5号館を出て

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2008年 03月 16日 ( 1 )

 私がまだ学生の頃から、聞かされ続けたことのひとつが「経歴に穴を空けてはいけない」ということでした。

 高校から大学へ入学するのもそれほど簡単な時代ではなかったこともあり、過半数の学生は大学へ入る前にいわゆる「浪人」という時期を過ごすのですが、その時にもどこかの予備校に属していることが勧められ、予備校に行かないいわゆる「自宅浪人(宅浪)」は、ひょっとすると将来社会に出てから、何らかの不利益を被るかもしれないと聞いたこともあります。

 しかし、それがどのような根拠に基づく、どのような不利益であるのかを確かめる機会は今日に至るまで持てていません。結局、その後大学へ進学することになるのだったら浪人時代の履歴の穴は所詮「学歴」に空いた穴にすぎす、それほど大きなものではないということなのかもしれません。

 一方、大学を出てからも、ことあるごとに「履歴に穴を空けてはならない」と言われます。実際に調べることなどあり得ないと思うのですが、転職などの時、大学の事務などではたとえ1日でも空白を作らないように、私にしてみると異常とも思えるくらいの調整作業を行ってくれるようです。

 それとの関係なのか、数年前から北海道大学の理学研究院では、博士取得者が職に就くまでの間、履歴の空白ができることを防止するためなのか、残念ながら無給なのですが、研究生のように学費を支払う必要のない研究員制度を設けています。

 おそらくこれは日本社会に特有の習慣なのだと思いますが、学歴や職歴に空白があるということがその後の人生にどのように不利益をもたらすのかを具体的な例を挙げて説明できる方はいらっしゃるでしょうか。

 そもそも、生まれてから死ぬまで一続きの人生に空白などあるはずもなく、たとえ学歴や履歴に書けない期間があったとしても、そこにはそれぞれの人にそれぞれの歴史がきざまれているはずです。それが、内容を判断されることなく一律に不利になってしまうなどということが実際に行われているのだとしたら、まったく馬鹿げたことだと思います。

 とりあえず、履歴書には何を書いても良いこととし、空白があっても問題なしという社会になって欲しいと思うのは私一人でしょうか。
by stochinai | 2008-03-16 23:52 | つぶやき | Comments(36)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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