5号館を出て

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無試験大学入学が5割を越えて

 今、ちょっとデータを調べている余裕がないので、記憶だけで書きます。

 もちろん私立も入れての話なのですが、今年度の大学に入学した学生でAOなどでいわゆる学力判定試験を受けずに入学したものが50%を越えたというニュースがあったと思います。

 それを受けて、あせった文科省が「大学生の質」を確保するために、高校卒業認定試験のようなものをやって、それに合格したものだけを大学に入れるようになどということを言い始めたと、どこかで読んだ気がします。

 しかし、時すでに遅しではないでしょうか。

 私大の半分近くが定員割れしている現状で、たとえ難しくなくてもそもそも試験というものをやったら希望者が激減するはずです。

 つぶれることを覚悟でそんなことをする私大はないと思います。

 さすがに、国立大学ではそんなことはないだろうと思われるかもしれませんが、国立大学でも定員を確保するためには、毎年毎年合格ラインの「学力」を下げていることが推測されます。

 そもそも、そんな学力を客観的に判定する手段はありませんので、入学許可は相対的に定員までを満たす上位の点数を獲得した学生に与えられます。

 大学側ではずいぶん前から気が付いているのですが、この方法では年々入学してくる学生のレベルが下がってくるのです。

 外から見ていてもさすがにそれには気が付くのだろうと思います。

 そこで、文科省があせっていろんなことを言い出しているようですが、時すでに遅しです。

 大学院もポスドク1万人計画の破綻で崩壊状態が訪れています。

 大学も無試験合格状態で、崩壊しつつあります。

 日本の教育を壊したのは、日教組ではなく文科省なのですよ。中山さん。

 私は大学と大学院のことしかわかりませんが、小中高も同じようなことが起こっているのだと思います。

 それをやってきたのは、自民党・文部省・文科省なのですよ。中山さん。

 本当に日本の教育を憂いているのならば、日教組なんかほっておいて文科省に切り込んでください。中山さん。
Commented by k at 2008-09-30 10:49 x
私は自分の学力が足りていないと思っている大学生なのです.
ゆとりゆとりと言われ,土曜日に休日ができたり,なんだかんだと教科書の分量が減っていくまっただ中にいました.
たしかに,方針を決めるのは文部省で,それに従った授業がなされたわけですが,私自身,勉強が好きで好きでという訳でなく,むしろ嫌いな方でした.今でもそうかもしれません.
それでも大学に通い,もうすぐ大学院生になろうとしています.
それを考えると,ただ無責任に文科省が悪いとは言い切れません.勉強しなかったのは自分なので...
でも,頻繁に,「(学年が)下の連中はなってない.頭悪いやつばっかり」だとかなんとか言ってる自分もいます.
勝手なもんです.
Commented by 愛読者 at 2008-09-30 13:07 x
一般?には「高大接続テスト」などと呼ばれているようですね。
矢継ぎ早に「場当たり的構想」が立ち上がるほど、現場(今回は高等教育機関でしょうか)は混迷の度合を増すだけだと思います。
大学に求められている「研究」と「教育」の質が下がることへの配慮は無いのでしょうか。まあ多分、無いのでしょうね。
はた迷惑な「前の前の首相の思いつき」の「死に損ない」は、早々に解散していただきたいと思います。
「死に損ない」の頭領が在籍なさっている大学が、「AO入試」を日本に導入したとも言われていますが、どういったことなのでしょうか。不思議で仕方ありません。
Commented by alchemist at 2008-09-30 18:56 x
kさんへ
私も勉強しなかった学生でした。でも、教授を出来ないとバカにしてたし、まあ、若い時代ってのは生意気で良いのではないでしょうか?明日できることは今日すること勿れ・・・で過してても良い時期はあります。でも、必ず明日は来ます。その明日が来て、今日やらなければ明日がないという時に頑張れたら、頑張る元気が残っていたら、まずは合格じゃないでしょうか?
その先?運と能力次第です。
Commented by MusignyBlanc at 2008-09-30 20:00
資源の無い日本ですから、つねに国力を維持するためには、人材が最も大切ですよね。高度成長時代があったのは、団塊の世代に代表される、当時の日本人の勉強と努力があったからではないでしょうか?

