2008年 05月 05日
陳情の相手は国民だと思います
子どもの日です。5月5日は端午の節句という男尊女卑の時代の行事に由来するものですが、今は法律に書かれているとおり、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日として祝いたいと思います。
写真は、一昨日の市内某所で見かけた鯉のぼりのディスプレイです。よく見ると、白い部分があって変な鯉ですが、そもそも大空にたなびいていない鯉のぼりという存在自体が矛盾しているとも思えます。
札幌は4月5月と観測を始めて以来の小雨となり、3日には札幌市南区の定山渓方面で山火事が発生するなど乾燥状態が心配されていたのですが、今夜遅くになってようやく久々の本格的雨が降っています。気温が高くても水が少ないと植物はかなりつらそうでしたので、今夜はようやく一息ついてゆっくり眠っているように見えます。
子どもの日とは直接関係はないのですが、ちょっと気になる記事を見つけました。
荒川静香さん、橋下知事らに異議 「リンク存続を」
それにもかかわらず、全国各地にたくさんの国立大学やスケートリンクが作られたのは、右肩上がりやバブル経済の効果で税収も伸び、そのまま行けるのであれば大学でもスケートリンクでもプールでもなんでもござれの大判振る舞いの結果で、ここへきてそのツケを払えと言われたらどんどん廃止していかざるを得ないということは、計算の上からは理解できることです。
しかし、税制を健全化するためになんでもかんでも数字の上でのつじつまを合わせればそれでいいのかというと、やはりそれは違うのだと思います。いきなりすべてをチャラにしてしまうのではなく、必要なのは何を残し何を切り捨てていくのかを厳しく査定していくのが正解だと思います。
そして、それを決めることに力を持っているのは知事や政府なのだからと、ついつい陳情という手段に訴えてしまいがちなのも良くわかりますが、その「お上」にお願いするというスタイルこそが日本的汚職の温床になっているような気がしてなりません。
ここはひとつ原点に戻って、税金の使い方について訴えるべき相手は、上ではなく「下」すなわち国民一人一人であるということを再認識すべきなのではないでしょうか。
それがスケートリンクならば、その必要性を多くの国民の方々に理解してもらうような活動が必要なのだと思います。もちろん、オリンピックで金メダルを取るような選手を出すことも効果的な宣伝にはなるでしょうが、一時の興奮が冷めたりあるいはそうした大選手が出ない「我慢の時期」にもスケートリンクが必要であることを、理解しサポートしてもらえるような活動が必要なのだと思います。
大学もまったく同じだと思います。iPS細胞のようなオリンピック金メダル級の成果が出ることも効果的な宣伝にはなるでしょうが、一時の興奮が冷めたりあるいはそうしたスターが出ない「我慢の時期」にも大学が必要であることを、理解しサポートしてもらえるような活動が必要なのだと思います。
ある数の納税者である国民の支持を得るためにすることで、できることは工夫次第でまだまだたくさんあるような気がします。多くの納税者の支持があれば、国も首を縦に振らざるを得ない、そういう状況を作らずに政府との駆け引きだけで状況を乗り切ろうとすれば、必ずどこかで「しまった」という事態になることは、もう何度も経験してわかっているはずではないでしょうか。
写真は、一昨日の市内某所で見かけた鯉のぼりのディスプレイです。よく見ると、白い部分があって変な鯉ですが、そもそも大空にたなびいていない鯉のぼりという存在自体が矛盾しているとも思えます。
子どもの日とは直接関係はないのですが、ちょっと気になる記事を見つけました。
荒川静香さん、橋下知事らに異議 「リンク存続を」
今年に入ってウェルサンピア敦賀(福井県敦賀市)とウェルサンピア倉敷(岡山県倉敷市)の閉鎖が決定。大阪府の橋下徹知事が主導する財政再建案で臨海スポーツセンター(大阪府高石市)の廃止が打ち出されるなど、各地のリンクに逆風が吹いている。スケートリンクは、我々国立大学が置かれている状況と似ていると思います。少数のスケートをする青少年のために、かなりの設備を必要とするスケートリンクを維持することは、採算性だけを考えたらとても無理なのは良くわかります。国立大学も同じで、採算という意味では明らかに税金を持ち出して運営しなければ存続できないものです。
それにもかかわらず、全国各地にたくさんの国立大学やスケートリンクが作られたのは、右肩上がりやバブル経済の効果で税収も伸び、そのまま行けるのであれば大学でもスケートリンクでもプールでもなんでもござれの大判振る舞いの結果で、ここへきてそのツケを払えと言われたらどんどん廃止していかざるを得ないということは、計算の上からは理解できることです。
しかし、税制を健全化するためになんでもかんでも数字の上でのつじつまを合わせればそれでいいのかというと、やはりそれは違うのだと思います。いきなりすべてをチャラにしてしまうのではなく、必要なのは何を残し何を切り捨てていくのかを厳しく査定していくのが正解だと思います。
そして、それを決めることに力を持っているのは知事や政府なのだからと、ついつい陳情という手段に訴えてしまいがちなのも良くわかりますが、その「お上」にお願いするというスタイルこそが日本的汚職の温床になっているような気がしてなりません。
ここはひとつ原点に戻って、税金の使い方について訴えるべき相手は、上ではなく「下」すなわち国民一人一人であるということを再認識すべきなのではないでしょうか。
それがスケートリンクならば、その必要性を多くの国民の方々に理解してもらうような活動が必要なのだと思います。もちろん、オリンピックで金メダルを取るような選手を出すことも効果的な宣伝にはなるでしょうが、一時の興奮が冷めたりあるいはそうした大選手が出ない「我慢の時期」にもスケートリンクが必要であることを、理解しサポートしてもらえるような活動が必要なのだと思います。
