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学校給食では牛乳なしの献立が認められていない?

 今日の読売オンラインでとても興味深い記事を見つけました。

 給食で「国の基準」に反旗、足立区が独自献立作りへ

 給食というのは、自前の食事では十分な栄養を摂取できなかった戦後復興期の日本の子どもたちの栄養補給のために始められたと理解しています。もちろん、その際に戦勝国であるアメリカの物資を購入することで、アメリカの産業に貢献することも同時に満たそうという裏があったのだという話も聞いたことがあります。昔は、アメリカの小麦を使ったコッぺパンと、脱脂粉乳が給食の定番であり、どちらもお世辞にもおいしいと言えるしろものではなく、小学生の給食にまつわる悪い思い出の代表的な存在になっていました。

 しかし戦後60年以上もたち、飽食の時代と言われる現代になっても、給食では牛乳を飲むことが文科省の指導として半ば強制されているとは知りませんでした。記事には次のように書いてあります。
 文科省は、学校給食実施基準の中で児童・生徒1人が1食で摂取すべき熱量やカルシウムなどの栄養所要量を定めているほか、その栄養をどのような食品からとるべきかという目安を標準食品構成表で明示。8~9歳の児童の場合、1食で牛乳206グラム、米48グラム、小麦23グラム、豆製品20グラム、魚介類16グラム、小魚類3グラム――など25食品について摂取量を記載している。

 特に牛乳は、学校給食法施行規則で「ミルク」があるものを給食と定義しており、「牛乳なしの献立は認めない」(学校健康教育課)という姿勢だ。
 こうした「決まり」があるために、各地の学校が自主的に子どもたちに喜んでもらえる給食の献立を作ることができないという現実があるようです。
 国の基準に従うと、例えば牛乳は、週3回ある米飯の日にも出さなければならない。
 一方、文科省が牛乳を出さなくても良いと返答しているという記述も見つけました。たとえば、ここをご覧下さい。
学校給食と子どもの健康を考える会で、文部科学省の学校給食担当者に確認した結果、事実は違うということが判明しました。

その驚くべき回答をまとめると、次のようになります。

(1)学校給食には牛乳を出しても出さなくてもよい。文部科学省は「牛乳を出せ」と強制していない。(牛乳に限らず)出さなければならない食品すらない。

(2)牛乳は1日や2日だけでなく、年間を通じて出さなくてもよい。

(3)牛乳を出す場合でも、その量に決まりはない。

(4)学校給食法施行規則の3つの区分は、区分を示しているだけで内容を規制するものではない。
 ところが、読売の記事にはこうも書いてあるのです。あちこちの自治体で文科省の指導を逸脱する給食を作ろうとする動きが出ていることに対する文科省のコメントです。
 こうした傾向に、文科省は「給食には、必要な栄養素をとるだけでなく、子供の偏食をなくしたり、正しい食文化を伝えたりする目的がある。牛乳をなくすのは論外だが、その他の食品についても、子供が食べないからという理由で構成を大きく変えるのは遺憾だ」と強調。昨年10月に中学校2校で牛乳なしの給食を始めた三重県桑名市の場合、同省から「好ましくない」と指導を受け、結局、牛乳つきの給食に方針を変えている。
 どちらが正しいのかはわかりませんが、文科省の論理として「自分たちは強制しておらず、学校が独自に決めてやっていることだ」という定石がありますので、今回の件も法的に明文化されていないとしても学校はそれに従わざるを得ないことのひとつではないかと思われてなりません。

 子どもたちに食べたくもないと思われるような給食を出していると、給食費を払いたくないという親が出てくるのも無理はないような気がします。私個人の意見としては、今の時代に栄養失調対策としての給食の必然性などはほとんどないと思いますので、給食などはやめてしまえば良いと思います。その上で、お弁当を持ってきたい子どもは持ってくればよいし、それが大変だという家庭に対しては学校の食堂で現行の給食のようなものを提供すれば良いし、困窮家庭に対しては食費の補助をすれば済むことだと思います。

 また、学校給食で強制的に使用させることには牛乳農家を保護するという側面があり、短期的にはそれがなくなると困る人が出てくることもあるでしょうが、そもそも畜産物を買ってもらうために飲みたくもないものを給食で強制的に飲ませるというしくみはあまりにも歪んでいると思います。足立区だけで「年間で30万3122パックの牛乳が廃棄された」という状況は、農業にとっても教育にとっても悲劇と言わざるを得ません。

 文科省は、学校給食から手を引くべきではないでしょうか。
Commented by inoue0 at 2007-11-19 00:02
 ドイツのGrund Schuleに給食はありません。大体14時ごろに終わってしまうからです。お腹が空くので、10時ごろにおやつの時間があって、自宅から持ってきた軽食を食べていいことになっています。
 日本でも、週6日に戻して、道徳や総合学習や実技教科を廃止すれば、確かに14時で学校は終わるんです。そのくらいが、生徒も教師も疲労が少なくていい。
 学習のみならず、「食」まで学校が統制しようなんて、時代遅れもいいところだし、実際うまくいかないと思います。
Commented by 研究人 at 2007-11-19 00:34 x
stochinaiさん

>給食などはやめてしまえば良いと思います。その上で、お弁当を持ってきたい子どもは持ってくればよいし、それが大変だという家庭に対しては学校の食堂で現行の給食のようなものを提供すれば良いし、困窮家庭に対しては食費の補助をすれば済むことだと思います。

文科省がそこまでうるさく指導しているとは知りませんでした。単に給食廃止というのではなく、給食を含め義務教育の学校における食のオプションを増やすという案は、とても魅力的ですね。各学校の独自性も今以上に出せると思いますし。

inoue0さま。多分、それを日本でやると、「子供達が14時以降、どこで過すか?」が大問題になってくると思います。「お母さんが家でおやつを用意して待っている」家ばかりではないですしね。かつての私のような鍵っ子は学童保育に行くことになりそうですね(でも、そこでも結局は給食が出たりして・・・)。 ドイツでは幼い子供は放課後どこで過しているのですか?


Commented by 研究人 at 2007-11-19 00:35 x
ところで、私は別に学校給食継続主義者ではありませんが、最近の子供達は(親もですが)随分食にうるさくなったのだなあと嘆息を禁じえません。私自身は戦後高度成長期以降に生まれ育った人間ですが、それでも私の子供の頃は、「好き嫌い言わないで、食に携わっている人々の苦労を思いながら有難くいただけ」と教育されたものです。

「ごはんに牛乳」など、「?」と思われる組み合わせのメニューが給食で出たとしても、捨てることなどゆめゆめ考えもせず、「いかに美味しく食べるか」「どの順番で食べたらまずくないか」など、各人いろいろ工夫して食べきろうと努力したものです。その工夫をお互いに教えあって、意外と楽しんだりもしていました。

アレルギーや病気の子供に強制的に同じ食事を食べさせるのはもちろんいけませんが、少しくらいの不都合さを工夫して楽しく乗り越える経験も、子供には必要なんじゃないでしょうか?
Commented by inoue0 at 2007-11-19 13:54
>子供達が14時以降、どこで過すか?

 政治づく前にはニーチェ研究者で、長くドイツに留学していた西尾幹二の本によると、ドイツの小学生の放課後は、まさに好き勝手だそうです。遊んでいる。塾や予備校に相当するものはない。上級学校への進学率が低いので、「どうか、子供を上の学校へやってください」というお願いを教育関係者が親たちにしているといいます。
 ドイツでは、フランス革命とか明治維新みたいなものがなくて、近代化が漸進的だったので、階級社会が残っている。中世がまだ残っているのだと西尾は書いていました。
 70年代のドイツの話ですけれども。

 学校が早く終わるのが心配だという話は、私が聞いても奇妙な気がします。ほんの数時間ですよ。週末に親がいて子供の相手ができる家庭ばかりではないでしょう。
Commented by YS-11k at 2007-11-19 17:32 x
>その上で、お弁当を持ってきたい子どもは持ってくればよいし、それが大変だという家庭に対しては学校の食堂で現行の給食のようなものを提供すれば良いし、困窮家庭に対しては食費の補助をすれば済むことだと思います。

外部の大人から見れば合理的な意見かも知れませんが、現状から考えると、こどもたちの間で食事の差異が際だってしまうような状態をつくりだすことは、いじめなどの温床につながるのではないか、と思ってしまうのですが、いかがでしょうか。家庭環境が如実に学校での食事に現れてしまうstochinaiさんの案は、経済的な弱者からみた視点からするとたいへん厳しい物であるとかんがえます。
私が危惧するのは、貧窮していないが、子どもにはお金をかけたくない親が、お金がかかるという理由で食堂の食事を許可せずに、昼食がない、ない、もしくは子どもの昼食にふさわしくない物(カップ麺とか)を持たせるという親が出てくるとおもいます。
Commented by YS-11k at 2007-11-19 17:33 x
(つづき)
セーフティネットとしての給食は、21世紀のこの時代になってもまだまだ機能しているはずですので、比較的「真に金銭的に困窮していない」であろう我々がこのような話題を論じるときは、最大限の可能性を視野を広げて議論を進めないと、偏在的な結論におちいることに気をつけなければならないな、と、考えます。
Commented by またまた at 2007-11-19 19:50 x
>> inoue0さん
裕福なオボッチャマ育ちなのでしょう。
公立中学に通った事は有りますか?世の中には様々な人がいます。世の中が豊かになっても、充分な所得が無い家庭も有るのです。

今日の新聞に飛び込み出産が増えていると載っていました。理由は、産科にかかる費用を捻出できないことに依るそうです。こんな家庭に生まれた子供はどう育つのでしょう。給食は役に立つ筈です。義務教育では、給食の意義は有ると思いますよ。
Commented by inoue0 at 2007-11-19 20:00
 私は保幼小中高大院まで全部国公立ですが、それがなにか?
 独仏にだって経済格差はありますし、福祉が日本より特別に充実しているわけではありません。「食」まで学校が管理する必要はないと考えられているだけです。
 stohinaiさんが言われているように、貧しい家庭には福祉として、金を渡せばいいのであり、それを何に使うかは家庭の自由というものでしょう。戦時中ではあるまいし、食料の現物給付は必要ない。
 但し、公教育は「国民」を作り上げるために政府が定めて強制しているものですから、家庭の好き勝手にはできない。だから現物給付なんです。
Commented by inoue0 at 2007-11-19 20:20
>子どもにはお金をかけたくない親が、お金がかかるという理由で食堂の食事を許可せずに、昼食がない

 それは児童相談所が対処すべき問題でしょう。教師はそんな子を見かけたら、児童相談所に通報すればよい。児童虐待ですから、教師には法律上通報義務があります。
 少年犯罪は警察が、児童虐待は児童相談所が、健康維持は医療機関が受け持つべきことなのに、今はすべてを学校が抱え込んで、教師は過労になっています。

 しかも、今後、外国人家庭の子がどんどん増えてくると思うのですが、それでも、現行の学校給食は維持できるでしょうか?
 私は無理だと思う。食物関係には宗教的な戒律が多いからです。
Commented by 研究人 at 2007-11-19 20:23 x
>学校が早く終わるのが心配だという話は、私が聞いても奇妙な気がします。ほんの数時間ですよ。

理想的にはinoue0さんのおっしゃるとおりなんですが、「14時下校」は現状を考えると今の日本では無理が大きいのではないかと思います。特に小学生のうちは。

ご存知のように、下校時の子供達を狙った誘拐・殺害などの不安がありますから。昔だったら、家や道端の田畑で仕事をしている人も多かったですし近所づきあいも密でしたから、いつでもどこでも大人の誰かがゆるやかに子供達を見守っていたことでしょう。だから、親が家にいようがいまいが子供が好き勝手に遊んでも大丈夫だった。しかし、今では、地方も都会も学校の統廃合で結構遠くの学校まで通っている子はいますし、顔見知りの大人に会うことなく帰宅する子供も少なくないでしょう。

子供の安全のために携帯電話を持たせるという現状では、「14時下校が望ましい」と言うだけではなく、どうしたら14時下校などが実現できるのか・・・と考えたほうがよさそうです。(多分、大人の働き方・生活の仕方全般から問い直さなければならないでしょう。個人的には、大改革をしたほうが日本に住む人間のためになると思うのですが)
Commented by inoue0 at 2007-11-19 20:43
>ご存知のように、下校時の子供達を狙った誘拐・殺害などの不安がありますから。

 早く帰ろうが遅く帰ろうが、リスクに大差なく、それどころか、早期下校の方がずっと危険が少ないんじゃありませんか?
 しかも、決してこども狙いの犯罪は多くない。国際比較をしても、過去との比較をしても、現代の日本のこどもはきわめて安全な暮らしをしています。

>いつでもどこでも大人の誰かがゆるやかに子供達を見守っていたことでしょう。
 こどもが犠牲者となる誘拐、殺人、性犯罪事件の大半が、近所の顔見知りや家族や親戚によって行われていることをご存知ないのですか?「知らない人」はかえって安全なんです。「知ってる人」の方が危ない。
Commented by 研究人 at 2007-11-19 22:23 x
>早く帰ろうが遅く帰ろうが、リスクに大差なく、それどころか、早期下校の方がずっと危険が少ないんじゃありませんか?

下校時のリスクは少なくなるでしょうが、帰宅後、子供達は大抵、遊びに出かけますよね? 

また、給食の話に戻しますと、inoue0さんの最初の投稿では、ドイツでは14時で子供が下校して家で昼食をとる・・・ということでした。日本では、それだと共働きの両親は、食事のことや安全面で心配に思う人が多いだろうな・・・と感じ、質問したまでです。
Commented by かっこう at 2007-11-19 23:14 x
ドイツに住んでいます。ドイツでは、inoue0さんが仰られているように、子どもは家に帰って来てからお昼ご飯を食べるのが伝統です。

ただ、それだとやはり母親の就業が難しいので、最近は全日制の学校が増えて来ています。うちの子どもも全日制の公立校に通っていて、給食があります。

ただ、給食といってもカフェテリア形式で好きなものを選ぶようになっていて、食べる食べないは自由です。家からお弁当を持って来る子もいますし、何かの理由で給食を食べない日は前日までに業者に連絡してキャンセルすれば、その日の分は払わなくてよいことになっています。

ドイツの場合、給食はお弁当を作れない親のニーズに応えるためのもので、食育という発想はないようです。
Commented by ボーダー at 2007-11-20 14:43 x
研究人さんの「多分、大人の働き方・生活の仕方全般から問い直さなければならないでしょう。」という意見に賛成です。実現するのは難しいのですが、その方向に少しずつでも向かう方がいいと思っています。一方で、子育ての出来ない親の問題ももっと考えてみた方がいいと思っています。責任を果たせない親からは、施設が子供を取り上げるような制度を作った方がいいと思います。かわいそうですけど、もっと悲惨なことを防止するのには仕方ないと思います。そう書いておきながら恥ずかしい話ですが、米国にいた頃に自分の子供が学校に3回遅刻した時、「カウンセラーに相談しなさい」という督促状をもらいました。我が家もあちらではボーダーラインでした。
Commented by masao at 2007-11-22 01:05 x
総論ではその通りだと思いますが、以下の箇所ひっかかりました(単にこの間見たSickoのシーンを思い出しただけで、詳細は知りませんが)。

> 独仏にだって経済格差はありますし、福祉が日本より特別に充実しているわけではありません。
独仏の福祉制度ですが、児童手当等を含めた公的な子育て支援制度は日本よりも充実していそうに見えます。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webgaiyoh/html/i1310000.html

論旨の現物支給という方向から行くと、独仏レベルの手当を提供していくことは前提としてもよい気はしますが、おそらく現在の風潮ではなかなか難しいでしょうねえ。
by stochinai | 2007-11-18 23:23 | 教育 | Comments(15)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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