると、大学院生も普通に進学してきて一緒に研究をしてくれるようになりますので、どんなに大変でも研究グループを維持するためには学部生の教育を「させてもらう」ことは、大変な優遇措置だったのだと思います。

 同じ頃、教養部の先生には学部生の教育には一切タッチさせないという学科もあり、同じ大学教員の中に研究・教育という意味で大きな差別構造があったのでした。

 それでも、不思議なものでそんな教養部の教員を選ぶ時も、なぜか選考基準では「研究業績」がもっとも重視されていたのです。結果的に、教養部にもそれほど教育の上手な先生が集まっていたわけではなかったのですが、なんせ現場でものすごい量の教育負担がありますので、だんだんと教育が上手になり、さらには教育に目覚めていく先生も多かったように記憶しています。

 やがて1991年の大学設置基準の大綱化とともに、北大でも教養部が廃止され、我々は「正式に」理学部の教員になり、大学初年度学生の生物学の教育も理学部の先生が全員でやっていただけることになり、我々の教育負担は数分の一に減ることとなりました。これで、ようやく「人並みに研究者」になれると喜んだのもつかの間、大学院の重点化によってさまざまな負担が押し寄せてきているというのが現状です。もともと負担の多かった我々でさえ、こりゃ大変だと思うのですから、教養部を知らない先生にとって、今の大学は右肩上がりに研究以外の負担が増えていると感じられるのだと思います。

 そのあおりを受けて、先生の代わりに研究を担わされることになったのが、大学院生およびポスドクというわけで、今日に至っている問題の種になっているということを思い出してしまいました。

 高校生にも、研究はこんなにおもしろいんだけど、大学院に進学しても君たちのうちで研究で飯を食べていけるプロになれるのは数十人から100人に1人くらいなんだよ、という話からはじめなければならない「出前授業」もなかなかつらいものがあります。

 でも、どちらの高校生達も私の期待に充分応えてくれるほど、輝いた目を持っていましたから、彼らが大学4年生になる頃には、もう少し状況が好転してくれることを願わずにはいられません。

 なんだか、とりとめのない思い出ばなしになってしまいましたが、わかる人には良くわかる、大学の真実の歴史の一コマのはずです。
Commented by aiai-blog at 2007-11-15 03:32
はじめまして、こんばんは。いつも拝読させていただいています。
私、初めて大学に所属した時から(公立大学であったため)研究以外の教育や社会貢献は義務である、という考えに染まりました。
現在、大学院生として、自分の研究以外に修士や学部生の研究などを担わされているわけではありますが、それも修行かな・・・・と思っています。「研究で飯を食べていかれるプロにはほんの少しの人しかなれない」のかもしれないけれど、「努力すればほんの少しの人はなれる」ということを自分の出前授業では言いたいと思っていていつも言っています。それがオトナの発言かなと。
同じ現実も若い人にはポジティブに言いたい。だって、彼らがもっと先の未来を担ってくれると信じているからです。どんなに歳をとっている自分も、高校生の輝いた目の前では「頑張った先にいるお手本」なんですもの。辛くても、少しの人しか結果が出せなくても、その少しの可能性も摘みたくないと私は思っています。生意気を言ってすみません。
Commented by stochinai at 2007-11-15 08:24
 若い人たちと接していて感じるのは、この多様な個性をそれぞれに伸ばせるような適切な進路に進ませてあげることこそが、教育機関の役割だということです。そう考えると、キャリア教育ではどのくらいの選択肢を提示できるかというところが重要になってくると思うのですが、教員が自分の経験と努力だけでがんばってもできることはたかがしれていると思いますので、専門の組織が必要なのだと思います。専門学校や私大ではあたりまえのそうした組織を、国公立大学でもきちんと作らないとダメですね。
Commented by 博士持ち企業研究者 at 2007-11-15 08:36 x
>高校生にも、研究はこんなにおもしろいんだけど、大学院に進学しても君たちのうちで研究で飯を食べていけるプロになれるのは数十人から100人に1人くらいなんだよ、という話からはじめなければならない…
 それってアカポス研究者の話ですよね。企業の研究者も入れたら「研究で食える」人数はもっと多いと思うのですが。やはり先生もアカポス以外は研究職にあらず、派ですか。
 でも、職種を限定したらごく一握りの人間にしか就職がないって研究職にかぎらないですよね。
 例えば電車の運転手になりたい若者が世の中にはいます。鉄道会社の厳しい入社試験を経て、さらに社内での選抜を経てごくごく一握りの人間だけが電車の運転手になれるわけですが。これ以上電車、路線が増えない以上、運転手もこれ以上需要は増えないわけです。それでも、自分は電車の運転手にしかなりたくないんだ、などと我が侭をいうと、その人は職にあぶれるわけです。当然ですよね。同情なさいます?なんとかしなければならない、とお考えです?
Commented by 博士持ち企業研究者 at 2007-11-15 08:36 x
 最近、ポスドク博士の就職が問題になっているようですが。何故、研究の訓練を経たものだけが職種限定の就職を許されるという前提で話をされているのか私には疑問です。
 世の中の人間のどれだけが自分のやりたい仕事をやっていると思いますか?私は実数を知りませんが、食べるために仕方なく好きでもない仕事をしている人ってそれなり以上の数いると思うんですが。
 私は博士持ちだろうがポスドク経験者だろうが就職は必ずあると考えています。求人のための情報誌が一般向けの書店には売られています。仕事を選ばなければ求人は必ずあります。団塊世代が大量に退職し始めてますからね。
 若い人に大学院進学を勧めるにあたって、そんなに悲観しなくてもいいと思いますよ。むしろ大学院に進んだら研究職に進むしかないんだ、という思想を植えつけるほうがよっぽど危険、悲惨な事かと。
Commented by stochinai at 2007-11-15 09:39
 ちょっと説明が不足していました。私がここで言っている「プロ」というのは、誰からも命令されることもなく自分の学問的興味のおもむくままに研究テーマを設定して研究できる、いわゆるアカデミック・プロのことでした。研究で生計を立てているという意味での「プロ」なら、その何倍もいることはもちろんです。ただ、今の時代はたとえ大学にいたとしても「自由な意志」で研究テーマを選んでいるかどうかは疑問なのですが・・・・。
Commented by 博士持ち企業研究者 at 2007-11-15 14:02 x
 どうして「アカデミック・プロ」と「普通のプロ」が分かれるのでしょうか?
 アカデミック・プロでなければ若者が幸せになれない理由が何かあるのですか?若者はこれから自分の行く道を探るのであって、変なバイアスのかかった話をするのは…。

