5号館を出て

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2005年 06月 13日 ( 1 )

DNAデータベース

 ひさしぶりに「札幌から  ニュースの現場で考えること」にトラックバックします。

 警察のDNAデータベースと優性思想というエントリーで、警察が着々と蓄積しつつあるデータベースで、事件に外国人が関係しているかどうかを推定できる生体指標を探す研究をしていると書いています。

 やっているのは、先日横田めぐみさんDNA判定事件で話題になった科学警察研究所(科警研、千葉県柏市)で、「現場に残された血痕などから関係者の民族を識別する研究は、犯罪捜査の大きな支援になる」との考えのようです。

 確かに民族ごとに、遺伝子の特徴的パターンが知られていますので、DNAサンプルから民族などを推定するということは理論的には可能です。しかし、そのために必要となるデータベースは警察が日本の犯罪との関連で集めたものだけではとうてい足りません。そのためには、国際的なデータを総合する必要があることと、たとえデータが揃ったとしてもあくまでも「推定」しかできませんので、そのことと「社会ダーウィニズム」的な優生思想を結びつけることにはちょっと飛躍があると思いました。さらにいうなら、本気で国際的にそんなデータベースを作ろうとしたら、国際社会から総スカンを食うでしょう。

 ただしDNAデータベースはその精度の高さとサンプルがほんの少しで良いことから、将来的には入国した外国人全ての遺伝子サンプルを集めるなどということになる可能性もあり、そちらのほうがよほどひどい人権侵害になりそうな気がします。現場に残された、血液一滴、髪の毛一本、フケ少々、時には指紋などから完全に個人が特定できてしまいます。

 可能性としてですが、現在でも指紋を押捺してもらうと、そこからでさえDNAを採取できると思いますので、それを使ってDNAデータベースを作るとなると、指紋押捺の必要な外国人に関しては全員のDNAデータ総登録が簡単にできてしまうはずです。やっているかどうかはしりませんが、理論的に可能だということです。おそらく、採取実験はしているでしょう。

 さらに、今の日本では基本的にすべての赤ちゃんが病院で生まれており、新生児は必ず血液検査をしますから、そこからほんの一滴のサンプルを流用するだけで全国民のDNAデータベースが簡単に作れてしまいます。そうなると、犯罪捜査はきわめて容易になりますから、警察という組織が考えることですので、ゆくゆくはそういうことを狙っているのは容易に想像がつきます。

 今の時代の遺伝子テクノロジーと情報テクノロジー(が合体することで、明日からでも実現できるこうした制度の運用可能性について、国民ひとり一人がどうすべきなのか、どうすべきでないのかという議論に参加していかなければ、プライバシーなどというものは存在しない国ができあがります。
by stochinai | 2005-06-13 19:34 | つぶやき | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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