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[ 2008-03 -14 22:43 ]
2008年 03月 14日 ( 1 )
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2008年 03月 14日
イギリスでアフリカツメガエルの売買禁止提案
Scienceに、結構ショッキングなニュースが載っていました。
Proposed Frog Ban Makes a Splash
イギリスのDefraと呼ばれる役所 Department for Environment, Food and Rural Affairs が、環境に悪影響を及ぼす可能性のあるもののうち、在来種ではない動植物の売買や取引を禁止するリストを11月に発表したのだそうですが、そのリストの中になんと過去60-70年間にわたって発生学の標準的実験動物として世界中で使われているアフリカツメガエル(Xenopus laevis)が含まれていたということで研究者達は大きなショックを受けているようです。

Defraによると、アフリカツメガエルは世界の両生類を危機に追い込んでいると主張されているツボカビのキャリアでもあるし、野生に放された場合には地元の両生類と競争したり、場合によっては食べたりすることで減少させる恐れもあるので、リストに載せたということです。
日本でも昨年の今頃に同じようなことが言われて、我々アフリカツメガエルを実験に使っている人間はかなり危機感をもったものですが、日本では野生の両生類がツボカビで深刻な被害を受けているという事実が出てこなかったこともあり、現時点ではアフリカツメガエルの実験や飼育、売買に対して特になんらかの制限は加えられてはおりませんが、イギリスでは核移植で有名なガードンもいますし、アフリカツメガエルを使った発生学研究の伝統がありますので、とても他人事には思えません。最近では、遺伝子を使った実験発生学で広く使われているので、影響はとても大きなものになることが予想されます。
もしも、売買・取引禁止ということになると、実験用のアフリカツメガエルはすべて自給自足でまかなわなければならなくなるので、人手もお金もかかるようになり大変だということで研究者はかなりあせっているようです。もちろん、イギリスの研究者達はこの決定に異議を唱えて闘っており、売買・取引禁止ではなく、なんらかの許可制になることが予想されています(10月に決定があるそうです)。
Defraは研究者からのリアクションに驚いていると書いてありますが、日本の環境省・農水省にあたるところが、基礎研究で広く使われている実験動物に対してそれほど無知だったということに、私は逆に驚いています。(日本でも、同じかもしれないですが・・・・・)
ただし、科学者達もDefraが外来生物に対して持っている危惧には同意しているので、イギリスの在来両生類を守るために協力すると言っており、飼育しているアフリカツメガエルが逃げ出すことがないようにするばかりではなく、ツボカビをもっているかどうかを調べたり、あるいはツボカビを持っていないものを実験に使うことを考えているということです。
もちろんツボカビの危険性は充分に考慮しなければならないことではありますが、確たる根拠もなくツボカビを持っている可能性があるというだけで、今回のDefraの決定がなされた節もあり、お役所が「お役所仕事」をするのは日本だけではないのかもしれないと思わされるエピソードでした。
Proposed Frog Ban Makes a Splash
イギリスのDefraと呼ばれる役所 Department for Environment, Food and Rural Affairs が、環境に悪影響を及ぼす可能性のあるもののうち、在来種ではない動植物の売買や取引を禁止するリストを11月に発表したのだそうですが、そのリストの中になんと過去60-70年間にわたって発生学の標準的実験動物として世界中で使われているアフリカツメガエル(Xenopus laevis)が含まれていたということで研究者達は大きなショックを受けているようです。

日本でも昨年の今頃に同じようなことが言われて、我々アフリカツメガエルを実験に使っている人間はかなり危機感をもったものですが、日本では野生の両生類がツボカビで深刻な被害を受けているという事実が出てこなかったこともあり、現時点ではアフリカツメガエルの実験や飼育、売買に対して特になんらかの制限は加えられてはおりませんが、イギリスでは核移植で有名なガードンもいますし、アフリカツメガエルを使った発生学研究の伝統がありますので、とても他人事には思えません。最近では、遺伝子を使った実験発生学で広く使われているので、影響はとても大きなものになることが予想されます。
もしも、売買・取引禁止ということになると、実験用のアフリカツメガエルはすべて自給自足でまかなわなければならなくなるので、人手もお金もかかるようになり大変だということで研究者はかなりあせっているようです。もちろん、イギリスの研究者達はこの決定に異議を唱えて闘っており、売買・取引禁止ではなく、なんらかの許可制になることが予想されています(10月に決定があるそうです)。
Defraは研究者からのリアクションに驚いていると書いてありますが、日本の環境省・農水省にあたるところが、基礎研究で広く使われている実験動物に対してそれほど無知だったということに、私は逆に驚いています。(日本でも、同じかもしれないですが・・・・・)
ただし、科学者達もDefraが外来生物に対して持っている危惧には同意しているので、イギリスの在来両生類を守るために協力すると言っており、飼育しているアフリカツメガエルが逃げ出すことがないようにするばかりではなく、ツボカビをもっているかどうかを調べたり、あるいはツボカビを持っていないものを実験に使うことを考えているということです。
もちろんツボカビの危険性は充分に考慮しなければならないことではありますが、確たる根拠もなくツボカビを持っている可能性があるというだけで、今回のDefraの決定がなされた節もあり、お役所が「お役所仕事」をするのは日本だけではないのかもしれないと思わされるエピソードでした。
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by stochinai
| 2008-03-14 22:43
| 生物学
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