2007年 12月 02日
アメリカと暗殺: 週末DVD劇場
アメリカから初の衛星放送があるというので待ち受けていた画面に飛び込んできたのが、ジョン・F・ケネディの暗殺というニュースだったことをリアルタイムで記憶しています。1963年の勤労感謝の日の午前中(現地時間では22日)、我が家の茶の間の光景も一緒に思い出します。
そして1968年6月6日、日本でもベトナム反戦運動や大学闘争が盛んになりつつあった頃、ロバート・F・ケネディが暗殺されます。その直前の4月4日にはマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が暗殺されています。
しかも、あまりにも政治的に大きな存在だった3人を殺したとして逮捕された「犯人」が、いずれも特に政治的背景のない小物であるとされてしまうことに、この国に底の見えない恐ろしさを感じていたものです。
先日、大統領選挙の民主党候補指名キャンペーン中のヒラリー・クリントンのニューハンプシャー州ロチェスター選挙事務所に「身体に爆弾のようなものを巻き付けた男」が侵入し人質をとって立てこもったというニュースを聞いて、「アメリカ・大統領・暗殺」という嫌な言葉が連想されてしまいました。幸いけが人もなく、男は逮捕されたようですがなんとなく来年の大統領選挙にケチがついてしまったような気がします。
というわけでもないのですが、この週末に札幌で勃発している「TSUTAYAーGEO戦争」(私が勝手に命名)に便乗して、ロバートケネディが暗殺されることになるロサンジェルス・アンバサダーホテルの「その一日」を描いた映画「ボビー」のDVDを借りてきました。ちなみに、今週末TSUTAYAは旧作・準新作が100円に対して、GEOは80円で闘っています。
映画にはロバート・ケネディを演じる役者が表に出てくることはなく、彼自身はすべてほんもののニュース映像や演説だけで登場してくるだけですので、映画の中で彼に関するストーリーはまったく描かれていません。
出てくるほとんどの人が彼とは直接に関係のない人々で、たまたまその日ホテルで働いていたり、ホテルに宿泊したり、ホテルのまわりをうろついていたという、たまたま暗殺に遭遇してしまうことになるのですが、暗殺事件に遭遇することになるとしても、犯人以外はそんなことをつゆ知らずに、いつもと同じように1日がすぎていく様子が大きなリアリティを感じさせてくれます。
もちろん映画を見ている我々は、この後に起こる歴史的事実を知っているわけですが、逆にいつその瞬間が訪れるのかということを想像しながら見ることで、この映画に予想外の迫真力を与えていると感じました。
今のアメリカの状態は、ロバート・ケネディが暗殺された頃の状況と似ていると言えば似ているのかもしれません。あの頃は、長期化したベトナム戦争から撤退することがアメリカを二分する議論になっていましたし、今は長期化するイラク戦争からの撤退のタイミングをうかがっているはずです。
そういう時に、「反アメリカ的」な政治家が力を持ってくると暗殺という手段に訴えるということが繰り返されるという悪しき伝統が消え去ったと考えるにはまだまだ時間が足りないというのが私の持っている印象です。
そんな国の世界戦争に荷担していていいんでしょうかね。>現政権さま
【追記】
暗殺されたアメリカ大統領
1865年4月15日:リンカーン
1881年7月2日:ジェームズ・ガーフィールド
1901年9月6日:ウィリアム・マッキンリー
1963年11月22日:ジョン・F・ケネディ
それに続く暗殺
1665年2月21日:マルコムX
1968年4月4日:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
1968年6月6日:ロバート・F・ケネディ
1980年12月8日:ジョン・レノン
そして1968年6月6日、日本でもベトナム反戦運動や大学闘争が盛んになりつつあった頃、ロバート・F・ケネディが暗殺されます。その直前の4月4日にはマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が暗殺されています。
しかも、あまりにも政治的に大きな存在だった3人を殺したとして逮捕された「犯人」が、いずれも特に政治的背景のない小物であるとされてしまうことに、この国に底の見えない恐ろしさを感じていたものです。
先日、大統領選挙の民主党候補指名キャンペーン中のヒラリー・クリントンのニューハンプシャー州ロチェスター選挙事務所に「身体に爆弾のようなものを巻き付けた男」が侵入し人質をとって立てこもったというニュースを聞いて、「アメリカ・大統領・暗殺」という嫌な言葉が連想されてしまいました。幸いけが人もなく、男は逮捕されたようですがなんとなく来年の大統領選挙にケチがついてしまったような気がします。
というわけでもないのですが、この週末に札幌で勃発している「TSUTAYAーGEO戦争」(私が勝手に命名)に便乗して、ロバートケネディが暗殺されることになるロサンジェルス・アンバサダーホテルの「その一日」を描いた映画「ボビー」のDVDを借りてきました。ちなみに、今週末TSUTAYAは旧作・準新作が100円に対して、GEOは80円で闘っています。
映画にはロバート・ケネディを演じる役者が表に出てくることはなく、彼自身はすべてほんもののニュース映像や演説だけで登場してくるだけですので、映画の中で彼に関するストーリーはまったく描かれていません。
出てくるほとんどの人が彼とは直接に関係のない人々で、たまたまその日ホテルで働いていたり、ホテルに宿泊したり、ホテルのまわりをうろついていたという、たまたま暗殺に遭遇してしまうことになるのですが、暗殺事件に遭遇することになるとしても、犯人以外はそんなことをつゆ知らずに、いつもと同じように1日がすぎていく様子が大きなリアリティを感じさせてくれます。
もちろん映画を見ている我々は、この後に起こる歴史的事実を知っているわけですが、逆にいつその瞬間が訪れるのかということを想像しながら見ることで、この映画に予想外の迫真力を与えていると感じました。
今のアメリカの状態は、ロバート・ケネディが暗殺された頃の状況と似ていると言えば似ているのかもしれません。あの頃は、長期化したベトナム戦争から撤退することがアメリカを二分する議論になっていましたし、今は長期化するイラク戦争からの撤退のタイミングをうかがっているはずです。
そういう時に、「反アメリカ的」な政治家が力を持ってくると暗殺という手段に訴えるということが繰り返されるという悪しき伝統が消え去ったと考えるにはまだまだ時間が足りないというのが私の持っている印象です。
そんな国の世界戦争に荷担していていいんでしょうかね。>現政権さま
【追記】
暗殺されたアメリカ大統領
1865年4月15日:リンカーン
1881年7月2日:ジェームズ・ガーフィールド
1901年9月6日:ウィリアム・マッキンリー
1963年11月22日:ジョン・F・ケネディ
それに続く暗殺
1665年2月21日:マルコムX
1968年4月4日:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
1968年6月6日:ロバート・F・ケネディ
1980年12月8日:ジョン・レノン
大統領ではないですが、1964年のマーチン・ルーサー・キングの暗殺もリストに加えていただきたいような気がします。押しつけるようでご免なさい(明らかに押しつけてますね(^^;))。
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マーチン・ルーサー・キングJrの暗殺は1968年、ボビー暗殺の直前ですが、本文に書いてあるのでリストには載せませんでした。1965年のマルコムXの暗殺は迷ったのですが、付け足しておきます。

キング博士といえば、私がアメリカにはじめて到達した最初の公休日が、たしかマーティン・ルーサ・キング・デイでした。そのとき何も知らず偶然見ていたテレビで、流れて来た彼の演説の一種魔神的な力に衝撃を受けました。政治的視点では一般的に相容れないながら、(私は滞米中ずっと共和党支持でしたし、今でもそうです)それ以来、彼は私の中の偉人の一人となりました。最後の方のアメリカ讃歌とも言うべき部分 "Let freedom ring from the hilltops of New Hampshire..."は聞くたびに身震いを覚えますえ。余りに感銘を受けたので、その演説で唱われた地名で一番近くにあった「ペンシルヴェイニアのそそり立つアレガニー山脈」というところまで、週末車を飛ばしていって来たほどです行ってみたら、ただの奇麗な山があっただけでしたけど

以前ペンシルバニアのアリゲーニー山脈の辺りに住んでいた者です。あの辺り、景色はよいですが、人種対立や差別がものすごいのですよ。Ring of freedom、未だに鳴っていないのです。だから、なおさら感銘を受けますね。

なるほどそういう事でしたか。
思い返してみると、なんとなく意識下で、例のラシュモア山のみたいなイメージの、「鎖を破る解放奴隷」の英雄的巨大彫刻でもあるのか、と期待してたのかもしれません。
もっとも実際にそんな嘘っぽいものがあったとしたら、キング博士の名演説もまるで台無しでしょうけど。。
思い返してみると、なんとなく意識下で、例のラシュモア山のみたいなイメージの、「鎖を破る解放奴隷」の英雄的巨大彫刻でもあるのか、と期待してたのかもしれません。
もっとも実際にそんな嘘っぽいものがあったとしたら、キング博士の名演説もまるで台無しでしょうけど。。
by stochinai
| 2007-12-02 23:54
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