2007年 03月 12日 ( 2 )
1
2007年 03月 12日
「博士の生き方」アンケートに答えます
私もいちおう理学博士ですので、昨日の「博士の生き方」のアンケートに答えてみたいと思います。書いてみて、大学も社会もがらりと変わってしまっていることが、はっきりと感じられました。
アンケート項目
1. ご自身の現職:
1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
現在、国立大学の助教授です。来年度からは准教授という名前になると思います。助手に採用された時には、国家公務員でしたので、任期などということは思いもよらない発想でしたが、春からは国立大学法人でも昔の助手にあたる助教については、任期付きになるところが多くなると思われます。我々の所属する自然史科学部門では助教といえども任期付きでは研究教育活動ができないということで抵抗しています。
2. ご自身の博士課程修了(予定)年度:
1979年の春に博士課程を修了する予定だったのですが、1978年に助手に採用されたため、単位を取得することもできずに退学となりました。ですので、最終学歴は1975年修士課程修了となっています。
3. ご自身の博士課程在籍時の専門分野:
4. 理学・生物
4. 博士課程在籍時の研究テーマは面白い(面白かった)と思いますか?
1. 面白いと思う
大学院の修士課程に入学する時にやりたいテーマがあったのですが、指導教官の先生に別のテーマを提示され、そちらをやることになりました。それはそれで、とてもおもしろい研究で、自分の主テーマとして大学院・助手の時代を通じて研究を継続しました。
5. 項目4で、1,2と答えた方に質問です。どのような点でご自身の研究
テーマは 面白いと感じていますか(いましたか)?(当てはまる
項目について、当てはまる順に順位付けして示してください)
1. 独創的なテーマであるから
研究としては、イギリスとアメリカに専攻研究者がいましたので、そんなに独創的なテーマではありませんでした。
2. 議論できる研究者が多くいるテーマだから
「アフリカツメガエル免疫システムの個体発生」というかなりマイナーなテーマで、関連研究者を世界中から集めても50人くらいという小さな研究コミュニティでした。
3. お金になりうる(なる)テーマだから
お金にはまったく縁のない研究でした。
4. お金にはならないが、社会の役に立つテーマだから
直接、ヒトの免疫学研究に貢献するわけでもなく社会の役に立つのは教育的な面だけです。
5. 研究の世界に入る前から興味をもっていたテーマだから
指導教官にテーマをいただくまで、あまり興味は持っていませんでした。
6. その他(具体的にお書きください)
実験科学として、仮説を立て、それを実験によって検証していき、その結果が国際的学術雑誌に掲載されるという科学のプロセスそのものがとてもおもしろかった記憶があります。そういう意味ではテーマはなんでもよかったのかもしれません。
6. 項目4で4.と答えた方に質問します。どのような点でご自身の研究
はつまらな いと思いますか(思いましたか)?(当てはまる項目に
ついて、当てはまる順に順位付けしてくだ さい)
つまらないと思ったことは一度もありませんでした。
7. ご自身の研究成果を評価している(いた)人はいますか?(複数回
答可)
1. 自分
2. 指導教員
これは当然の2人です。
3. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
4. 研究室の学生
こうした方々にも評価していただいたことは大きな励みになりましたが、やはり同じ研究をしている人々がもっとも評価してくれました。
7. 自分と同じ研究分野の学生、ポスドク、教員、公的機関の研究者
それも、外国にいて比較的近い研究をしている人々が最大級に評価してくれました。
8. 進路を考えるときに相談にのってもらった人はいますか?(複数回
答可)
10. 相談にのってもらった人はいない
子どもの頃から、研究者になるか学校の先生になるかどちらかだと決めていました。
9. 進路を考える上で役に立ったものは何ですか?(複数回答可)
1. 研究室出身者の過去の進路情報
これが最大だと思います。先輩のすべてが大学の教員になっていました。今とは、時代がまったく違います。
10. 博士課程時代の研究室の博士課程の同期・先輩の進路は何が多いで
すか?
1. アカデミック分野が圧倒的に多い
上に書いたとおりです。こういうことが実現できた最後の時代かもしれません。
11. 博士課程時代の自分の選んだ進路に好意的だった人はいますか?
