5号館を出て

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2006年 08月 18日 ( 1 )

 ともかく人ひとりが殺されてしまいました。ロシアが悪いと言うだけですむ問題ではないと思います。

 先ほどのNHKの北海道ローカルニュースでは様々な報道がありました。

 現地の海で漁をする漁師さんは、ロシアは警告してから撃ってくるわけではなくいきなり撃ってくる、停戦命令を受けて逃げるやつなんかいないよ、いきなり撃たれたんだ、というようなことを言っていました。

 他の漁師さんは、あそこのラインを越えたら、ものすごくたくさんの海産物がいるんだよ、こっちはみんな取り尽くしてしまってなんにもいないんだよ、とラインを越える人間が多いことを示唆する発言。

 続いて、サハリンの日本領事館の前でデモをするロシアの若者(高校生くらいに見えました)が15人くらい。ロシアの海で日本人が密漁するなら撃つぞというプラカードを掲げていました。

 根室港からは外務省の山中政務官が巡視船で出港。銃撃され死亡した盛田さんの遺体を引き取ったうえで、他の乗組員3人の早期釈放や漁船の返還を求めるとのことですが、ロシア側は山中さんと乗組員の面会も許可しないだろうとも言っています。

 昔から言われていたことですが、「北方領土」の海では日本の漁船が入ることは禁止されているために、カニやウニ・貝・魚などが豊富に残っています。日本の漁船が自由に入ることのできる領域の海にはもう獲れるものはいないとまで言われています。漁師はもちろん、漁をするために海に出て、あちらにはウヨウヨと獲物がいるのですから、目に見える線が引かれているわけではない境界を思わず越えてしまう気持ちはよくわかりわかります。

 もちろん日本政府としては、「北方領土」は日本固有の領土だという立場です。つまり、日本の漁船がロシアの主張する「領海」に入っても日本の法律的には違法ではないということになるのかもしれませんが、現実問題としてロシアの軍隊から銃撃されたり拿捕されたりするという事実はあるのです。

 そうした状況の中で、日本政府はロシア側から見ると「密漁」になる「越境漁」を見て見ぬふりをしていたということはないでしょうか。どちらが正しいということを議論することも大事かもしれませんが、日本とロシアの国の間できちんとした決着のついていないことに関することについては、日本政府は日本国民の命と暮らしを守る政策を実行してもらわなければ困ります。

 今回の事件の後で、麻生外務大臣があそこは日本領土なのだから、ロシアが勝手なことをしてもらっては困ると抗議しましたが、ロシアもあそこはロシア領土なのだから領海侵犯をしたら、それなりの対応をすると言っており、過去にも銃撃や拿捕事件が起こっているのですから、ここは建て前論でぶつかりあっても仕方がないわけです。

 日本の政府も向こうの政府も建前を言い放っていただけという国交の現状がこうした悲劇を生んだのではないでしょうか。建前はどうあれ、現実問題として漁をどうするのか、国際交流をどうするのかということこそが国境に住む人間の命と暮らしを守るために必要な政治というものではないのでしょうか。

 ロシアが悪い北朝鮮が悪いと勇ましいことを言うのはかまいません。しかし、実際に不幸な国際関係の狭間で、被害に遭う日本人を出すのは政治の不在と言わざるを得ません。我々国民は政府の主張を守るためなら死んでも良いと思っているわけではないのです。

 周辺の国々の理不尽な要求には絶対に屈しないという政府の態度が、日本国民の命と暮らしを危険にさらしたとしても、我々は自分の選んだ政府のすることに黙って従っていなければならないのでしょうか。

【追記】
 まさに、マルセルさんが昨日すでに書いておられた通りです。現場は日本からもロシアからも見放されたと悲しんでいます。
by stochinai | 2006-08-18 21:34 | 札幌・北海道 | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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