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ノーベル物理学賞: おめでとうございます

 日本のニュースです。

 [ノーベル物理学賞]益川教授ら日本人3氏に授与
 スウェーデン王立科学アカデミーは7日、08年のノーベル物理学賞を、米シカゴ大の南部陽一郎名誉教授(87)=米国籍▽高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)の小林誠名誉教授(64)▽京都産業大理学部の益川敏英教授(68)の日本人3人に授与すると発表した。素粒子の理論で先駆的な役割を果たしたことが評価された。
 こちらは、外国(AFPフランス)のニュースです。

 Japanese duo, US scientist win Nobel Physics Prize
 Japan's Makoto Kobayashi and Toshihide Maskawa, and Yoichiro Nambu of the United States won the Nobel Physics Prize Tuesday for pioneering work on fundamental particles of matter called quarks.
 片や「日本人3氏」で、片や「日本人2人とアメリカ人科学者」となっています。我々日本人から見ると、3人とも日本人に思えますが、外国では名前ではなく現在の国籍で判断しますから、当然2人の日本人と1人のアメリカ人ということになるのでしょうね。

 日本の文科省はどのように判断するか楽しみです。っていうか、わかってますけど(笑)。
Commented by alchemist at 2008-10-09 16:34
1950年頃の大阪市大理学部物理学、そして坂田先生が御健在の頃の名大理学部物理学というのは日本の大学史上珍しくリベラルな気風の横溢していた研究機関でした。そのことに余り触れられていないのが残念です。
Commented by stochinai at 2008-10-09 21:30
 まあ、それに触れると反体制的な言動などもほじくり返されてしまうので、困るということもあるのかもしれませんね。益川さんが教職員組合で書記長をしていたということなども、ほとんどニュースには取り上げられていないようです。
Commented by ミラグロ at 2008-10-10 19:04
体制反体制というより、セセコマしい「成果主義」とは反対の、おおらかで自由な気風ですよね。政治的に左翼だったり右翼だったりするのはべつにいいと思います。今ノーベル賞で称揚されているのは1970−1980年代の日本の科学ですよね。その後バブルを経て、研究費が増える過程で主流になってしまった、実用重視、数値化できる成果重視の、JSTに代表される底の浅い科学技術観をこの機会に徹底的に潰して、柳田先生のブログにも実名であがっている戦犯ともいうべき方々を叩きださない限り、日本の科学の凋落は近いと思います。
Commented by stochinai at 2008-10-10 22:15
 さすがに柳田さんはスゴイです。私は良くしらなかったのですが、事情を知っている柳田さんが実名で告発しても変わらないようでは、日本の科学行政はやはり、かなり重傷ですね。
Commented by ミラグロ at 2008-10-10 23:02
その方については、いろいろとネット上にも情報がありますね。
ameblo.jp/rainbow777/entry-10130846726.html

JSTの自浄作用に期待したいとこですが。。。
Commented by alchemist at 2008-10-11 12:54
>称揚されているのは1970−1980年代の日本の科学
というよりは、敗戦から1970年代にかけての日本の科学ではないでしょうか?大学紛争(でも闘争でも良いけど)が、政府の直接介入で終わった後の日本の大学は、現在の状況の直系の先祖ではないでしょうか。
Commented by ミラグロ at 2008-10-11 14:12
まあ日本の研究投資の急増の一局面としてみれば、とりあえず役人にも解りやすい学者政治屋が仕切って、末梢研究を増殖させた、ってのは仕方が無い面もあると思います。

ちょうどいい時期に、本当の基礎研究のノーベル賞が続いたんで、日本の研究投資を「量から質」に変換するチャンスかもしれない、と希望したいですね。

まあ物事はバランスです。日本のノーベル長老集団を考えた場合、ノヨリ先生が筆頭コンスルと言う現状が、マスカワ先生に置き換わるなら、当面悪くないかもしれません。だれかがマスカワ先生の時代離れした「ゆとり教育風味」発言をきちんと押さええて振り付けできたら、の話ですが。

なおここに出てきた人名は仮称であり、実在の人物、状況とは無関係。。。
Commented by M at 2008-10-11 17:08
それでもY田さんとその弟子たちは、CRESTで随分潤ってた筈ですが、、。何度も貰ってる人もいるし。もうそろそろ、「良く知られた生物現象を細かく調べる堅い基礎研究」に大金をやらんで欲しいですね。
Commented by ミラグロ at 2008-10-11 23:34
やはりそうなんですか。ま、つらがまえみりゃそうかとも思えますね。。お役人とお仲間の本郷の政治家教授がきちんとしたピアレヴューなしにデタラメに運用してるJSTは廃止する。科研に合流させ、科研のベーシックなの(C)を年間1000万x5年とかの「使える」額にする、とかそういう普通っぽい制度が良いんでしょうね。
Commented by M at 2008-10-12 10:51
年間1億もらう人が8千万になっても大した違いじゃないですが、科研Cの年間150万が当たらないとゼロ、本当に研究がストップしてしまいます。実験動物系統の維持すらできない。それの採択率が20%じゃあ苦しい。本郷に限らず、全国の主要な研究者が同人雑誌の様に順番に高額研究費を廻し合っているのが実態です。JSTのレビューもいろいろで、コネが強いと感じるときもありますし、結構良い人を発掘してるときもあります。まあ、公平な目利きがいれば良いシステムではあります。

