5号館を出て

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タンポポ、サッポロカイギュウ、サイエンスカフェ

 タンポポは色もきれいだし、綿毛も美しいですが、あまり愛されていないのがかわいそうです。集団の写真はこちらをご覧下さい。北海道で普通に見られるのは、ヨーロッパからの移入種であるセイヨウタンポポなのでしょうね。

 私はグッと寄ってみました。
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 綿毛になると幾何学模様のようで、これまた美しいです。
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 さらに、一部が飛び出した後は、私のような素人がとっても「絵になる」写真が撮れてしまいます。
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 セイヨウタンポポは3倍体で、単為生殖をするため100%が種子になるそうなので、増えるわjけです。でも、ウサギも大好きですし、もともと野菜として持ち込まれたという説もあるようですので、美味しい食べ方を開発していただくと、少しは愛されるようになるかもしれません。少なくとも、移入種だからといって、撲滅しようという話にはならないのではないでしょうか。

 午後2時からは、CoSTEPが主催するサイエンスカフェ札幌がありました。

 第31回 サイエンスカフェ札幌「君がいなくちゃだめなんだ ~円山動物園と考える生物多様性~」
 サイエンス・カフェ札幌の伝統

 なぜか、紀伊国屋前の会場にはサッポロカイギュウの化石のレプリカがどーんと置かれていました。
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 カフェを意図して置かれたものではないようですが、カフェの雰囲気とぴったり合っているのが不思議でした。
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 カフェのゲストは、円山動物園の飼育員であり、日本放鷹協会認定諏訪流の鷹匠でもある本田直也さんと、酪農学園大学の吉田剛司さん

 本田さんは、動物への愛情はたっぷり感じられるものの、「動物と意志の疎通などない」とクールに言い放ち、だからこそ動物のことを人一倍理解しなければ、彼らを健康に飼育することなどできないと、私としては非常に共感できるスタンスの方でした。希少動物繁殖の名人なのだそうですが、「愛情」だとか「根性」だとかいう言葉ではなく、冷静な理解こそが名人を名人たらしめていることが良くわかりました。とても科学的な方だと感じられましたし、ひょっとすると鷹匠の極意もそのあたりにあるのかもしれません。

 一方、吉田さんは円山動物園と連携してオオワシ復活プロジェクトに立ち上がったところだそうですが、そうした希少動物の復活とともに、移入動物の問題にも取り組んでおられるとのことです。北海道でも、アライグマなどの移入動物による農業被害などが深刻化していると聞きますが、最初に出てきたセイヨウタンポポなどのようにそもそも撲滅することなど不可能であり、しかもそれほど深刻な被害を生んでいないような生き物もたくさんいるのではないかと思いますし、私としては人が持ち込んだそういう生き物とは、適当なところで共存を考えるしかないのかな、と感じました。

 そう言えば、先日ここで取り上げたトノサマガエルのエントリー(北海道でトノサマガエルが繁殖)は、吉田さんのことを扱った記事へのコメントでした。会場からオオモンシロチョウのことが質問されていましたけれども、例外的なものを除くと移入生物のコントロールは人間の能力を越えているような気がしてなりません。

 
Commented by wisdom96 at 2008-05-25 11:49
TBありがとうございます。
先日、捕殺されたアライグマの骨格標本を作り上げ、子どもらと観察。入手の経緯を説明したが・・・一面だけを伝えても、おそらくだめなのだろうなと思いました。
知識として「外来種」という言葉は多くの子ども達は知っているのですが、大人より冷静に考えられているような気もしました。
Commented by takuroshinano at 2008-05-25 12:34
「人が持ち込んだそういう生き物とは、適当なところで共存を考えるしかないのかな」うーん。考えさせられます。本当にそうなのでしょうか。多かれ少なかれ既存の生態系にたいして影響を与える訳ですし(これは農作物も同じですが)、それがどの程度の影響なのかを正確に評価できない状況の中で簡単に認めるのには抵抗があります。GMOも同じ理由で慎重でありたいと思っています(反対と言っている訳ではありませんが)。ところで、ウサギはタンポポの根を食べるのですか?自分の職場ではウサギによる農産物の被害が頻発しています。防鳥網ではなく、防兎網なる代物が実際に存在するそうです。
Commented by stochinai at 2008-05-26 20:12
 タンポポの根を掘ってやれば、おそらくウサギも食べると思いますが、自分で掘ってまで食べるかというと、そんな面倒なことはしないと思います。そうなると、彼らはもっとも食べやすく美味しい栽培野菜を狙うでしょうから、野ウサギは間違いなく人にとっては害獣にななりますが、食べることもできますし、毛皮も使えますので、実益を兼ねて駆除を試みてはいかがでしょうか。オオカミがいなくなったので、彼らを間引いてやる存在がいないとバランスが崩れてしまい、彼らにとっても必ずしも幸福ではないはずです。昔の人にはまちがいなくごちそうだったはずのウサギですから、網で防ぐだけではなく積極的に捕獲しても良いのではないかと、私は思っています。
Commented by あすてろいど at 2008-05-27 12:29 x
takuroshinanoさんと同じく、私も「適当なところでの共存」という甘い味付けの言葉はマズイと…。春になってGMOに関する討論を実施((親和・慎重・反対)。課題は、いま議論すべきテーマは何か?その過程で表面化したのは、共存がテーマになるにはクリアしなければならない課題が多いし、その言葉にも違和感があるというもの。これには伏線が。一つは冬の終りの某学会北海道支部公開フォーラム。これは後で分かったのですが、日本モンサント社が裏で仕切っていた<GMOと共存:スペインの取り組み>の報告会。ある団体に案内を送ったらしく、そこから5人ほど参加。主催者が「あなたたちは何で共存を阻むのか」と一方的メッセージを送ったので、その方達は「共存」をどのようにイメージしただろうかと案じた次第。そのうちの一人(注:GMOを一方的に悪者だと決めつけていない人物)が、春の討論に参加することになっていた。やはり、共存に関し厳しい見解でした。その後、行政の方と「共存」という言葉に対する不信感の存在を確認しあいました。
by stochinai | 2008-05-24 17:55 | 札幌・北海道 | Comments(4)

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