大学もまったく同じだと思います。iPS細胞のようなオリンピック金メダル級の成果が出ることも効果的な宣伝にはなるでしょうが、一時の興奮が冷めたりあるいはそうしたスターが出ない「我慢の時期」にも大学が必要であることを、理解しサポートしてもらえるような活動が必要なのだと思います。
ある数の納税者である国民の支持を得るためにすることで、できることは工夫次第でまだまだたくさんあるような気がします。多くの納税者の支持があれば、国も首を縦に振らざるを得ない、そういう状況を作らずに政府との駆け引きだけで状況を乗り切ろうとすれば、必ずどこかで「しまった」という事態になることは、もう何度も経験してわかっているはずではないでしょうか。
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辛口子
at 2008-05-06 09:32
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「国民」は便利な言葉ですが、
国民に陳情する、
国民の方々に理解してもらうような活動が必要、
などを言っても、いったい何をどうするのか、話の内容は具体性を欠きます。
荒川さんらがメディアを使って"記者会見"の陳情の相手はまさに国民と思われ、橋下知事は「何を残し何を切り捨てるのかを厳しく査定していく」と常に言っていたように思います。
この記事は冗長で意味は分かりにくいが、簡潔な前文と写真はさわやかで良かった。
国民に陳情する、
国民の方々に理解してもらうような活動が必要、
などを言っても、いったい何をどうするのか、話の内容は具体性を欠きます。
荒川さんらがメディアを使って"記者会見"の陳情の相手はまさに国民と思われ、橋下知事は「何を残し何を切り捨てるのかを厳しく査定していく」と常に言っていたように思います。
この記事は冗長で意味は分かりにくいが、簡潔な前文と写真はさわやかで良かった。
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stochinai at 2008-05-06 10:31
暖かいコメントありがとうございます。私が困っているところをズバリと指摘していただきましたが、まさにその「具体性」を持った活動をどうすればよいのかというところが、「日本の民主主義」に問われているところなのだと思います。
「今時の政治家は意外と民意を恐れる」というところが、キーになりそうに思えてはいるのですが・・・・。
「今時の政治家は意外と民意を恐れる」というところが、キーになりそうに思えてはいるのですが・・・・。
重要なポイントは、大学とは「誰」が滑るためのリンクなのか、というところだと思います。オリンピックなどの競技会を目指す人間だけが練習するためのリンクなのか、それともスケートを人生の一部として楽しむ人たちのものなのか、新しいスターを生み出すためのリンクなのか、こう言った所を突き詰めれば、自ずと「国民」を動かす言葉が出て来るのではないでしょうか。
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C
at 2008-05-06 17:25
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先進国で、大学の存在意味を、国民に説明しなければならない国なんてあるだろうか?衆愚政治、極まれり。
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いちエンジニア
at 2008-05-09 08:11
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「陳情」でなく「サイエンスコミュニケーション」と考えればいいだけのことかと思います。
そもそも、お金を出してもらいたいときにお金を出す人に説明するというのは、当たり前すぎるほど当たり前の話。21世紀の日本は、高度成長期と違ってお金が湯水のようにあふれているわけではないのだから、当たり前のことをやるのは当然でしょう。
そもそも、お金を出してもらいたいときにお金を出す人に説明するというのは、当たり前すぎるほど当たり前の話。21世紀の日本は、高度成長期と違ってお金が湯水のようにあふれているわけではないのだから、当たり前のことをやるのは当然でしょう。
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C
at 2008-05-09 11:47
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米国とかの市民への説明って、ジュラシックパークの映画に協力して、それを見た市民が
「(何だか理論は分からないが、)科学に投資するとスゲーことができそう」
って思わせるレベル。科学博物館も充実している。
日本の様に、第一線の研究者が頻繁に駆り出され、一般市民(不特定多数)への説明せられることはない。一線の研究者は、高額納税者か高額の寄付を行った人にだけ説明していた。一般市民向けは、毎月1回1時間の公開講演会と、バイトのお姉さんが有料(20-30ドル/人)が付きそう研究所見学ツアーだけだった。
言葉は悪いけど、人を選んで説明していた。
「(何だか理論は分からないが、)科学に投資するとスゲーことができそう」
って思わせるレベル。科学博物館も充実している。
日本の様に、第一線の研究者が頻繁に駆り出され、一般市民(不特定多数)への説明せられることはない。一線の研究者は、高額納税者か高額の寄付を行った人にだけ説明していた。一般市民向けは、毎月1回1時間の公開講演会と、バイトのお姉さんが有料(20-30ドル/人)が付きそう研究所見学ツアーだけだった。
言葉は悪いけど、人を選んで説明していた。
by stochinai
| 2008-05-05 23:59
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Comments(7)