5号館を出て

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2004年 12月 10日 ( 1 )

 どちらかというと、わいせつ先生、過去最多155人というニュースがおもしろおかしく報道されているようですが、同時にもっと深刻な発表があったことはあまり報道されていないのが残念です。精神疾患で休職の教員、最多の3千人超も同じ文科省の調査です。

 ただ読売はわいせつ先生が155人と報道していますが、他のほとんどの社は196人となっているのは、何の差なのでしょう。また、例によって多くの社は共同通信などによる売記事で、読売などの大手は自前で書いていることによる差なのでしょうか。

 それはともあれ、精神性疾患のため昨年度に病気休職した全国の公立学校教員が3194人という数字は深刻です。去年よりも507人増えて、10年前の1188人から見ると、2.7倍というとんでもない数字になっています。教員約290人に1人の割合なのだそうです。

 まあ、不登校の児童生徒の数の10数万人に比べると少なく思えなくもないですが、児童生徒の場合は100人に1人くらい、先生は300人に1人くらいというふうに考えると、生徒に負けず劣らず悩み苦しんでいる先生の姿が見えてくるような気がします。

 まあ、明らかに犯罪ですから情状の余地はないのですが、セクハラや体罰も同じように苦しんで追いつめられた先生の、ゆがんだ反応の仕方と見えなくもないと思います。

 これだけ大規模に精神的な病人を出しているということは、その職場の管理者である文科省に責任がないということはできないでしょう。もちろん、民間会社でも同じように、あるいはそれ以上に精神性の疾患を出しているところもあるかもしれませんが、警視庁発表の自殺者の統計を見ると、この10年で急増してはいるものの増加率は1.7倍くらいですから、2.7倍という数字は、教育現場の荒み方のスピードが一般社会よりもはるかに速いことを示していると言って良いのかもしれません。

 教育の現場を陰鬱なものにしてしまっている理由はたくさんあるでしょうが、最大の被害者は間違いなく子ども達です。

 つい数日前に出たOECDの学力調査の結果を見て、先生を締め上げようという意見もあちこちから出ていたように思います。優秀でやる気のある先生が増えさえすれば子ども達の学力が上がると考えて、大学院を出ることを教員免許取得の条件にしたり、数年ごとに免許更新の試験をしたり、というようなアイディアも聞いたことがあります。

 しかし、それが本当に正しい処方箋なのでしょうか。

 私は、先生達が働く職場として学校が明るく楽しく魅力あるものにすることこそが、最初にしなければならないことにように思えてなりません。もちろん、その前提として子ども達にも明るく楽しく魅力あるものにならなければならないのですが、その二つは両立することだと思います。

 今、政府や文科省が考えていることは、優秀な先生を確保して、その人達にすべてを任せてしまって、後は頼むよ、というようなことだと思います。

 しかし、教育などという時間がかかり、効率の悪い作業を誰か優秀な人間に丸投げしようなどという発想そのものがすでに間違っていると思います。

 先生1人にまかせず、教員がお互いに助け合い、学校も教員をサポートし、さらに父兄をはじめとする地域の住民がみんなで学校での教育に参加し、協力できる体制が必要なのだと思います。

 スーパー・ティーチャーとか、大学院を出た小学校教師とかいう頭でっかちの個人に解決を委ねるのではなく、多くの人が協力して作り上げる楽しい学校を再建しない限り、病める教員も減らないでしょうし、子ども達の学力も回復することはないと思います。
by stochinai | 2004-12-10 00:00 | 教育 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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