(まだ進路未定の方は自分の選ぼうとしている進路についてお応え
ください)(複数回答可)
1. 指導教員
その頃、まだ助教授だった私のボスが、私が助手になることを一番喜んでくれました。両親は職が決まったことを喜んでくれましたが、仕事の中味は理解していなかったと思います。
12. 自分の選んだ進路に否定的だった人はいますか?(まだ進路未定の
方は 自分の選ぼうとしている進路についてお応えください)(複
数回答可)
10. いない
いなかったと思います。ただ、民会会社に勤めていた高校の同級生などは、給料が安いところに就職することを「もったいない」と表現していたことはありました。
13. 博士課程修了時点での進路は何ですか(博士課程修了予定者の方は
現在決まっている進路をお書きください)?
1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
上に書いたように在学中に助手に採用されました。
14. 博士課程修了時点で大学・公的研究機関以外の進路を選ぶことに抵
抗はありましたか?
2. すこしあった
第一希望は大学の教員でしたが、第二希望の高校教員になることに、ほとんど抵抗はありませんでした。
15. 項目14で1,2と答えた方に質問します。どのような点に抵抗を感じ
ましたか?
単に第一希望ではなかったという程度のものです。
16. 博士課程修了時点でのご自分の進路は積極的に求めたものですか?
1. はい
応募したわけでもなくいわば「転がり込んできた」ものなので、「はい」といえるかどうか、ちょっと微妙です。もちろん積極的に教員になりたいと思ってはいましたが、自分からアクションを起こしたわけではありません。ある日、「助手になるか」と言われたのです。その頃は、みんなそうだったと思います。
17. 項目16で2と答えた方に質問。積極的に自分の進路を求められな
かった のはなぜですか?
自分で望んでなれるものではなく、選ばれるのを待っていることしかできなかった時代だったのです。
18. 博士課程修了時点で修了後に就く新しい仕事を通して何を求めてい
きたかったですか(求めていきたいですか)?
研究をして給料がもらえるということだけを望んでいました。
--------
以上です。
アンケート項目
1. ご自身の現職:
1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
現在、国立大学の助教授です。来年度からは准教授という名前になると思います。助手に採用された時には、国家公務員でしたので、任期などということは思いもよらない発想でしたが、春からは国立大学法人でも昔の助手にあたる助教については、任期付きになるところが多くなると思われます。我々の所属する自然史科学部門では助教といえども任期付きでは研究教育活動ができないということで抵抗しています。
2. ご自身の博士課程修了(予定)年度:
1979年の春に博士課程を修了する予定だったのですが、1978年に助手に採用されたため、単位を取得することもできずに退学となりました。ですので、最終学歴は1975年修士課程修了となっています。
3. ご自身の博士課程在籍時の専門分野:
4. 理学・生物
4. 博士課程在籍時の研究テーマは面白い(面白かった)と思いますか?
1. 面白いと思う
大学院の修士課程に入学する時にやりたいテーマがあったのですが、指導教官の先生に別のテーマを提示され、そちらをやることになりました。それはそれで、とてもおもしろい研究で、自分の主テーマとして大学院・助手の時代を通じて研究を継続しました。
5. 項目4で、1,2と答えた方に質問です。どのような点でご自身の研究
テーマは 面白いと感じていますか(いましたか)?(当てはまる
項目について、当てはまる順に順位付けして示してください)
1. 独創的なテーマであるから
研究としては、イギリスとアメリカに専攻研究者がいましたので、そんなに独創的なテーマではありませんでした。
2. 議論できる研究者が多くいるテーマだから
「アフリカツメガエル免疫システムの個体発生」というかなりマイナーなテーマで、関連研究者を世界中から集めても50人くらいという小さな研究コミュニティでした。
3. お金になりうる(なる)テーマだから
お金にはまったく縁のない研究でした。
4. お金にはならないが、社会の役に立つテーマだから
直接、ヒトの免疫学研究に貢献するわけでもなく社会の役に立つのは教育的な面だけです。
5. 研究の世界に入る前から興味をもっていたテーマだから
指導教官にテーマをいただくまで、あまり興味は持っていませんでした。
6. その他(具体的にお書きください)
実験科学として、仮説を立て、それを実験によって検証していき、その結果が国際的学術雑誌に掲載されるという科学のプロセスそのものがとてもおもしろかった記憶があります。そういう意味ではテーマはなんでもよかったのかもしれません。
6. 項目4で4.と答えた方に質問します。どのような点でご自身の研究
はつまらな いと思いますか(思いましたか)?(当てはまる項目に
ついて、当てはまる順に順位付けしてくだ さい)
つまらないと思ったことは一度もありませんでした。
7. ご自身の研究成果を評価している(いた)人はいますか?(複数回
答可)
1. 自分
2. 指導教員
これは当然の2人です。
3. 研究室の指導教員以外のスタッフ(助手、助教授、ポスドクなど)
4. 研究室の学生
こうした方々にも評価していただいたことは大きな励みになりましたが、やはり同じ研究をしている人々がもっとも評価してくれました。
7. 自分と同じ研究分野の学生、ポスドク、教員、公的機関の研究者
それも、外国にいて比較的近い研究をしている人々が最大級に評価してくれました。
8. 進路を考えるときに相談にのってもらった人はいますか?(複数回
答可)
10. 相談にのってもらった人はいない
子どもの頃から、研究者になるか学校の先生になるかどちらかだと決めていました。
9. 進路を考える上で役に立ったものは何ですか?(複数回答可)
1. 研究室出身者の過去の進路情報
これが最大だと思います。先輩のすべてが大学の教員になっていました。今とは、時代がまったく違います。
10. 博士課程時代の研究室の博士課程の同期・先輩の進路は何が多いで
すか?
1. アカデミック分野が圧倒的に多い
上に書いたとおりです。こういうことが実現できた最後の時代かもしれません。
11. 博士課程時代の自分の選んだ進路に好意的だった人はいますか?
(まだ進路未定の方は自分の選ぼうとしている進路についてお応え
ください)(複数回答可)
1. 指導教員
その頃、まだ助教授だった私のボスが、私が助手になることを一番喜んでくれました。両親は職が決まったことを喜んでくれましたが、仕事の中味は理解していなかったと思います。
12. 自分の選んだ進路に否定的だった人はいますか?(まだ進路未定の
方は 自分の選ぼうとしている進路についてお応えください)(複
数回答可)
10. いない
いなかったと思います。ただ、民会会社に勤めていた高校の同級生などは、給料が安いところに就職することを「もったいない」と表現していたことはありました。
13. 博士課程修了時点での進路は何ですか(博士課程修了予定者の方は
現在決まっている進路をお書きください)?
1. 大学・公的研究機関の常勤職員(任期なし)
上に書いたように在学中に助手に採用されました。
14. 博士課程修了時点で大学・公的研究機関以外の進路を選ぶことに抵
抗はありましたか?
2. すこしあった
第一希望は大学の教員でしたが、第二希望の高校教員になることに、ほとんど抵抗はありませんでした。
15. 項目14で1,2と答えた方に質問します。どのような点に抵抗を感じ
ましたか?
単に第一希望ではなかったという程度のものです。
16. 博士課程修了時点でのご自分の進路は積極的に求めたものですか?
1. はい
応募したわけでもなくいわば「転がり込んできた」ものなので、「はい」といえるかどうか、ちょっと微妙です。もちろん積極的に教員になりたいと思ってはいましたが、自分からアクションを起こしたわけではありません。ある日、「助手になるか」と言われたのです。その頃は、みんなそうだったと思います。
17. 項目16で2と答えた方に質問。積極的に自分の進路を求められな
かった のはなぜですか?
自分で望んでなれるものではなく、選ばれるのを待っていることしかできなかった時代だったのです。
18. 博士課程修了時点で修了後に就く新しい仕事を通して何を求めてい
きたかったですか(求めていきたいですか)?
研究をして給料がもらえるということだけを望んでいました。
--------
以上です。
▲
by stochinai
| 2007-03-12 22:55
| 科学一般
|
Comments(4)
2007年 03月 12日
帰札
たった3日の春の後、まだまだ寒い札幌に帰って参りました。
バスの窓からナイター照明がついたスキー場(藻岩だと思うのですが、大学からは死角になっている斜面なので、この光景は初めて見たような気がします)が見えた時、北海道に帰ってきたなあという気分になりました。

さて、明日からまた日常が始まります。
バスの窓からナイター照明がついたスキー場(藻岩だと思うのですが、大学からは死角になっている斜面なので、この光景は初めて見たような気がします)が見えた時、北海道に帰ってきたなあという気分になりました。

▲
by stochinai
| 2007-03-12 00:24
| 札幌・北海道
|
Comments(0)
1