5号館を出て

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2008年 02月 21日 ( 2 )

 大学が社会に対する権威を失っていることのひとつの証拠に、企業が大学の教育カリキュラムなどにはおかまいなしに「早期採用活動」をしていることが挙げられると思います。

 今朝の朝日新聞の投稿欄「私の視点」に国際基督教大学の加藤さんという方が、企業の早期採用活動に警鐘をならすとともに、「学生に熟成のための時間を」と訴えています。
 私が学生だった80年代終わり、大学生の会社訪問の「公式な」解禁日は4年生の10月1日だった。だが実際には6月1日、企業はこぞって説明会を開き、学生も一斉に動き出していた。
 そして、今は大学生は3年生の秋休みから就職活動を開始するのだそうです。大学4年間でもっとも専門教育の学業が忙しいのが、3年生なのですが、就職する学生にとっては、その最後のところが就活で虫食いになってしまいます。もちろん、大学が建て前論を振りかざしてその時期に学業に専念できない学生には単位を出さないということも可能ではあるのですが、学生の将来を考えると建前を押し通すことなどはできません。

 理系の場合だと大学院進学率が上がっていますので、3年生の就職活動はそれほど大規模な問題とはなっていないのですが、修士卒業で就職を考えている学生は修士1年目の秋から就活が開始しますので、たった2年間しかない修士課程にとって1年半を就活と就職前企業活動で取られてしまうと、何のために修士課程に進学したのかわからないということにもなりかねません。
 このような学生達に、採用活動を早めた企業は「大学で何を勉強したか」と聞くのだろうか。
 加藤さんは、そう問いかけていますけれども、企業としては大学あるいは大学院に「入学した」と言うこと以外に多くを期待していないということなのだと思います。
 企業は、「優秀な」学生を早く確保したいかも知れない。大学側も、国立の法人化、産学協同の呼び声、私立の授業料を抑える必要などゆえ、企業からの資金は貴重であり、企業に意見することは難しいことかもしれない。だが早まる一方、高級化する一方の採用活動は、すべての学生を浮足だたせ、残りの大学生活を真剣に送ろうとする気力をそいでいないか。これは長い目で見て、日本の働き手の質を低めるだろう。
 もともとあった協定を破ったのは企業側なのですから、この問題の解決を企業に期待するのは無理だとおもいます。もちろん、単独の大学や個々の学生にできるはずのことでもありません。

 これは、大学が一致団結して対抗するか、政府・文科省が力をもって強制するかしなければ、解決できることではないと思いますが、なんでも文科省に任せるのも教育機関としての大学の自主性が泣きます。全国のあらゆる大学・大学院が団結して企業側と交渉し、解決策を導きだすことができれば、日本の大学・大学院も変われると思うのですが、大学間競争が熾烈化している現状を考えると連帯も無理かもしれません。

 こんなことだと、就職するためには大学よりは専門学校、大学院よりは専門職大学院ということになってしまいますね。
by stochinai | 2008-02-21 21:25 | 大学・高等教育 | Comments(215)

サイエンスZERO

 もう3年も前のことになりますが、サイエンスZEROに出たことがあります。その頃は眞鍋かをりさんがアシスタントをやっていて、「眞鍋が学べ」ということで彼女が直々にうちの研究室まで来てくれました。今となっては懐かしい思い出です。(証拠に、彼女のブログにうちのカエルが登場しています。)

 さて、そのサイエンスZEROもアシスタントが今は安めぐみさんに変わり、放送時間が土曜日夕方から深夜へ移動してしまいましたが、相変わらず良質の科学番組を作ろうとがんばっているようです。

 明後日の夜には、「"赤谷(あかや)の森"多様な生態系を守れ」というタイトルで、取材班が「1年かけて、ツキノワグマやクマタカ、ムササビなど」の生き生きとした生活を捉えて貴重な動画が放映されるとの情報を得ました。(写真はNHKのサイトから部分引用
サイエンスZERO_c0025115_1940294.jpg
 予告の動画を見ただけでも、テンやムササビ、ツキノワグマや安さん(笑)の魅力的な映像が期待できます。(まだ見ていないのでなんとも言えないのですが、こういう分野では専門の生物学者よりも取材班のフィルムの方が貴重な科学データになったりすることも多いので、ポスドクの人達の就職先にもなりうるなあと思ったりもします。)

 お時間のある方はどうぞ、ご覧下さい。
by stochinai | 2008-02-21 19:53 | 生物学 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai