5号館を出て

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2006年 08月 27日 ( 1 )

 今日は年に一度の全学大停電の日です。街は北海道マラソンで盛り上がっていたのですが、大学はひっそりと静まりかえっていたはずです。

 夕方、停電が終わる頃に機械やサーバーがきちんと立ち上がるかどうかをチェックするために大学へ行って来ました。

 日曜日の夕方遅くに大学へ来るなどということはめったにないので、いつもと違う景色が目についたりします。これは、理学部旧館の北壁にはびこりつつあるツタです。しばらく見ないうちに、かなり立派に建物を覆い尽くしつつあります。中に研究室があったら、ここまで放置されることはないでしょうから、人がいなくなるというのも悪くないものです。
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 5号館に入ると停電ですから、真っ暗で外から差し込む自然光が芸術作品になってくれます。
大停電とインターネットウソ発見器_c0025115_2312553.jpg
 数年前までは、全学停電というと病院などの特別な施設を除くと、文字通り停電になりますので建物に入ると暗いだけではなく驚くほど静かで、普段いかに電動設備の騒音に囲まれていたかということを認識させられたものですが、今日は建物の内外でたくさんの自家発電機が動いており、ひょっとすると普段よりも騒音が大きいのではないかと思われるほどでした。

 中断することのできない重要な研究が増えてきたということもあるのかもしれませんが、何があっても実験は中断しないという強い意志が感じられるとともに、どんなことがあっても研究を中断させるわけにはいかないという追いつめられた研究者の悲鳴のようにも聞こえる自家発電機のエンジンの音でした。

 学内のネットワークも動いておりませんので、たとえ電気は自家発電機でなんとか供給できたとしても、ネットが使えませんのでさすがに自家発電をしてまでオフィスワークをする先生はいないとみえて人の姿はほとんど見あたりませんでした。

 幸い、予定どおり停電は午後6時ちょっと前に終了し、機械やサーバーも順調に復旧してくれたようです。

 サーバーと言えば、昨日の夕刊に総務省がインターネット上の情報の真偽を自動判別するソフトの開発に乗り出すという記事(ネット情報「ウソ発見器」 総務省が開発へ)が出ていました。

 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士さんが「ネットまで政府の統制下に落ちようとしている~ネット情報のデマ率発見システム」というエントリーですでに取り上げておられますが、ネット上の情報の真偽を「お上」が判別してくれるなどということは余計なお世話以外の何ものでもありません。

 中国では、グーグルが中国政府に協力して「中国にとって間違った情報」を掲載している記事は検索結果に表示されないようになっているということですが、この総務省のソフトも結果的にはそれと近いことをしてくれることになります。

 総務省が構築を目指すシステムは、この選別をコンピューターで自動的にやらせるものだ。ネット情報のウソや間違いの「発見器」といえる。
 完成すれば、ある情報のデマ率を調べたり、ネットで検索するときに信頼性のある順番に表示したりできるという。「この情報はデマ率95%ですが表示しますか」などという注意表示もできるようになる。
 まあ実際できてからやってみればわかることなのですが、沖縄返還交渉問題で世界中が知っているように政府がウソを突き続けるこの国の政府の発表と、その政府のウソを告発するブログサイトのどちらの情報が正しいかということを、政府作成になるこの「ウソ発見器」にかけたらどうなるかなどということは、おそらく中学生にでも判断できることでしょう。

 開発の焦点は、インターネットのなかから信頼できる関連情報を見つけ出せるかどうかだ。そのために、知識を関連づけて書かれた内容の意味を正確に判定する技術や高度な自動翻訳技術などを編み出す必要がある。
 ちょっとしたインターネットリテラシーを持った人なら、こんな難しい問題をたった年間3億円くらいの予算でやろうということ自体が無理だということは即座にわかるはずです。

 それよりなにより、ヤメ記者さんがおっしゃるように「肝心なことは,ネット情報を政府が管理することの危険性だろう」という点も見逃すことができません。

 つまらないあるいは間違ったことに大切な税金を使うよりは、国民一人一人のインターネットリテラシーを上げるためにもっとたくさんの予算を注ぎ込むべきなのではないでしょうか。
by stochinai | 2006-08-27 23:56 | 大学・高等教育 | Comments(7)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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