5号館を出て

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2006年 06月 16日 ( 1 )

 一ヶ月ほど前に、参院の超党派議員でつくる「自殺防止対策を考える議員有志の会」が議員立法で「自殺防止対策基本法案(仮称)」の成立を目指すという記事があり、初会合の席で自殺対策に取り組むNPOなど全国22団体が対策の法制化を求める要望書を提出したと書いてありました。

 その時にも、法律で自殺を防止するという発想にとてもついていけないものを感じていたのですが、なんとわずか一ヶ月足らずで、自殺対策を国や自治体などの責務とした「自殺対策基本法」が15日の衆院本会議で可決、成立してしまいました。

 確かに、この国は、8年も続けて自殺者が3万人を越えるという異常な国であることは間違いないのですが、それを法律で防止できると考えるところに大きな違和感を感じるというのは私がおかしいのでしょうか。

 最初に「自殺防止法」みたいな話を聞いたときに、「自殺をしたら死刑にするぞ」というブラック・ユーモアが頭をよぎったのです。

 自殺をする人の多くは、もはやこの国では生きていくことができないと絶望したから自殺するのではないでしょうか。それを、「自殺をするな」とはなんともむごい法律を作るものだと思った私の印象は誤解だったようです。新聞には次のように書いてあります。

 基本法は、自殺対策を国や自治体の責務と明記した。自殺は「多様かつ複合的な原因及び背景を有するもの」と定め、自治体や事業主には国などと連携し、地域や職場で対策を進めるよう求めた。

 具体的な対策の柱として▽自殺防止の調査研究、分析▽自殺予防の啓発や人材育成▽医療体制の整備▽自殺未遂者や自殺者の遺族、民間団体への支援―などを挙げている。
 つまり、国や自治体が自殺防止などの対策を講じるようにと求めている法律です。

 あえて調べるまでもなくこの8年間に急増した自殺の原因のひとつが、経済的貧困であることは間違いないのですから、もしも国にこの法律の精神を実現する気があるのなら、貧困にあえぐ多くの国民の経済状態を救うことが、自殺防止に最大の効果を上げることは間違いないと思います。

 しかし、現総理大臣が「私は、貧富の差があることは悪いことだとは思わない」というようなことを言っているということは、自民・公明の政府は自殺増加の根本的なところにメスを入れる気はないと言わざるを得ません。

 一方で、自由競争の格差社会を奨励しておきながら、もう一方で自殺対策基本法などというものを作っても、今の国の政策から考えると単なるアリバイ作りと思われても仕方がないでしょう。

 こんな実効性のない法律を作るよりも、本気で国民の生活を何とかするという政治を行うことが、自殺を減らす最大にして唯一の方策だと思います。

 建前だけの言葉遊びの政治は、もういい加減にしてください。

#週間金曜日な日々さんから「格差社会、どこが「米百票か」!」というエントリーをワールドカップ第2戦のエントリーにトラックバックしていただきました。こちらからはその記事に、このエントリーをトラックバックさせていただきます。
by stochinai | 2006-06-16 23:37 | つぶやき | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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