 アカデミアに限定するからこそ若い人に現状を伝えるのが辛いのであって。科学が好き、実験が好きという若人に、科学の魅力を伝える事自体何も問題ないと思うのですが。

 若い人に一言いっておかなければならないのは、アカポスに固執すると就職にあぶれてえらい事になるから、現状を鑑みるに自分の好きなことしかできない、やりたくないという偏った考えを持った人間は科学者になるべきではない、大学院に進学すべきではないという事でしょうか。そういう子らに現状を伝えるのは確かに辛いと思います。

 数年前、私は母校でOBとしてスピーチしましたが、「博士でも修士でも進学して思う存分科学を楽しんでから会社の門を叩いてください」と吠えておきました。私は仕事として科学を楽しめる人間になることこそ科学者に必須の条件だと思ってますので。
 アカポスの方々からすると甘いと叱られるんでしょうけどね。
Commented by stochinai at 2007-11-15 14:49
 おそらく科学における「学問の自由」とは何かという議論をしなければ、ここはかみあわないと思いますので、深入りしません。

 幸せとか魅力とか好きとか甘いとか、そういうことではなく「科学とは何か」ということを考えつつ進めるのが、本来アカデミックで行われるべき研究なのだと思っています。冷静に考えてみると、そういう意味ではもはや「科学は死んだ」ということなのかもしれないという気もしてきました。
Commented by 辺境 at 2007-11-15 19:09 x
私には博士持ち企業研究者サンのおっしゃる事は、もっともだと思います。

人生何らかの資格を得たら好きなことに没頭できる一種の特権が生ずる、なんてことは無いです。そう思うのは勝手ですが、その夢に裏切られた場合に苦しむのは自分しか居ません。「学問の自由」にかぎらず、「自由」というのは世の中で最も稀な宝、才能と幸運に恵まれたごく一部の人だけに許された宝です。そこに至るには茨の通っていかねばならず、道ばたが夢破れたものたちの死屍累々なのは、ここで皆さんが繰り返し報告されてる通りですね。

博士であろうが学士であろうが、現実と折り合いを付けて、実際に選べる仕事の中から職業を選ぶのは、不可避な事です。

それでもなお、才能も幸運も十分になかった我々普通の人にも「博士でも修士でも進学して思う存分科学を楽しんでから会社の門を叩いてください」なんて言う言葉が与えられてるなんて、それだけで、夢のようにすばらしいじゃないですか。
Commented by re at 2007-11-15 23:36 x
> 人生何らかの資格を得たら好きなことに没頭できる一種の特権が
> 生ずる、なんてことは無いです。