現実的にはもっと共通実験機器を充実させて、少ない研究費でも皆が高度な実験をできるようにして欲しいですね。現状はビッグラボ各々が高額機器をダブって保持していますから。ここにも研究費の無駄があります。
Commented by Musignyblanc at 2008-10-12 15:22
>共通実験機器を充実させて、少ない研究費でも皆が高度な実験をできるようにして欲しいですね。

まったく同感です。
そうすれば、小額でもかなりの高度研究ができますし、日本の研究費全体で見れば、相当な節約ができます。
逆に言えば、研究費を配る研究者の数を増やすこともできます。
ビッグラボでは、ほとんど使っていない死んでいる高額研究機器がゴロゴロ転がっていますからね。
Commented by ひとこと at 2008-10-13 05:29
柳田先生のブログでJSTをご批判されているが、自分自身もJSTのCRESTOを随分取ってきたのではないかと思う。

最近のJSTは本当に公募になって、かつてのようにコネで取れなくなったからゴネテいるだけにも見える。老醜ではないか。

下村先生は個人的にも存じ上げているが、柳田先生とは全く違うタイプである。
Commented by 元研究員 at 2008-10-13 10:54
かつてさる大きな研究所の資金のない研究室におりました。で、よその研究室でほとんど眠っている高額研究機器を使わせてもらおうと思うと、いやがられます。下手にいじられて調子がおかしくなったら困るし、第一、自分の研究の手を休めて人の世話をする余裕はないというわけです。また、「共通機器」と称する物も、実質的には管理する研究室があって、ほとんど同じ状況。研究室に属しない支援要員が割り当てられているごく一部の装置だけが、本当に「共通実験機器」でした。
 要するに、支援要員の給料まで用意しないと「共通実験機器」なんてものは役に立たないけど、昨今は日本の研究現場では夢物語。また、専門の研究者でないと使いこなせない装置も多いです。
 それよりも、研究者間の中古市場の方が役に立つのでは?
今は、使わない備品は「廃棄」か「移管」しかないけれど、研究者間の有償譲渡」が許されれば、死蔵品が出てきやすいのでは?
Commented by 力のない応援団 at 2008-10-13 13:35
年度初めに研究補助者に払うお金、stochinai先生はどう処理していますか。
「研究補助者を雇う代わりに大学院生にやらせているから私には関係ない」
「苦労している」
のどちらかだと思いますが、科研費が交付されるまでの期間かなり面倒なことがおこるはずです。
物品なら購入を先送りできても、人を雇っておいてお給料を先送りすることはできませんから、皆さん苦労されているのではないでしょうか。
こういう話が積み重なって、
>支援要員の給料まで用意しないと・・役に立たない
に繋がっています。

先生たち、自分のこととなると鼻息荒く問題を取りあげられますし、被害者ぶって綺麗なことをおっしゃりますが、研究を支える人たちのこととなった瞬間に、人を人としてきちんと扱っていないようなことはないか振り返ってみてください。
先生がたはよく行政がどうだ国がどうだとおっしゃりますが、個別個別の研究室や研究機関でみると、先生たちは搾取する側です。蟹工船的な話をすると。
先生たちの熱い思いが大きな流れにならないのは、先生たちが批判している政治や国と同じように、先生たちもまた同じ穴のむじなで無責任なことをやっていることが見て取れて白けるからです。
Commented by alchemist at 2008-10-13 14:44
法人化以前ですが、年度替わりの時期のサラリーは研究者代表者が立て替え払いをするように、という指導が大学からありました。立て替える費用が準備できない場合は個人の責任で銀行から借りるようにということでした。ですから、そういう点では研究補助者に迷惑は掛けていないハズですが・・・。
もう少し前、科研費の交付が秋にずれ込んでいた頃は、国外との共同研究で夏に滞在する場合の旅費等も研究代表者の立て替え払いでしたが。
こういうことになっているのは、科研費の制度が国の補助金法に基づいているためだそうで、補助金法にもとづかず、例えばNIH grantのように、交付期間の5年間は途切れずに予算を使えるというシステムを作るのは難しい、と文部省で担当していたヒトから説明を受けたことがあります。(なぜ出来ないかの制度的説明は、実は難しくて余り理解できませんでしたが)。
Commented by ミラグロ at 2008-10-13 14:47
柳田先生もクレストをもらっていて、その後方針の変化でもらえなくなったと言うのは、多分事実でしょう。たしか、この前中村ケイコ先生でしたっけ、彼女ももらえなくなってから批判されておられましたね。しかし問題はそういう事ではなく、「トップダウン」として科研費では出来ない「機動的な重点投資」としてうまれたJSTが、ビジョンでなくて行政的立ち周りに優れた人々によって、機動的でもない凡庸な研究へのばらまき、一種のいい加減な公共事業に成り下がりつつある現状だと思います。それだともう科研費と別建てする意味が余り無い、どころか、審査がいい加減でお仲間のなあなあによりなりやすい分、有害だという事ではないでしょうか。
Commented by 元研究員 at 2008-10-13 19:49
「力のない応援団」さんは私の意図をとりちがえているようです。私の書いた「支援要員」というのは補助金による研究支援者のことではなく、個別研究課題と関係なく研究機関が雇っている、たとえば、ガラス工作職人のような支援技術者を指しています。このような職人は定年になると補充されませんし、高価な分析機器を共通実験機器として導入しても、補助金のついた研究テーマに拘束されないオペレータとなる技術者を研究機関が確保しておくことも難しい。
 補助金による研究支援要員の不安定な身分は、また別の問題です。もちろん、まったく無関係ではありませんが。
by stochinai | 2008-10-07 21:36 | 科学一般 | Comments(17)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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