5号館を出て

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2004年 12月 26日 ( 2 )

臨時革命政府樹立

 久しぶりに勇ましい言葉を聞いた気がします。読売オンラインの記事ですがウクライナ野党陣営、臨時革命政府樹立を宣言だそうです。

 ただし、他のメディアがあまりこのニュースに対して追随してこないところを見ると、ひょっとして読売の勇み足なのかもしれません。読売でも、午後2時前にこのニュースを出してから以降のニュースでは、臨時革命政府という言葉は使っていないようです。

 しかし、いずれにせよ今回の大統領選挙を巡って、選挙で「破れた」とされる野党側の市民が直接行動に出たことは間違いなく、現時点で軍事的な衝突は起こっていないものの、政権の引き渡しを要求してデモ隊が大統領府や政府機関を包囲している模様です。

 朝日コムはキエフ騒然 ウクライナ野党勢力、大統領府を包囲で、毎日でもウクライナ:抗議集会に警察署員 政権弱体化あらわにと書いていて、警察署員や放送局が続々と民衆側の支持にまわっていることが伝わってきます。武器を持っている警察や軍隊が、支持を失いつつある旧政府側から離れてくれるならば、うまくいくでしょう。

 この先、軍隊が出てくるようなことになると最悪の事態も予想されないわけではありませんが、なんとかこれが無血革命の成功に向かって欲しいものです。

 あちこち見てみると、産経ウェブに載っている共同通信の記事配布では野党、臨時政権樹立を宣言 ウクライナ分裂の危機 とありますが、その中にある野党救国委員会の布告の中には、「ウクライナの『国民による権力の復活』(臨時政権樹立)を宣言する」と書いてあるので、「臨時革命政府」というのは日本のマスコミが勝手に作った宣伝文句だという気もしてきました。

 グーグルニュースによると、現時点で最新のニュースは河北新報の中枢施設の封鎖開始 ウクライナ野党勢力で、その中では「衝突などの混乱は起きていない」と書かれています。

 いずれにせよ、不正選挙の結果を国民の力でひっくり返すことができるのならば、間違いなく市民革命と呼べるものだと思います。何とか流血なしに成功して欲しいものです。

 ロシアのプーチン大統領は、早々に「新大統領」を承認してしまったというニュースが出ていたと思いますが、昨日のニュースではアメリカのパウエル国務長官が「この結果を認められない」との声明を発表したことが伝えられています。

 うちの政府関係者は、例によって慎重に様子をうかがっているようですが、参院イラク復興支援特別委員会では、首相がイラク派遣を延長する考えを事実上表明した、というところが国際問題に対する政府の動きです。

 アメリカが、市民を支持する姿勢を見せているので、そちら寄りの声明が出てくる可能性は高いと思いますが、まわりの様子を見ながらではなく、スピーディに世界のリーダーシップを取るようなフットワークの良い外交を期待したいものです。
by stochinai | 2004-12-26 17:21 | つぶやき | Comments(0)

ボランティア非常勤講師

 情けない話があります。ボランティアに頼る元国立大学というblog記事です。「とある国立大の非常勤講師をしている」方が、元同級生の教授に「講師料も交通費も出せないけどやってくれるか?」と非常勤講師の「継続」を依頼されたというのです。

 書いている方は、元同級生というよしみもあるのでしょう。「どうせその大学図書館にはちょくちょく行く」のでOKだと答えたのだそうです。しかし、引き受けては見たものの、いろいろと考えたことが書いてあります。私もいろいろと考えさせられました。

 まず、非常勤講師が必要な現状というものを考えると、大学がきちんとした講義をできるメンバーをそろえていないと言うことを意味することになります。国立大学の時から、どこの大学でも非常勤講師を必要としていましたから、完全な講義をできる組織にしなかったということは、設置責任者である国の責任が問われると思います。

 しかし、完全な講義をする責任を完遂できないので非常勤講師を雇ってそれを補うということなら、責任を果たしていることになりますから、それはそれでちゃんとした責任の取り方だったと思われます。

 私の勤務する大学でも、たくさんの非常勤講師がいて、そのすべてにそれなりの金銭的給与が支払われていました。学内でも、全学教育を除くと学部間においても有料の非常勤講師制度がありました。私も医学部の非常勤講師などをやった経験がありますが、初年度は時給が5~6000円だったものが、数年後には3000円程度になり、最後の数年は完全に無給のボランティア制度になってしまっており、とうとう制度そのものが維持できなくなったのか、もう頼まれなくなってしまいました。頼まれる方としても、講師料も交通費も出せないけどお願いしますと言われた場合、よほどのことがないと応じる気分にならないものです。金が欲しいと言うより、尊重されていないという感情的な嫌悪感が大きいように思いました。

 そのような経緯で無くなってきた学内非常勤の次は、予算がないという理由で学外非常勤を削減することが全国の元国立大学・現国立大学法人で起こっていると聞きます。いきなり、全廃することなどとてもできないところでも、徐々に人数を減らすとともに給与も減らされているようです。北海道大学でも、来年度から非常勤講師給与が一律(いままでは、年齢や学歴・職歴などに応じてランクがありました)5500円にダウンされることになっています。

 こうなってくると、要するに非常勤講師をなくするという方向に動いていると見ることができると思いますが、もともと大学の講義を補うために必要とされていた非常勤講師が必要なくなるということは、大学の常勤メンバーが充実してきたか、あるいは教育の質を落とすことに決めたということでしょう。大学の教員数が増えているという話は聞きませんので、大学では教育の質を落としてもやむを得ないと決断したということだと思います。

 そういうことを踏まえた上で上の話を考えてみると、このボランティア非常勤講師を頼んだ方は、お金はないけれども教育の質を落としたくないと考えたのだと思います。頼まれた方は、元同級生の頼みだし、どうせ時々その大学の図書館を利用させてもらうんだし、そのついでに簡単な講義くらいやってやってもいいかということなのだと思います。

 二人とも善意をやり取りしているし、結果的に学生達も利益を被ることになるので、八方幸せでめでたしめでたしなのか、というと決してそうはならないと思います。

 たとえ善意の無償奉仕と言えども、それによって多くの人の雇用の機会を奪っていることになります。全国でたくさんのボランティア非常勤講師が出現すると、大量の失業者が生まれることになります。特に、教育分野に職を求めようという若者にとって、学歴とキャリアのつなぎとしての非常勤講師という職種は非常に重要な役割を持っていたことを考えると、それらの人々に壊滅的なダメージを与えることになるでしょう。

 非常勤講師というものひとつをとっても、これだけいろいろな問題があるのです。単純に予算がないので、もっとも切りやすいところを切るなどということを続けていると、気がついてみると日本の高等教育はその地盤からガタガタになってしまうと思います。(もうすでに十分ダメになっているので後は同じ、という議論はここではしないことにします。)

 法人化された国立大学は、予算だけで国からコントロールされるようになりましたが、このやり方は責任は各大学が持ち、文科省が予算を楯にして責任を各大学に問うというシステムになったことを意味しています。このことにより、いままで以上に文科省が大学に強い指導を出来るようになりました。非常勤講師の削減はその典型的な例の一つで、恐ろしいほどに歩調をそろえて全国の大学が一斉に削減へと走り出しています。

 文科省としては笑いが止まらないでしょうね。
by stochinai | 2004-12-26 00:00 | 教育 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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