5号館を出て

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2007年 10月 19日 ( 1 )

企業が派遣する大学院生

 私が大学院生だった1970年代には、少ない数の大学院生のほとんどは優雅とはほど遠い質素な暮らしをしていたものですが、給料をもらいながら大学院に通うという、企業から派遣されていた、リッチで幸せな大学院生がいました。

 私の知り合いのひとりは、大学卒業とともに某ビールメーカー(ウヰスキーなども作っていますが)に就職した後(1年後だったような気もします)に会社から派遣され、卒業研究をしていた農学部の某講座に大学院生として大学に戻ってきました。

 当時は(今でもそうですが)、奨学金といってもただの借金だったので、(もちろん返す必要のない)給料をもらいながら学費も会社に払ってもらって、しかも大学院卒業後は会社に戻ることが約束されている、夢のような立場だったと記憶しています。

 修士課程を修了した後、彼が博士課程まで進学したかどうかについては記憶がはっきりしないのですが、当時は企業から派遣されて研究生として論文博士取得のために研究室に出入りしていた「研究生」もたくさんいました。研究生の授業料は大学院生とほとんど同じで、割高感があるので私費で研究生になる人はあまり多くはないのですが、会社が出してくれるのですから苦にもならないということだったと思います。

 最近、あちこちで似たような話を聞くことが多くなりましたが、企業としても大増員になってしまって玉石混淆になっている博士号取得者から「玉」を選び出すのに苦労しているようなので、学卒あるいは修士卒で「青田買い」をして、その人達を再度大学院に送り戻すというシステムは悪くないはずです。

 そのシステムだと、企業にとっては自分たちの眼鏡にかなった「若く確かな人」を、専門性をもった人材へと育てあげるということになりますし、大学院にとっても卒業後の学生の就職に悩まなくても良いというwin-winの関係になります。もちろん、当の学生にとってもwinなので、これはwin-win-winという夢のようなシステムと言えるのかもしれません。

 もちろん、大学として優秀な大学院生がすべて企業へと戻っていくということになってしまうとなると研究の後継者養成ができないということになり、そういう意味での不安が残るかもしれませんが、大学は大学として責任を持って後継者養成コースを作ることで、その問題も解決できると思います。

 企業と大学院側双方で、少し真剣にこのアイディアを検討してみてはどうかと思います。現在の大学院にもすでに就職したままで社会人入学できる制度もありますので、制度的な問題はないはずです。
by stochinai | 2007-10-19 21:47 | 科学一般 | Comments(22)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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