5号館を出て

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2007年 09月 30日 ( 2 )

 日経ネット:東大、博士課程の授業料「ゼロ」・頭脳流出歯止め狙う 
東大によると、博士課程の授業料は年52万800円。在籍する約6000人のうち約3500人はすでに各種の奨学金や研究奨励金を得ており、残る約 2500人から休学者を除いた約1700人の支援財源として約10億円を経費節減などで工面。1人当たりの支給額は約58万円で、授業料を賄える計算だ。
 記事を読むと、授業料「ゼロ」は授業料が無料になるというわけではなく、授業料に相当する金額を何らかのかたちで大学が支給すると制度のようです。

 これは、「国立大では初の試み」と書かれていますが、私の記憶では北海道大学の工学部ですでにかなり前に発表されているものと同じ「仕掛け」と思われます。北海道新聞の2005年4月14日の記事です。
 助成の対象は博士課程のうち、企業や国から給与が支給される社会人学生、研究員らを除く学生で、本年度は新一年次七十一人のうち三十五人程度。研究補助員として採用し、その報酬の形で、北大にいったん納めた授業料相当分を支給する。
 まったく同じアイディアだと思われます。

 まあ別に、こんなものに特許や著作権もないでしょうから、どんどんやれば良いと思うのですが、この制度によって目論見どおりの結果が得られるのでしょうか。

 授業料をゼロにすることの大学側の狙いとしては、研究の後継者や企業の期待に応えるような「優秀な人材」の確保だと思われます。北大の記事を見ると、それがわかります。
 工学研究科では工学部生の約六割が進む修士課程(二年で修了)が一学年四百人程度なのに対し、博士課程(三年で修了)に進むのは毎年、定員百十二人の半分前後と低迷。企業就職で博士修了と修士修了の待遇に大差ない一方、教職員が過剰で研究者として大学に残る道も険しいことが背景にある。

 中山研究科長は「博士課程の就職率は100%だが、企業や国立研究所の縁故採用が大半で、多様な分野へ人材を輩出しているとは言いがたい」と停滞感を認める。

 このため、通常だと二十七歳で修了する博士課程学生の経済負担を軽減して修士からの進学を促し、リーダー役となる技術者を養成する。
 要するに、現在博士課程に進学している学生は、彼らの期待から見るとちょっと不足であるようなので、彼らの「期待」に応えてくれる「優秀な」学生を確保することを希望しており、学費を無料にすればそうした「優秀な」学生が残ってくれるだろうと思っているようなのですが、この判断は正しいでしょうか。

 私は間違っていると思います。

 学生が博士課程に進学しなくなったのは、授業料が高いからではなく、その先の進路に希望が持てないからだと思います。そこのところには手をつけずに、授業料を無料にすることで進学を決めた学生が彼らの期待に応える人材だと考える根拠が理解できません。

 むしろ、単に社会に出ることを嫌うモラトリアム人間を増やす効果の方が大きくないでしょうか。そうなると、状況はますます悪くなるような気がします。

 北大工学部もそうですが、東大も目を覚まして欲しいと思います。
by stochinai | 2007-09-30 20:53 | 大学・高等教育 | Comments(9)

変な看板と武蔵丸

 今日、大学へ行く途中で変な看板を見つけました。
変な看板と武蔵丸_c0025115_1324024.jpg
 行政書士事務所のようでしたが、宣伝になっていますでしょうか?

 ひさしぶりにネコの写真を撮しました。5月に丸刈りにされた武蔵丸は、7月にも登場したのですが、最近は毛並みも戻って来ました。幸いにして、今のところ毛玉もできていないようなので毛を刈る必要もなさそうで、暖かい毛皮で冬の準備ができたというところです。
変な看板と武蔵丸_c0025115_1413237.jpg
 こうして見ると、顔ばかりがでかいですね。
by stochinai | 2007-09-30 01:45 | スマイル | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai