5号館を出て

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2006年 01月 03日 ( 1 )

年頭にあたって

 年末にはその一年を振り返り、年頭にはこの一年の豊富を語るのが、新聞やテレビ・ラジオなどのマスコミの年末年始の恒例になっているのですが、毎日のようにエントリーを立てるブログの世界においてもなんとはなしにそういうことを書きたくなるのが、年末年始というもののようです。

 私も人並みに年の終わりには一年を振り返り、年が明けたら何か気の利いた未来像でも描いてみようかなと思ったりします。しかし、年末には落ち着いて一年を振り返ることもできませんでしたし、明日から通常の仕事が始まる今になってみると、ゆったりと未来予想図を描く余裕があるわけでもありません。さりとて、ブログ空間で遊ぶことを許されて1年間、日本のブログ界においてもその創世記である2005年を終えて、間違いなく質的な飛躍が予想される2006年を迎えて、なにも書かないというのも落ち着きません。

 というわけで2006年というたった1年短い未来のことではなく、私の周辺がこの先どうなるのか、またどうなって欲しいのかということなどを徒然に書きつづってみたいと思います。

 小泉独裁政権下の今の日本では、一握りの大成功組を除くと、大多数の人にとっては取りあえず明るい未来は望めないと思います。たとえこの秋に、小泉さんの自民党総裁の任期が切れたとしても(それすら怪しいかもしれませんが)、その先に大きく変わることはないと思われます。自民党だけではなく民主党も含めて、小泉方式の愚民政治のすごさを知ってしまった政治家達は、もはや旧来の愚直な政策へと戻ることは当面はないでしょう。国民の方でも、政治が自分たちの生活に直結したものであるという実感を持たないまま、エンターテインメントとしての選挙ゴッコの時だけ一時的に遊びに参加する「サイレントマジョリティ」によってもてあそばれるだけの存在になってしまいそうです。国民全員が平等に一票を持つというシステムが悪い方に動くとこうなるという見本のようなこの状況は、しばらく変わらないと思います。

 法人化して3年目に入る国立大学をはじめとする大学の未来も同様に暗いものだと思います。毎年のように運営交付金が減らされ、大学を受験する学生の数がどんどん減っていって、大学さえ選ばなければ希望者全員が入学できるようになっていきいますから、大学はかなり抜本的に変わらなければ共倒れするしかない段階に入ってきています。それにもかかわらず、国立大学が積極的にやろうとしていることは未だに肥大化しながら大学院やその上に位置する研究院の改革なのです。私の考えでは、今大学がやらなければならないもっとも大事なことは、学部と大学院修士課程の教育改革なのにもかかわらず、その点に関しては相変わらず省力化・効率化(つまり手抜き)をしようとしているように見えてなりません。

 大学の改革をしようとするならば、まず必要なのは大学教員・研究者の再生産ではなく、大学から社会へ巣立つ大学卒業生および大学院修士卒業生の品質管理の徹底だと思います。同時に大学院博士課程以降へと進学する学生定員の削減が必要です。今、行われている大学院・およびその上に作ろうとしている研究院改革でも、相変わらず博士課程定員の増員を大学側に要求する文科省の指導方針を見ていると、この「改革」では今ある大学院の傷口を広げることにしかならないように思えてなりません。もちろん大学側もそれに反対しているわけではありませんから共犯です。

 大学が適切に学生や大学院生を教育し、その未来に責任を持てないという現状には、私も含めた大学人にもその責任あることは間違いありませんが、それはさておき今このような大学や大学院にいる学生は、(このような日本にいるすべての市民と同じように)もはや制度や公的支援に期待することはできないことを肝に銘じるべきでしょう。

 国が「自分のことは自分で責任を持て」という方針を政策を打ち出している以上、我々も「自助」を前提に人生を組み立てることが要求されていると覚悟すべきです。年金や保険が信頼できないならば、老齢化や病気に備えて、健康に気を遣ったり、貯蓄をしたり、共同生活する仲間を見つけたり、NPOを作ったりしていくことも必要かもしれません。

 大学にしても、文科省にお願いするという従来の方針から自助へ、場合によっては民営化の道を模索し始めることが必要な段階に来ているという認識を持たない限り、じりじりと崩壊していくことを止めることはできないような気がします。

 個人も組織も、税金をあてにして税金配分省庁の動向にだけ気を遣う姿勢から抜け出さなければもうダメなのです。
by stochinai | 2006-01-03 23:17 | つぶやき | Comments(7)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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