5号館を出て

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2005年 01月 07日 ( 1 )

学力低下と愛国心

 あまりにもアホらしいのでほったらかしておこうと思ったのですが、天下の読売新聞の社説に問題があるのに指摘しないというのも、国民の義務放棄という気がしますので、書きます。というより、だんだんと腹が立ってきたというのが本音です。

 1月5日付・読売社説です。「[『戦後』を超えて]「『ゆとり教育』の“呪縛”断ち切れ…基本法に新たな針路」」というタイトルのものですが、完全に論理が破綻していると思います。

 まず、全体のロジックですが、学力低下がはっきりしたというのが起承転結の起です。そして結となる、その対処法が教育基本法の改正で、特に「愛国心」を「教育の目標」に書くと、学力低下(や学校の「荒れ」、少年非行:これは前を承けずにいきなり出てくる)に、「じわじわと効能が表れる」のだと主張しています。

 学力低下問題を入り口にしながら、その解決策に愛国心の育成を持ってくるなどという論理展開は、オカルト以外のなにものでもないと思います。

 まあ、気持ちはわからないでもないです。教育関係の問題ならば、出発点はなんでも良かったのでしょう。それが今は、たまたま学力低下の問題が大きな話題になっているので、自分が普段から主張したかった教育基本法の改正に結びつけたかっただけなのだと思います。

 論理のねじ曲げ方、をもう少し見てみましょう。

 「学力低下がはっきりした → ゆとり教育は間違いだった → 文科省が反省して、改善を図ろうとしている」と、ここまでは問題はないと思います。しかしそこでいきなり、学力向上などはどうでも良くて「今必要なのは、戦後六十年で教育が失ったものを取り戻すべく、まず「ゆとり教育」の四半世紀と決別することである」と高々と宣言してしまうのです。

 戦後60年で失ったものは愛国心だというのでしょうが、学力が低下したので国を愛する心を植え付けなければならないなどという「論理」は、足に泥が付いたので顔を洗いましょう、と言っているのと同じようなトンチンカンだと思います。著者の方の日本語および論理の学力が、低下しています。子ども達を責められません。

 問題はこのようにきちんとものごとを論理立てて展開することのできない人が、日本の知性を代表すると考えられる新聞社の中枢におられるというこの状況のほうだと思います。そして、それが印刷されてしまうことをチェックできない新聞社の体制も大問題だと思います。

 自分の主張したい愛国心教育を、学力低下問題から導入するなどという姑息な手段をおとりにならずに、なぜ国を愛することが大事なのかを素直に主張なさればよろしいかと思います。ストレートに主張して人を説得することができないのであれば、社説などはお書きにならないほうがよろしいと思われます。
by stochinai | 2005-01-07 23:47 | 教育 | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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