5号館を出て

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タミフルが効かないインフルエンザにどう対処するか

 抗生物質耐性菌の話は有名になり認識も広まっていますので抗生物質の不必要な使用や、菌に対する対処方などもいろいろと工夫されているので、不必要に恐れることはないと思うのですが、開発されてからそれほど時間のたっていないタミフルに耐性のあるインフルエンザウイルスが増えているという話は、なんとも不気味です。

 今までは、外国の話だと思っていたのですが、世界一のタミフル使用実績だと言われている我が国に耐性ウイルスが登場するのは、インフルエンザウイルスの進化速度を考えると意外なことではないと思われます。

 治療薬タミフル効かない 今冬の拡大警戒
 耐性インフルエンザウイルスが昨冬、鳥取県で突出
 治療薬「タミフル」が効かないインフルエンザウイルスが昨冬、鳥取県で30%以上という高頻度で見つかっていることが20日、国立感染症研究所の緊急調査で判明した。

 同研究所では昨冬、欧州を中心に耐性ウイルスが急速に広まっているため緊急調査を実施。全国の地方衛生研究所から送られてきたソ連型ウイルス(H1N1)1544株について、耐性株かどうかを調べた。

 その結果、全体では2・8%にあたる44株が耐性株だったが、鳥取県だけは68株のうち22株(32%)と、耐性ウイルスの割合が特に高かった。隣接している島根県(1・2%)や兵庫県(7・5%)では1割以下だった。

 タミフル耐性ウイルスは昨年11月以降、欧州を中心に世界中に流行が拡大。ノルウェーの67%をはじめ、欧州諸国全体で20%以上を占め、南アフリカなどではソ連型ウイルスのほぼすべてが耐性ウイルスになっている。
 「今後、ソ連型ウイルスが流行した際には、タミフル投与が必ずしも有効な治療でなくなる可能性もある」ということですから、タミフルにたよらずにインフルエンザに対処する作戦を立てておく必要があると思います。

 インフルエンザは対処を誤ると、普通の風邪と違って重篤な症状になるので恐ろしいこともあるのですが、ある程度症状を抑え込んで時間稼ぎをすれば、我々の身体にある免疫システムが発動してきます。

 インフルエンザに限らず、感染症(伝染病)一般に言えることですが、一番最初にすべきことが人から人への感染を防ぐということです。ですから、インフルエンザになったと思ったら、他人にうつさないために、まず外出を控えることが社会的義務だと思います。無理をしなくてすむように、会社・学校そして社会全体が協力できる体制があれば良いのですが・・・。

 もちろん、人からからインフルエンザ・ウイルスをもらわないように、手洗いやうがいを頻繁に行うことが推奨されます。また、複数の人が出入りする場所では、ドアノブや電話、共通でさわる道具や機器の消毒(塩素やアルコール)を励行したいものです。

 人から人への感染が阻止されると、病原体はその毒性が下がるように進化するという説もあるようですから、人間社会全体としてみると、感染の遮断は薬で治療するよりもはるかに効果的な作戦になると思います。

 感染症に対処する人間の英知こそ「科学」なのだと思います。とりあえず、病原体に対しては(思想信条を越えて)人間として団結しましょう。
Commented by blue at 2008-10-22 21:48 x
日本はタミフル使い過ぎでしょうね。抗菌薬、そして抗ウイルス薬は、安易に使い過ぎると耐性ができるのは常識ですから、なんとも言えませんね。
by stochinai | 2008-10-21 22:44 | 医療・健康 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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