5号館を出て

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スポーツ省

 今の文科省がスポーツ行政も担当しているということは知っていたのですが、同時に大相撲やプロ野球、プロゴルフなども文科省の監督下にあるということにも違和感を覚えているということは前に書いたことがあります。そもそもその違和感というものは、自分たちでお金を稼いで独立してやっていると思われるプロスポーツが国に管理されているということへの違和感でした。独立採算でやってけるのであれば、政府の管理などは受けないほうが良いというのが私の意見です。

 ところが、昨日ポッドキャスティングのニュース解説を聞いていたら、自民党が「スポーツ省」を作るということを本気で考えているらしいということを聞いて、驚きました。その件についてはまったく知らなかったので、ネットで調べてみると昨年遅くに表に出てきた意見のようです。

 たとえば、ここに転載されているスポニチの記事にしっかりと書かれています。
 自民党のスポーツ立国調査会は30日、初会合を開き、2009年度のスポーツ省(庁)新設を検討することを決めた。

 会長にはクレー射撃でモントリオール五輪に出場した麻生太郎前幹事長が就任。

 また最高顧問に就いた森喜朗元首相も「最近のスポーツ国際大会の招致には“国家保証”が必要。ソチ冬季五輪承知ではプーチン大統領が英語でスピーチした。スポーツ省、スポーツ庁を作ればいい」と、あいさつし気勢をあげた。会議には、橋本聖子、馳浩、神取忍、荻原健司、松浪健四郎らの各代議士も参集した。[ 2007年10月30日 13:18 速報記事 ]
 スポーツ系や文教系の自民党国会議員が集まって気勢を上げているので、なんだか実現しそうな気配を感じます。やろうとしていることは、「(1)スポーツ振興法を改正し、スポーツ振興に国が責務を負うことを明記(2)2016年夏季五輪などの国際大会招致(3)プロ、アマを問わずスポーツ団体を統括する『日本スポーツコミッション』の創設」などということですが、要するに新しく税金をつぎ込むための理由がたくさん並んでいると感じられます。

 一方で、新しい財源を確保するのが難しいという現実がありますから、おそらく今の文科省の予算の一部を切り取るということになるような気がします。さらに検索してみると、文科省のスポーツ振興に関する特別委員会(第2回)の議事録にも、「色々な省庁でスポーツ振興が行われているが、これをスポーツ省や庁のように一本化することはできないか」などという議論があったことも記録されていますので、スポーツ省設立への地ならしは着々と進んでいるのでしょう。

 でも、上にも書いたように独立採算でやっていけるプロスポーツに国が口やお金を出す必要はないと思います。オリンピック選手を国の予算で育成するということならば、わからないでもないですが、スポーツ省の新設がそのための正解なのかどうかという点については疑問を感じます。

 遠藤さんという文部科学副大臣が熱心に話を進めていたようで、2008年度中には議員立法で国会に出したいと言っていましたが、惜しくも2007年の8月いっぱいで交代になっています。しかし、後釜の副大臣が松浪健四郎さんとこれまた志を同じくする方ですので、話は継続して進行中と考えるべきでしょう。

 新しい省(庁かもしれません)を作って関係予算を大幅に獲得するということには、昨今の税金節約という見地からは否定的な意見も出そうな気がしますが、北京オリンピック開催というタイミングで法案が出されたら、与野党一致で成立してしまいそうな予感もします。

 スポーツ振興そのものは決して否定するものではありませんが、今の文部科学予算から大幅に拡大されたスポーツ関連の予算が抜き去られるという恐れを考えると、教育や科学の予算のことがとても心配になります。

 どうなるのでしょうか。
Commented by けんご at 2008-04-13 10:04 x
他国にはスポーツ省を持っているところがありますね。
私はそこがどんなことをやっているかまだ知らないのですが、
この機会に調べたら何か参考になるかもしれません。必要性の判断に役立つかも。

ジーコは一時期、ブラジルのスポーツ省の大臣?だった、とよく聞きます。
Commented by stochinai at 2008-04-14 00:04
 スポーツ省そのものは悪いアイディアではないと、私も思います。ただ、今の日本ではやはり「天下りと税金の無駄遣い省」になってしまうことが強く危惧されるのです。
by stochinai | 2008-04-12 23:59 | つぶやき | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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