5号館を出て

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2006年 06月 20日 ( 1 )

持続不可能な自治体

 夕張と言えば、北海道の町の中では比較的全国的に知名度の高いところだと思います。

 夕張国際ファンタスティック映画祭を知らない人でも、夕張メロンくらいは知っている思います。

 ちょっと前のことを知っている人なら、夕張を舞台にした山田洋次監督の「幸せの黄色いハンカチ」という映画を思い出すかもしれません。と言いながら調べてみるとなんと1977年の映画でした。ちょっとどころではなく、40台より若い人なら知らないほど昔の話ですね。

 我々が、小学校の頃までの「大石炭時代」には、九州の筑豊炭田と並ぶ石狩炭田にある中心の炭坑である夕張は非常に勢いのある町だったと聞いています。

 その夕張が、いわば地方自治体として財政的に破綻状態に陥ってしまい、市長は「自力での財政再建は困難と判断し、法の適用を受けた財政再建団体となり再建計画の策定に取り組む重大な決断」をしたと市議会で発表しました。

 財政再建団体になった地方自治体は夕張が初めてというわけはなく、また市も破産するということは頭では理解できるのですが、会社が破産したときには社員が路頭に迷うということに納得できても、ただ単にその町に住んでいて税金を払っていた市民が破産した市と運命をともにするという状況がなんとも理不尽に思えます。

 札幌に生まれ札幌で育った私には、生まれ故郷というものは親と同じように選べるものだという感覚はありません。つまり、ある町が私の故郷であることは生まれる前から決まっていることであり、この町はもうダメだから他へ移るということは、この親はもうダメだから親を取り替えることができないのと同じくらい不可能なことのように感じられます。

 それを郷土愛と呼ぶことができるのかもしれませんが、愛などという甘い言葉で語ることのできるものではなく、どちらかというと生まれながらに持たされた原罪のようなものに思えます。

 そういうつながりを持った故郷が「破産」してしまうということに、夕張の市民のみなさんが感じているであろうやりきれなさを思うと、胸がつまります。

 そういう町を救うことのできる、そして救わなければならないものが「国」という制度ではないかと思います。国だって、すでに破綻しているのだからそんな小さな町のひとつやふたつがつぶれるのは当たり前だというような議論には嘘があると思います。なぜなら、夕張よりもはるかに負債が多い国はつぶれることなく、税金を集めてはどんどん使うことを繰り返しているからです。

 夕張を日本の国の一部とみなして一緒にがんばるのか、国全体からみると切り捨てるべき病巣と見るのか。私は、前者の行き方を指向してくれる政治家を支持しようと思います。
by stochinai | 2006-06-20 21:27 | 札幌・北海道 | Comments(15)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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