5号館を出て

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我々は数々の食品偽装事件で何も学ばなかったのか


 ついに、健康被害が出てしまいました。朝日コムによると、問題の中国の会社から輸入していた業者はジェイティフーズ(東京都品川区)としか書いてありませんが、9時のNHKニュースでは加ト吉も同じ会社から製品を輸入しており、製品の自主回収を始めたとのことです。

 加ト吉と言えば、あのミートホープの偽装コロッケを販売していただけではなく、「子会社の北海道加ト吉が、廃棄するはずだった余剰の冷凍コロッケをミートホープに横流ししていた」ということまで発覚した会社です。その会社が、また懲りもせず危ないと言われていた中国から輸入された食品を流通させていて、その製品の品質を補償することができないということで商品の回収を始めたということは「犯罪行為」と言われても申し開きできないのではないでしょうか。

 また、ジェイティフーズはJTの子会社であり、日本を代表する企業グループに属している大手です。千葉県では昨年の12月28日に事故が起こっているにもかかわらず、製品の回収はされずに今まで放置されていたということもはななだ疑問です。JTによると「化学物質をチェックすることは通常やっておりませんでした」だそうです。

 輸入業者が責任を持ってチェックできないということであれば、とりあえず中国からの食品輸入を全面禁止ということにして、その後で輸入できるものの条件を検討して、納得できるものから輸入再開していくということをせざるを得ないのではないでしょうか。

 中国を罰することができないのであれば、輸入業者に責任を取ってもらうしかないと思います。とりあえず、加ト吉とジェイティフーズは全面的に営業停止にしてもらいたいものです。
Commented by おが at 2008-01-31 11:11 x
済みません、先程のコメントには事実誤認があったので削除させていただきました。

食品業者や消費者が学ぶべき教訓は、大手日本企業が取り次いだ商品なら中国製でも品質管理がしっかりしてるから大丈夫なはず、という希望的観測を捨てるべきだということでしょう。「よく管理された委託農場で栽培された・・・」などと但し書きされている商品もありますが、現地従業員の一挙手一投足を日本企業の駐在員が監視しているのでなければ、作物のすり替えや契約外の農薬使用や加工過程の不正など何をされているのか分かったものでありません。中国の人には悪いけどそういう認識でいたほうがいいと思います。
Commented by stochinai at 2008-01-31 11:15
 JTフーズを信頼して製品を取り扱ったのは生協COOPではありませんか。私もCOOPは軽率だとは思いますが、それほどの悪者だとは思いません。

 一方、加ト吉は同じところかジェイティフーズとは独自に別製品を輸入していて、実はそちらは農薬汚染があるかどうかはわからないまま自主回収をしているようです。ここで、加ト吉に厳しく書いたのは、ミートホープの件があったので合わせ技で×にしたのです。「再犯」は厳しくすべきではないでしょうか。
Commented by おが at 2008-01-31 11:25 x
事実誤認に気づいて書き直したのでコメントの流れが分かりにくくなり申し訳ありません。仰るとおりです。
Commented by 批判的な応援団 at 2008-02-01 06:36 x
最初に問題が発覚してからの報告体制等に問題がなかったかどうかの検証は必要だと思いますが、JTフーズが化学物質のチェックをしていなかったこと自体はやむをえないことだと思います。事件が起こった後でメタミドホスが入っていないことを調べていなかったのが問題だと指摘することは簡単ですが、科学者である先生がもし食品業者に検査方法を指示出来る立場だったとしたら、今日からどのような検査体制をとりますか。どの物質(何千何万という候補があるはずですよね)を対象にして、どのような検査をすれば良いでしょうか?
予防措置として、中国からの輸入を全面禁止にすべきというのはごもっともです。では、その全面禁止にすべき範囲は中国だけで良いのでしょうか?
中国だけでは十分と言い切れないと思います。先生は後知恵でああしておけば良かった、こうしておけば良かったという立場だから、全面禁止の対象を中国に絞ることが妥当な提案に見えますが、その実やっていることは無責任な企業や無能な官僚と同次元のことです(先生は責任を問われないから、ご自身の判断の甘さに一生気づかないだけです)。
Commented by 批判的な応援団 at 2008-02-01 06:36 x

先生が食品業者の社長であったり、厚生労働省の官僚であったとしたら、具体的に何をしますか、という質問でもあります。

何かしなければならないということは簡単です。でも、具体的に何をすればいいかを考えることは難しく、一方でその難しい問題から逃げないことが将来同様の問題を繰り返さないために必要ではないかと思います。
で、科学者の立場から、具体的に何か解決策を提示出来ますか?
科学者も、こういう問題に対してはワイドショーのコメンテーターと同じ次元の感情的な批判しかできませんか?

気を悪くされたかもしれませんが、こういう問題が起こったときこそ、科学者はもっと社会に貢献出来るんじゃないのか?というエールです。
Commented by stochinai at 2008-02-01 07:01
 30~40年くらいまでは、高度成長期にあった日本でも農薬による中毒事件や殺人事件が多発しており、今の中国の状況にかなり似ているところがあります。その後、国内では危険な農薬がどんどんと削減・禁止されてきていますが、日本で作った日本では使えない農薬が中国を始め外国へどんどん輸出されているということもあった(ある?)ようです。グローバリゼーションが進み、今回の製品にしても明らかに日本の業者が日本のためだけに現地で作らせているものですから、そうしたものに対しては日本におけるものと同じだけの管理や規制を要求しても当然ではないでしょうか。そして、お金を取って我々に食品を売る業者には、何かあった時の責任を問う体制を作っておくことがまず第一だと思います。
Commented by stochinai at 2008-02-01 07:09
 たくさんある食品を全部検査できないというのは、理屈としてはそのとおりですが、何段階にも責任を取らせる体制を作っておいて、何かあったらもう二度と農産物を売れない、食品を売れないという厳しいペナルティが課すことで、生産者・加工業者・販売業者などに緊張感を与えることがまず大事だと思います。
 その上で、日常的な抜き取り検査をかなり細かくやる必要があると思います。すべての国やすべての相手、すべての製品を同じように細かく検査する必要はないと思いますが、少なくとも中国は何年も前から札付きの相手ですから、特に細かい検査をすべきであったということが今回の私の議論の中心です。
 そうした検査を義務づけることは、当然製品の値段に跳ね返るものだと思いますが、安全性を犠牲にしてまで安さを追求しているのが、我々のおかれているグローバリゼーションという体制を見直すことが要求されていることが良くわかります。
Commented by stochinai at 2008-02-01 07:19
 今は、そうした検査機関などをたくさん作ることが必要になってきていることを感じます。そして、ちょっと我田引水ですが、そうしたところにもたくさんのポスドク達の就職先ができるはずですので、企業や大手販売店などには検査機関を設置するか、あるいは定期的な抜き取り検査を義務づけるということがとりあえずの対応策として考えられるべきではないかと考えています。
 私の言っていることは、もちろん後知恵ではありますが、始めてのことには対処できなくても、2度目3度目のことには前もって対処できるのが人間の知恵というものだと思います。今回の件に関しては、以前の経験が全然生かされた体制が取られていないという感想を書いたのが今回のエントリーです。
 今回のような事件に対して大学ができることはあると思います。例えば、大学の中に検査機関を作って、そこでポスドクや大学院生をアルバイトで雇って検査をしながら、彼らに検査能力を身に付けさせて、将来の就職に備えさせるというようなOJTをやるということも十分可能だと思います。

 とりあえず、批判的な応援団さんのコメントに感謝しつつ、思いつくままを書かせていただきました。
 
Commented by PDを応援する会団長 at 2008-02-02 15:23 x
>今は、そうした検査機関などをたくさん作ることが必要になってきていることを感じます。そして、ちょっと我田引水ですが、そうしたところにもたくさんのポスドク達の就職先ができるはずです

stochinaiさんのご意見に全く賛同します。

昨日、複数のメディアで、千葉市の事例について「食中毒を疑い検査したが微生物が出てこなかったので、異臭報告はあったものの、それ以上何を調べたらよいのかわからなかった」という内容の報道がなされていました。

(参考例: http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-01X002.html )

おそらく、大学院でまともな訓練を受けた人間であれば、食中毒以外に何を疑わなければならないか考えて、次の手をうつことができたのではないでしょうか。

また、これだけ食料を輸入に頼っているにもかかわらず、検査機関が非常に少ないということにも衝撃を覚えました。

理系・文系を問わず、きちんと学問(知識・技術・論理的思考)をおさめた人間を社会で大切に活用しないままでいると、今後も似たような問題が起きるのではないでしょうか。
Commented by 鶏肋36歳PD at 2008-02-03 12:37 x
すみませんが、これは本気で言ってらっしゃるのでしょうか?

> 何かあったらもう二度と農産物を売れない、食品を売れないという
> 厳しいペナルティが課すことで、生産者・加工業者・販売業者などに
> 緊張感を与えることがまず大事だと思います。

今回の件で、営業停止は当然だと思いますが、落ちた犬を叩けばいいというもでのはないと考えます。そもそも、品質に問題がある可能性が指摘されたとき、農薬検査まで十分にカバーしてくれる企業がどの程度あるでしょう。変性と腐敗を疑った検査のみ、というのはJTやコープならずともありそうですが。むしろ、行政を含めた連絡体制の不備の方が問題ですね。海外の例をみても、今後もこのような事態は発生すると思われますので、検査機関を含め迅速に対応できるようにしておかなければなりません。
Commented by 鶏肋36歳PD at 2008-02-03 12:44 x
本題ではありませんが、研究に関しても、論文のmisconductがあった研究機関は二度と研究させない、というような厳しい姿勢が求められているでしょうか?罰則の厳格化が求められているのは知っていますが、そのつもりで研究を行っているPIがどの程度いるのでしょう?
Commented by stochinai at 2008-02-03 12:55
>本気で言ってらっしゃるのでしょうか?
 実際にできると思っているわけではありませんが、見つからなければ良いと思って平気で偽物を売るという最近の風潮に「喝」を入れるためには、そのくらいの厳しさがあるのだという雰囲気を作るために必要な姿勢だと思っています。

>研究に関しても、論文のmisconductがあった研究機関は二度と研究させない、というような厳しい姿勢が求められているでしょうか?
 現実にそうなっているかと言われると、そちらも見つからなければ良いと思っている人が多いという風潮があるように思われますので、同じように厳しい雰囲気を作ることが必要だと思っています。

 いずれのケースも、「雰囲気」や「風潮」に緊張感がなさすぎるのが、事件の再発・再々発を防ぐことができない原因のひとつではないでしょうか。
Commented by 鶏肋36歳PD at 2008-02-03 23:08 x
どうも私とは認識のずれがあると思うのですが、食品会社は数千人単位の従業員を抱えています。食品偽装を当然と考えるような食品会社に対して、責任を問うのは必要であると思います。ただし、今回のような対策の不備に対して、営業停止はともかく、何千人の従業員が路頭に迷うような責任をとらないといけないとお考えなのは、私には理解できません。
misconductに関しても、「厳しい雰囲気」は必要でしょうが、学生が行った行為に、学科あるいは研究所全体を廃止するような処分を受け入れることができますか?研究室が停止するだけならばともかく、所属する学生全員に対して、その責任を負う覚悟がある機関がどの程度あるのか疑問です。
今回の件でお怒りになられる気持は十分わかるのですが、ややご意見が走りすぎている感があります。
Commented by stochinai at 2008-02-04 00:07
 確かにおっしゃるとおり、大きな会社が突然つぶれると何千人の従業員が路頭に迷うことになりますので、大変に影響が大きくなってしまいます。ただ、私は一国の総理大臣でもありませんし、裁判長でもありませんので、私が「廃業せよ」と主張したところで現実にそうなる可能性はゼロであるということを前提に、鶏肋36歳PDさんから見ると過激な主張をしてしまっていることは認めます。

 しかし、どんなに大きな会社だとしても、もしも会社ぐるみで「悪」を行っていたのだとしたら、やはり会社もろともつぶれて社員全員で責任を取るくらいの雰囲気(企業倫理)が今の日本に必要だと強く感じています。雪印食品はつぶれてしまいましたが、その後も食品偽装が後を絶たないこの日本の企業倫理を立て直すためには、少々過激なショック療法も必要なのではないでしょうか。
Commented by stochinai at 2008-02-04 00:07
(続き)

 また、もしも企業や大学が組織として「悪」を行っていて、内部の人間がそれを知っていて見逃していたのだとしたら共犯と見なされても仕方がないと思います。

 ミートホープの社員はほぼ全員が路頭に迷っています。彼らのほとんどは内部で行われていた悪を認識しており、また内部告発もしたのですが、結果的に連帯責任を取らされることになってしまいました。本来ならば、公益通報者保護法で内部告発者は守られるべきだと思うのですが、残念ながら今の日本ではそちらもうまく機能していません。彼らを守りつつ悪を告発できることは理想かもしれませんが、それも難しそうです。
Commented by 鶏肋36歳PD at 2008-02-05 00:38 x
ご返答ありがとうございます。ただ、食品偽装が連続した上で、今回は健康被害もでたことから槍玉にあげられがちですが、私としては、会社ぐるみの偽装と、今回のように意図していたわけではない事件とを、一緒に論じて欲しくはなかったのですが。
misconductに関しても、研究機関が知って隠蔽していた場合と、単発的に起きたものとでは悪質度に違いがあると考えます。
私が主張したかったのは、「悪」ということで全てを一緒くたにしてしまうと、本質的なものが却って隠蔽されてしまうのではないかと危惧しました。断を下すべきものと、体制の不備によるものとを区別して欲しくて、上記のコメントを致しました。どうも通じにくかったようで、申し訳ございません。
by stochinai | 2008-01-30 21:29 | つぶやき | Comments(16)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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