5号館を出て

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2006年 08月 24日 ( 1 )

大学院入試

 昨日と今日は大学院博士前期(いわゆる修士)課程と、博士後期課程(いわゆる博士)課程の大学院入学試験がありました。新しい組織になっての始めての大学院入試です。

 競争倍率からみるとあまり激戦ではないように見えますが、個々の受験生にとってみたら、合格するか不合格になるか二つに一つの結果で示されるストレスフルなステップです。

 合格発表までは1週間ありますが、発表が終わったら、それまではなかなか本気になって取り組めなかった卒業研究に本格的に取り組み、来春2月の発表会へ向けて追い込みをかけていかなければなりません。

 もしも、運良く大学院修士課程に合格したとしても、修士を卒業して就職することを考えているならば、修士1年生は今年中(数年前までは12月頃からでしたが、最近ははやいところは9月頃から)に始まる就職活動を開始しなければなりません。

 つまり、4年生の卒業研究が4月から始まったとしても、どうしてもこの8月の大学院入試へ向けての勉強がありますので、それほど研究に集中できません。また、9月から卒業研究を開始して、そのテーマを修士課程にまで持ち上げるとしても、来年の9月には就職活動が始まります。運良く、その翌春までに就職が決まれば良いですが、下手をすると夏を過ぎて秋まで就職活動が続きます。

 さらに運良く、そこで就職できたとしても、たった2年しかない修士課程に1年のブランクが空いてしまいます。つまり、修士の研究は正味1年なのです。卒業研究から継続したとしても、修士論文までの研究期間は1年半です。大学院入試や就職活動がなければ3年間ある研究期間のはずですが、正味はその半分の1年半しかないという現実をどう考えたらよいでしょう。

 大学院入試勉強も就職活動も重要なことですので、そのために研究ができなくなったとしても、優先順位を変えるわけにはいきません。つまり、修士の研究期間というのは4年から継続した人でも1年半、修士から新しい研究室に入った人にとっては1年しかないことを前提にしなければならないのです。

 素人に毛の生えた学生が、たった1年か1年半研究に費やしても得られる成果などたかがしれています。そうであるならば、修士の2年間あるいは卒業研究からの3年間、実りの少ない研究活動にすべてを捧げるよりは、より効率よく自分を育てる様々な活動に宛てたほうが長い人生にとって資することが多いかもしれません。

 修士の研究あるいは修士の教育について、研究中心から教育中心へとシフトさせることを本気で考えるべきだと感じます。内実をできるだけ温存するような制度いじりはそろそろやめて、大学院教育の内容の根本的変革が必要ではないでしょうか。
by stochinai | 2006-08-24 23:56 | 大学・高等教育 | Comments(8)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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