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北海道大学法科大学院 「不適合」! 【追記あり】

 昨日から今朝にかけて、愛知大学の法科大学院が「日弁連法務研究財団」の評価で、不適合の認定が行われたというニュースがあり、ふ~んと思っていたのですが、たった今のNHKローカルニュースで北海道大学の法科大学院も、法学部出身者を優遇するような入学試験を行っているという理由で「不適合」の認定がされたと報道されました。

 ネットを見ても、まだ情報が取れないのですが、他にも数校あって愛知大学と合わせてたしか5つの法科大学院が不適合とされたようです。

 法科大学院 一橋、北大など新たに4校「不適合」
 今回評価した9校のうち一橋(東京都)、北海道、千葉、香川の4校に対し、授業を受ける人数が多すぎたり専任教員の資質に問題があったりして、機構の定めた基準に適合しないと判定した。

 評価結果によると、一橋大では、一部の授業の受講生が標準(50人)の2倍にあたる100人もいた授業があったため「双方向的な授業をめざすという基本的な法科大学院教育のルールに反する」と指摘。北海道大は、法学を学んだ経験がない人を対象とする未修者コースの入試で法学の基礎知識を問うていた点が「多様な人材を受け入れる法科大学院の趣旨に反する」と判断された。

 北大としては抗議をしたているところらしいのですが、かなりショックなニュースです。

 どうなるのでしょうか。

 今調べてみると、北大のホームページに抗議文(状況説明文?)が掲載されていました。(この素早い対応は、とても良いと思いました。)

 こちらの評価は愛知大学と異なり、日弁連ではなく独立行政法人大学評価・学位授与機構が行ったものだと書かれています。そうだとすると、事態はより深刻です。

 法科大学院の認証評価結果について

 大学評価・学位授与機構が定める基準に適合していないと判断された理由は、「北大法科大学院の入学試験においては、2年課程と3年課程を併願した場合の3年課程の選抜について『学修評価枠』において法律科目試験の成績が考慮されており、基準を満たしていない」ということだそうです。

 結果として、今回このような評価を受けたことは大変残念なことであり、北大法科大学院としては、次年度以降の入試について、併願者の選抜において法律科目試験の結果を参考にしない新たな入試制度を定め早急に本HPなどで公表する予定でおります。
 つまり、入試選抜の方法を緊急に変更するようですね。

 なお、「評価報告書」がすでに発表されており、その中にすでに北大の法科大学院からの抗議に対する検討結果も書かれています。

 それによると、「基準を満たしていないとする判断に変更はない」ということになっています。つまり、抗議が却下されたということですね。

 これほど細かいところまでチェックされて、「不適合」とまでされてしまうのはなんだかなあ、という気がしますが、今の大学の置かれている位置を象徴的に表しているような気もします。他人事ではないのですが・・・・・。
Commented by kitanomizube at 2008-03-28 07:16
おはようございます
この独立行政法人大学評価・学位授与機構というのは、そのような権限を持てる機関なのでしょうか?
wikipediaで調べてみると、機構長は中教審副会長
理事は元文部官僚ですね・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%83%BB%E5%AD%A6%E4%BD%8D%E6%8E%88%E4%B8%8E%E6%A9%9F%E6%A7%8B#.E6.A9.9F.E6.A7.8B.E9.95.B7
そのような機関が、このような評価をして発表して良いのかどうか、はなはだ疑問ですよね・・・
文部官僚の天下り機関に過ぎないように思えますが(×_×;)
こうやって、教育への国家統制を強めているのですね
Commented by stochinai at 2008-03-28 08:54
 非常に細かな点が指摘されています。私の印象では、せいぜいが「是正勧告」くらいが適切ではないかと思うのですが、いきなり「不適合」という評価が結論として出されるということには、なんとなく「政治的意図」を感じました。今朝の朝日新聞の論評によると、これは現在法務省が勧めている「法曹3000人計画」の見直しに「追い風」になるのだそうです。「3000人計画」は間違っていなかったけれども、大学が悪いので見直すことにした、というふうに話が展開していくのでしょう。安っぽいシナリオですね。
Commented by A at 2008-03-28 14:08 x
法科大学院評価基準要綱(平成18年5月改訂)
http://www.niad.ac.jp/sub_hyouka/ninsyou/hyoukahou200803/houka/kizyun_h200803.pdf
に、判断基準があります。また、この4ページ目、適格認定の要件等という所に、はっきりと『評価基準に適合していると認められるためには、すべての基準が満たされていなければならない。』と記されています。なので、たった一つではなく、一つあるから不適格なのでしょう。

大学にはこのような決まり事に対する対策委員は存在しないのでしょうか。国のルールとお金に守られた大学なのですから、少なくとも相手が何を言いたいのか、何をもとめているのかは把握する必要があると思います。その上で意見しなければならない所は意見すべきです。

心配しなくてはならないのは、不適格により受講生の司法試験受験資格はどうなってしまうのかということだと思います。これは大丈夫なのでしょうか? COEや競争的資金などもそうですが、こういうことで誰が割を食うかと言うと、弱い立場の学生(やポスドク)だったりするわけで、職員に影響が出るのは一番最後だからと言って手を抜いてはいけないと思います。

Commented by stochinai at 2008-03-28 14:18
 まったくおっしゃるとおりです。

 内側から見ていると、大学の評価などに関することには異常とも思えるくらいに気を遣っているのが今の大学です。そのあげくに、「しまった!そこがあったか!」というところを指摘されたというのが、今回の顛末の実情ではないかと推察しています。

 しかし、どうやらこの「不適合」というのは「不適格」とは意味が違うらしく、汚名が生じるという以外、とりあえず学生には不利益は生じないようです。だったら、なんのための評価なのかという気もしますが、とりあえず他の大学をビビらせることには大きく成功したと思えます。
Commented by A at 2008-03-28 14:45 x
不適格ではなく、不適合でしたね。間違えました。どうやら不適合を受けると文科省の調査があり、それを通らなければ認可を取り消されるということのようで、即アウトと言うことではないようです。

大学をビビらせるという意味で意味深長なのは、千葉大、一橋大は、旧帝大を押さえて合格率2位と3位の実績を持つということでしょうか。

また、北大も含めた不適合大学は、法科大学院認証評価委員を出していないようです。そういう所も努力目標なのかもしれません。

by stochinai | 2008-03-27 18:40 | 大学・高等教育 | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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