5号館を出て

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大学をどのように整理するか

 今春の入学者数が定員割れとなった私立の4年生大学は、全体の約半数の47.1%だったとあちこちで報道されています。定員の半数割れを起こした大学も29校あったようで、来年は間違いなく5割を越えることになるでしょう。とは言っても平均的に落ち込んでいるわけではなく、地域と大学規模に従って「選別と集中」が起こっています。

 イザ・ニュース
 学生数の規模や地域における人気の格差は拡大している。定員800人以上の大学の総志願者数が約6万7000人増えた一方で、800人未満は約2万8000人減り、大規模な大学に人気が集中する傾向が浮き彫りになった。地域別にみると、定員に占める入学者の割合を示す「定員充足率」が110%を超えたのは東京のみ。北海道、北関東、甲信越、北陸、中国、四国、九州の7地域は100%を割った。
 そんなニュースなどどこ吹く風で、今日は関西の小学生が、サイエンスキャンプin北海道の最終日として研究室を訪問してくれました。

 このプログラムのお手伝いももう4回目となりますが、今回はキャンプの最終日ということもあって、いつものように私の講義と研究室見学以外に、子ども達一人一人にキャンプの総括プレゼンテーションをしてもらうという企画もありましたので、ちょっと忙しく大変だったようですが、子ども達は一所懸命準備をして、がんばってくれました。

 大学の学生実験室で、プレゼンテーションの準備をする子ども達です。
大学をどのように整理するか_c0025115_2182389.jpg
 トイレに行っている子もいましたが、総勢24名。大学で学習する子ども達を見るのは、なかなか新鮮な感覚でした。

 彼らが大学の受験をすることになるのは早くても6年後から8年後になります。その頃には、おそらく国立大学でも定員割れを起こすところが出てくることになっているかもしれません。夏には関西から北海道までサイエンスキャンプに参加できるような小学校生活を送ることができる環境にいるこの子たちは、その頃売り手市場で好きな大学に楽々と進学できるようになっているような気もします。

 その時に、大学は受動的に受験生に選ばれることを待っているだけでは済まなくなっているでしょう。国立大学もいくつか整理統合されているかもしれません。

 たった数年後、この国の高等教育をどうするかという展望をしっかりと持った政策を我々は持っているでしょうか。

 激変はすぐ目の前にまで迫っています。子ども達の未来を考えるとともに、大学の未来も具体的に検討しなければならない時期にきていると思います。
Commented by yamamoto at 2008-08-01 00:44 x
はじめまして。
costepを出て道東のキッズラボでアルバイトをしています。
先日アフリカツメガエルの解剖の実験補助をしましたが、
小学生の好奇心はなかなかすばらしいです(5年生)。
下手な大学生よりも鮮やかな手際。

しかし、低学年のクラスはなかなか大変です。
実験以前にとにかくコントロールがきかない、、、
幼稚園や小学校の先生はこれが大人数で日常なのかと思ったら、
ほんとに頭が下がります。
Commented by 一言 at 2008-08-01 02:17 x
>実験以前にとにかくコントロールがきかない

それは無料にするからでしょう。民間の子ども科学教室並みの受講料を取れば、大変な子も親も少なくなりますよ。なお、ちゃんと商売にしたら、少しはポスドク問題の解決にもなると思います。なんせ「帝国大学の博士が教えてくれる科学教室」ですよ。そのへんの民間の科学教室なんてひとたまりもありません。駅前に1つずつ展開できるでしょう。なお、普段着で参加させるのではなく、マイ白衣とマイゴーグルを購入させるとかの雰囲気作りも重要です。学会風の発表会をさせて、その費用を別途徴収する(バレエスクールのやり方)なんかも導入すべきでしょうね。
なお、これは茶化してるのではなく、まじめな提言です。
Commented by stochinai at 2008-08-01 08:07
 キッズラボはきちんとお金を取っているはずです。でもまあ、低学年は子供ですから、指導する側にはそれなりの訓練が必要だと感じます。

 それはそれとして、一言さんのおっしゃること、私も冗談だとは思いません。これからは、我々もそういう商売を(場合によっては民間と共同で)やるべきだと思っています。しかし、大学は自分でお金を稼ぐことより、国から大きなお金を引き出すことに熱心のようです。まあ、当たればそっちの方がずっと楽ですが、まさに補助金行政そのものです。

 さらに、小学生や中学生への理科教育ほ将来的にとても大きな効果を生むと確信していますが、多くの大学の先生はすぐに「顧客」になりうる高校生以外にはあまり目を向けたがらないという現実があるのです。

 なかなか難しいものです。
by stochinai | 2008-07-31 21:23 | 大学・高等教育 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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