5号館を出て

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2007年 10月 26日 ( 2 )

 10月14日のエントリー「大学は、なぜ大学院生を増やしたいのか」には、現時点まででコメントが213付いています。以前は、コメントが100を越えたりすると「議論沸騰」という感じがしたものですが、今回は200を越えても、当然のように冷静に生産的な議論が続いているような気がします。

 その理由のひとつかどうかはわかりませんが、最近は深夜を越えると海外からのアクセスが多くなってくるというのが日常になっており、コメントの書き込みもそのかなりが海外におられる方からではないかという気がしています。というわけで、昼間は日本から、そして夜中は海外からという時間差を乗り越えながら、中味のある議論がされているようです。

 あまりのコメントの多さおよびその内容の厚さに、私ひとりではとても対応しきれるものではないのですが、私がいようといまいとコメンテーターの方々がどんどんとお互いに議論を深めていっていただけるのを「横から」頼もしく見ている今日この頃です。

 と、無責任なことばかりを言ってはいられないので、今日はコメントの中にあったちょっとだけ気になるシミュレーションを引用させていただきます。これは、apjさんの目にもとまったようで、「私のblogで、今日の通りすがりさんの試算を引用させていただきました。実感にも合っている数字だと思います」と書かれていました。

 その通りすがりさんの試算というこのがこれです。
例えば100人の博士取得者とします,アカポスの求人が30人分あります.倍率の期待値は3.3倍になります.果たしてそうでしょうか?

この制度を始めて1年目は
1年目(求職者)新卒100人 PD0人 →アカポス30人,PD70人
アカポス就職率(30/100): 30%
2年目(求職者)新卒100人 PD70人→アカポス30人,PD140人
アカポス就職率(30/170) 17.6%
3年目(求職者)新卒100人 PD140人→アカポス30人,PD210人
アカポス就職率(30/240) 12.5%
....
6年目(求職者)新卒100人,PD350人→アカポス30人,PD420
アカポス就職率(30/450) 6.6%
....
9年目(求職者)新卒100人,PD560人→アカポス30人,PD630
アカポス就職率(30/660) 4.5%

27歳で学位取得した人が33歳までポスドクを続けるとすると,毎年6.6%,36歳まで続けるとすると,毎年4.5%しか,アカポスに就けない計算です.これが現状なのです.
 「期待値」という用語の使い方に関しては、私は数字(数学?)に弱いのでこれでいいのかどうかはわかりませんが、この試算の意味するところはとても明快で、出口から出られる数よりもたくさんの人を毎年入り口から送り込まれている体育館の中に、だんだんと人が増えていく様子を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

 で、このシミュレーションではっきりと出ているのですが、通りすがりさんは敢えてコメントしていなかったことが、PD数の増加です。PDもお金で雇われる職種である以上、その数に限りがあるのは明らかで、さらには状況が変化(たとえばポスドク1万人計画の見直しなど)がすると、その数が減ることすら考えられます。そうすると、この試算では増え続けているPDの数に、PDとして雇われることができない人が含まれてくることが、当然のごとくに想定されます。

 それに対して警鐘を鳴らして、vikingさんが新しいエントリーを書かれています。

 ドクター・ポスドク問題その後(6):そもそもポスドクの口すら足りない

 中味については敢えて引用するまでもありませんので、是非ともそちらをお読み下さい。

 さて私たちは、この新しい事態をどのように考え、どのように乗り越えていったらよいのでしょう。
by stochinai | 2007-10-26 22:15 | 科学一般 | Comments(49)

攻撃的なカエル

 最初にこの動画を見た時には、CGか作り物のカエルを動かして取ったコマ取りアニメかと思いました。

 とにかくご覧下さい。こちらです。(下の画面はダミーですので、こちらをクリックしてください。)
攻撃的なカエル_c0025115_20522072.jpg
 ご覧のようにかわいらしいカエルが、ヒトの手に襲いかかるという光景は、少なくとも私の知っているカエルでは経験のないことです。

 明らかに、自分より何百倍も大きな人間に襲いかかるという性質は、野生で生きている動物としては信じがたい行為です。
攻撃的なカエル_c0025115_20554089.jpg
 しかも、このかわいらしさですから、実際のカエルだと信じられないほうが普通ではないでしょうか。

 ところがこのカエル、アルゼンチン・パラグアイ・ボリビアなどに住む、バジェットガエル(Lepidobatrachus laevis)という名前の実在するカエルのようです。

 ペット愛好家のあいだでは、この闘争性のために「カエルのフレディ・クリューガー」(「エルム街の悪夢」のフレディですね)と呼ばれて恐ろしがられて(愛されて)いるようです。

 何十年もカエル(アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の研究をやってきたのに、カエルのことをなんにも知らないことを思い知らされた YouTube でした。
by stochinai | 2007-10-26 21:02 | 生物学 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai