2008年 02月 11日
コロンブスの卵2個
早稲田の「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」や東大の「科学技術インタープリター養成プログラム」と一緒に科学技術振興調整費に採択された、北海道大学の「科学技術コミュニケーター養成ユニットCoSTEP」が、3つの中でなぜかもっとも低い中間評価を与えられてしまったようですが、それはそれとして着実に人材を育てているという実感があります。
たまたま偶然のことなのでしょうが、今日そのCoSTEPの第1期修了生の中のお二人がブログで素晴らしいアイディアを公開してくれています。(余談ですが、CoSTEPの修了生のことを「こ~すてっぱ~」と呼びます。私が勝手に名づけました。)
先日、ここでUSBフラッシュメモリの不安定性について書いた直後、朝日新聞が1面トップでDVDに書き込まれたデータの不安定性を取り上げるなど、デジタルデータの保存についての不安がなんとなく蔓延していると思っていたところなのですが、セキュリティ&コンサドーレ札幌さんが、データの保存に関して決定版とも言える素晴らしいアイディアを提案しています。その方法とは、著作権を含む知的財産権の放棄です。
つまり、データのコピーを誰にでも許すことが、(人々に必要とされる)データの安全な保存につながるという、まさにコロンブスの卵的セキュリティ対策です。
感動しました。
さて、もう一つはペンギンカフェからカフェしろくまへと、常に新しい形のサイエンスカフェを模索し続けているSalsaさんのブログです。
サイエンスカフェというのは、ゲスト探しも大変なのですが、実はそれ以上に会場探しが大変なことが多いのです。まず、なかなか良い会場が見つからないものですし、適当な会場が見つかったとしても、借りるために莫大な借用料が必要だったりします。そもそも、どこの馬の骨ともわからない人が、怪しげなサイエンスカフェをやらせてくれと飛び込んできたら、向こうが構えてしまうのも無理もありません。
そんな苦労を重ねた上で、Salsaさんが見つけた結論はあっけないほど簡単なものでした。
先日の、第1回サイエンスカフェしろくまも、そうやって見つけられた素晴らしい会場で行われました。
このノウハウは、世界中でサイエンスカフェをやろうと思っている人々に対する福音と言えるほど素晴らしい「卵」ではないでしょうか。
CoSTEPの1期生は、特に優秀な人が集まったということがあるのかもしれませんが、CoSTEPはその後もユニークな人材を育て続けていますし、CoSTEP自体も次々と新しい企画を打ち出し続けています。最新のニュースとして、日本の大学としては始めて北海道大学がAAASに乗り込んで行くことをプロデュースしていることが全国に報道されていることを見ても、世界の科学技術コミュニケーション界をリードしているひとつの勢力であることは間違いないことなので、スポンサーの評価が低くても「そんなの関係ない!」と、前向きに進み続けることでしょう。
たまたま偶然のことなのでしょうが、今日そのCoSTEPの第1期修了生の中のお二人がブログで素晴らしいアイディアを公開してくれています。(余談ですが、CoSTEPの修了生のことを「こ~すてっぱ~」と呼びます。私が勝手に名づけました。)
先日、ここでUSBフラッシュメモリの不安定性について書いた直後、朝日新聞が1面トップでDVDに書き込まれたデータの不安定性を取り上げるなど、デジタルデータの保存についての不安がなんとなく蔓延していると思っていたところなのですが、セキュリティ&コンサドーレ札幌さんが、データの保存に関して決定版とも言える素晴らしいアイディアを提案しています。その方法とは、著作権を含む知的財産権の放棄です。
著作権の権利者だって、その多くが営利を追求する以上、金にならなかったコンテンツをコストをかけてまで保存しようとはしないだろう。でも、現在売れなくて保存されなかったコンテンツが、果たして本当に価値が無いものなのか? あるいは、権利を持つ出版社やTV局が倒産する可能性もある。もちろん、誰かが「これはいい。これは欲しい。これを持っていたい。これが必要だ」と思うことが大前提ですが、そう思う人が何人かいれば、必ずデータを保存してくれるはずだという理論です。人間の文化が何千年もの文字もない時代を経て保存・伝承されてきたことを考えると、人の脳というどうあがいても100年以上はデータを保存できないメディアであっても、コピーを繰り返すことで何千年もの間データの保存が可能であることを示しています。(しかも、だんだんとバージョンアップまでするという、おまけもつきます。)
面倒くさいコピーを繰り返してまで、律儀にデータを保存してくれるのは、好き者の一般人のマニアしかありえない。実際に、TV局や映画会社すらデータを消失した過去の名作が、マニアのコピーによってのみなんとか保存されていた例なんて、いくらでもあるし。
つまり、データのコピーを誰にでも許すことが、(人々に必要とされる)データの安全な保存につながるという、まさにコロンブスの卵的セキュリティ対策です。
感動しました。
さて、もう一つはペンギンカフェからカフェしろくまへと、常に新しい形のサイエンスカフェを模索し続けているSalsaさんのブログです。
サイエンスカフェというのは、ゲスト探しも大変なのですが、実はそれ以上に会場探しが大変なことが多いのです。まず、なかなか良い会場が見つからないものですし、適当な会場が見つかったとしても、借りるために莫大な借用料が必要だったりします。そもそも、どこの馬の骨ともわからない人が、怪しげなサイエンスカフェをやらせてくれと飛び込んできたら、向こうが構えてしまうのも無理もありません。
そんな苦労を重ねた上で、Salsaさんが見つけた結論はあっけないほど簡単なものでした。
ぶらりと入ったカフェで、思いつきで「2時間、お茶会したいんですけど予約できますか?」と聞くと、「はい、どうぞ」と返事が返ってきて、それも立て続けに2件のお店で言われた時。こんな簡単なことだったのかとショックを受けました。つまり、大学などからサイエンスを持って出て、どこかにそれを入れてくれるカフェを探そうとするという発想から、すでにあるカフェにサイエンスを持って行けばそれでサイエンスカフェのできあがりという発見です。わかってきました。サイエンスコミュニケーションの急所
携帯電話にすでにデジカメの機能があって、使おうが使うまいがそれは持ち主の勝手であるように、カフェにはサイエンスの話ができる機能があって、それを使うだけなんだと気が付いた瞬間、一人で笑ってしまいました。
先日の、第1回サイエンスカフェしろくまも、そうやって見つけられた素晴らしい会場で行われました。
このノウハウは、世界中でサイエンスカフェをやろうと思っている人々に対する福音と言えるほど素晴らしい「卵」ではないでしょうか。
CoSTEPの1期生は、特に優秀な人が集まったということがあるのかもしれませんが、CoSTEPはその後もユニークな人材を育て続けていますし、CoSTEP自体も次々と新しい企画を打ち出し続けています。最新のニュースとして、日本の大学としては始めて北海道大学がAAASに乗り込んで行くことをプロデュースしていることが全国に報道されていることを見ても、世界の科学技術コミュニケーション界をリードしているひとつの勢力であることは間違いないことなので、スポンサーの評価が低くても「そんなの関係ない!」と、前向きに進み続けることでしょう。
by stochinai
| 2008-02-11 23:55
| CoSTEP
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