5号館を出て

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2008年 08月 13日 ( 2 )

信頼を失った権威

 「文科省の意図を越えた大学の節約ぶり」に寄せられた、コメントさんからのコメントを読んで、私も考え込んでいます。
それは別にして、「専門家の信頼性」って何でしょうね。20-30年前も、今も、大学や研究機関の専門家のレベル(専門性)は遜色ありません。それとも、日本の専門家のレベルは落ちて居るのでしょうか?或いは、元々、日本の専門家のレベルは低いのでしょうか?

現代日本の科学の繁栄は専門家が築いたものです。専門家の信頼性に疑問を持つ人は、日本の科学技術の繁栄を、どう考えるのでしょう。何を理由に専門家が信頼出来ないのでしょうか?

もし、報道やドロップアウトした院生や団塊の世代の学生運動等に煽られて、漠然と専門家を信頼できないなら、先入観が相当大きい気がします。印象での決めつけなので、信頼性の回復は難しい気がします。どう思われますか?

 今の日本で、信頼性(権威)を失ったものは専門家以外にもたくさんあります。逆に、権威を失っていないものを見つけることのほうが難しいかもしれません。もともと権威や信頼性などというものは、ムードによって形成されることが多いので、いったん「裸の王様」であることが暴露されてしまうと、それを取り戻すのは容易なことではありません。

 恐怖政治を行っている独裁国家でもない限り、権威を保つにはある集団全員が一丸となって権威を維持する努力が必要ですし、外側にもその権威を守ってくれる大きな勢力が必要です。逆に、権威を壊すにはほんの数例の悪を暴露するだけで事足ります。最近の小中高そして大学の「先生」の権威は、そのようなほんの一握りの人間の悪行を暴露することによって簡単に崩壊してしまったようにも思えます。

 小中学生の親の中にも「モンスターペアレント」などという名前で呼ばれる存在が出てきているように、先生の権威に対してまったく敬意を払わない人も多くなっています。昔の親は、子どもが先生に叱られたり、場合によっては殴られたりしたときには、なんで先生に叱られるようなことをしたのだと、自分の子どもをさらに叱ったり殴ったりすることもあったものです。父兄も教師の権威を守る側にいたのです。残念なことに、現在は教育委員会や政府(文科省)もそうした「モンスターペアレント」の暴走から教師を守っているかというと、時には一緒になってあるいは別の方向から教師の権威をおとしめるような言動をしていることが目立ちます。さらには、その教育委員会や文部科学省、さらには政府の権威すら失われているという現実があります。

 専門家のことに話をもどしますと、大学の教員を初めとしたいわゆる専門家が「御用学者」として、科学の名前を借りて国民をだます側にまわったという史実がたくさんあります。もちろん、全学者の中に占める御用学者の比率は戦前の方が多かったに違いないのですが、独裁国家大日本帝国における御用学者を批判することは許されなかったので「権威」は保たれていたのでしょう。しかし、戦後民主主義国家日本においては、御用学者は鋭く批判されることになりました。そのような環境の下では、御用学者ではなくとも学生に受けのわるい研究者は、さまざまな批判にさらされ権威をはぎ取られる運命にあります。研究者・専門家はただの「専門バカ」という地位におとしめられてしまったのかもしれません。

 そして、そうした専門家を守ってくれる勢力があるでしょうか。今は、文科省や国も率先して、大学およびそこにいる研究者を非難し、時には侮蔑さえしますので、たくさんの人がその尻馬に乗って大学や研究者を非難することは、とてもたやすいことになっていると思います。

 コメントさんがおっしゃるように、「20-30年前も、今も、大学や研究機関の専門家のレベル(専門性)は遜色ありません」し、「現代日本の科学の繁栄」の陰に「専門家」いたこともまた事実だと思います。しかし、科学者・専門家を非難する人々は、科学や技術は信頼しても、それを作ったのがたくさんの科学者・技術者であるというところの理解は欠けているような気がします。日本人の科学・技術に対する理解が、非常に浅薄でノーベル賞を取るような科学者や、プロジェクトXに出てくるような例外的な技術者だけで、戦後日本の科学・技術が発展させられたのだという刷り込みがされているのかもしれません。

 それは政府が意図的に行っている刷り込みかもしれないという悲劇もあるのですが、政府や文科省が行っている大学や専門機関に対する選抜と集中を過度に進めると、すべてが無に帰してしまうということを理解してもらわなくては、「専門家集団という存在」に対する信頼性を回復することは無理だと思います。決して目立つことはないのですが、科学・技術の世界の裾野を支える、膨大な数の科学・技術者がいたからこそ、ノーベル賞や世界一になった日本の自動車や家電産業があるということをわかってもらう必要があると思います。

 日本のすべてがボロボロになってしまわなくてはわかってもらえないことなのかもしれませんが、危機感を持った人間が地道に不断に信頼回復の努力を続けるしか、当面の方策はないと感じています。
by stochinai | 2008-08-13 20:14 | つぶやき | Comments(27)

壁紙更新とフォクすけ

 ひさしぶりに壁紙を更新してみました。ブラウザの横幅が広い時には、文字列の幅が広くなってしまい、ちょっと読み難くなったかもしれません。あまりに評判が悪いようでしたら、元に戻しますのでご意見をお寄せ下さい。

 引用文が線で囲まれるようになったのは、うれしい変化です。

 それはそれとして、最近フォクすけの機嫌が良く、今日は68%にまで上がっています。前回(7月8日)には60.6%でしたから、かなりの増加だと思います。70%は間近でしょう。

壁紙更新とフォクすけ_c0025115_1901486.jpg
 
Firefox3 : 68.4%  Firefox2 : 30.9%  それ以前 : 0.7%

 このサイトに来るFirefoxユーザーは、非常に高い割合で最近リリースされたFirefox3にすでに移行しています。
 ちょっと気になる数値もあって、前回 XP : 81.4%  Vista : 12.8% だった、ウィンドウズのユーザーが XP : 82.2%  Vista : 13.5% となっていることです。
壁紙更新とフォクすけ_c0025115_1945517.jpg
 たまたまなのかもしれませんが、まだVistaに負けず劣らずXPが増えているというのは、なかなか興味深い結果だと思います。

 そういう私のレッツノートも、VistaからXPにダウングレードしてしまいましたが(笑)。
by stochinai | 2008-08-13 19:13 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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