特権ではなくて、足枷になることが問題なのです。

何処かの市町村で、
「高卒を想定した職に大卒が応募し、処分された」
と新聞報道にありました。大卒は高卒の上での話なので、諸外国では何の問題にもなりません。むしろ、高卒の職に大卒が応募したら、いい人が取れたと歓迎されます。おかしな社会です。

同様の事が院卒でもあります。博士卒27歳、3浪で修士卒27歳。
世間一般で優秀と言われるのは前者です。しかし現実に、職に就ける可能性が高いのは逆です。3浪修士卒の方が職があるのです。

博士進学は無駄な努力と社会から言われている気になります。

私自身は博士を取得した人が社会の中でいろいろな職に就き、世の中の役に立つ仕事をしていくことが、現在の大学院への偏見の解消になると思います。
Commented by 甘えては駄目 at 2007-11-15 23:40 x
ちゃんと読みましょう。
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私は博士持ちだろうがポスドク経験者だろうが就職は必ずあると考えています。求人のための情報誌が一般向けの書店には売られています。仕事を選ばなければ求人は必ずあります。
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博士であろうが学士であろうが、現実と折り合いを付けて、実際に選べる仕事の中から職業を選ぶのは、不可避な事です。
Commented by 36歳PD at 2007-11-16 00:08 x
博士持ち企業研究者様は、研究は希望していた職ではなかったのでしょうか?現在、「食べるために仕方なく好きでもない仕事をしている」のかどうかお教えいただければ幸いです。

研究をアカデミックに限定する必要はないと思いますが、ポスドクとしての職歴は、研究職以外ではキャリア扱いにならないのですよね。特に「一般向けの書店に売られている求人のための情報誌」に載っている多くの仕事では、ポスドクを10年もやれば、下手すれば10年間遊んでいたのと同じに見られるわけで。10年間夢を見られたのだからいいじゃないか、と言われれば、そりゃそうなのかもしれませんが。
Commented by re at 2007-11-16 00:21 x
>> 甘えては駄目さん

会社員特有の意見です。職の有無を問題にしているのでは有りません。

> 博士であろうが学士であろうが、現実と折り合いを付けて、実際に
> 選べる仕事の中から職業を選ぶのは、不可避な事です。

これもその通りで、院卒者も承知しています。

大学院は、何処かの3流私大のように、レジャーランドのお遊び感覚で済む場所ではありません。プロを目指し経験を積む場です。

大卒と同等ならともかく、博士だとマイナス評価では,進学する価値がないと社会が見なしている事になります。そのうえポスドクはニート扱いです。諸外国ではありえないことですし、進学した人の不満が募るのも分かります。

私自身も、会社員から,随分偏見を持った扱いをされました。
そこで,私は、純粋な基礎研究から、企業が興味を示す応用色が強い分野に転換しました。今では、上場企業が新製品の企画相談や製品評価の試作品を持ち込んで来ます。配下の院生やポスドクも就職には困ることは無いです。

それでも、ポスドクの方が院生よりも就職が悪いのは、納得を行かないし,基礎をバカにする,一部の人も許せないものを感じます。
Commented by re at 2007-11-16 00:26 x
私の元に,製品を持ち込んだり、共同研究に顔を出す会社員にこそ
技術や知識はタダではないんだ。
「甘えるな」
と言いたくなります。高額の共同研究費や技術指導料を請求しようかと思うこともあります。(実際にはしませんが..)
Commented by 40台海外ポスドク at 2007-11-16 00:29 x
よく聞かれる「仕事を選ばなければ職はある」という言い方について。
これは何を意味しているのでしょうか。確かに、選ばなければあるでしょう。今の時世ですと年収200万に満たないワーキングプアーといわれるような職に就かざるおえない人も多く存在します。そういうところに行けという意味でしょうか?
 おそらくそういう意味ではなく、ご自分と同じようないわゆる大手企業に選ばなければ行けるだろうとお考えなのなら、実態をご存じないとしかいいようがありません。
 個人でリスクを背負い、自分で自己研鑽して、能力も業績もつけたのになぜか排除されてしまうというのがポスドクの現実です。
Commented by 甘えては駄目 at 2007-11-16 01:09 x
誰に向かって何を主張されたいのか不明です。
上の企業の研究所の方々は、どうみても善意で現実的なアドヴァイスをされているように見えます。どれも穏当な暖かい意見だと思います。それに対して「会社員の意見」などとけんか腰で書く。以前こられてた出来の悪い会社員からのデモドリの方なら「研究おたくの世間知らずの戯言」と売り言葉に買い言葉になるでしょう。それがポスドク問題になんの役に立つでしょうか?

今の博士の1割2割が大学の正規教員になれたとして、残りの人たちのチョイスはなんでしょうか。永久にポスドクですか?出来る人はやればいいでしょう。でも次善の策は企業の研究職です。これも競争がきつく多分3割くらいでしょう。残りの5割はどうするのでしょうか。

いくら大企業を叩き、文部科学省を叩き、政府、無理解な社会、その他あらゆる物を叩いても、問題は解決しません。それよりは、見込みのない院生に、手遅れになる前に職に就く指導をしましょうよ。
Commented by 36歳PD at 2007-11-16 01:48 x
喧嘩を売る気は毛頭ございませんが、上記のご意見は、甘えては駄目様に対してではないでしょうか。

博士持ち企業研究者様のご意見は、私も善意だと思いました。「仕事として科学を楽しめる人間になることこそ科学者に必須の条件」については、そのとおりだと思います。その上で、確認のためにお聞きしたのですが。

ところで、「見込みのない院生に、手遅れになる前に職に就く指導をしましょう」は、「好きなだけ研究に打ち込んだ後でも、企業は門戸を開いている」ということとは、かけ離れている気がするのですが。
Commented by re at 2007-11-16 03:18 x
>> 甘えては駄目さん

喧嘩を売っているのは、あなただと思いますよ。
全く職がない状況を経験していないから、
「甘えてはだめ」
なんて、神経を逆なですることが言えるのです。大体,なぜ、
「xxxxでは駄目」
なんて,半人前の子供に対するような,人を見下す様なことが言えるのでしょうか?

「会社員の意見」と書きましたが、何か揶揄する言葉ですか?

> 見込みのない院生に、手遅れになる前に職に就く指導をしましょうよ。

院生をニートと勘違いしていませんか?怒りすら感じます...

私自身は、世の中には様々な仕事があり、院生やポスドクがアカポス以外の職を希望し、道を開いていくのはよいことだと考えています。
Commented by 潜伏者 at 2007-11-23 03:58 x
〜ありがちな議論の展開なので、敢えて話の流れを豚斬り〜

かつて、ソ連が崩壊したとき、核に関わる研究者や技術者のテロ関連国家・組織へのオルグが懸念されました。そして、米国を始め、彼らをリクルートしようという動きが活発であったと記憶しています。
Commented by 潜伏者 at 2007-11-23 03:59 x
さて、いま日本にはポスドク、特に生命科学系のポスドクが余り倒しています。数万人もいれば、1人ぐらいはテロ組織に入ったり、あるいは自分でテロを実行するやつがいてもおかしくありません。しかし、奇妙なことに、ポスドク問題に関するマスコミ報道やネット上の議論で、バイオテロや化学テロへの懸念がなされる、といった場面を寡聞(寡見?)にして聞いた(見た)ことがありません。それも、10年余り前に、研究者(のタマゴ)や医師を含む集団により化学テロ攻撃をうけたこの日本においてです。つい先日も、研究者崩れ(この御仁は暗号学を研究していたそうですが)の男が爆弾テロ未遂で逮捕されましたが、巷でおおきな話題になったようには見えません。9.11テロのインパクトで、みなさん感覚が麻痺してしまったのでしょうか。寝た子を起こすな、という理屈でしょうか。それとも・・・







そのころ日本では、健忘症ウイルスによるバイオテロが進行中であった・・・(笑
Commented by inoue0 at 2007-11-23 04:48
 サリンやVX製造なら、特殊な技術でもなんでもないです。容易に手に入る文献に製造法が書いてあって、化学系の学部生程度の知識があれば誰でも作れるんだから。小学生が黒色火薬を製造してしまうことと大同小異です。作れる人は万単位で存在するでしょう。
 ウイルスやワームと同じです。あんなものはパソコンを持ってる中学生でも作れるけれども、被害は甚大。
Commented by 潜伏者 at 2007-11-23 17:50 x
inoue0氏の論旨が今ひとつ分かりませんが、コンピューターウイルスとABC兵器は一緒には出来ませんでしょう。後者は例え知識があっても、原材料を手に入れたり、それを加工等する場所が必要ですから。小学生よりも大人、大学生よりも科学者の方が、材料や作成するためのツールにアクセスはずっとし易いです。そういった意味で、ソ連崩壊の時にあれだけ核技術者の行き先が懸念されたのに対し、これだけポスドク(特に生命科学系の)が余っているのに、安全保障上の議論が全くと言っていいほどなされていないのは、少なくとも私は奇妙に思いますねぇ。
Commented by 待遇改善は必要でしょうけど at 2007-11-23 18:31 x
潜伏者さんのロジックは、見方によっては「ポスドクに満足する待遇を与えないと何が起きるかわからないぞ」という、社会に対する脅迫ですよね。
それはある意味で正しいような気もしますけど、そういう破壊活動に利用できる技術って学部・修士課程終了や博士課程中退の人たちでも持っているような気がするのですが、だとするとことさらアカポス志望のポスドクだけを特別扱いする理由としては弱いように思います。
資源へのアクセスの容易さを言うのであれば、むしろそういうリスキーな集団はその手の資源にアクセスできないように、さっさと(資源を所有している)アカデミック業界から隔離しないといけなくなるわけでして…なにか逆効果の意見のように思いました。

