5号館を出て

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2007年 10月 25日 ( 1 )

 今もあるのかどうかはわかりませんが、昔の通学・通勤路に饅頭屋さんがありました。

 明け方に店の前を通ったことがあるのですが、いつでも3時頃には仕事(饅頭作り)を始めていたように思います。そして、9時か10時頃に開店すると、昼頃には人気の商品は売り切れ、午後の早い時間にはすべての商品が売り切れて閉店になっていました。それを見ていたので、私は饅頭などの生菓子は、その日の朝に作って夕方くらいまでには食べ終わるものなのだと思っていました。一晩おかれた饅頭は硬くなってしまうのですが、それを火であぶって柔らかくして食べると、それはそれで美味しいものでしたが、あくまでも裏技的な食べ方だったと思います。

 初めて赤福餅を見た時にも、その饅頭屋さんのことを思い出しました。人気の商品のようでしたので、さぞかし手に入れるのは難しいとものだと思っていましたが、聞くところによると伊勢神宮にいかなくても、名古屋~関西の交通の要所や大手百貨店ではいつでも買えるとのことでした。

 冷静に考えると、それだけ大々的に売り出していて、しかも売り切れがないということは、近代的保存技術(低温または抗菌・防腐処理)を駆使しているはずです。洋生菓子でも、クリスマスケーキなどは夏のうちから作って冷凍保存しているというのは有名な話で、買う方もそういうものだと思って買っていると思います。

 赤福でも、冷凍保存はしていたようですが、私が食べた時に商品についていた説明書には「作りたての生ものなので、急いで食べるように」という指示があったように記憶しています。そもそも、消費者としてはこういう偉そうなことを書いてあることに反発すべきだったと思うのですが、最近の消費者はきつく言われるとありがたがるというサディスティックな傾向があるのかもしれません。

 赤福の消費期限を示す印には、解凍して店頭に並べたものや、日付を偽ったものなど多数の種類を見分けるための「暗号」までもが刻印されていたといいますから、これは明らかに会社ぐるみで日本国民全体に対する詐欺行為を働いていたということができます。

 これほどひどいことをしていながらも食中毒事件などが起こらなかったのは、餡や米は腐敗すると素人でも簡単にわかる独特の臭いがするので、出荷の前にそのチェックはしていたからなのだと思います。そういう意味では、なかなかの科学的詐欺会社だったといえるのかもしれません。

 それに比べると、秋田の比内鶏の薫製は、商品の開発当時から卵を生まなくなった廃鶏を材料にして作った薫製を「比内地鶏薫製」として売っていたというもので、商品としてはお祭りの屋台で売っているようなものと大同小異です。お祭りの屋台では、買う方がそもそも店の言い分を信じていないので、問題はおきません。また、こちらの商品は真空パックで売られていたものですから、健康上の被害はなかったようです。

 私もいただいて食べたことがあるのですが、そこにもまた偉そうに書いた商品の説明書があったと記憶しています。天然記念物の比内地鶏は食べるわけにはいかないので、ここで使っているのは比内地鶏と別の鶏を掛け合わせて作ったものだとか、比内地鶏は普通の鶏と違って肉が硬いのが特徴ですとか書いてあって、食べてみると確かにゴツゴツと硬く、これがあのありがたい比内地鶏の食感なのかと感じたものです。

 赤福にしろ、比内地鶏薫製にしろ、我々素人には味でその真贋や冷凍保存したものかどうか、などということは見分けることができないものですから、本当かどうかを確かめようと思ったら、その製造状況を見ることができる店で購入すべきものが、いつの間にか全国区になってしまったところに間違いがあったように思います。

 赤福にしても比内地鶏にしても、希少価値を売り物にしているのに売り切れがない商品なんて、だまされているに決まってますよね。そう考えると、あれとかあれも絶対に怪しいです。
by stochinai | 2007-10-25 21:21 | つぶやき | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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