5号館を出て

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2007年 10月 16日 ( 1 )

 昨日は朝刊が休みだったので、夕刊に載っていたのかもしれませんが、国際基督教大学(ICU)で入学の時点では文系・理系すらも決めないで入試による選抜を行うというニュースを読みました。ネットにもありました。

 文系・理系、選択は入学後 ICU、来年度から新制度

 現在は、入試の時に学科が決まる方式だそうです。
 ICUは、学部は教養学部の一つだけで、1学年の定員は620人。現在は人文科学、理学、語学など六つの学科があり、各学科に定員がある。入学試験は教養学部として一本で実施しているが、受験生は第1志望と第2志望の学科をあらかじめ選んでおき、合格時に所属学科が決まる仕組みになっている。
 新制度では、入学時に所属を決めずしばらく勉強してから選ぶ制度になります。
 新制度では学科を廃止して文学、経済学、法学、物理学、心理学、言語学など31の専修分野に再編する。入学時には所属を決めず、様々な分野の基礎科目を2年間学んだ後、自分に合った専修分野を決める。分野ごとの定員はなく、学生は希望通りの分野に進むことができる。
 私はこの制度には大賛成です。

 私が北海道大学を受験した時には、北大には医学進学課程と水産類は別として理類と文類しかなかったと記憶しています。入学後、教養で1年間あるいは1年半勉強して、自分のやりたい学部・学科へと分けられるシステムになっていました。もちろん文理を越えての選択は基本的にはダメなのですが、同じ理類とはいっても数学から物理、宇宙から生物までと水と油くらい違う分野を選べるのです。ただし、学科には定員があるので、人気学科に進学するためにはそれまでの教養教育の成績で振り分けがあり、場合によっては競争が激しいために単に大学入試が1年後にずれただけというような学科もあったように記憶しています。我々の時には、どこにも受け入れてもらえなかった学生は生物にはいったというくらい、生物や獣医は不人気でした。就職が悪かったということが、理由だったような気がしますが、その後両者は最高の人気学科になっていますので、はやりなどというものはまったく予測ができないものです。

 普通の生徒ならば、高校までは自分が何をやりたいのかとか、何に向いているのかなどということよりも先に、自分はどこの大学のどこの学科に入れる偏差値なのかということで受験大学・学科が決めてしまい、ひいてはその先の就職までもが決まってしまうということがままあるように思います。そうした「非人間的」な制度も、大学に進学できる人が少なかった時代には、大学にはいり就職できるだけでも贅沢ということで、なんとか維持されていたのかもしれません。

 今は、大学進学率が5割を越えて、大学を選ばなければ誰でもが大学へ進学することが可能になってきています。こういう時代ですから、せっかく大学に進学するのならば、無理をせずに自分にあった学問を専攻するのが良いのではないでしょうか。

 今でも高校までの学習は、昔と同じように進学のための振り分けの手段になっているケースが多いと思いますので、大学へはいってようやくそのことを離れて「好きな学問」を選ぶことができる機会に出会えるのではないでしょうか。そういう状況になってから出会う学問は、それまでの「良い点を取れる」科目を選ぶという行動パターンから「好きな」科目を選ぶことへとシフトできる可能性があります。そうなってから出会った「自分に合う」学問を選べる、しかも文理の壁さえも越えて「やり直し」「選び直し」ができるICUの制度は、是非とも他の大学でも採用していただきたい英断だと思います。

 がんばれICU!
by stochinai | 2007-10-16 23:22 | 大学・高等教育 | Comments(17)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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