そもそもリクルートされるほど日本のアカデミック業界の外での評価が高い集団であれば、ポスドク問題なんか起きえないわけですし。
Commented by それより at 2007-11-23 20:26 x
普通に発生系の人が作ってるドミネガウイルスが怖いです、、。
Commented by 一言 at 2007-11-23 21:53 x
>だとするとことさらアカポス志望のポスドクだけを特別扱いする理由としては弱いように思います。

「ルサンチマン」という大きな理由があるのを忘れていませんか?
Commented by 40台海外ポスドク at 2007-11-24 00:25 x
ちょっとやばい話題になってきましたね。この話題があまり蔓延することはポスドクのためにはならないと思いますが、これだけ理不尽な扱いを受けている人がたくさんいると確かにありえる話ではあります。
 しかし、それよりも鬱病や自殺の方が確率としては多いでしょうし、こちらのほうをもっと問題にしなければいけないのではないでしょうか。一番の対策は就職なのですが・・・
Commented by stochinai at 2007-11-24 00:52
 山中さんのプロジェクトに、文科省が5年間で70億円を投入するというニュースが出ています。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20071123i203.htm
 何人雇ってもらえるかわかりませんが、500万円の年俸の人ならば1億円で20人、5年でもわずか5億円です。20億円くらいを若手研究者雇用に宛てるとすると、とりあえず80名の雇用が確保されるということになります。
 実用化が進めば、そのまま常勤雇用への可能性も広そうな分野ですので、関連分野の人はとりあえず注目ですね。
Commented by 研究人 at 2007-11-24 01:58 x
>鬱病や自殺の方が確率としては多いでしょう

これは、私の周囲を見ていても、顕著な傾向と思います。不安な状態は、心身の状態、ひいては対人関係にも影響を及ぼします。もともといたって普通の人間であった人が、長引くPD生活に情緒不安定となって「協調性が無い」というレッテルを貼られてしまっている例も目にしています。

stochinaiさんが紹介してくださったようなプロジェクトが起爆剤となって、雇用問題が解消されることを祈るばかりです。
Commented by 辺境 at 2007-11-24 09:43 x
そうですね。それも出来たら、クリエイティブな思考で、研究所の新モデルを作って運営され、その結果研究者雇用の形態自体の新モデルまで、つながることができれば良いですね。来たお金でまず建物たてて、資材課って残り人件費で10年で使い切る、とか、そういう従来型のでは余りにも芸が無いですから。potasiumchさんの今月のブログにあったカリフォルニアの3つの研究機関の例なんかsん校になりますね。
Commented by 潜伏者 at 2007-11-25 02:05 x
>>待遇改善は必要でしょうけど氏

別に待遇改善のために、これを主張せよと言うのではなく、このような視点が故意にか、それとも故意でないのか知りませんが、世間やマスコミに幸か不幸か欠けていることを、素朴な疑問として書いたわけです。

>>それより氏

うろ覚えですが、免疫力を高めるつもりで免疫系の遺伝子をウイルスに入れてネズミに導入したら、ネズミが死にまくった、という話もありましたね・・・。

>>一言氏

そのとおり。社会に潜む怨念がある閾値を超えた状態が続くと、いずれカタストロフィーが起こるのではないかと思います。

では、私はしばらく潜伏するとします。(笑
Commented by 待遇改善は必要でしょうけど at 2007-11-25 23:04 x
優秀かつ不満を抱えた人々が反社会的行動に走らないようにした方がよい、という一般論はよくわかるのですが、このブログが対象としているであろう、アカポス志向のポスドクという集団が、いわゆる一般的な日本社会から見て(使い道によっては危険となる潜在的なパワーを有している存在として)特別視されていない、というのが「そのような視点が欠けている」ように見える理由じゃないかなあ、という気がします > 潜伏者さん

そのあたりの(集団内での)自己評価と(集団外からの)外部評価の食い違い、が諸々の問題の根底にあるような気もします。
by stochinai | 2007-11-14 23:08 | 教育 | Comments(30)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai