5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

体重1トンの巨大ネズミ

 今日はNewScientistの記事を紹介します。

 'Biggest ever' rodent fossil discovered

 元ネタになった論文はこちらにあるそうなのですが、どうもまだウェブでは発表になっていないみたいです。

 Journal reference: Proceedings of the Royal Society B
(DOI:10.1098/rspb.2007.1645)

 ウルグアイの海岸のくずれた崖の中から、体重が1トンにもなる約200万年前のネズミの化石が見つかったとのことです。Josephoartigasia monesiと名付けられたこの動物は、ネズミと同じ齧歯類に分類されていますが、頭蓋の長さがなんと53センチ。普通のネズミ(?ラットと書いてあります)を並べた、この写真を見て下さい。


http://www.newscientist.com/data/images/ns/cms/dn13188/dn13188-1_750.jpg

 頭の大きさから想像すると、この「ネズミ」はおそらく体重が1000キロ(1トン)に達するだろうとのことで、現在までに地球上に現れた最大の齧歯類と言うことになります。ただ、今のネズミにくらべると歯がそれほど発達しておらず、そこいらのネズミのようにガリガリと硬いものをかんでいたというよりは、柔らかい植物や木の実を食べていたらしいです。

 南アメリカでは、2003年にも北部ベネズエラのオリノコ・デルタでも800万年前のものと見られる700キロに達するモルモットの親戚(Phoberomys pattersoni)が見つかっており、ウシ・サイズの頭蓋骨から、世界最大の齧歯類と言われていました。これを発見したチューリッヒ大学のMarcelo Sánchezさんは、今回の発見を受けて「さらに大きなネズミが発見されるのは時間の問題だろう」と言っているとのことで、南アメリカはまさに巨大ネズミの大陸と言えそうです。

 南アメリカ大陸は、恐竜が滅びた約6500万年前に北アメリカから離れたとのことですが、恐竜がいなくなったところでさまざまな動物のグループがすき間を狙って進化を始めるのですが、南アメリカではさまざまな大きさの齧歯類が続々と進化したようです。現在でも生きているその子孫にあたるモルモットに近いカピバラは、50キロにも達する現存齧歯類中では最大のものです。

 今回発見されたJosephoartigasia monesiが生きていた頃、南北アメリカ大陸は再びつながり、北アメリカから猛獣や病気や、食糧を争うさまざまな動物が侵入したのが原因で、巨大齧歯類がどんどんと滅びたのではないかというのが、Sánchezさんの仮説です。もちろん、気候の変化も大きな影響を与えたでしょう。

 ウルグアイの研究者によると、400万年前頃の南アメリカは、ウシより大きなネズミや、巨大な肉食のトリ(terror birds)、サーベルのような犬歯を持ったネコ、地上性ナマケモノや巨大な猛獣がウヨウヨといる恐ろしいところだったということです。

 昔の巨大ネズミの子孫と考えられるパカラーニャ(?:発音に自信がありません)pacaranaと呼ばれる、イノシシの子供の「うり坊」に似た模様を持った動物は現在でも西部アマゾンの流域の熱帯雨林に生きているようですが、希少種だとのことです。

 こういう歴史を見ると南アメリカはまさに「ネズミの大陸」と言えそうですね。

 最後はJosephoartigasia monesiの頭部の復元図とパカラーニャを並べた図ですが、似てますか?


http://www.newscientist.com/data/images/ns/cms/dn13188/dn13188-2_389.jpg

(#図はいずれもNewScientistのサイトに飛んで表示しているものです。)
Commented by 小市民 at 2008-01-16 21:28 x
体重1トンの巨大ネズミ!WOW!すごい迫力です。
復元図は小さな親戚たちに似ていると思います。そういえば人類の進化に関する化石は案外少なく、そのような巨大人間化石が発見されると面白そうですね。
by stochinai | 2008-01-16 19:00 | 生物学 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai