5号館を出て

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2008年 01月 28日 ( 1 )

 昨日の朝日新聞の投書欄「声」に、「地方在住者は道路を望まぬ」という投書がありました。

 新聞の投書というものは、いくら投稿しても載せてもらえないという声を聞く一方で、新聞社が気に入った投書がない場合には、「社内調達」することもあるなどといろいろ陰口を聞くことも多いところですが、それでも毎日1面を割いて続いているところを見ると、人気ページのひとつなのだと思います。私も一応、毎日目を通すのが習慣です。

 件の投書の内容は、私も何度も聞いたことがあることでした。新幹線や高速道路が田舎に通ると、田舎の町に都会の人がたくさん訪れるようになるのではなく、田舎の人がどんどん都会へと出ていく方が多くなるという話です。

 グローバリゼーションというのは、世界的規模で交通が発達し、物も人も安価に移動できるようになると、あらゆる分野で世界を一つにした、ある意味で「フェア」な仁義なき競争が起こることだと、私は理解しています。

 そこまで、大規模にならなくても、日本中に高速道路や新幹線が整備されると、投書子のおっしゃるように「工場や商店が閉鎖・閉店に追い込まれ、ローカル線の赤字も嵩む一方」になるのです。
 地方の政治家が「せめて高速道路を他県並みに」とか「地方を見捨てるのか」などと訴えますが、その言葉の裏に悲惨な結果が待っていることを理解しているのか、と疑問に思います。
 山地の多い日本の木材自給率が20%ほどで、魚介類や農産物も市場競争で安さだけを競っています。この仕組みを変える努力を地方から起こすことは無理ですか。
 道路や新幹線を作る際に一時的に、地方に雇用が創出されるというのが、古典的な公共事業による雇用対策なのだと思いますが、工事が終わった後に誰も使わない高速道路やガラガラで運転される新幹線が過疎化した地方を空しく走るという図は、かなり容易に想像がつく未来です。

 北海道には人よりもヒグマの方が多い道路があるという議論が国会でされたのは、ほんの数年前のことだったはずです。たくさんの人がまだ記憶しているそうした議論をしていた同じ党の議員の方々が「やはり、我慢を強いて来た地方の皆さんのところに道路を引かなければならない」などと言いながら、復古的な政策がまた始まるのでしょうか。

 グローバリゼーションを押し進めて価格競争をすると、農作物に関しては広い農地を持っている国で農薬を大量に使って遺伝子組み換え作物を作っているところが世界征服することになると思います。同じように、安い労働力をたくさん抱えている国がものづくりなどで世界制覇するでしょう。日本のように土地も狭い、資源も少ない、人口も少ない、というところが積極的にグローバリゼーションに協力するというのは、自分たちの首を絞める動きに積極的に協力していくという自殺行為に他ならないと思います。

 都会と田舎の話を聞くたびに、同じ論理でいくと必ず勝ちを手にすることが明らかなアメリカの主張するグローバリゼーションに、必ず負けを手にする日本が協力しているという図式を思い出します。

 田舎は都会の論理に乗って、同じ土俵で単なる「競争」などをしてはいけないのだと思います。
by stochinai | 2008-01-28 22:54 | つぶやき | Comments(37)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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