5号館を出て

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2006年 08月 01日 ( 1 )

 教育現場では、学生に対してダブル・スタンダードを行使することが、もっとも学生の信頼を失う近道です。学生同士は複雑なネットワークでつながれていますから、教員が相手によって基準を使い分けているというような噂はたちまち広まってしまい、そういう教員は有利な扱いをした学生を含めたすべての学生から非常に否定的な評価を受けてしまいます。いったん否定的な評価を受けると、回復するまでにはかなりの時間と努力が必要です。

 そういうわけで。同じ行為の場合にはそれが自分に賄賂をくれる金持ちの優等生の行為であろうが、貧乏で不真面目な学生のした行為であろうが、同じように対応することが無関係な人間も含めた社会関係を営むためにとても重要な意味をもってきます。

 時にはそれが相手によってではなく、こちらの状況(忙しいとか非常に疲れているとか)であったとしても、評価に手加減は加えてもらえないものです。若者は正義感が強いという言われ方をすることもありますが、場合によっては状況を複合的に判断する能力に欠けている結果、建前や見たままを強調しているだけなのに、それが正義感と見えることもあるかもしれません。ともかく容赦がありません。

 教育現場で学生から否定的な評価を受けてしまうと、教育は成立しなくなります。

 国際関係の中でも、アメリカが北朝鮮やアラブ諸国に対するやり方と、イスラエルに対するやり方が、ダブル・スタンダードというよりはもうめちゃくちゃなえこひいき状態になっていることは、正義感の強い若者でなくとも嫌でもわかることです。

 そうしたアメリカの態度に、主体的に行動することのできる世界の国々では政府のみならず、市民も反発の動きを強め始めています。

 100歩譲って、アメリカとイスラエルは戦時同盟状態にあるので仕方がないのだというふうに理解してやることが不可能ではないですが、もしもそうだとするとイスラエルの凶行を非難しない超大国アメリカもイスラエルの共犯として国際的非難を甘んじて受けなければなりません。

 さて、我が日本はどうでしょう。沈黙しすぎていないでしょうか。すでに、世界からはアメリカの子分だと思われているかもしれませんが、私はその状況には不満です。もしも日本とアメリカが軍事同盟を結んでいるので、アメリカの行動を非難することはできないということならば、日本はもはや独立国として歩くことを放棄したということになります。日米関係が大事であるとしても、アメリカの愚行に対してものが言えないというのであれば、いっそのこと日本の主権も向こうに差し上げてはどうでしょう。

 逆に、今アメリカに近い国として日本が果たすことのできる役割は小さくないとも思えます。別に小泉さんでなくともかまいません。イスラエルが狂気としかいいようのない虐殺を続けていることを堂々と非難し、またそれを陰で支えるアメリカにそのような愚かな振る舞いはやめるようにアドバイスしてやって欲しいと思います。

 北朝鮮問題にしても、アメリカがどういう姿勢をとるのかをうかがいながら、強気に出たり協調を模索してみたりということでは、アジア諸国の信頼を失います。アジアにおける日本を、教育現場における教員になぞらえるのは必ずしも適切ではないかもしれませんが、日本は大きいかもしれませんがたったひとつの国であるアメリカの信頼よりも、たくさんのアジア諸国さらには全世界の国々の信頼を勝ち取るべく努力すべきでしょう。

 せっかく小泉時代が終わるのでしたら、もう少し外交のできる政府になってもらいたいものだと思います。北朝鮮やイスラエルの問題は、とても良い国交の練習問題だと思うのですが、今のところの日本は単位をもらえる点がとれていないのがとても残念です。
by stochinai | 2006-08-01 23:24 | つぶやき | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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