5号館を出て

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2008年 07月 14日 ( 1 )

教員採用試験の不正

 確たる証拠は何一つ持っていないのですが、北海道においても教員採用と採用後の赴任地に関しては、「コネ」がある程度の力を持っているという話は何度も聞いたことがあります。

 それで、大分県の事件の報道が出てきた時に「やはり」とは思いましたが、それ以上にその事実が暴露されてきた経緯の方が気になっています。

 全国的に考えてみると、大分ほどひどい例はそれほど多くはないとしても、教員採用やその後の赴任先について、口利きやコネによる「手心」が加えられるというようなことは、ほぼ全国で未だに行われているのではないかと思われるのに、、なぜ大分だけがこのタイミングで表に出てきたのでしょうか。内部通報者がいたということは間違いないことだと思いますが、ある程度の内部告発あるいは情報のリークは全国的にあるはずなのに、なぜ大分だけがこれほどまでに徹底的に表に曝されているのでしょう。

 教員は基本的に終身雇用ですから、たとえ不正な方法によってでも職を得る際に200万円や300万円の謝礼をはらったとしても、退職までに入ってくる総収入のことを考えると、決して高い額ではありません。(ワーキングプアの方々の気持ちを逆なでしていることは、あえて承知しております。スミマセン。)逆に言うと、その程度のお金なら出す方も受け取る方もそんなに重要なこととは考えていなかったのかもしれません。そういう意味では数万円のワイシャツの仕立て券も、ゲンナマで300万円も犯罪者にとっては、感覚としてそれほど差がないのだと思います。

 つまり、大分ではある程度大きな現金が動いたので、警察も動きやすかったのかもしれないと思います。他の都道府県では同じような、コネや不正が横行していたとしても、不正の代償として「常識の範囲を超えない」程度の謝礼だったり、あるいは謝礼そのものが口頭による「お礼の言葉」だけだったとしたら、不正の証拠がはっきりと残っていない限り摘発はかなり困難だと思われます。

 しかし、たとえ警察が動きやすかろうが動きにくかろうが、いずれも犯罪としては重罪です。

 こうした、コネや不正が長年続くという背景には、それにかかわっているもの(今回の例でいうならば、議員を含む地方公共団体の有力者、教育委員会の有力者、学校関係の有力者、そして本人)がすべてグルになっていて、利害を共有していたと思われますので、そこから内部告発を期待してもなかなか難しいものがあるような気がします。

 では、今回は何が内部告発のモーティベーションになったのでしょうか。もちろん、純粋な正義感だったのかもしれませんが、そういう気持を持った人は、そもそもこの悪の枢軸に参加しなかったでしょうから、グループ内における仲間割れというようなものがあったのかもしれません。そのきっかけになったのは、ひょっとすると数百万円の現金だったような気もします。ワイシャツの仕立券くらいしか動かなかったとしたら、そんなものはもらってももらわなくてもそれほど気にならないかもしれませんが、同じ悪事を知っているものの中で、あるものは300万円を受け取り、あるものは1円ももらえないというようなことがあったら、くやしくて「ばらしてやる」という気持になるメンバーがでてきても不思議ではありません。

 もちろん、ニュースなどでそのようなことがあったとはひと言も報道されておりませんので、これはあくまでも私が頭の中で組み立てた妄想にすぎないのですが、悪事というものは結束の乱れがないとなかなか暴かれないということから、そのように想像してみました。

 一方、おそらく全国都道府県の多くのところでは、大きなお金が動くような悪質なものは少ないにしても、情実がらみのコネや不正が未だに行われているのではないでしょうか。噂も聞きますし、私が個人的に知っている何人かの方で、私から見るととても優秀で、教員としても適した資質をもっていると感じられる人であるにもかかわらず、教員採用試験で何度も失敗しているのを見るたびに、そしてそのような教員採用試験を乗り越えてきたはずの教員の中に「え~っ?」と思われれるような人がいるのを見聞きしたりするたびに、その思いが頭をもたげてきます。

 少なくとも日本中で、「昔はどこでもそういうことがあった」ということだけは多くの人が同意できるようなので、それが今日まで続いているかどうかを掘り返すことよりも、今回の事件を教訓に、日本中の教員採用において、すべての不正が一掃されるような仕組みが作られるのであれば、過去に行われた不正はさておき、今後にとって今回の事件が意味のあるものになる可能性はあります。

 過去に不正をして教員になっている人の処遇に関しては、その後でじっくりと時間をかけて行ったほうが、教育現場に対する混乱を避けるという意味では現実的な方法ではないかとも思います。不正に採用された人間をひとり残らず、即免職にするというやり方もあるとは思いますが、それで全国で何万人もの先生が一気に失職するなどということになると、もとに戻すまでに何年もかかるでしょうし、その間に教育を受けなければならない子ども達が被る被害を考えると、ここは多少の悪は飲み込むというような政策が必要ではないかと思います。

*と言っても、もっともありそうな幕引きのシナリオは、大分だけで火を消すということで、そういうことだと、全国的にはこの先何十年も不正を続けることを認めるということになるのでしょうね。
by stochinai | 2008-07-14 20:53 | 教育 | Comments(11)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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