5号館を出て

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2006年 01月 23日 ( 1 )

 ポスターがなかなかいいんです。縮小してしまったのでもとの雰囲気がちょっと損なわれているのですが、この色合いはいかにもイギリスっぽくて気に入りました。さすが、CoSTEPの看板デザイナーの作品です。
サイエンスコミュニケーション・ワークショップ in Sapporo_c0025115_22213550.jpg

 何にもお手伝いできないでいて心苦しかったのですが、枯れ木も山のにぎわいで一人でも多い方がいいかも、ということで「サイエンスコミュニケーション・ワークショップ in Sapporo ―イギリスと日本の現状と展望―」の1日目のワークショップを聞いてきました。(参加ではなく、聞いてきたというところが、いかにも「お客さん」の態度ですね。すみません。)

 今日はトム・シェークスピアさんと渡部麻衣子さんの講演を中心にしたワークショップでした。

 プログラムではトムさんの演題は「市民法廷とOrdinary Ethicsプロジェクト」でしたが、実際に話されたものは「Methods of science engagement: the Newcastle esperience 1999-2006」となっていて、彼が実践しているプロジェクトの報告が主なないようでした。

 印象に残ったのは、大学院のマスターコースだけではなく専門家として働いている人達に、教育しつづける「生涯教育」のプログラムのことと、アートと科学の融合についてです。アートの「曖昧さ」と科学の「厳密性」をどういうふうに調和させて融合するんだろうと疑問に思っていたところ、質問する前に彼は「アーチストは科学を非常に批判的に見てくれる良い友達だ」という説明をしてくれました。

 知ったかぶりの半専門家よりも、シリアスなアーチストの方が我々の科学を冷静に批判してくれるかもしれないというイメージはとても新鮮で、意外な説得力を感じました。

 続いてはNPO法人市民科学研究室の渡部さんからの、活動報告です。こちらもポスターでは「市民科学とかかわる」となっていますが、本日の演題は「市民科学研究室の活動」です。

 私はこの市民科学研究室については、ほとんど無知だったのですが、驚くほど多彩な活動を精力的に進めておられる団体だということがわかりました。

 すごいところは、とりあえず自分たちで研究を始めてしまっているところです。もちろん、理系出身者や現役の大学院生もいてある意味で「専門家」もいると言えないこともない人もいるのですが、その幅広いテーマ設定から基本的には素人が素手で研究を始めているようにも思えました。

 彼らのキーワードは「リビング・サイエンス」です。リビング・サイエンスとは「生活者の視点に立った科学知の編集と実践的活用」というふうに難しく説明されていましたが、要するに生活する我々にとって科学技術とは何なのかと考え直そうということのようです。

 そこで打ち出されている科学技術は、以下のように定義されるようです。
生活の必要としての科学技術
生活をより良くする手段としての科学技術
生活への驚異としての科学技術
生活の中の楽しみとしての科学技術

 科学技術と生活を結びつけると、ついつい最初の3つのような視点になりがちだと思うのですが「楽しみとしての科学技術」があることで、私は彼らを信頼できる気分になりました。科学者には研究そのものが楽しみでやっている人が多いものです。彼らが科学は楽しみになることもあると言うことで、科学者との敷居が一気に低くなるような記がしました。

 トムさんと渡部さんの主張の根底にあるものは、市民と科学者が自由に批判もしあえる「良い友達」になることだと感じました。

 イギリスも日本も科学技術コミュニケーターは「行けてる」と思いました。

 明日は、イギリスと日本各地のサイエンスカフェからの報告があります。行かなきゃ。
by stochinai | 2006-01-23 22:49 | CoSTEP | Comments(3)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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