ただし、少し豊かになってくると、ガムシャラさも失われてくる。20年前くらいから、日本では、「働きバチだけれども、ウサギ小屋に住んでる」などと自虐的に自分たちのことを語り、欧米のようにもっとゆとりを持つようにしよう、という風潮が増していきました。

もともと、「競争」を嫌う民族性がありますから、それでゆとり教育が推進されて、現在のような状況を招いてしまったんでしょうね。

でも、一番大切なのは、勉強そのものよりも、勉強にしても仕事にしても「やる気」を育てることではないかと思います。
アジアの諸外国の学生さん達と比べると、そのへんが弱くなってきている気がするんですよね。
Commented by bloom at 2008-09-30 20:47 x
今でも国立難関大学に入る学生さんの学力(山の高さ)は昔とそう変わらないと思います。でも山の面積=大学受験者の総人口が減っているのだから、昔なら入れない裾野の学生が目立つだけじゃないでしょうか。

小中学生の受験勉強は過去よりも激烈さを増していますから、彼らの学力はすごいですよ。メンタルには昔より弱いけれど、それは昔ほど高学歴者が尊敬されなくなったためで、彼らのせいだとは思っていません。
Commented by bloom at 2008-09-30 21:00 x
今日おじゃましたのは、動物学会の懇親会での話題に出ていた「大学院生物語」の著者の伊良林先生がブログ「苦労人大学教員の会」を開設したことをお知らせするためです。
http://blogs.yahoo.co.jp/s320909b

ブログ開設より前に私が伺った伊良林先生の苦労話はこちらに掲載されています。
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/57973974.html

本来はゲストブックなどでお知らせすべきですが、上手く見つけられなかったので、こちらに書き込ませて戴きました。
Commented by 論点のずれる国 at 2008-09-30 21:15 x
やる気を育てるの大切との指摘、その通りと思います。テストの点は社会で役に立ちませんが、しっかり学んだ人間は社会で働けます。

卒業証書を渡すまでに学生を育てることができるのなら、AOだろうがくじ引きだろうが良い。問題は、卒業証書を与えることの意味を大学自身が考えていないことでは?

入試をすると人気が落ちますが、試験をしないせいで教育ができず社会からの評価が落ちるのなら誰も行きたがらない大学になります。どうするかは文科省が決めることではなく、大学が自ら決めることです。

stochinaiさんのお考えには、自分が社会から評価される立場である、という視点がないです(他人の批判にはお強いようですが)。北大の卒業生は素晴らしい(人が比較的多い)。それはstochinaiさんたちが学生をしっかり育てているからです。仮にそれが教育効果ではく学生自身の能力だったとしても結果オーライでしょう(そういう学生を引きつける大学をstochinaiさんたちが作っているわけですから)。

それとも文科省が北大は良いと言うから学生が集まるのですか? stochinaiさんは何もしてないわけですか?違いますよね?
Commented by 通りすがり at 2008-10-01 01:04 x
大学入学者のレベルは確実に下がっています。

例えば、センター試験。問題を見たことありますか?私の時代の有名高校の入試の問題集かと思いました。中学生でも解けるレベルの問題が出題されています。かつての共通一次と難易度が全然違います。

また、高校レベルの補講を行う大学が増えています。大学院入試に、高校レベル(大学入試レベル)の問題が出題され、正答率が5割以下だったりします。

これは、マスゴミが推奨し、文部科学省が推進した”ゆとり教育”の絶大なる成果です。そろそろ、ゆとり世代が社会に出始めます。専門職に就いている人は、ゆとり世代の基礎学力のなさを、心底感じると思います。

なお私は大学教員ではありませんので、あしからず。
Commented by MusignyBlanc at 2008-10-01 16:50
私も、センター試験の試験監督をやった時に、問題を一通りみましたが、確かに相当に簡単になっていますね。

でも、 bloomさんの言われるように、一握りのトップレベルの学生さんたちの学力には、大きな変化は無いような気もします。

ただ、トップレベルではない、平均的な学生、一番のヴォリュームゾーンの学生さん達の学力は、「ゆとり教育」と「少子化」の影響によって、確実に低下していると思います。このヴォリュームゾーンの学力が、日本の国力に一番反映されるでしょう。

また、トップレベルと言われる大学の学生さん達であっても、信じられないくらいに日本語を知らないです。頭は良く回転するので、もともと良い頭脳は持っているんですが、基本的な熟語や慣用句を知らない。個々人の問題と思いたいですが、10人いたら8人くらいがそうであるように思えるので、これは小中高でのゆとり教育のせいなんだろうな、と推察しております。

もともと、能力もやる気もあった生徒だったのだろうから、もったいないなあ、という気がしています。
Commented at 2008-10-01 20:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sue at 2008-10-03 18:44 x
kさんへ
(遅ればせながら。。。)

基本的にalchemistさんに賛成という話なのですが、
>>その先?運と能力次第です。

というのはちょっと達観しすぎ?(^^; かなと思って補足します。
言いたいのは、大学院に入ってから努力するのが大事、ということです。修士に上がったところから頑張れば問題はありません。多少勉強ができた人にだって十二分に追いつきます。これは学生を見ていての実感です。

ちなみに私も勉強しない学生でした。しかも大学院に入ってもちっとも順調ではなく、気合が空回りした感じで、ずいぶん時間を無駄にしました。それでも、(多少遠回りはしましたが)間に合ったと思っていますよ。

博士課程に進むと、その後は確かに運と能力次第(つぶやきさんがよく書かれているように、かなり困難な現状)ですが。

Commented by k at 2008-10-03 21:49 x
alchemistさん、sueさん。レスポンスありがとうございます。

stochinaiさんのブログなので、ここでさらに返事をするのはstochinaiさんに申し訳ないのですが、場を提供いただいた、ということでお許しください。
はじめに訂正を。大学生なのです。→です。 ですね。

あと、コメントした時点で、院に進めることは決定していました...しかも困ったことに博士です...

なので、なおさら勉強していないことを後悔しています。もちろん、勉強していない、といっても、自分の状況に見合った勉強量ではないと言う事で、してはいるのですが、底が浅いと言いますか...嫌いというのがあって、身に付いていないし、効率は悪いし、といった所です。

今の状況を例えると、ぬるま湯につかった状態なので、もっと高みを目指したい、視野を広げたい、可能性はないものか、という感じで(これだけではないですが、モチベーションとしてはこんな感じ)進学します。
Commented by k at 2008-10-03 21:50 x

無知の知としては、よしとしていますが、やはり、それで終わっていては無知は無知なので、どう知に向かうか、ですね。 MusignyBlancさんの言っている通り、今の教育では「やる気」が育たないのかも知れません。行動になかなかうつらないのです。

口で言うのは本当に簡単です。
Commented by MusignyBlanc at 2008-10-03 23:29
すみません。横レスです。
kさん。
気がついたとき、思い立ったとき、が旬ではないでしょうか?
日本人は、とかく年齢を気にしますが、いつから初めてもまったく遅いということはないと思います。そういう問題意識を持った、という時点で、すでに半ば成功しているようなものです。

一番大切なのは、「やる気」です。
まだ、博士課程にこれから入るという段階ならば、相当に早いです。

今から思い返せば、私も博士課程の時にもっと努力しておけばよかったなあ。。。。
by stochinai | 2008-09-29 22:34 | 教育 | Comments(14)

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